バレーの試合で緊張する子|親ができる前日と当日の関わり方

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バレーの試合前に緊張する子への親の関わり方を示すアイキャッチ画像
  • 試合が近づくと、子どもの口数が減って表情が硬くなる
  • 「緊張しなくていいよ」と言っても、まったく効いている気がしない
  • 練習ではできることが、試合になると出せずに終わってしまう

こんな悩みを解決します。

試合で緊張する子に親ができるのは、緊張をなくすことではなく、当日にやることを1つに決めておく手助けです。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

現役時代、私自身も大事な試合の前は手が冷たくなりました。指導者になった今も、試合会場で表情がこわばっている選手を毎回のように見ています。

保護者の方から「うちの子は本番に弱くて」と相談を受けることも少なくありません。ただ、緊張しているという事実そのものは、悪い状態ではないんです。

問題は、緊張したときに何をすればいいかが決まっていないことのほうにあります。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 緊張の正体を切り分けて、声をかける場所が分かる
  • 前日と当日にできる準備を、時間の順番で整理できる
  • 逆効果になりやすい言葉と、代わりに使える言葉が分かる

親の関わり方の全体像は、こちらの記事でまとめています。

それでは、くわしく見ていきましょう。

目次

結論:緊張を消そうとせず、やることを1つ決める

先に結論をお伝えします。親ができる関わり方は、次の3つです。

STEP
緊張していること自体を否定せず、そのまま受けとめる
STEP
当日にやることを、1つだけ本人に決めさせる
STEP
結果ではなく、決めたことができたかを一緒に確認する

多くのご家庭が言ってしまうのが、「緊張しなくていいよ」「リラックスして」という言葉です。励ましのつもりで出てくる言葉ですよね。

ところが、この声かけには弱点があります。緊張を意識させたうえで、それを消せという難しい注文になってしまうからです。

うさママ

つい「落ち着いて」って言っちゃうのよね…。

あげば

気持ちは分かります。ただ、消すのは本人にも難しいんです。

緊張は、体が本番に向けて準備をしているサインでもあります。心臓が速く打つのも、体温が上がるのも、動くための準備が始まっているからです。

だから目指すのは、緊張しない状態ではありません。緊張したままでも動ける状態をつくることが目標です。

そのために効くのが、やることを1つに絞ることです。1本目のサーブを思い切り打つ、最初の1本で声を出す、といった具体的な行動を1つだけ決めておきます。

考えることが1つになると、余計な想像が入る隙間が減ります。ここからは、緊張の正体・前日の準備・当日の関わり方の順に見ていきます。

試合で緊張する3つの正体を切り分ける

ひとことで緊張と言っても、中身は同じではありません。どこから来ているのかで、かけるべき言葉が変わります。

正体1:何が起きるか分からない不安

初めての会場、初めての相手、初めてのポジション。経験したことがない状況ほど、体は身構えます。

これは情報が足りないことから来る緊張です。会場の下見や、試合の進み方を知っておくだけで軽くなることがあります。

正体2:失敗したらどうしようという怖さ

ミスをして迷惑をかけたくない、外されたくない。この怖さは、周りの目を意識するほど強くなります。

中学生・高校生の時期は、仲間からどう見えるかがとても大きくなる年代です。この気持ち自体は自然なもので、なくす必要はありません。

正体3:期待に応えなければという重さ

親が熱心なほど、子どもは応えようとします。応援が力になる一方で、重さになってしまうこともあります。

サルくん

応援されてるのに、なんか苦しくなる時があるんだ…。

あげば

期待は力にも重しにもなります。だから伝え方が大事なんです。

応援している側にそのつもりがなくても、送り出すときの一言や、帰り道の質問の量から、子どもは期待の大きさを受けとっています。

バボット

キンチョウノ ショウタイハ 3ツニ ワカレル

自分の子がどれに当てはまるかで、打つ手は変わります。分からないときは、試合前ではなく落ち着いた日に聞いてみてください。

落ち着いた日に聞いてみる質問
  • 試合の前、いちばん気になっているのはどんなこと?
  • 何が分かっていたら、少し楽になりそう?
  • 試合の日に、これだけはやりたいと思っていることはある?

答えが返ってこない日もあります。それでも聞かれた記憶は残るので、無理に引き出そうとしなくて大丈夫です。

子どもとの距離のとり方に迷ったときは、こちらの記事も参考にしてください。

前日にできる準備は「情報」と「段取り」

前日にできることは、気持ちを整えることではありません。分からないことを減らし、当日の段取りを決めておくことです。

分からないことを減らす

会場の場所、集合時間、試合の開始時刻、持ち物。この4つがはっきりしているだけで、当日の朝の余白が変わります。

前日に慌てて準備をすると、忘れ物の心配が緊張に上乗せされます。持ち物は前の日のうちにそろえて、玄関に置いておくのがおすすめです。

生活のリズムを変えすぎない

大事な試合の前ほど、いつもと違うことをしたくなります。特別なごちそう、早すぎる就寝、長い自主練習。

ただ、体はいつもと違う扱いに敏感です。前日は、ふだんの生活にできるだけ近づけたほうが、当日の動きは安定します。

うさママ

前の日は、いつもどおりでいいのね。

あげば

そうです。変えるとしたら、寝る時間を少し早めるくらいで十分です。

試合前日の過ごし方は、練習量と食事もあわせて整理しておくと迷いません。

眠れないと言われたときは、眠らせようとしなくて大丈夫です。横になって目を閉じているだけでも体は休まる、と伝えてあげてください。

前日の目標は、よく眠らせることではなく、心配ごとを1つ減らすことです。

当日の朝から試合前までの声かけ

当日は、言葉を増やす日ではありません。むしろ減らす日だと考えてください。

朝は確認ではなく、いつもどおりを渡す

朝から「調子はどう?」「大丈夫?」と聞かれると、大丈夫でなければいけない気持ちになります。

いつもどおりの朝食を出し、いつもどおりに送り出す。この普通さが、いちばん効く準備になります。

朝食も特別なものにしないほうが無難です。食べ慣れないものは、消化に時間がかかったり、胃がもたれたりすることがあります。

サルくん

いつもと同じごはんのほうが、体が軽い気がする。

あげば

そうなんです。試合当日は、体に新しいことをさせない日にしましょう。

別れぎわは短く1つだけ

会場で別れるときの言葉は、短いほど残ります。長い励ましは、その場では届いても、コートに立つ頃には消えています。

別れぎわに使いやすい言葉
  • 「決めたこと、1つだけやっておいで。」
  • 「見てるよ。楽しんでおいで。」
  • 「終わったら話きかせて。」

逆に避けたいのは、目標を上乗せする言葉です。「今日は絶対決めてこい」「レギュラーかかってるぞ」は、重さを増やすだけになります。

サルくん

送り出される時に言われると、ずっと頭に残るんだよね…。

あげば

だから当日は増やさない。前日までに話しておくのが正解です。

体を動かすことで気持ちを追い越す

緊張しているとき、気持ちを直接落ち着かせるのは簡単ではありません。先に体を動かしたほうが早いことがあります。

試合前のアップは、その意味でも大事な時間です。決まった順番でアップをすると、体と一緒に気持ちも試合に向かっていきます。

息を長く吐くことも、その場でできる方法の1つです。吸うより吐くほうを長くする、とだけ覚えておけば会場でも使えます。

肩に力が入っている選手は、呼吸が浅く速くなっていることが多いです。会場で見ていても、この状態の選手は一歩目が遅れます。

うさママ

息を吐くだけなら、その場ですぐできるわね。

あげば

はい。しかも前日に一度やっておくと、本番で思い出しやすくなります。

試合中と試合後に避けたい親の行動

ここまでの準備が整っていても、試合中と試合後の関わり方でくずれてしまうことがあります。

試合中は指示を出さない

観客席から技術の指示が飛ぶと、選手はコーチと親のどちらを聞くか迷います。迷いはそのままプレーの遅れになります。

声を出すなら、プレーの内容ではなく応援にしてください。名前を呼ぶ、拍手をする。これだけで十分に届きます。

親の声は、他の観客の声よりもよく通ります。子どもは無意識に探してしまうので、内容が指示だと、それだけでコートの外へ意識が向きます。

サルくん

親の声だけ、なぜか聞こえちゃうんだよ…。

あげば

だからこそ、届く声には内容を持たせないほうがいいんです。

試合直後にふり返らせない

試合が終わった直後は、本人がいちばん整理できていない時間です。そこで原因や反省を求めると、記憶に残るのは苦しさだけになります。

まずは、帰り道の会話を軽くしてください。ふり返りは、本人が話したくなってからで間に合います。

うさママ

聞きたくなっちゃうけど、我慢ね。

あげば

その我慢が、次の試合の入り方を変えます。

試合後の声かけは、言葉の選び方でずいぶん変わります。

緊張しなくなることを目標にしない

何度試合を重ねても、緊張がゼロになる選手はほとんどいません。私自身、現役の最後まで試合前は落ち着かないままでした。

目標は、緊張したままでもいつもの動きが出ることです。ここがずれていると、本人はいつまでも自分を弱いと思い続けてしまいます。

緊張しなくなったかではなく、決めたことができたかで見てあげてください。

なお、試合前に眠れない日が続く、食事がとれない、体調をくずすといった状態が長く続く場合は、気持ちの問題として片づけないでください。医師など専門家に相談することをおすすめします。

自信の育て方については、こちらの記事も参考になります。

よくある質問

「緊張しなくていいよ」と言うのはよくないですか?

効きにくい言葉です。
緊張を意識させたうえで消すよう求める形になるためです。代わりに「決めたこと、1つだけやっておいで」のように、行動を1つ示す言い方にしてみてください。

試合の前に子どもが口をきいてくれません。

無理に話させなくて大丈夫です。
本番前に集中している状態のこともあります。用件だけ短く伝えて、そっとしておくほうが動きやすくなります。

緊張して練習どおりに動けないのは、経験不足だからですか?

経験だけが理由とは限りません。
何が起きるか分からない不安・失敗への怖さ・期待の重さのどれが強いかで対処が変わります。落ち着いた日に本人へ聞いてみてください。

試合中、応援の声を出してもいいですか?

応援は出して大丈夫です。
ただし技術の指示は避けてください。コーチの指示とぶつかると、選手が迷ってプレーが遅れます。

何度試合に出ても緊張が減りません。

減らないのが普通です。
緊張をなくすことではなく、緊張したままでも動けることを目標にしてください。決めた行動ができたかどうかで、ふり返るとよいです。

まとめ:緊張は敵ではなく、準備が足りているかの合図

試合前の緊張は、消す対象ではありません。動ける状態に持っていくための材料だと考えてください。

前日は心配ごとを減らす。当日は言葉を減らす。試合後はふり返りを急がない。

時間親がやること避けたいこと
前日持ち物と段取りを決めておく特別なことをして生活を変える
当日の朝いつもどおり送り出す「大丈夫?」と何度も確認する
別れぎわ短く1つだけ声をかける目標や期待を上乗せする
試合中名前を呼ぶ・拍手をする技術の指示を出す
試合後会話を軽くして待つ直後に原因をふり返らせる

私は元日本代表として、そして指導者として、緊張する選手を数え切れないほど見てきました。強い選手ほど緊張していない、ということはありません。

違いがあるとすれば、緊張したときに何をするかを決めているかどうかです。その1つを一緒に決めるところは、家庭でも手伝えます。

サルくん

今日は1本目のサーブ、思い切り打つって決めた!

あげば

いいですね。それが決まっていれば、緊張したままでも足は動きますよ。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

保護者向けのサポートについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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