- 前は届いていた高さに、急に届かなくなった
- 体が重くて、いつものように跳べない日が続いている
- 何が原因なのか分からず、このまま落ちていくのか不安になっている
こんな悩みを解決します。
ジャンプ力が急に落ちたときは、測り方・疲れ・痛み・体の変化の4つを順に確かめることが大切です。多くの場合は回復できるので、あわてて練習量を増やさないようにしましょう。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
鍛えてきたジャンプ力が数週間で消えてしまうことは、ほとんどありません。急に跳べなくなったときは、体が何かのサインを出していると考えてください。
この記事では、研究をもとに急に落ちる原因と、その確かめ方・対応のしかたを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- ジャンプ力が急に落ちる4つの原因がわかる
- 自分の原因を確かめる順番がわかる
- 休むべきときと、医師に相談したいサインがわかる
結論:急に落ちたら量を増やさず原因を順に確かめる
結論からお伝えします。ジャンプ力が急に落ちたときは、練習量を増やす前に、原因を1つずつ順番に確かめることが大切です。
ゆっくり伸び悩むのとちがい、急に落ちるときは、疲れや痛み、体の変化など、何か理由があることがほとんどです。その理由を探さないまま跳ぶ量を増やすと、かえって長引いてしまいます。
サルくん落ちたぶん、もっと跳んで取りもどそうと思っていました…。



痛みがあれば、その時点で休むのが先だよ。
まずは本当に落ちたのかを確かめる
原因を探す前に、まずは本当にジャンプ力が落ちているのかを確かめましょう。測り方がちがうだけで、記録は思った以上に変わるからです。
同じ条件で測り直す
靴・床・時間帯・跳ぶ前の準備がちがうと、同じ選手でも記録は変わります。たとえば、練習の最後に測った記録と、元気な日の朝に測った記録をくらべても、正しい比較にはなりません。
前回と同じ場所・同じ靴・同じ時間帯で、アップをしてから測り直してみてください。
それでも低いなら、体の側に原因がある可能性が高くなります。測り方の基本は、こちらの記事でくわしく解説しています。
1回の記録ではなく、数回の平均で見る
もう1つ大事なのが、1回の記録だけで判断しないことです。
Claudino らの分析(2017年・オーストラリアのスポーツ科学の専門誌)は、反動をつけた垂直跳びで選手の疲れや調子を見た151の論文をまとめたものです。
その結果、いちばん高い1回の記録より、数回の平均のほうが、疲れや回復の変化をとらえやすいと報告されています。
1回だけ低かった、という日はだれにでもあります。数回跳んだ平均で、数日にわたってくらべてみましょう。
ふだんの記録には3回のうちいちばん高い数字を残しつつ、平均もいっしょにメモしておくと、調子の変化に気づきやすくなります。



1カイ ヨリ ヘイキン デ ミル
ジャンプ力が急に落ちる4つの原因
測り直しても低いときは、ここで紹介する4つの原因のどれかにあてはまらないか考えてみてください。
原因1:疲れが積み重なっている
いちばん多いのが、疲れが抜けないまま練習を続けているケースです。大会が続いた、合宿があった、練習の量が急に増えた、という時期は特に気をつけましょう。
ヨーロッパとアメリカのスポーツ医学の学会がまとめた見解(Meeusen ら・2013年)では、練習と回復のバランスがくずれると、成績が下がる状態が続くことがあるとされています。
この見解によると、短い期間の疲れであれば、しっかり休めば成績はもとにもどります。



合宿のあと、ずっと体が重いままでした…。
反対に、休みが足りないまま続けると、回復までに長い時間がかかってしまうこともあるんです。



休むと落ちると思っていたけど、逆なんですね!?
注意したいのは、疲れていてもジャンプの記録にはすぐに出ないことがある点です。
バレーボール選手を対象にした Freitas らの研究(2014年・スポーツ科学の専門誌)では、11日間練習量を増やしても、反動をつけた垂直跳びの高さは変わりませんでした。
一方で、疲れや回復の感じ方を答えるアンケートや、筋肉の疲れを表す血液の値には、変化が出ていたと報告されています。
つまり、ジャンプが落ちたと感じたときは、すでに疲れがかなりたまっている可能性があるということです。体が重い・やる気が出ないといった感覚も、大事なサインになります。
- 朝起きたときから体が重い
- 練習に集中できず、やる気が出ない
- 着地のときに脚がふらつく
- 寝つきが悪い、夜中に目がさめる
いくつもあてはまるときは、記録が落ちる前に休みを入れることを考えてみてください。
原因2:痛みをかばって跳んでいる
2つ目は、どこかの痛みをかばって跳んでいるケースです。痛む脚で強く地面を押せないと、自分では気づかないうちに高さが出なくなります。
バレーボールは、膝の下が痛むジャンパー膝が多い競技です。Lian らの研究(2005年・アメリカのスポーツ医学の専門誌)では、ノルウェーのトップ選手を9つの競技で調べています。
その中で、膝の下に症状のある選手の割合は、バレーボールが約45%といちばん高かったと報告されています。
膝だけでなく、かかと・すね・腰の痛みも、ジャンプが落ちる原因になります。痛みがあるときは、ジャンプ力を取りもどすことより、まず休むことを優先してください。



痛みをかばった跳び方は、けがを長引かせるんだ。
原因3:身長が急に伸びている
3つ目は、成長期で身長がぐんぐん伸びているケースです。中学生・高校生の選手は、まずこの原因を考えてみましょう。
Quatman-Yates らのまとめ(2012年・イギリスのスポーツ医学の専門誌)では、33の研究をもとに、思春期の体の動かし方の変化が調べられています。
その結果、体を動かす感覚の多くは思春期のあいだも発達を続けていて、一部の子どもでは、発達が一時的に遅れたり、後もどりしたりすることがあるとまとめられています。



感覚が成長に追いつくまで、少し時間がかかるんだ。
手足が急に長くなると、これまでと同じ感覚で跳んでもタイミングが合いにくくなります。筋力が落ちたわけではないので、焦らなくても大丈夫です。



そういえば、この半年で身長がかなり伸びました!
原因4:練習量や睡眠が急に変わった
4つ目は、練習量や生活のリズムが急に変わったケースです。
睡眠不足は、その代表といえるでしょう。夜ふかしが続いた週は、跳べないと感じることが多いかもしれません。
69の研究をまとめた Craven らの分析(2022年・スポーツ医学の専門誌)では、睡眠が6時間以下になると、運動の成績が平均で約7.6%下がっていました。
テスト期間や長い休みで、しばらく練習を休んでいた場合はどうでしょうか?
Mujika と Padilla のまとめ(2000年・スポーツ医学の専門誌)によると、練習が足りない期間が4週間より短ければ、筋力の落ち方は小さいとされています。
休み明けに跳べないと感じるのは、力が消えたからではなく、跳ぶ感覚やタイミングがまだもどっていないことが多いでしょう。数回の練習で少しずつもどしていけば大丈夫です。



スウシュウカン デハ チカラハ キエナイ
原因別に、落ちたときにやること
原因の見当がついたら、それぞれに合ったやり方で対応しましょう。どの原因でも共通するのは、跳ぶ量を増やして取りもどそうとしないことです。
痛みがあるときは跳ぶ練習を休む
痛みがあるときは、ジャンプのトレーニングを休んでください。痛みを我慢して跳ぶと、高さが出ないうえに、けがが長引くことがあります。
休むあいだは、痛みの出ない範囲で上半身や体幹のトレーニングをするのもよいでしょう。
ただし、何をしてよいかは医師と相談して決めるのが安心です。
痛みが消えたあとも、いきなり全力で跳ぶのではなく、軽いジャンプから始めて、痛みが出ないかを確かめながらもどしていきましょう。



痛みが消えてから、少しずつ跳ぶ量をもどそう。
疲れなら量を減らして回復を待つ
疲れが原因なら、跳ぶ量を減らし、休む日と睡眠を増やすのが近道です。
跳ぶトレーニングは、週1〜2回・1回ごとに全力・少ない回数が基本でした。疲れているときは、回数や日数をさらに減らしてかまいません。
- 跳ぶトレーニングの回数と日数を減らす
- 休む日を1日増やす
- 寝る時間を早めて、睡眠の時間をふやす
- 体の重さ・やる気を練習ノートに書いておく
数日から1〜2週間ほど様子を見て、記録がもどってくるかを確かめましょう。
成長期なら量を減らして質を保つ
身長が伸びている時期は、跳ぶ量を減らし、1回ごとの跳び方や着地の質を保つことを大切にしてください。
中学生のうちは自分の体重を使った種目を中心にし、重い器具を使うトレーニングは高校生になってから少しずつ始めましょう。
身長を月に1回測っておくと、急に伸びている時期に気づきやすくなります。成長が落ち着くと、また伸びていくことが多いので安心してください。



今は土台を固める時期だと考えるようにします。
医師に相談したいサイン
ジャンプ力が落ちたときの多くは、休むことで回復していきます。ただし、次のようなときは自分で判断せず、早めに医師に相談しましょう。
痛みが続く・はれている
膝・かかと・すね・腰の痛みが数日たってもひかないときや、はれている、熱をもっている、といったときは、整形外科で相談してください。
跳んだあとだけでなく、歩くときや階段の上り下りでも痛むなら、早めの受診がおすすめです。



イタミ ガ ツヅク ナラ イシャヘ
休んでも記録や体調がもどらない
しっかり休んでいるのに、何週間も記録がもどらない、だるさが抜けない、という場合も注意が必要です。
先ほどの Meeusen らの見解でも、成績が下がり続けるときは、練習のしすぎだけでなく、ほかの病気が隠れていないかを確かめることが大切だとされています。
休んでも体調がもどらないときは、練習の問題と決めつけず、医師に相談するようにしてください。



体からのサインを見逃さないことが大切だよ。
よくある質問
まとめ:落ちたときは休む勇気が近道
この記事では、ジャンプ力が急に落ちたときの4つの原因と、確かめ方・対応のしかたを解説しました。
急に落ちたら、量を増やす前に原因を確かめる。痛みや疲れがあれば、まず休む。
| 原因 | やること |
|---|---|
| 疲れの積み重ね | 跳ぶ量を減らし、休む日と睡眠を増やす |
| 痛みをかばっている | 跳ぶ練習を休み、続くなら医師へ |
| 身長が急に伸びている | 量を減らして跳び方と着地の質を保つ |
| 練習量・睡眠の変化 | 睡眠を整え、休み明けは少しずつもどす |
私は元日本代表として、跳べない時期に休むことは、決して後ろ向きなことではないと考えています。
まずは同じ条件で測り直して、体のどこからサインが出ているのかを確かめてみてください。



測り直して、痛みと疲れをチェックしてみます!



原因が分かれば、また跳べるようになるよ。
参考にした研究・資料
- Claudino JG, Cronin J, Mezêncio B, et al. The countermovement jump to monitor neuromuscular status: A meta-analysis. Journal of Science and Medicine in Sport, 2017
- Meeusen R, et al. Prevention, diagnosis and treatment of the overtraining syndrome: joint consensus statement of the ECSS and the ACSM. European Journal of Sport Science, 2013
- Freitas VH, Nakamura FY, Miloski B, Samulski D, Bara-Filho MG. Sensitivity of physiological and psychological markers to training load intensification in volleyball players. Journal of Sports Science and Medicine, 2014
- Lian ØB, Engebretsen L, Bahr R. Prevalence of jumper’s knee among elite athletes from different sports: a cross-sectional study. American Journal of Sports Medicine, 2005
- Quatman-Yates CC, Quatman CE, Meszaros AJ, Paterno MV, Hewett TE. A systematic review of sensorimotor function during adolescence: a developmental stage of increased motor awkwardness? British Journal of Sports Medicine, 2012
- Craven J, et al. Effects of Acute Sleep Loss on Physical Performance: A Systematic and Meta-Analytical Review. Sports Medicine, 2022
- Mujika I, Padilla S. Detraining: loss of training-induced physiological and performance adaptations. Part I: short term insufficient training stimulus. Sports Medicine, 2000
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










