身長を伸ばす食事はある?|成長期に大切な栄養の考え方

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身長と食事の関係を表すアイキャッチ。ご飯・焼き魚・野菜・牛乳の食事トレーを持つサルくんと、親指を立てて見守るあげば
  • バレーで有利になりたいから、少しでも身長を伸ばしたい
  • 「牛乳を飲めば背が伸びる」と聞くけど、本当なのか気になっている
  • 身長のために、何をどれだけ食べればいいのかわからない

こんな悩みを解決します。

食べるだけで身長が伸びる食べ物はありません。大切なのは、成長に必要なエネルギーと栄養を「足りない状態にしない」ことです。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

この記事では、双子の研究や厚生労働省の資料をもとに、身長と食事の関係、成長期に気をつけたい食べ方を解説します。

身長について正しく知ると、あやしい情報に振り回されず、いまの自分にできることに集中できるようになります。ぜひ参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 身長が何で決まるのか、食事の役割がどこにあるのかがわかる
  • 成長期に必要なエネルギーと栄養の目安がわかる
  • 食事と睡眠をセットで整える方法がわかる
目次

結論:食事は「伸ばす」より「じゃましない」ために整える

結論からお伝えします。身長の伸び方には生まれつきの影響が大きく、特定の食べ物で背を伸ばすことはできません。

それでも食事が大切なのは、成長期の体が大人より多くのエネルギーを必要としているからです。食べる量が足りないと、成長に使える分まで足りなくなるおそれがあります。

この記事のポイント
  • 身長の個人差は、遺伝で説明される部分が大きい
  • 中高生は、大人と同じかそれ以上のエネルギーが必要
  • 食べる量・栄養のそろい方・睡眠の3つをセットで整える
サルくん

牛乳をたくさん飲めば伸びると思ってました!

あげば

1つの食べ物にたよるより、毎日の食事全体を見直すほうが大事なんだよ。

身長は何で決まる?遺伝と環境の関係

まずは、身長がどのように決まるのかを知っておきましょう。

身長の差の多くは遺伝で説明される

世界の双子の研究40件をまとめて、約14万組の双子を調べた研究(Jelenkovicら、2016年)があります。

この研究では、人による身長のちがいのうち、遺伝で説明できる割合が男性で0.69〜0.84、女性で0.53〜0.78と報告されています。

ただし、これは「たくさんの人の身長のばらつき」を説明する数字です。あなた一人の身長の7〜8割が生まれたときに決まっている、という意味ではありません。

サルくん

じゃあ、食事をがんばっても意味がないんですか?

あげば

そうじゃないよ。残りの部分には、食事や睡眠などの環境も関わってくるんだ。

食事は「伸びる力を出しきる」ための土台

遺伝で説明しきれない部分には、食事や睡眠、生活のしかたなどがかかわると考えられています。

食事でできるのは、体がもともと持っている伸びる力を、栄養不足でじゃましないことです。特別な食べ物を探すより、毎日の食事を安定させることが近道になります。

反対に、朝ごはんを抜く日が続いたり、練習のあとに何も食べずに長い時間をすごしたりすると、成長に使える材料が足りなくなりやすくなります。

毎日の小さな積み重ねが、そのまま体の土台になっていきます。

伸びる時期は人によってちがう

身長がぐんと伸びる時期は、同じ学年でも人によって大きくちがいます。

まわりの選手と比べてあせる必要はありません。伸びる時期の体の変化とトレーニングの考え方は、こちらで紹介しています。

成長期は大人より多くのエネルギーが必要

ここからは、食事の「量」の話です。身長を気にするなら、まず量が足りているかを見直しましょう。

15〜17歳男子は大人より多い

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日に必要なエネルギーの目安(推定エネルギー必要量)が年齢ごとに決められています。

年齢・性別1日の目安(ふつうの活動量)
12〜14歳 男子2,600kcal
12〜14歳 女子2,400kcal
15〜17歳 男子2,850kcal
15〜17歳 女子2,300kcal
18〜29歳 男性2,600kcal
18〜29歳 女性1,950kcal

15〜17歳男子の2,850kcalは、18〜29歳男性の2,600kcalより多い量です。女子も、中高生のほうが大人より多くなっています。

しかもこれは「ふつうの活動量」の目安です。毎日バレーの練習をしている選手は、これより多く必要になることもあります。

バボット

チュウコウセイハ オトナヨリ タクサン ヒツヨウ

練習でどれくらいエネルギーを使うのかは、こちらの記事で計算のしかたを紹介しています。

エネルギーが足りないと、成長に回す分が減る

国際オリンピック委員会(IOC)の声明(2014年)では、体に必要なエネルギーとして、毎日の生活や運動に使う分に加えて、成長に使う分もあげています。

食べる量に対して、練習で使う量が多すぎる状態が続くと、体のさまざまな働きが落ちてしまいます。声明では、代謝や骨、免疫など、体の多くの働きに影響すると説明されています。

サルくん

練習をがんばるほど、たくさん食べないといけないんですね。

あげば

そう。練習量が多い日ほど、ご飯の量も増やして考えよう。

体重を気にして食べる量を減らさない

「体が重くなると跳べなくなる」と考えて、ご飯を減らす選手がいます。

成長期にそれを続けると、成長に必要な分まで足りなくなるおそれがあります。食べる量に不安があるときは、自分だけで減らさず、医師や管理栄養士、指導者に相談してください。

成長期に意識したい栄養素

量の次は「中身」です。成長期に特に意識したい栄養素を紹介します。

タンパク質:筋肉や骨の材料

タンパク質は、筋肉や骨、血液など、体をつくる材料になります。食事摂取基準では、1日の推奨量が次のように決められています。

年齢・性別タンパク質の推奨量(1日)
12〜14歳 男子60g
12〜14歳 女子55g
15〜17歳 男子65g
15〜17歳 女子55g

肉・魚・卵・大豆製品のおかずを、毎食1品ずつ入れるのが基本です。運動する選手の目安や、食べ物ごとの量はこちらで紹介しています。

カルシウム・ビタミンD:骨を育てる

骨は、身長が伸びる時期に大きく育ちます。食事摂取基準では、12〜14歳男子のカルシウムの推奨量1日1,000mgが、すべての年代でいちばん多い量になっています。

牛乳・ヨーグルト・チーズ、小魚、大豆製品、青菜などを組み合わせてとりましょう。カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、魚やきのこに多く含まれます。

1つの食べ物にたよらず、5つをそろえる

牛乳はカルシウムやタンパク質がとれる便利な飲みものですが、牛乳だけで身長が決まるわけではありません。

主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物の5つを毎食そろえることが、成長に必要な栄養をまんべんなくとる近道です。

サルくん

牛乳だけじゃなくて、全部そろえるのがポイントなんですね!

バボット

ギュウニュウダケデハ セハ キマラナイ

睡眠と食事をセットで考える

成長期の体づくりでは、食事と同じくらい睡眠も大切です。

成長ホルモンは眠りはじめの深い眠りで多く出る

成長ホルモンと睡眠を調べた研究(Takahashiら、1968年)があります。

若い大人8人の眠っている間の血液を調べたところ、多くの人で深い眠りに入るのと同時に、成長ホルモンが大きく増えていました。

寝る時間がおそくなると、成長ホルモンが増えるタイミングもおくれていた、と報告されています。

少人数の大人を対象にした研究なので、10代の身長の伸びにそのままあてはめることはできません。それでも、眠りと体の回復が深く結びついていることがわかります。

中高生の睡眠は8〜10時間が目安

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学生・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することがすすめられています。

同じガイドでは、高校生までは大人より長い睡眠時間が必要だとも書かれています。

サルくん

8時間以上も寝られてないです…!

あげば

まずは、寝る時間を30分早めるところから始めてみよう。

睡眠と体の関係は、こちらの記事でも紹介しています。

朝ごはんと夜食が眠りにかかわる

睡眠ガイドでは、しっかり朝食をとり、寝る直前の夜食をひかえると、体のリズムが整うとしています。

朝ごはんを抜くと体のリズムがおくれて寝つきが悪くなり、寝る前の夜食も同じようにリズムをおくらせると説明されています。

練習で夕ごはんがおそくなる日は、夕方におにぎりなどの主食を先に食べ、帰ってから軽めのおかずをとる「分食」という方法も紹介されています。

部活がある日の1日の食べ方の例

ここまでの内容を、部活がある日の1日の流れにあてはめてみましょう。

時間食べ方の例
朝ご飯・卵や納豆・みそ汁・牛乳・果物
昼お弁当や給食をしっかり食べきる
練習前おにぎり1個やバナナで補食
練習後ヨーグルトや牛乳、おにぎりでつなぐ
夕ご飯・肉か魚のおかず・野菜のおかず・汁もの
寝る前夜食はひかえて、早めに布団に入る

おにぎり1個はご飯約100gが目安です。練習量が多い日は、ご飯をおかわりするか、補食を1つ足すと量が足りやすくなります。

一度にたくさん食べられない選手は、回数を増やすのがおすすめです。3食に補食を足して、1日4〜5回に分けて食べると、無理なく量をそろえやすくなります。

サルくん

一気に食べられないときは、回数で増やせばいいんですね!

あげば

そうそう。部活のカバンにおにぎりを1個入れておくだけでも変わるよ。

家族に食事をお願いするときは、「練習が長い日」「試合の日」などの予定を伝えておくと、量を調整してもらいやすくなります。

身長のために気をつけたいこと

最後に、身長を気にする選手が気をつけたいことを2つ紹介します。

「身長が伸びる」という広告をうのみにしない

インターネットでは、「飲むだけで背が伸びる」とうたうサプリメントや飲みものを見かけることがあります。

食事を整える前にこうした製品にたよるのはやめましょう。サプリメントには、表示されていない成分がまざっているおそれもあり、選手にとってはドーピングの心配もあります。

あげば

お金をかける前に、まずはご飯と睡眠を見直そう。

気になるときは医師に相談する

まわりと比べて身長の伸びが気になるときや、急に伸びなくなったと感じるときは、ひとりで悩まず医師に相談しましょう。

体のことは、成長を診る医師に見てもらうのがいちばん確実です。食事の内容を見てもらうなら、管理栄養士が頼りになります。

身長と食事についてよくある質問

牛乳を毎日たくさん飲めば身長は伸びますか?

牛乳だけで身長が決まるわけではありません。牛乳はカルシウムやタンパク質がとれる便利な飲みものなので、ほかの食事と組み合わせてとりましょう。

今から食事を変えても、身長に意味はありますか?

伸びる力をじゃましないために、食べる量と栄養のそろい方を整えることには意味があります。ただし、どれだけ伸びるかを約束できるものではありません。

背が低いとバレーは不利ですか?

高さはひとつの武器ですが、低い選手には低い選手の戦い方があります。身長にかかわらず、いまの体でできる技術を磨いていきましょう。

身長の伸びが止まった気がします。どうすればいいですか?

気になるときは、自分だけで判断せず医師に相談してください。食事を極端に変えたり、サプリメントにたよったりするのはやめましょう。

まとめ:食事と睡眠で「伸びる力」をじゃましない

この記事では、身長と食事の関係と、成長期に気をつけたい食べ方を紹介しました。

身長を伸ばす食べ物はない。だからこそ、量・栄養・睡眠を毎日整える。

見直すことチェックの中身
食べる量中高生は大人と同じかそれ以上が目安
栄養のそろい方主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物
タンパク質とカルシウムおかずを毎食1品・乳製品や小魚を足す
睡眠8〜10時間を目安に、夜食はひかえる
迷ったとき医師・管理栄養士・指導者に相談

まずは今夜、いつもより30分早く布団に入ることから始めてみてください。

身長はコントロールできなくても、食事と睡眠は自分で変えられます。毎日の積み重ねが、伸びる力を出しきる体と、最後まで動けるプレーにつながっていきます。

サルくん

明日から、朝ごはんと睡眠をしっかりします!

あげば

自分で変えられるところに集中できるのは、強い選手の考え方だよ。

参考にした資料

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

食事・栄養については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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