- 筋トレはしているのに、ジャンプの高さが伸びない
- 「プライオメトリクス」という言葉を聞くけれど中身を知らない
- バネのある跳び方を、安全な順番で身につけたい
こんな悩みを解決します。
筋力をジャンプの高さに変えるカギは、プライオメトリクスで反動を使うバネを鍛えることにあります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、筋力はあるのに跳べない選手の多くは、ためた力を一瞬で出す「バネ」の使い方を知らないだけなんです。
プライオメトリクスを正しい順番で取り入れると、地面を一瞬で押す力が育ち、同じ筋力でもジャンプが伸びていきます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- プライオメトリクスが何かをやさしく理解できる
- 反動で高く跳べる仕組み(伸張反射)がわかる
- 安全に進めるための種目の順番がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:プライオメトリクスは「反動を使って跳ぶ」トレーニング

先に結論からお伝えします。プライオメトリクスとは、筋肉が伸ばされた直後に一気に縮む反動を使って、瞬発的に大きな力を出すトレーニングの総称です。ジャンプ系の練習はその代表例です。
プライオメトリクスのねらいは、ためた力を一瞬で放つ「バネ」のような体を作ること。
筋力トレーニングが「大きな力をゆっくり出す」練習だとすれば、プライオメトリクスは「力をすばやく出す」練習です。バレーのジャンプは一瞬の動きなので、この速い力がとても重要になります。
- 地面を一瞬で押す瞬発力
- 着地の衝撃を受け止める力
- 反動をすぐ跳躍に変えるバネ
サルくん難しそうな名前だけど、要するにジャンプの練習ってこと?



そうだよ。反動を使ってすばやく跳ぶ練習をまとめて、こう呼ぶんだ。むずかしく考えなくて大丈夫。
筋力トレーニングで土台を作っても、その力を一瞬で出せなければ高くは跳べません。重い荷物を持てる力と、すばやくジャンプする力は、似ているようで別ものだからです。
プライオメトリクスは、その「すばやく出す力」を専門に鍛えます。だから、筋トレと組み合わせることで、はじめてジャンプ力が大きく伸びていくんです。



筋トレだけじゃ足りないってこと?



足りないわけじゃないよ。筋トレは土台、プライオはその力を速く使う練習。両方そろうと一番伸びるんだ。
逆に言えば、筋トレを一生けんめいやっても跳べないと感じている人ほど、このバネの練習で大きく変わる可能性があります。足りないのは力そのものではなく、力を出すスピードかもしれないからです。
なぜ反動で高く跳べるのか:伸張反射の仕組み


反動を使うと高く跳べるのは、筋肉と腱が持つ「伸張反射」という仕組みのおかげです。これは、急に引き伸ばされた筋肉が、反射的に強く縮もうとする働きのことです。



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しゃがんだ瞬間や着地した瞬間、太ももやふくらはぎの筋肉は急に引き伸ばされます。このとき体は無意識に縮もうと反応します。そのタイミングをのがさず跳ぶと、自分の筋力以上の力が出るんです。
伸ばされた直後にすぐ縮める。このタイミングが合うほど、ジャンプは高くなる。
わかりやすいのが、ゴムボールが床で跳ね返るイメージです。ボールはつぶれた直後に元へ戻る力で跳ね返ります。プライオメトリクスは、体をこのゴムボールに近づけていく練習だと考えるとわかりやすいです。



しゃがんで止まってから跳ぶより、勢いを止めずに跳ぶ方が高い。これがバネの力なんだ。
逆に、しゃがんでから一度止まってしまうと、このバネの効果は消えてしまいます。ためる時間が長いほど、せっかくの反動が逃げてしまうからです。だから、すばやさが何より大切になります。
深くしゃがむほど高く跳べそうに感じますが、実際は逆になることが少なくありません。沈み込みが深いと、そのぶん切り返しに時間がかかり、伸張反射のタイミングを過ぎてしまうからです。



思いっきりしゃがんだ方が、力がたまりそうだけどなあ。



力はたまるけど、その間にバネが逃げちゃうんだ。浅く速く沈む方が、結果として高く跳べるよ。
腕の振りも、この反動と同じ考え方で使います。腕を後ろへ引いてから一気に振り上げる動きが、下半身の切り返しと合ったときに、体全体が上へ持ち上がる感覚が生まれます。
このバネは、スパイクやブロックの一瞬の跳び上がりにそのまま生きてきます。鍛えるほど変わるのは、力の大きさではなくジャンプの質。同じ筋力のままでも、踏み切りにキレが生まれます。
安全な順番:筋力の土台を作ってから始める


プライオメトリクスは効果が大きいぶん、着地の衝撃も大きい練習です。そのため、いきなり始めるのではなく、正しい順番を守ることがとても大切です。
- まずスクワットなどで下半身の筋力をつける
- 軽いジャンプとやわらかい着地を覚える
- ボックスジャンプ → デプスジャンプへ進む
最初の段階は、スクワットなどの筋力トレーニングです。ジャンプの衝撃を受け止める土台がないままバネだけを鍛えると、ひざや腰に負担が集中してしまいます。



いきなり跳ぶんじゃなくて、まず土台の力をつけるんだね。



そう。順番を守るのがいちばんの近道。土台があるほど、バネの練習も安全で効果的になるんだ。
土台ができたら、その場での軽いジャンプや、やわらかく着地する練習に進みます。着地で音を立てず、ひざをやわらかく曲げて衝撃を吸収できることが、次の段階の前提になります。
そこからボックスジャンプ、さらにデプスジャンプへと進みます。台に飛び乗るボックスジャンプは着地の衝撃が小さく、入門に向いています。落下の反動を使うデプスジャンプは負荷が高いので、いちばん最後です。
次の段階へ進んでよいかは、回数や期間ではなく動きの質で判断しましょう。
その場で10回続けて跳んでも着地が乱れず、ひざが内へ入らないなら、土台はできていると考えて大丈夫です。



何回やったら次に進んでいいのか、気になってたんだ。



回数じゃなくて着地の質で決めるといいよ。最後まできれいに下りられるなら、次へ進んでOK。
もうひとつ忘れたくないのが体幹です。跳び上がった瞬間に体がぶれると、下半身で作った力が上へ伝わりません。
プライオメトリクス・スクワット・体幹。この3つがそろってはじめて、ジャンプ力は安定して伸びていきます。
それぞれの具体的なやり方は、別の記事でくわしく解説しています。順番に取り組むことで、ケガなくバネを育てていけます。
正しいやり方の共通ポイントと注意点


プライオメトリクスには色々な種目がありますが、共通する大事なポイントがあります。それは、接地時間を短くすることと、やわらかく着地することです。
共通の合言葉は「接地は短く、着地はやわらかく」。この2つを外すと効果も安全も損なわれる。
地面や台に触れている時間が長いと、バネの効果は消えてしまいます。床で長く沈み込まず、触れた瞬間にすぐ跳ぶ意識を持つことが、すべての種目に共通するコツです。



着地のときは、何に気をつければいいの?



音を立てないこと、そしてひざがつま先より内に入らないこと。この2つを守れば安全だよ。
着地では、ひざと股関節をやわらかく曲げて衝撃を吸収します。棒立ちで着地すると関節に負担が集中するので、お尻を軽く引いて、ひざをつま先と同じ方向に保ちます。
回数をこなすより、1回ごとの質を大切にします。プライオメトリクスは瞬発力を出す練習なので、疲れてフォームが崩れたら、その時点で終わりにするのが安全です。



たくさん跳んだ方が、効果がありそうな気がするけど…。



それが落とし穴なんだ。疲れて遅くなった跳び方をくり返しても、バネは育たない。むしろクセが悪くなるよ。
体力づくりが目的の練習なら、回数を増やすのも意味があります。でもプライオメトリクスは「速さ」を磨く練習です。1回ごとに全力で、鋭く跳ぶことを意識する方が、ずっと効果的なんです。
行う場所と時間帯にも気を配りたいところです。コンクリートのような硬い床は着地の衝撃が強すぎるので、体育館の床や芝生を選びましょう。
やる時間帯は練習の最初、体が疲れていないうちがいちばん効果的です。
そして何より、痛みがあるときは行わないことです。とくに成長期は、ひざやかかとに負担が出やすい時期なので、無理をしない判断がとても大切になります。
回数・頻度の目安と成長期の注意
プライオメトリクスは負荷が高いので、回数を欲張らず、質を優先します。少ない回数を、新鮮な状態で行うのが基本です。
ここで、成長期の選手に大事な注意点があります。育ち盛りの時期は、ひざやかかとに痛みが出やすいので、低い負荷から無理なく始めることが大切です。
「ジャンプ系の練習は身長を止める」と心配する声もありますが、正しいフォームと適切な負荷の運動が成長を妨げるという科学的な根拠は確認されていません。
問題になるのは、痛みを我慢した過剰な反復や、土台のないままの高負荷です。
出典:子供の体力向上(スポーツ庁)・発育期のスポーツ活動のあり方に関する研究(日本スポーツ協会)



効果が大きい練習ほど、休む勇気も大事。痛みのサインは見逃さないでね。
ここからは、選手や保護者の方からよくいただく質問にお答えします。
プライオメトリクスについてよくある質問
鍛えたバネを実戦で活かすコツ


プライオメトリクスで得たバネは、コートで使えてはじめて意味を持ちます。鍛えた瞬発力を、プレーにつなげていきましょう。
- スパイク:助走の最後を一瞬で踏み切る
- ブロック:その場から素早く跳び上がる
- 着地:やわらかく下りて次の動きへつなぐ
スパイクの踏み切りは、ためた勢いを一瞬で上へ変える動きです。プライオメトリクスで覚えた「接地は短く、すぐ放つ」感覚を、その踏み切りにそのまま持ち込むイメージを持ちましょう。



しゃがんでから跳ぶまでを、止めずに速くすればいいんだね!



そう。ブロックは助走がないから、その場で速く跳ぶバネがよけいに効いてくるよ。
ブロックは、その場から素早く跳ぶ場面が多くなります。反動を使うバネを鍛えておくと、相手の速いクイック攻撃に対しても、しっかりと間に合うように跳び上がれます。
着地のたびにやわらかく下りる習慣がつくと、ケガを防げるだけでなく、次の一歩もすぐに出せます。鍛えたバネと着地を、試合の中でも意識していきましょう。



跳ぶ練習だと思ってたけど、下りる練習でもあるんだね!



そのとおり。やわらかく下りられる選手ほど、次のプレーが早いんだよ。
連続でジャンプする場面でも、この力は生きてきます。
ブロックを跳んで着地し、すぐにレシーブへ動く場面。やわらかく素早く着地できれば、間を置かずに次のプレーへつなげられます。
大切なのは、練習で身につけた感覚を、ふだんのプレーでも思い出すこと。せっかく鍛えたバネも、試合で使えなければもったいないからです。
トレーニングと試合の動きがつながってはじめて、プライオメトリクスの効果は結果として表れてきます。
トレーニングと同じ「接地は短く、着地はやわらかく」を、スパイク・ブロックでも意識する。
まとめ:順番を守ってジャンプのバネを育てよう
プライオメトリクスは、反動を使って瞬発的に大きな力を出すトレーニングです。筋力という土台の上に積み上げることで、同じ力でもジャンプが高くなり、踏み切りにキレが生まれます。
| ポイント | 守ること | 目安 |
|---|---|---|
| 順番 | 筋力 → 着地 → 跳躍 | 土台を先に作る |
| 接地 | 短く、すぐ放つ | 沈み込みすぎない |
| 量 | 少なく質高く | 週1〜2回・少回数 |
筋力という土台の上に、反動のバネを積み上げる。順番を守れば、ジャンプは安全に伸びていく。
私は元日本代表として、順番を守ってプライオメトリクスに取り組んだ選手のジャンプが、見違えるほど伸びていくのを何度も見てきました。あせらず、土台から積み上げていきましょう。



よし、まずは筋力と着地を固めて、バネを育てるぞ!



その順番が大事だよ。土台ができれば、バネの効果を安全に引き出せるからね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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