- 力いっぱい投げているのに、ハンドボール投げの記録が伸びない
- 投げるとボールが上がらず、手前にドスンと落ちてしまう
- スパイクは打てるのに、投げる種目だけ苦手意識がある
こんな悩みを解決します。
ハンドボール投げの記録は、腕力ではなく下半身から始まる順番で決まります。体の回転を腕に乗せられた選手が、力任せに投げる選手より遠くへ運びます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生以上の選手を指導してきましたが、投げる動きを見てもらうと、腕だけで放っている選手がとても多いです。
投げる動作とスパイクの腕の振りは、同じ仕組みで動いています。だから投げ方が変われば、打つほうも一緒に変わっていきます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- ハンドボール投げがバレーのどの動きにつながるのかが分かる
- 記録を伸ばす5つのコツと、投げる角度の目安が分かる
- 点数の目安と、この種目だけでは足りない部分が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:ハンドボール投げは体のひねりを腕に乗せる種目

結論からお伝えします。ハンドボール投げは、下半身で作ったひねりを、最後に腕へ乗せられたかを測る種目です。
まずルールを確認しておきましょう。直径2mの円の中から投げ、投球中も投げ終わったあとも、円を踏んだり越えたりしてはいけません。
使うボールはハンドボール2号で、重さは325〜400gあります。投げ終わったら一度静止してから、円の外へ出てください。
記録はボールが落ちた地点までの距離で、m未満は切り捨てです。2回投げて、よかったほうが記録になります。
サルくん助走をつけたら、もっと飛ばせそうなのに…。



円の中だけで投げるから、体の使い方がそのまま数字に出ますよ。
つまりこの種目は、その場で全身を連動させる力だけを切り取って見ています。腕の力だけでは、そもそも距離が出ません。
投げる動きは、足の踏み込み、腰のひねり、胸の開き、最後に腕という順番で力が伝わります。この順番が1か所でも抜けると、ボールは前へ進んでくれません。
- 正面ではなく横向きに立ち、後ろ足から前足へ体重を移す
- 肘は肩より高く上げ、斜め上へ振り抜く
- 直径2mの円を踏み越さない(投げ終わったら静止)
- 記録は2回投げてよいほう・m未満は切り捨て
この4つがそろうと、記録が伸びる土台ができます。他の項目とあわせて測ると、自分の弱点もはっきりしてきます。
ハンドボール投げがバレーにつながる3つの理由
投げる種目が、なぜバレーの練習になるのでしょうか。理由は3つあります。
理由1:スパイクの腕の振りとほぼ同じ動き
1つ目は、動作がそのまま重なることです。スパイクは背骨を軸に体を水平方向にひねり、肘を高く上げて、当たる直前に腕を伸ばして振り抜きます。
投げる動作も、横向きに構えてひねり、肘を先に出してから前腕を振り出します。
違いは、跳んでいるか地面に立っているかだけです。
投げる動きが良くなると、スパイクの腕の振りも一緒に整っていきます。跳ばずに練習できるぶん、フォームを直すには投げるほうが向いています。
理由2:体のひねりを使えているかが分かる
2つ目は、弱点があぶり出されることです。腕だけで投げている選手は、どれだけ力を入れてもボールが前に進みません。
逆に、ひねりを使えている選手は、体が細くても軽々と遠くへ運びます。記録の差は、筋力より使い方の差から出ていることがほとんどです。



腕ノ力ヨリ 回転ノ速サガ 距離ヲ決メル
スパイクの威力が出ない選手にも、同じ原因が隠れていることがあります。投げてみると、その場で確かめられます。
理由3:肩の使い方をその場で確かめられる
3つ目は、肩です。肘が肩より低い位置から投げていると、肩の前側に負担が集まりやすくなります。
投げる動きはスパイクより回数を重ねやすいので、悪い形のまま続けると痛みにつながります。逆にいえば、ここで正しい高さを覚えておけば、打つときの肩も守れます。
肩に痛みが出ているときは、記録を測るより先に原因を確かめてください。
ハンドボール投げの記録を伸ばす5つのコツ


ここからが本題です。順番に意味があるので、上から1つずつ直してください。
コツ1:指を広げて、指先でつかむ
まずは持ち方です。ハンドボール2号は外周54〜56cmあり、中学生の手では握り込めません。
じゃんけんのパーのように指を大きく広げ、指先で支えるように持ってください。手のひらをボールにべったり付けると、離れる瞬間に指が使えなくなります。



落としそうで、つい強く握ってしまいます。



指先で支えるだけで十分ですよ。最後に押し出す余裕が残ります。
握力が足りずに不安な選手は、手首や前腕を鍛えておくと安定します。持ち方が決まると、投げる形も作りやすくなります。
コツ2:体は投げる方向へ横向きに構える
次に、構え方です。正面を向いたまま投げると、体をひねる余地がなくなってしまいます。
右利きなら左肩を投げる方向へ向け、体を横向きにして立ってください。左利きは左右が逆になります。
横向きに構えた分だけ、ひねって戻せる幅が生まれます。この幅が、そのまま距離に変わっていきます。
肩甲骨まわりが硬いと、ひねっても胸が開ききりません。体が硬い自覚がある選手は、投げる前に肩甲骨を動かしておきましょう。
コツ3:ステップで体重を後ろから前へ移す
3つ目は、下半身です。ハンドボール投げはフォームが自由なので、円の中で数歩ステップしてから投げられます。
その場で立ったまま投げると、上半身の力しか使えません。後ろ足にいったん体重を乗せ、前足へ移しながら投げてください。



力ハ 足カラ 上ヘ 上ガル
助走が使える種目ではありませんが、円の直径2mぶんは動けます。円を踏まない範囲で、2〜3歩の助走をつけるつもりで投げましょう。
コツ4:肘は肩より高く保って振る
4つ目は、肘の高さです。ここが記録もケガ予防も左右する、いちばん大事なところです。
肘が肩より下がったまま投げると、腕だけで放る形になります。投げたボールも、低く手前に落ちてしまうでしょう。
肘を肩より高く上げ、耳の近くを通すように振ってください。手は一度、耳の後ろまで引いておくと形が作りやすくなります。
腕はまっすぐ伸ばしたままではなく、一度たたんでから当たる直前に伸ばします。ムチがしなるように、肘から先が最後に出てくる形です。



スパイクで教わった形と、そっくりですね。



同じ動きですからね。片方が直ると、もう片方も変わりますよ。
コツ5:斜め45度へ、手の甲が前を向くまで振り抜く
最後は、離す方向です。投げる角度の目安は、斜め上45度くらいといわれています。
低すぎるとすぐ落ち、高すぎると真上に上がって前へ進みません。遠くの空へ放るつもりで、少し上を見ながら投げてください。
そして腕は途中で止めず、手の甲が投げる方向を向くまで振り抜きます。最後まで振り切った分が、ボールの初速になります。
振り抜くときは、反対の腕を体の方へ強く引き寄せると回転が速くなります。左右の腕は、引く側と振る側でセットになっています。
ハンドボール投げの練習メニュー(1日5分)
コツを覚えても、いきなり全力で何十球も投げるのはおすすめしません。投げる動作は肩と肘への負担が大きく、本数を重ねるほど形がくずれます。
この順番なら、力を出す前に動きがそろいます。最初から全力で投げると、腕だけで放るくせがそのまま残ってしまいます。



たくさん投げたほうが、伸びると思っていました。



形が整う前に本数を増やすと、そのくせを体が覚えますよ。
週に2回、練習の前半に入れる形で十分です。疲れきった練習の最後に投げると、肘が下がったフォームを繰り返すことになります。
投げる前には、肩まわりを動かしてから始めてください。冷えた状態の全力投球は、肩を痛める原因になります。
点数の目安と、グラウンドでの測り方
コツが分かったら、自分の位置を確かめましょう。新体力テストの得点表は12〜19歳で共通なので、中学生も高校生も同じ基準で採点されます。
正式な方法と得点表はスポーツ庁の新体力テスト実施要項で公開されています。
| 10段階の得点(抜粋) | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 10(満点) | 37m以上 | 23m以上 |
| 8 | 31〜33m | 18〜19m |
| 5(まん中) | 22〜24m | 12〜13m |
| 3 | 16〜18m | 10m |
表は代表的な点数だけを抜き出したものです。正確な採点は、学校で使う得点表か実施要項で確かめてください。
まずは、まん中の得点5を超えることを目標にしてください。そこから1年で2〜3mずつ積み上がれば、十分な伸びといえます。



満点は、かなり遠く感じます…。



まずはまん中を超えるところから始めましょう。
グラウンドで測る手順
測り方は決まっています。平らな地面に直径2mの円を描き、そこから投球方向へ中心角30度の線を2本引いて、1m間隔で同心円の弧を描きます。
弧をあらかじめ引いておくと、メジャーを毎回伸ばさずに読み取れます。記録役と投げる人を分けると、読み違いも減るはずです。
風のある日は、記録が前後します。前回と比べるときは、同じような条件の日をそろえておきましょう。
点にならない動きを覚えておく
反則も知っておきましょう。投球中や投げたあとに円を踏んだり越えたりすると、その記録は認められません。
勢いあまって円から出てしまう選手が多いので、投げ終わったら一度止まる意識を持ってください。フォームは自由ですが、下手投げは距離が出ないので避けましょう。
ハンドボール投げでやりがちな3つの失敗
記録が止まっている選手には、共通するくせがあります。次の3つに心当たりがないか確かめてください。
失敗1:腕の力だけで投げている
いちばん多いのが、上半身だけで放る投げ方です。足が動かず、体も正面を向いたまま、腕だけが前に出ていきます。
この形では、どれだけ力を込めても距離は頭打ちになります。足の踏み込みと腰のひねりを先に作り、腕は最後に振るだけにしてください。
力みすぎも同じ結果を招きます。腕に力が入りすぎると、体の回転がボールに伝わりません。
失敗2:低い位置から横に振ってしまう
次に多いのが、肘を下げて体の横から振り出す形です。野球でいうサイドスローに近い軌道になります。
この投げ方は角度がつかず、ボールが低いまま前に飛んで早く落ちます。肩の前側にも負担が集まりやすい形です。
肘を肩より高く上げ、上から振り下ろす軌道に戻してください。スパイクの打点が下がる選手にも、同じくせが出ています。



言われてみると、横から振っていました…。



肘の高さだけで、飛び方はずいぶん変わりますよ。
失敗3:毎日全力で投げてしまう
3つ目は、やりすぎです。全力投球は肩と肘に強い負担がかかり、成長期の体には特にこたえます。
記録を測る日を頻繁に作る必要はありません。全力で投げる日は本数を絞り、ふだんはフォームの確認を中心にしましょう。
投げたあとに肩や肘が痛む日が続くときは、この種目を止めてください。痛みが引かないなら整形外科で診てもらいましょう。
ハンドボール投げだけでは足りない部分
ここまで良さをお伝えしてきましたが、この種目だけでバレーに必要な体ができるわけではありません。足りない部分を2つ挙げておきます。
跳ぶ力は別に作る
1つ目は、高さです。投げる力が伸びても、スパイクやブロックで届く打点がそのまま上がるわけではありません。
打点を上げるなら、下半身の瞬発力を別に伸ばす必要があります。同じ体力テストでも、立ち幅跳びのような跳ぶ種目が担当する部分です。
打つ動作そのものは打って覚える
2つ目は、ミートです。投げる動作と打つ動作は、腕の振りまでは同じですが、最後が違います。
打つときは手のひらでボールを包み込んで押し出し、手の甲が打球方向を向くまで振り抜きます。この当て方は、実際に打たないと身につきません。



投げるのと打つの、両方やってみます!



腕の振りは投げて覚えて、当て方は打って覚えましょう。
よくある質問
まとめ:距離より、力が伝わる順番
ハンドボール投げは、腕の力比べではありません。下半身で作った力を、どれだけ腕まで運べるかを測る種目です。
横向きに構える。足から体重を移す。肘は肩より高く。
| つまずくところ | 直し方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 距離が出ない | 横向きに構えてひねりを作る | 正面のまま投げない |
| 低く手前に落ちる | 斜め45度へ投げ出す | 目線を下げない |
| 腕だけで投げてしまう | 後ろ足から前足へ体重を移す | その場で立ったまま投げない |
| ボールがすっぽ抜ける | 指を広げて指先で支える | 手のひらを付けて握り込まない |
| 肩や肘が痛む | 全力で投げる日は本数を絞る | 痛みが続けば整形外科へ |
私が指導してきた選手のなかにも、肘の高さを直しただけで飛び方が変わった選手はいます。筋力が増えたわけではありません。
必要なのはボール1個と、投げられる場所だけです。腕の振りはスパイクにも出てくるので、取り組んだぶんがプレーに返ってきます。
そのうえで、跳ぶ力や当て方の練習も並行して進めてください。



今日から、肘を高くして投げてみます!



足から順に力が伝わっているかも、見てあげますね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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