- ディップスがバレーのどこに効くのか分からない
- 平行棒で体を沈めると肩の前が痛くなる
- 何回やればいいのか、どこから始めればいいのか迷っている
こんな悩みを解決します。
ディップスは、スパイクやブロックで「押し切る力」を育てる自重トレとして効果があります。ただし深く沈めるやり方では、肩を痛めるだけで終わります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生以上の選手を指導してきましたが、押す種目で伸びる選手は、沈めた深さで差がついていませんでした。
肘が90度で止められる選手は、打ち終わりで腕が流れません。逆に体を落とし込むだけの選手は、肩の前側が先に痛くなってしまいます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- ディップスがバレーのどんな場面につながるのかが分かる
- 肩を痛めずに進める3段階と、回数・頻度の目安が分かる
- やりがちな失敗と、ディップスだけでは足りない部分が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:ディップスは「押し切る力」をまとめて鍛えられる

結論からお伝えします。ディップスは、胸の下側・二の腕の裏・肩の前を同時に使う、押す動作の代表種目です。
平行棒や2つの台に手をつき、体を支えたまま沈めて押し上げる。使う道具はそれだけで、重りを足す必要もありません。
バレーの動きに当てはめると、出番はかなり多いほうでしょう。スパイクの打ち終わり、ブロックで押し返す場面、床を押して起き上がる動きも同じ仲間です。
腕立て伏せと似ていますが、体を宙に浮かせるぶん、体重がそのまま腕にかかります。だから腕立てが軽くなってきた選手の次の一手になります。
サルくん腕立てと何が違うんですか?



体を支える位置が高いので、同じ押す動きでも負荷がぐっと上がりますよ。
ただし、1つだけ大きな注意点があります。深く沈めると肩の前側に強い負担がかかり、痛みの原因になりやすいところです。
回数やセット数よりも、まずは止める深さを決めてください。ここを決めないまま始めると、体づくりではなく痛みを集める練習に変わります。
- 肘が90度まで曲がったところで止める
- 肩をすくめず、耳と肩を遠ざけたまま支える
- 腕立て伏せが10回できるようになってから始める
この3つを外さなければ、回数が少なくても十分な刺激が入ります。押す力の土台づくりは、腕立て伏せの記事にもまとめてあります。
ディップスがバレーに効く3つの理由
なぜバレーにディップスなのか、理由は3つあります。ここが分かると、沈める深さの意味も見えてきます。
理由1:打ち終わりで腕が流れなくなる
1つ目は、スパイクの終わり方です。振り下ろした腕を最後まで押し切るとき、二の腕の裏側(上腕三頭筋)が働きます。
ここが弱いと、当てた瞬間に腕の勢いが止まります。ボールを押し込めず、相手のブロックに当たって落ちる形になりがちです。
胸を張って振り抜く感覚は、背中側と胸側の両方がそろって出てきます。打つ瞬間だけでなく、そのあとまで支える力がいるわけです。



打ッタ後モ 押シ続ケテイル
理由2:ブロックで押し返せる
2つ目は、ブロックです。ネットの上で手を出したあと、相手の強打を受け止める瞬間に肘が伸びていないと、腕ごと押し込まれます。
腕を伸ばして支える力は、まさにディップスで使う形と同じなんです。胸の前で体を押し上げる動きが、そのまま空中での支えになります。
もちろん高さやタイミングが先です。ただし当たり負けの部分は、支える力で変わってきます。



高さの問題だと思っていました。



手を出す位置が同じでも、支えられるかで結果は変わりますよ。
理由3:床を押して起き上がるのが速くなる
3つ目は、レシーブのあとです。飛び込んだり倒れたりしたあと、床を押して立ち上がる動きも押す力で決まります。
ここが遅いと、次のボールに間に合いません。ラリーの後半で起き上がりが重くなる選手は、脚だけでなく腕の押しが抜けています。
床を押す、体を起こす、走り出す。この3つがつながると、1本の粘りが目に見えて変わってきます。
肩を痛めないディップスの3段階


ここからが実際のやり方です。いきなり平行棒に行かず、上から順に自分のできる段階まで進めてください。
段階1:台ディップス(膝を曲げる)
まずは、ベンチや丈夫な椅子を使う形です。台に背を向けて手をつき、膝を曲げて足裏を床につけます。
そのまま肘を後ろへ曲げ、肘が90度になったら押し上げます。足で支えられるので、体重の一部だけが腕にかかります。
手のひらの下に台の角が食い込む形はNGです。
指先を前に向け、手のひら全体で面をとらえてください。
椅子を使う場合は、動かないものを選びます。背もたれ側が浮くような椅子は、転ぶ危険があるので避けましょう。
段階2:台ディップス(足を伸ばす)
次は、同じ形で足を前に伸ばします。かかとだけを床につけると、腕にかかる体重が一気に増えます。
10回が少しきついくらいが、ちょうど良い負荷です。楽にできるなら、かかとをもう少し遠くに置いてみてください。
体は台の近くを真下に落とします。お尻が前へ出るほど、肩の前側だけに負担が集まってしまいます。



足の位置で重さを変えられるんですね。



自分に合う角度を探せるので、この段階が長くても大丈夫ですよ。
段階3:平行棒で浅く
最後が、平行棒や鉄棒の器具を使う形です。腕を伸ばして体を浮かせ、そこから肘を曲げて沈めます。
沈めるのは、肘が90度になるところまでです。それより深く落とすと、肩の関節の前側が引き伸ばされて痛みにつながります。
体は少し前に倒し、胸を張ったまま押し上げてください。背中が丸まると、支えているつもりでも力が抜けていきます。



深サハ 肘90度デ止メル



沈めすぎないように気をつけます!



浅くても効いているので、深さを競わないでくださいね。
ディップスの回数と頻度の目安
段階が決まったら、次は量です。押す種目は毎日やりたくなりますが、そこに落とし穴があります。
きれいにできる回数で区切る
まず、1セットの数です。8〜12回を目安に、形が崩れる1回手前で止めてください。
肘の曲がる深さが浅くなったり、肩がすくみ始めたら、そこが今日の限界です。数を足しても押す力は伸びません。
| 目的 | 種目 | 目安 |
|---|---|---|
| 押す力をつけたい | 平行棒ディップス | 8〜12回×2〜3セット |
| まだ体を支えられない | 台ディップス(膝を曲げる) | 10回×2セット |
| 腕立てが10回できない | 腕立て伏せ(膝つき可) | 10回×2〜3セット |
週2回、練習後に入れる
次に、頻度です。週2回で足ります。押す動作は練習の中でも山ほど出てくるので、これ以上増やすと肩が休めません。
入れる場所は、練習後の仕上げか、部活が休みの日です。練習前にやると、肝心のスパイクで腕が上がらなくなってしまいます。
試合が近い週は、量を半分に落としてください。疲れた肩で打つほうが、結果的に損は大きくなります。



毎日やったほうが強くなりませんか?



押す動きは練習でも使うので、休みを入れたほうが伸びますよ。
成長期は重りを足さない
最後に、負荷です。中学生の年代では、腰に重りを下げる必要はありません。
器具である程度の重量を扱うのは、高校年代からで十分です。
成長期は自分の体重だけで組み立ててください。
重りを早くから足すと、怪我や骨の成長という面で心配が出てきます。回数や足の位置で調整できるので、それで十分でしょう。
ディップスでよくある3つの失敗
肩が痛くなる、胸に効かない。そんなときは、たいてい次の3つのどれかです。
失敗1:深く沈めすぎている
いちばん多いのが、限界まで体を落とす形です。肩が肘より下がる深さになると、関節の前側だけで体重を受け止めます。
深く沈めれば効くと思われがちですが、バレーに必要な範囲はもっと浅いところです。肘90度で止めても、胸と二の腕はしっかり使われます。
痛みが出てから浅くするのでは遅いんですよね。最初から深さを決めて、そこで折り返してください。



深ク沈メルホド 肩ガ苦シイ
失敗2:肩をすくめて支えている
次に多いのが、肩の位置です。体を支えた瞬間に肩が耳へ近づくと、首まわりが固まって力が逃げます。
耳と肩を遠ざけ、肩を下げたまま支えるのが正しい形です。段階1の台ディップスでも、この感覚は同じように作れます。
肩まわりが硬い選手は、支える前から肩が上がっています。ストレッチで動く範囲を広げてから入ると、形が作りやすくなるでしょう。
失敗3:肩が痛いのに続けている
最後が、痛みを我慢するパターンです。押す種目は、痛みが出てからも動けてしまうので続けやすい形になります。
打つときに痛む、腕を上げると痛む。この状態でディップスを足すのは、火に油を注ぐようなものです。
いったん止めて、痛みの原因を確かめるほうが早く戻れます。痛みが続くなら、整形外科で診てもらってください。
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ディップスだけでは足りない部分
ここまで良さをお伝えしてきましたが、これ1種目で体づくりが終わるわけではありません。
引く種目と組み合わせる
押す種目だけを増やすと、肩は前に引っぱられた位置で固まっていきます。バレーはもともと押す動作の多い競技なので、放っておくと差は開くばかりです。
だから、引く種目を同じ週に入れてください。懸垂や斜め懸垂を別の日に置くと、前後のバランスが戻ります。
押す日と引く日を分けると、どちらの種目も雑になりません。全身の組み立て方は、こちらにまとめてあります。
跳ぶ力と体幹は別で作る
もう1つ、ディップスでは跳躍力は伸びません。跳ぶ力の土台は下半身、空中で崩れない軸は体幹です。
上半身は支える役、下半身は跳ぶ役。役割を分けて考えると、練習の組み方で迷わなくなります。



全部つながっているんですね。



順番に積み上げれば大丈夫ですよ。
よくある質問
まとめ:深さを競わず、90度で止める
ディップスは、沈めた深さを競う種目ではありません。肘90度で止めて押し切れているか、そこだけを見てください。
浅く止める。肩を下げる。胸を張って押し上げる。
| つまずくところ | 直し方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 体を支えられない | 台ディップスから始める | 腕立て10回が先 |
| 肩の前が痛む | 肘90度で折り返す | 深く沈めるほど負担は増える |
| 胸に効かない | 体を少し前に倒す | 背中を丸めない |
| 首がつらい | 耳と肩を遠ざける | 肩をすくめて支えない |
| 回数が伸びない | 週2回に区切る | 毎日やっても伸びない |
私が指導してきた選手のなかにも、沈める深さを浅くしてから打ち終わりが安定した選手はいます。回数はむしろ減っていました。
必要なのは丈夫な台1つと、数分の時間だけです。押す力は打ち終わりとブロックに直結するので、取り組んだぶんがプレーに出てきます。
そのうえで、引く種目や下半身づくりも並行して進めてください。あせらず、順番どおりに積み上げていきましょう。



今日から、90度で止めてやってみます!



肩を下げて支えることも忘れないでくださいね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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