- 夏になると食欲が落ちて、ご飯を残してしまう
- 練習のあとは冷たい飲み物しかほしくない
- 夏の後半になると、体が重くて最後まで動けない
こんな悩みを解決します。
夏バテを防ぐ食事のコツは、食欲に合わせて量を減らさず、回数と食べやすさを変えて量を守ることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
この記事では、暑さと食欲の研究や公的機関の資料をもとに、食欲がない日でも食べられる工夫を紹介します。
体育館の練習は、夏でも量が減るわけではありません。食べ方を少し変えるだけで、夏の後半まで動ける体を保ちやすくなります。ぜひ参考にしてみてください。
- 夏に食事の量が足りなくなる理由がわかる
- 食欲がない日でも食べられる5つの工夫がわかる
- 部活がある夏の日の、1日の食べ方の例がわかる
結論:食欲に合わせず「回数」と「食べやすさ」で量を守る
結論からお伝えします。夏は、おなかがすいた分だけ食べていると、練習で使った分に足りなくなりやすい季節です。
だからこそ、1回にたくさん食べようとせず、回数を増やしたり、のどを通りやすい形に変えたりして量をそろえます。
- 暑い中で動いたあとは、食べる量が増えにくい
- 1回の量を減らして、補食も入れて回数で量をそろえる
- 冷たい麺やおにぎりにも、肉・魚・卵・大豆のおかずを足す
サルくん夏は食べたくないから、少なくてもいいと思ってました…。



食べたくない日こそ、食べ方を変えて量を守ろう。
夏に食事が足りなくなる3つの理由
まずは、なぜ夏に食事が足りなくなりやすいのかを見ていきます。理由がわかると、どこを工夫すればいいかが見えてきます。
理由①:暑い中で動いたあとは、食べる量が増えにくい
運動する人11人を対象にした研究(Shortenら、2009年)があります。36℃の暑い部屋と25℃の部屋で40分走ってもらい、そのあとの朝食で好きなだけ食べてもらいました。
25℃で走ったあとは、何もしなかった日より多く食べていました。ところが36℃で走ったあとは、何もしなかった日と変わらない量しか食べていませんでした。
走った分だけエネルギーを使っているので、使った量に比べると食べる量が足りていない、という結果です。
ほかの研究では、結果に差もあります。
軍の隊員18人を調べた研究(Mandicら、2019年)では、暑い中では食欲が低く感じられたものの、食べた量は気温によって変わりませんでした。
ただしこの研究でも、体を動かした日は、参加者の約8割で食べた量が使った量より少なくなっていました。



ウゴイタ日ハ タベル量ガ オイツキニクイ
理由②:冷たい飲み物とさっぱりした物にかたよる
暑い日は、冷たい飲み物やアイス、さっぱりした麺類ばかりほしくなりやすいですよね。
冷たい飲み物でおなかがふくれると、ご飯やおかずが入らなくなります。麺だけで済ませると、主食はとれても、体をつくるおかずが少なくなりがちです。
理由③:汗で水分と塩分が出ていく
夏の体育館では、汗で多くの水分と塩分が出ていきます。
日本スポーツ協会は、運動による体重の減少が2%をこえないように水分をとること、塩分は0.1〜0.2%程度を目安にとることをすすめています。
水分と塩分が足りないままだと体調をくずしやすく、食欲もさらに落ちてしまいます。練習中の飲み方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。



夏は、知らないうちに足りなくなっているんですね!



だから、食欲だけを目安にしないことが大事なんだ。
食欲がない日の食べ方5つ
ここからは、食欲がない日でも量をそろえる具体的な食べ方を紹介します。全部やる必要はなく、できそうなものから試してみてください。
①1回の量を減らして、回数を増やす
1回の食事で全部食べきれないときは、回数を増やすのがいちばん手軽です。3食に練習前後の補食を足して、1日4〜5回に分けて食べましょう。
補食は「練習の前」「練習のあと」のように、食べるタイミングを先に決めておくのがコツです。おなかがすくのを待っていると、夏は食べる機会そのものを逃しやすくなります。



時間を決めておけば、食べ忘れないですね!
例えば夕ごはんが食べきれない日は、練習の前におにぎり1個(ご飯約100g)を食べておくと、1日の量をそろえやすくなります。
②主食は、のどを通りやすい形に変える
ご飯がのどを通らない日は、主食の形を変えてみましょう。
- そうめん・うどん・冷やし中華などの冷たい麺
- 小さめに握ったおにぎり
- 卵かけご飯や、とろろ・納豆をかけたご飯
- ご飯に冷たいだしやみそ汁をかけた汁かけご飯
主食は、バレーで動くためのエネルギー源になります。量が減りやすい夏こそ、形を変えてでも主食を残さないようにしましょう。
③冷たい麺には、たんぱく質のおかずをのせる
冷たい麺はのどを通りやすい反面、麺だけでは体をつくるタンパク質が足りなくなりがちです。
麺を食べるときは、肉・魚・卵・大豆のどれか1つをのせると決めておきましょう。
- ゆで卵・温泉卵
- ゆでた豚肉(冷しゃぶ)・蒸し鶏
- ツナ・さば缶
- 豆腐・納豆
コンビニなら、冷たい麺にゆで卵やサラダチキンを1つ足すだけでも変わります。



そうめんに卵や豚肉をのせればいいんですね!



そうそう。のせるだけなら、食欲がない日でも続けやすいよ。
④豚肉・大豆・ごまで、ビタミンB1をとる
ビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーに変えるときに使われる栄養素です。足りないと、食欲がない・疲れやすい・だるいといった症状が出ることがあります。
健康長寿ネットでは、糖質を多くとる人や、よく体を動かす人はビタミンB1を多く必要とすると説明されています。ご飯や麺をしっかり食べる選手こそ、意識したい栄養素です。



ご飯をたくさん食べる人ほど、必要になるんですか?



そう。主食をしっかり食べるなら、おかずでB1もそろえよう。
ビタミンB1は、肉類・魚類・豆類・穀類・種実類に多く含まれます。中でも豚肉は代表的な食べ物で、生の豚ヒレ肉(赤身)には100gあたり1.32mgふくまれています。
冷しゃぶ、豚肉入りの冷やし中華、納豆ご飯、ごまをかけたうどんなど、夏でも食べやすい料理に入れてみてください。ビタミンやミネラル全体の役割は、こちらでまとめています。
⑤汁物と飲み物で、水分と塩分もとる
食事の中でとれる水分と塩分も、夏は大切です。みそ汁やスープなどの汁物を1品つけると、食事と一緒に水分と塩分がとれます。
冷たい汁物でもかまいません。冷や汁や冷たいスープなら、食欲がない日でも飲みやすくなります。
みそ汁に豆腐や卵、わかめを入れると、汁物1品でタンパク質も一緒にとれます。おかずが食べきれない日の助けになるので、具の多い汁物を選んでみてください。
練習中は、塩分の入った飲み物をこまめにとりましょう。塩分タブレットや経口補水液の使い分けは、こちらで紹介しています。
部活がある夏の日の食べ方の例
ここまでの5つを、部活がある夏の1日にあてはめてみましょう。
| 時間 | 食べ方の例 |
|---|---|
| 朝 | 卵かけご飯や納豆ご飯・みそ汁・果物 |
| 昼 | お弁当や給食を食べきる |
| 練習前 | 小さめのおにぎりやバナナ |
| 練習中 | 塩分の入った飲み物をこまめに |
| 練習後 | おにぎり・ヨーグルト・牛乳など |
| 夕 | 冷しゃぶをのせたそうめん・豆腐・汁物 |
朝は食欲がわきにくい時間ですが、ここで食べておくと、1日の量をそろえやすくなります。朝ごはんの組み合わせは、こちらの記事も参考にしてください。
練習のあとは、すぐに夕ごはんを食べられないこともあります。その日は、練習後におにぎりなどでつないでおくのがおすすめです。



練習の前後に少しずつ食べるのが大事なんですね。



回数でそろえれば、1回の量は少なくても大丈夫だよ。
家族に食事をお願いするときは、「麺の日はおかずをのせてほしい」「汁物を1品つけてほしい」と具体的に伝えると、準備してもらいやすくなります。
夏の始めと合宿は、いつも以上に食事を守る
夏の中でも、特に食事を守りたい時期があります。それが、急に暑くなったときと、合宿や遠征のときです。
急に暑くなる時期は、体がまだ慣れていない
日本スポーツ協会は、熱中症の事故は夏の初めや合宿の初日など、急に暑くなったときに多いとしています。
暑さに慣れるまでの数日間は、軽く短い運動から始めて、だんだん強度や量を増やすことがすすめられています。
体が暑さに慣れていない時期に食事の量まで減ってしまうと、練習の疲れを回復させる材料が足りなくなります。梅雨明けや夏休みの始まりなど、急に暑くなる時期は、補食を1つ増やすくらいの気持ちでいましょう。



夏の始めがいちばん危ないんですね!



体が慣れる前の数日は、食事も練習も無理をしないことが大事だよ。
合宿や遠征では、食べる回数を自分で決めておく
合宿や遠征では、練習の時間が長くなり、食事の時間も自分では選べません。疲れて食欲がなくなり、出された食事を残してしまうこともあるでしょう。
そんなときは、食事の時間以外にも食べる回数を自分で決めておきましょう。おにぎりやゼリー飲料、バナナなどを持っていけば、食事で食べきれなかった分をあとから足せます。



ガッシュクハ ホショクヲ ジブンデ ジュンビ
合宿中の食事の選び方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
夏の食事でやりがちな3つのNG
最後に、夏にやってしまいがちなNGを3つ紹介します。知っておくだけで、体調をくずす前に気づけるようになります。
NG①:冷たい飲み物とアイスでおなかを満たす
暑い日に冷たい物がほしくなるのは自然なことです。ただ、食事の前に冷たい飲み物やアイスでおなかを満たしてしまうと、ご飯やおかずが入りません。
アイスやジュースは、食事のかわりではなく、食後のお楽しみくらいに考えましょう。
NG②:食べられないからと、食事を抜く
「どうせ食べられないから」と朝ごはんや夕ごはんを抜くと、1日の量が大きく減ってしまいます。
食べられない日は、ゼロにするのではなく、量を減らして回数を増やしてください。ゼリー飲料やヨーグルトのように、のどを通りやすい物から始めるのも1つの方法です。



ヌクヨリ 少シデモ タベル
NG③:体調が悪いのに、いつもどおり練習する
日本スポーツ協会は、疲労・睡眠不足・発熱・かぜ・下痢などがあるときは、無理に運動しないようにすすめています。体調が悪いと、体温を調節する力も落ちるからです。
食欲がない日が何日も続く、だるさが抜けない、体重がどんどん減っていく、といったときは、自分だけで判断せず、医師や指導者に相談してください。
暑さに慣れていない時期の練習の進め方や、体育館での熱中症対策は、こちらでまとめています。
夏バテと食事についてよくある質問
まとめ:夏は回数と食べやすさで、食べる量を守る
この記事では、夏に食事が足りなくなる理由と、食欲がない日の食べ方を紹介しました。
夏は食欲に合わせず、回数と食べやすさで量を守る。
| 食欲がないとき | こう変える |
|---|---|
| 1回で食べきれない | 補食を足して1日4〜5回に分ける |
| ご飯がのどを通らない | 麺・小さいおにぎり・汁かけご飯にする |
| 麺だけになりやすい | 肉・魚・卵・大豆を1つのせる |
| すぐ疲れる | 豚肉・大豆・ごまでビタミンB1をとる |
| 汗をたくさんかく | 汁物と塩分の入った飲み物をとる |
まずは明日の練習の前に、小さめのおにぎりを1個食べることから始めてみてください。
夏を元気に乗りきれれば、秋の大会にもいい状態で向かいやすくなります。食べ方を工夫して、最後まで動ける体で夏をすごしていきましょう。



明日から、そうめんに卵をのせて食べます!



小さな工夫を続けられる選手は、夏に強くなれるよ。
参考にした資料
- Shorten AL, Wallman KE, Guelfi KJ. Acute effect of environmental temperature during exercise on subsequent energy intake in active men. American Journal of Clinical Nutrition, 2009
- Mandic I, et al. The effects of exercise and ambient temperature on dietary intake, appetite sensation, and appetite regulating hormone concentrations. Nutrition & Metabolism, 2019
- 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防5ヶ条」
- 健康長寿ネット「ビタミンB1の働きと1日の摂取量」(日本人の食事摂取基準2025年版)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
食事・栄養については他にも記事を書いています。
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