- 中学生のうちから筋トレをしていいのか、判断がつかない
- 筋トレをすると身長が伸びなくなると聞いて、始めるのが怖い
- ダンベルを買うべきか、自分の体重だけでいいのか迷っている
こんな悩みを解決します。
中学年代のトレーニングは、重い器具を持たずに、自分の体重で扱える種目と走る練習で土台を作るのが基本です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生を指導してきましたが、この年代でいちばん差がついたのは、扱った重さではありませんでした。
正しいフォームで自分の体を思いどおりに動かせるかどうか。ここが高校に上がってからの伸びしろを決めていました。
いま指導している中学生にも、重さを足す前に自分の体重で形を作るところから始めてもらっています。
なお、痛みが出ている場所がある場合は、トレーニングより先に医療機関で相談してください。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 中学生がやっていい筋トレと、まだ早い筋トレの線引きが分かる
- 器具なしで土台を作る自重トレと走るメニューの組み立て方が分かる
- 高校でウエイトに進むために、中学のうちに準備することが分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:中学生の筋トレは「自重と走る」から始める
先に結論をお伝えします。中学年代でそろえるのは、次の3つだけで十分です。
- 自重:自分の体重で、正しいフォームを覚える種目
- 走る:心拍が上がった状態で動き続けるラントレーニング
- 瞬発:短いダッシュを何本かくり返すインターバル
重いダンベルやバーベルは、中学年代では必要ありません。器具である程度の重量を扱うのは、高校年代からで十分だと考えています。
サルくん早く始めたほうが、強くなれるんじゃないんですか?



重さを増やすより、正しく動ける体を先に作るほうが早いんです。
理由はシンプルで、体がまだ変化の途中だからです。骨が伸びている時期に重い負荷をかけると、けがのリスクが上がりますし、フォームが固まる前の重さは伸びにつながりません。
中学年代でつけたいのは重さではなく、自分の体重を思いどおりに動かせる感覚です。
いっぽうで、走る練習は今すぐ効果が出ます。心肺機能が低い選手は、試合の後半になるとプレーの精度がガクッと落ちてしまうからです。
自重トレも走る練習も、道具をそろえる必要がありません。体育館が使えない日でも、家の前でも進められるのが中学年代の強みです。
ここからは、成長期の体で気をつけたいこと・やっていい自重トレ・走るメニュー・避けたいやり方の順に見ていきましょう。
成長期の体で気をつけたい2つのこと
まずは、中学生の体で何が起きているかを整理します。ここが分かると、避けるべき負荷の理由が腑に落ちます。
骨が伸びている途中で、体は数か月で変わる
中学生の3年間は、身長がいちばん大きく動く時期です。半年前のシューズが入らなくなる選手も珍しくありません。
骨は端の部分から伸びていきます。その伸びている部分は、大人の骨よりも力に弱い場所だと考えてください。



背が伸びている時期に、負荷をかけて大丈夫なのかしら…。



自分の体重の範囲なら心配いりません。重さを足すのを急がないだけです。
だからこそ、この年代は「重さを増やす」よりも「動きの質を上げる」ほうに時間を使います。フォームは早いうちに身につけたほうが、後から直すより何倍も楽です。
骨の伸びに、筋肉の柔らかさが追いつかない
もう1つが、骨と筋肉のズレです。骨が先に伸びると、そこにつながっている筋肉は引っぱられて硬くなります。
この状態でジャンプをくり返すと、膝の下やかかとに痛みが出やすくなります。中学生に多いオスグッドやジャンパー膝は、この時期特有の背景を持っています。
ジャンプは上がるときより、下りて着地するときのほうが膝に負担がかかります。
跳ぶ本数を増やす前に、着地の姿勢と練習量を見直してください。痛みが出てからでは、休む日数のほうが長くなってしまいます。
中学生がやっていい自重トレ6種


ここがこの記事のいちばん大事なところです。器具がなくても、バレーに必要な力はしっかり作れます。
選ぶ基準は「バレーの動きに出てくる形かどうか」です。試合で使わない形をいくら鍛えても、コートの中では力になりません。
下半身:スクワット・ランジ・ヒップヒンジ
土台になるのは下半身です。跳ぶ力も、低い姿勢で粘る力も、ここから生まれます。
スクワットは、膝だけを曲げるのではなく、お尻を後ろに引きながら沈みます。この股関節から曲げる動きがヒップヒンジで、パワーポジションの土台にもなります。



とりあえず回数を増やせばいいですか?



回数より、膝が内側に入っていないかを毎回見てください。
ランジは、片足ずつ前に出して沈む種目です。左右の差が出やすいので、苦手なほうの足で崩れないかを確認しながら進めます。
体幹:プランクと背筋
体幹は、空中で体がぶれないために鍛えます。スパイクで打つ瞬間に力が逃げるのは、腕の力不足ではなく体幹が抜けているからということが多いんです。
ただ止まるだけのプランクより、手足を1本ずつ動かす形のほうがバレー向きです。実際のプレーは、止まったまま力を出す場面がほとんどありません。



タイカン ハ トメル タメ デハナク ツナグ タメ
背筋は、空中でそり返る動きと、そこから振り下ろす動きに直結します。うつぶせから上体を軽く起こす種目で十分です。
上半身:腕立て伏せと指立て伏せ
上半身は、腕立て伏せが基本です。手の幅を変えるだけで効く場所が変わるので、器具がなくても十分に負荷を作れます。
指立て伏せは、パスやブロックで指を守るための種目です。最初から指1本ずつではなく、壁に手をついた形から始めてください。



家でもできる種目ばかりですね。



そこが自重トレの強みです。道具がなくても続けられます。
回数の目安は、フォームが崩れない範囲で10〜15回を2〜3セットです。崩れた回数を足しても、けがが近づくだけで力にはなりません。
走る練習で後半に落ちない体を作る
自重トレと同じくらい大事なのが、走る練習です。中学年代でここを外すと、技術があっても勝ち切れないチームになってしまいます。
心拍が上がった状態で動き続ける
ねらいは心肺機能です。心拍数がおおむね140前後まで上がった状態で、一定の時間動き続けられるかどうかを見ます。
ゆっくり長く走るより、少し息が上がる速さを保つほうがバレー向きです。試合中の体は、まさにその状態で判断を続けています。
心肺機能が低い選手は、試合の後半でプレーの精度がはっきり落ちます。
コート内で行うなら、エンドラインからエンドラインの往復を、時間を決めて続ける形が手軽です。3分動いて1分休む、といった区切り方だと本数を数えずに済みます。
ダッシュとインターバルでくり返す力をつける
瞬発力と筋持久力を同時に伸ばすなら、短いダッシュのくり返しが効きます。休みを短く区切って何本か走る形で、いわゆるHIITもこの年代に向いています。
重い器具を使わなくても、こうした走るメニューでバレーに必要な体力は十分に作れます。



最後の1本で足が動かなくなります…。



そこが伸ばす場所です。本数より、1本ごとの速さを守りましょう。
中学のうちは避けたい3つのやり方


やらないことを決めておくと、判断に迷わなくなります。ここでは3つに絞ってお伝えします。
重い器具で重量を追いかける
1つ目が、ダンベルやバーベルで重さを競うことです。フォームが固まる前に重量を上げると、腰や膝に負担が集まります。
同じ理由で、大人向けのメニューをそのまま真似するのも避けてください。体の大きさも骨の状態も違います。



家にあるダンベルは、まだ使わないほうがいいんですね。



中学のうちは急がなくて大丈夫です。自重で先に形を作りましょう。
疲れが残ったまま跳び続ける
2つ目が、疲れをためたままのジャンプです。着地が乱れた状態でくり返すと、膝の痛みに直結します。
練習の終盤にフォームが崩れてきたら、それ自体が本数を止める合図だと考えてください。
体が硬いまま強度だけ上げる
3つ目が、柔らかさを置き去りにすることです。骨が伸びている時期は筋肉が引っぱられて硬くなるので、可動域を保つ時間を必ず取ります。
股関節・肩甲骨・足首の3か所は、バレーの動きに直結します。練習前は動的ストレッチ、練習後はゆっくり伸ばす形で分けると続けやすいです。
硬さは、力が出ないだけでなくフォームまで変えてしまいます。低い姿勢が作れないと、レシーブも助走も崩れます。



カタサ ハ フォーム ヲ カエル
器具を使うトレーニングは高校から
「では、いつから器具を使っていいのか」という疑問が残ると思います。目安は高校年代です。
高校からで十分に間に合う理由
体つきが落ち着いてくると、同じ重さでも受け止められる土台ができます。この段階で重量を扱い始めても、伸びは十分に間に合います。
むしろ中学のうちに自重で正しいフォームを覚えた選手のほうが、高校に入ってからの伸び方が速いです。動きの型ができているぶん、重さを足すだけで力に変わっていきます。



今は自重で、形を作る時期なんですね。



そのとおりです。焦らなくても背も力も追いついてきます。
日本バレーボール協会も、中学校の部活動での指導について考え方をまとめています。指導者や保護者の方はあわせて確認してみてください。
中学のうちに準備しておくこと
高校でウエイトに進むまでに、やっておきたい準備が3つあります。どれも器具なしでできることです。
- スクワットとヒップヒンジのフォームを、鏡や動画で確認できる
- 左右差を自分で説明できる(苦手なほうの足が分かっている)
- 練習後に伸ばす習慣がついていて、可動域が落ちていない
この3つがそろっていれば、高校でメニューが変わってもすぐ乗れます。食事と睡眠で体をつくる土台も、この時期から意識しておきたいところです。
よくある質問
まとめ
中学生の筋トレは、いつ始めるかより何から始めるかで差がつきます。自分の体重を扱う種目と走る練習は、今日からでも始められます。
重さを足すのは高校から。中学のうちは、正しく動ける体を作る時期です。
| 項目 | 中学年代の目安 |
|---|---|
| 自重トレ | 週2〜3回・10〜15回×2〜3セット・崩れたら終える |
| 走る練習 | 心拍140前後で動き続けるラン+短いダッシュのくり返し |
| 器具の重量 | 中学では使わない(扱い始めるのは高校年代から) |
| ジャンプ | 上りより着地に注意し、疲れが残る日は本数を減らす |
| 柔軟性 | 股関節・肩甲骨・足首を、練習前後で分けてケアする |
私は元日本代表として、また指導者として多くの選手を見てきましたが、中学のうちに型を作れた選手ほど、高校で一気に伸びていきました。



今日から自重とダッシュでやってみます!



それでいいんです。3か月続けたら、体の使い方が変わりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
体づくりについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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