- 練習後半になると足が動かなくなる
- どのくらいの量を飲ませればいいのかわからない
- 水とスポーツドリンク、どちらがいいのか迷う
こんな悩みを解決します。
練習中の水分補給は、のどが渇く前に、15〜20分おきに少しずつが基本です。まとめて飲むのではなく、こまめに分けます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、練習後半で動きが落ちる選手の多くは、体力ではなく水分が足りていませんでした。
体育館は屋根があるぶん安心されがちですが、風が通らず湿気がこもると、外より条件が悪くなることもあります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 練習の前・中・後に飲む量の目安がわかる
- 水とスポーツドリンクの使い分けがわかる
- 危ないサインの見分け方と休ませる基準がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:のどが渇く前に、こまめに分けて飲む
先に結論をお伝えします。練習中の水分補給で守ることは、次の3つです。
- のどが渇く前から飲みはじめる
- 15〜20分おきに、コップ1杯くらいずつに分ける
- 汗を多くかく日は、塩分もいっしょにとる
いちばん大事なのが1つ目です。のどの渇きは、体が水分を失ってから遅れて出てきます。
環境省と文部科学省の熱中症対策ガイドラインでも、軽い脱水状態のときにはのどの渇きを感じないため、のどが渇く前から水分を補給しておくことが大切だとされています。
サルくん渇いてないのに飲むの? なんかもったいない気がする…



渇いたと感じた時点で、もう足りていないんだよ。先に入れておくのが正解だよ。
2つ目のこまめに分けるという点も大切です。一度に大量に飲むと、胃に水がたまって動きにくくなります。
3つ目の塩分は、汗を多くかく日に効いてきます。汗といっしょに塩分も出ていくため、水だけでは追いつかなくなるからです。
この記事では、渇く前に飲む理由・前中後の量・何を飲むか・危ないサインの順に見ていきます。
出典の情報は、こちらから確認できます。
のどが渇いてからでは間に合わない理由
なぜここまで先回りするのか。理由は2つあります。
渇きのサインが出るのが遅いから
1つ目は、感覚があてにならないことです。
体の水分が少し減った段階では、まだのどの渇きは出てきません。渇いたと感じたときには、すでに動きに影響が出はじめています。



カワイタト カンジタトキハ モウ オソイ
だから、感覚ではなく時間で区切ります。15〜20分おきという目安を決めておけば、忘れることもありません。
練習に集中している選手ほど、飲むことを後回しにします。ここは指導者や保護者が声をかけて、区切りを作ってあげてください。
バレーは、体育館の中で行う競技です。屋根があるので涼しいと思われがちですが、実際は窓を閉めていれば風が通りません。
湿度が高い日は、汗をかいても蒸発しにくくなります。汗が蒸発するときに体の熱が逃げるので、蒸発しないと体温が下がりにくくなるわけです。
屋内だから安全、ではありません。風の通らない体育館は、屋外より条件が悪くなることもあります。
さらにバレーは、ジャンプと切り返しをくり返す競技です。動きが止まって見える時間があっても、体の中では熱がつくられ続けています。
少しの水分不足でも動きが落ちるから
2つ目は、影響が出はじめるのが早いことです。
同じガイドラインでは、体重の3%以上の水分が失われると体温調節に影響するといわれており、運動前後の体重減が2%を超えないように水分を補給する、とされています。
体重50kgの選手なら、1kg減った時点で目安を超える計算になります。



練習の前と後で体重を測ればいいんですね。



そうです。数字で見えると、飲む量の調整がしやすくなりますよ。
ガイドラインでも、運動の前後に体重を測る習慣を身につけて体調管理に役立てることがすすめられています。
大会前など、条件が厳しい時期だけでも測ってみると、その選手に必要な量が見えてきます。
疲れが抜けない状態が続くときは、食事の面からも見直してみてください。
練習の前・中・後で飲む量の目安
ここからは具体的な量です。目安として、次の流れで考えてください。
練習前に入れておくのは、始まってからでは追いつかないためです。ガイドラインでも、運動前の水分補給が発汗や体温の上がりすぎを避けるのに役立つとされています。
練習中は、休憩のたびに口をつけるくらいの感覚で十分です。1回で飲みきろうとしないでください。



休憩のたびにひと口ずつなら、続けられそう!



それでいいよ。全部飲む必要はないから、回数を増やそう。
練習後は、失った分を戻す時間です。ここで一気に飲むと体が冷えるので、時間をかけて少しずつ入れていきます。
私は選手たちに、練習が終わってからの30分も練習のうちだと伝えています。ここで戻しきれないと、疲れが次の日に残るからです。
なお、飲みものは冷やしておくほうが向いています。ガイドラインでは、冷たい水は体の内側の温度を下げる効果があり、胃にとどまる時間が短く吸収されやすいとされています。
- 気温・湿度が高い日は、目安より回数を増やす
- 体育館に風が通らない日は、屋外と同じ警戒をする
- 同じ練習でも、汗の量には個人差がある
数字はあくまで目安です。体格・汗の量・その日の体調によって必要な量は変わるので、選手ごとに調整してください。
大会の日は、練習日とは別の考え方が必要になります。試合と試合の間が空くことが多く、そのあいだにどれだけ入れておけるかで、後半の試合の動きが変わります。
移動やアップで汗をかいたあとに、そのまま試合に入る流れもよくあります。試合前の1本を飲むところまでを、いつもの手順に入れておいてください。



大会の日は、水筒を多めに持たせるようにします!



それが安心です。会場によっては買い足せないこともありますからね。
水とスポーツドリンク、どちらを選ぶか
飲むものの選び方でも迷いやすいところです。基準は汗の量で決めます。
汗を多くかく日は、塩分も補える飲みものを
汗からは水分だけでなく塩分も出ていきます。水だけを大量に飲むと、体の中の塩分の濃さが下がってしまいます。
ガイドラインでは、汗で失われた塩分も適切に補うために、0.1〜0.2%程度の塩分(1Lの水に1〜2gの食塩)を補給できる経口補水液やスポーツドリンクを利用するとよいとされています。



うちの子、水しか持っていかないんです…



短い練習なら水でも大丈夫ですよ。長い日と暑い日だけ、切り替えてあげてください。
涼しい時期の短い練習なら、水で問題ありません。夏の長い練習や、汗が止まらない日に切り替えるという考え方でいきましょう。
甘さが気になるときは薄めて調整する
スポーツドリンクの甘さが苦手な選手もいます。その場合は、少し薄めて持たせる方法があります。
ただし、薄めすぎると塩分も一緒に薄くなります。塩分をとる目的で持たせている日は、薄めすぎないようにしてください。
私はスクールでも、飲みやすさを優先して続けられる形を選ぶように伝えています。飲まない飲みものを持たせても意味がないからです。
持ち運ぶ容器も、飲む回数に直結します。容量や飲み口の選び方は、こちらでまとめています。
やりがちな失敗3つ
現場でよく見かける、もったいないパターンです。
休憩のたびに一気飲みする
1つ目が、休憩のたびにボトルを空にする勢いで飲むことです。
胃に水がたまると、動き出しが重くなります。ジャンプの多いバレーでは、この重さが特に響きます。
回数を増やして、1回の量を減らすほうが体は楽になります。
ボトルの中身が練習量に足りていない
2つ目は、そもそも持ってくる量が足りないパターンです。
夏の長い練習では、500mlのボトル1本では途中でなくなります。足りなくなると、我慢して飲まない時間が生まれます。



後半までもたなくて、いつも空っぽになってる…



足りない前提で、多めに持っていこう。余ったら持ち帰ればいいんだ。
補充できる環境がない体育館もあります。練習時間から逆算して、多めに用意してください。
飲むタイミングを本人任せにする
3つ目は、飲むかどうかを完全に本人任せにすることです。
集中している選手ほど、自分から水分をとりに行きません。特に、レギュラー争いの場面では休憩を惜しむ選手が出てきます。
チーム全体で飲む時間を作れば、遠慮する選手も飲めるようになります。
私はスクールでも、練習メニューの区切りに水分をとる時間を組み込むようにしています。声をかけるより、時間割に入れてしまうほうが確実だからです。
飲む時間を練習の一部として扱えば、休むことに引け目を感じる選手もいなくなります。ここは、指導する側が仕組みで解決できる部分です。
危ないサインが出たときの動き方
ここはYMYLに関わる大事なところなので、はっきり書いておきます。
具合が悪そうな選手がいたら、様子を見るのではなく、まず練習を止めて涼しい場所へ移してください。
ガイドラインでは、熱中症の予防原則の1つとして、具合が悪くなった場合には早めに運動を中止し、必要な処置をすることが挙げられています。
- 立ちくらみ・足がつる
- 頭が痛い・気持ちが悪い
- 受け答えがいつもと違う
同じガイドラインでは、全身のだるさ・頭痛・吐き気・嘔吐などの症状が見られた場合には、直ちに医療機関へ搬送する必要があるとされています。



我慢させてしまいそうで、こわいです…



我慢させないでください。判断に迷ったら、止めるほうを選んでください。
根性で乗り切る場面ではありません。ここは、指導する側がはっきり線を引く必要があります。
体調に不安がある選手や、持病がある選手については、自己判断をせず医師に相談してください。
練習中に起きた事故への動き方は、こちらでまとめています。
よくある質問
まとめ
水分補給は、練習の質を落とさないための土台です。足りないまま続けても、練習の効果は上がりません。
のどが渇く前に、15〜20分おきに、少しずつ。これだけ覚えておけば大丈夫です。
| 場面 | 目安 |
|---|---|
| 練習の30分前 | コップ1〜2杯を先に入れておく |
| 練習中 | 15〜20分おきにコップ1杯くらいずつ |
| 汗を多くかく日 | 塩分も補える飲みものに切り替える |
| 練習後 | 減った体重の分を、時間をかけて戻す |
| 具合が悪そうなとき | 練習を止めて涼しい場所へ・迷ったら医療機関へ |
私は元日本代表として、また指導者として多くの現場を見てきましたが、水分補給を仕組みにしているチームほど、練習後半の動きが落ちませんでした。



今日から、休憩のたびにひと口ずつ飲むようにする!



いいね。続けられる形にするのがいちばん強いよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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