- 強いチームと当たると、気持ちで負けて何もできないまま終わってしまう
- 練習ではできることが、格上相手だと1本も通らない
- 実力差があるチームに、どう戦えばいいのか分からない
こんな悩みを解決します。
格上のチームに勝つために先にやることは、サーブで相手の攻撃を減らすことと、自分たちのサイドアウトを落とさないことの2つです。
強いチームと弱いチームの差は、実はスパイクの威力ではありません。1本目が乱れたあとに、それでも返せるかどうかに出ます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中高生を指導してきましたが、格上に食らいつくチームは、やることを2つか3つに絞っていました。
逆に、あれもこれもやろうとしたチームほど、序盤で崩れて点差が開いていきます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 格上相手に、まずどこで勝負すればいいのかが分かる
- サーブとサイドアウトで点差を止める具体的な手順が分かる
- 試合前の準備と、やってはいけない3つの失敗が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:格上に勝つ鍵はサーブとサイドアウトと的の絞り込み

先に結論からお伝えします。実力差のある相手に食らいつくために必要なのは、次の3つだけです。
- サーブで相手の1本目を崩し、攻撃の枚数を減らす
- 自分たちのサイドアウトを、崩れた形からでも取り切る
- 守る場所を絞り、拾える的を1つにしぼる
どれも派手さはありません。それでも、この3つがそろうと点差は簡単には開かなくなります。
理由はシンプルで、バレーの点差は、1本のスーパープレーではなく連続失点で開いていくからです。
連続失点さえ止まれば、格上のチームでも1セットを25点取り切るのに時間がかかります。時間がかかれば、相手にも焦りが生まれます。
サルくん強い相手には、何か特別な作戦がいるんだと思っていました…。



特別なことはいらないよ。減らすところと守るところを決めるだけ。
私はスクールでも、格上との試合前に伝えることを2つまでに絞っています。3つ以上あると、選手はコートの中で思い出せません。
ここからは、なぜ差がつくのか、そして3つの手順を順番に見ていきます。
なぜ格上に力負けするのか|差は崩れたあとの1本に出る
差が出るのは、きれいな形ではなく崩れた形
練習でやっている、きれいに返ってからのスパイクなら、実は差はそれほどありません。差がはっきり出るのは、1本目が乱れたあとです。
強いチームは、崩れてもコート後方から高いトスを上げて、必ず相手コートへ返してきます。返ってくれば、こちらはもう1本守らなければいけません。
一方で、崩れた形をそのまま失点にしてしまうチームは、1本のミスがそのまま1点になります。この積み重ねが点差の正体です。



差ハスパイクデハナク崩レタ1本ニ出ル
崩れた球を高く上げ直す技術は、格上相手ほど生きてきます。二段トスのコツはこちらの記事で解説しています。
点差は3連続の失点で開いていく
もう1つ知っておいてほしいのが、点差の開き方です。5点差は、1点ずつ5回離されて生まれるわけではありません。
多くの場合、3連続・4連続で取られる時間帯が1回あって、そこで一気に離れます。逆に言えば、その時間帯だけ止められれば、点差は5点で止まります。
25点のうち、勝負を分ける場面は数えるほどしかないということです。全部の場面で全力を出そうとせず、止める場面を決めておいてください。



全部で頑張らなくていいんですね!
連続失点を切る具体的な手は、こちらでまとめました。
【手順1】サーブで相手の攻撃を2枚に減らす
サーブは、相手に邪魔をされない唯一のプレーです。だからこそ、格上相手では最初の武器になります。
狙いは、エースを止めることではありません。相手の1本目を乱し、使える攻撃を3枚から2枚に減らすことが目的です。
狙いどころは3つから選ぶ
やみくもに強く打っても、格上のレセプションは崩れません。狙う場所を、次の3つから選んでください。
- レセプションが苦手な選手の、正面から少しずれた位置
- セッターが返球後に入ってくる出所
- エースに1本目を触らせて、助走を遅らせる位置
いちばん効くのは、相手を2歩以上動かしてからとらせることです。動きながら受けた球は、セッターの頭上まで正確には返りません。
セッターの出所を狙うのも有効です。セッターが自分で1本目を触れば、その1本は必ず二段トスになります。



2歩以上動カセタラ成功
狙いどころの見つけ方は、こちらの記事にくわしくまとめてあります。
攻めるサーブと入れるサーブを分ける
格上相手だからと全部を全力で打つと、サーブミスで自滅します。かといって、全部を安全に入れるだけでは、相手は楽に3枚で攻めてきます。
そこで、打つ前に決めておくのがおすすめです。セットの序盤は攻めて、狙いどころが当たったコースを見つけたら、そこを繰り返す。この順番で組み立ててみてください。
数字で管理したいチームは、サーブ効果率という考え方を使うと判断がぶれません。



まず1本、セッターの出所を狙ってみます!
【手順2】自分たちのサイドアウトを取り切る
サイドアウトとは、相手のサーブを受けた自分たちの攻撃で点をとることです。ここを落とし続けると、相手のサーブ順が回り続けて連続失点になります。
格上相手ほど、この1本の重みが増します。決め切れないなら、せめて相手コートへ深く返して、次の守備につなげてください。
打つ前に、勝負する相手を決めておく
スパイクを打つ時に大事なのは、力いっぱい振ることではありません。ブロッカーと勝負するのか、その後ろのレシーバーと勝負するのかを先に決めることです。
相手のブロックが高いなら、無理に真正面で勝負しなくてかまいません。ブロックの外側や、レシーバーがいない場所へ落とす選択があります。
逆に、ブロックの手が遅い選手が前にいるなら、そこを狙って真正面から勝負する価値があります。相手ひとりひとりの特徴を見てから決めるわけです。



勝負スル相手ヲ先ニ決メル
私自身、国際大会の決勝で格上の相手と対戦したことがあります。相手は世界の第一線にいるチームで、実力差は誰の目にも明らかでした。
その試合で私が選んだのは、自分をマークするブロッカーとの勝負です。ストレートのコースを締めるのが上手くない選手だと途中で気づき、ストレートへ打つ本数を増やしました。
結果としてフルセットまで相手を追い込み、その大会では最多得点をとることができました。実力差があっても、勝負する場所を選べば通用します。



相手の弱いところを見つけるところから始まるんですね!



そう。セットの序盤で試して、後半で決定率を上げていくんだ。
崩れた時の逃げ道を決めておく
理想の形で打てるのは、格上相手だと半分もありません。崩れた時にどうするかを、チームで決めておいてください。
おすすめは、崩れたら高いトスをレフトへ上げて、相手コートの深い位置へ返すという約束です。決め切れなくても、失点にはなりません。
その場で相談する時間はないので、練習のうちに決めておくのが前提です。決まりごとが1つあるだけで、選手は迷わなくなります。
サイドアウトの考え方そのものは、こちらの記事で整理しています。
【手順3】守る場所を絞って的を1つにする


格上のスパイクを、全部拾おうとしてはいけません。全部を守ろうとすると、結局どこも守れないまま終わります。
守備の考え方は、ブロックでコースを消して、残った場所をレシーバーが待つ。この形が基本になります。
ブロックは止められなくてもコースを塞ぐ
身長差があると、シャットアウトはなかなか決まりません。それでも、ブロックには大きな役割があります。
1枚でもコースをしっかり塞げば、レシーバーは残りの1コースだけを見ていればよくなるからです。ブロックは、止めるためだけの技術ではありません。
高い相手に手を無理やり前へ出すと、手の上をボールが通過して抜けていきます。届かないと感じたら、手のひらをボールに向けて当てにいき、後ろへ山なりに逃がしてください。



ブロックハ塞グ道具デモアル
身長で不利なチームのブロックは、こちらの記事が参考になります。
拾わない場所を先に決めておく
もう1つが、捨てる場所を決めることです。人数は6人しかいないので、コート全部は埋まりません。
たとえば、相手のエースが強打しか打ってこないなら、前の短い球は捨てて後ろを固める。フェイントが多い選手なら、その逆にします。
捨てる場所を決めると、選手の目線が1か所に集まります。迷いがなくなるぶん、1歩目が速くなるという効果もあるんです。
ブロックとレシーブをつなげる考え方は、こちらでくわしく解説しています。
格上相手にやりがちな3つの失敗
がんばっているのに、かえって点差が開いてしまうパターンがあります。よく見かける3つを挙げておきます。
失敗1:当日になって、いつもと違う作戦を持ち込む
強い相手だからと、練習していないフォーメーションを急に使うチームがあります。ほぼ間違いなく逆効果になります。
いつも通りできることを、いつも通りやる。これが格上相手の大前提です。変えるのは狙いどころだけにしてください。
失敗2:1本のミスで全員が下を向く
格上相手だと、1本のミスを引きずりやすくなります。下を向いた瞬間に、次の1本の準備が遅れます。
ミスをした選手を責める声が出ると、連続失点はさらに止まらなくなります。声かけは気合いではなく、次にどうするかの情報を伝えるものです。



ミスすると、頭が真っ白になっちゃうんですよね…。



切り替えも技術だよ。決めた動作をはさむと戻りやすいんだ。
切り替え方の具体的な手順は、こちらにまとめてあります。
失敗3:最初から守りに入ってしまう
点をとられるのが怖くて、高いトスを上げて安全に返すだけになるチームもあります。相手からすれば、いちばん守りやすい形です。
守りに入ると、相手のブロックは的を絞りやすくなります。結局、決定率が下がって連続失点につながります。
安全に返す判断は、崩れた時だけでかまいません。形が整っている時は、決めにいってください。
試合前にやる準備|相手を見て、いつも通りを作る
準備は、当日の朝から始まっています。次の順番でやってみてください。
相手を見る時間は、5分もあれば十分です。長く見すぎると、逆に相手の強さに飲まれてしまいます。
見るポイントを決めておけば、短い時間でも必要な情報はとれます。



アップを見る係を決めておくとよさそうです!



いいね。ベンチの選手にお願いすると、より正確に見えるよ。
自分たちのアップをいつも通りにするのも、意外と大事です。相手に合わせて焦ると、体も心も準備が終わらないまま試合が始まります。
試合前と1セット目に何を見るかは、こちらの記事で整理しました。
よくある質問
まとめ:格上に勝つのは、やることを絞ったチーム
最後に要点をふり返ります。格上に勝つために必要なのは、特別な作戦ではありません。
サーブで相手の攻撃を減らし、自分たちのサイドアウトを取り切り、守る場所を絞る。この3つだけです。
| 場面 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 相手のサーブ順 | 崩れたら高いトスで深く返す | 連続失点を止める |
| 自分たちのサーブ順 | セッターの出所と苦手な選手を狙う | 攻撃を3枚から2枚に減らす |
| 相手の攻撃時 | ブロックでコースを1つ塞ぐ | レシーバーの的を1つにする |
私は元日本代表として、自分より格上の相手と何度も戦ってきました。勝負を分けたのは力の差ではなく、やることを絞れていたかどうかでした。
まずは次の試合で、サーブの狙いどころを2つ決めるところから始めてみてください。



狙いどころを2つだけ決めて、次の試合にのぞみます!



それでいい。絞れているチームは、格上でも必ず食らいつけるよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの戦術については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
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