- 20点まで競っているのに、そこから一気に離されてしまう
- 大事な場面でサーブもスパイクも急に入らなくなる
- 接戦になると何をすればいいのか、チームでバラバラになる
こんな悩みを解決します。
終盤に崩れるチームがやってしまうのは、点差が詰まってから、それまでと違うことを始めることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきた中で、競り合いに強いチームほど終盤にやることが少なくなっていく、という共通点がありました。
やることを増やすほど迷いが生まれ、迷いはそのまま失点になります。逆に、決め方を1つに絞ったチームは、同じ実力でも最後の5点を取り切れるんですよね。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 終盤に崩れる原因を、気持ち以外の言葉で説明できるようになる
- 20点以降に自分がやることを、1つに絞れるようになる
- 競った場面で勝ち切るための、普段の練習の作り方が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:終盤は「やることを減らす」ほど強くなる

先に結論をお伝えします。20点以降にやることは、次の3つだけで足ります。
- サーブ:入る打ち方のまま、狙う場所を1つに決める
- 攻撃:いちばん自信のある形へ戻す
- 守り:締める場所を1つだけ決め、そこは全員で捨てない
どれも新しい技術ではありません。すでに練習でやってきたことの中から、いちばん確率の高いものを選び直す作業です。
サルくん競ってくると、つい特別なことをやりたくなります…。



その気持ちが、いちばんの失点原因ですよ。
終盤に必要なのは、新しい手ではなく「絞る勇気」です。
20点以降の1点は、序盤の1点と同じ1点です。それなのに重く感じるのは、残りの本数が少なくなって取り返す時間がなくなるからになります。
つまり終盤の課題は、心の強さではなく確率の選び方です。ここからは、崩れる原因・20点以降にやること・裏をかく1本・立て直し方・普段の練習の順に見ていきましょう。
終盤に崩れる3つの原因
まずは、競り合いで何が起きているのかを分けて考えます。原因が分かれば、直す場所もはっきりします。
いつもと違うことを始めてしまう
1つ目は、選択の変化です。競ってくると、練習でほとんどやっていない攻撃や、使い慣れていないサーブを急に選びたくなります。
しかし本番で成功率が高いのは、いちばん多く練習してきた形のほうです。終盤に初めて出す手は、相手を驚かせる前に自分たちがミスをしてしまいます。



終盤ノ 新シイ手 ハ 自滅ノ 入リ口
私がスクールで見ていても、接戦を落とす試合ほど、最後の5点で見たことのないプレーが増えていました。
終盤に出していいのは、練習でいちばん多くやってきた形だけです。
安全に寄りすぎて相手に楽をさせる
2つ目は、逆方向の変化です。ミスを怖がるあまり、サーブを弱く入れるだけにしたり、攻撃を高く上げるだけにしたりする形になります。
安全に見えて、これは相手にとっていちばん楽な展開です。しっかり構えた状態で受けられるので、相手は得意な攻撃を組み立て直せます。



ミスするくらいなら、入れておこうと思っちゃいます。



入れることと、狙わないことは別ものなんですよ。
安全と無計画は違います。確実に入る打ち方のまま、狙う場所だけを決めておけば、リスクを上げずに相手を動かせます。



入レルダケ ノ 1本 ハ 相手ヘノ プレゼント
声が情報から気合いに変わる
3つ目は、声の変化です。序盤は「ライト!」「前に落ちる!」と情報を伝え合えていたのに、終盤は「集中!」「切り替え!」だけになるチームがとても多くあります。
気合いの言葉は、次の1本で体を動かす材料になりません。声かけは気持ちを高める道具ではなく、味方に動いてもらうための情報を渡す技術です。
- 減らしたい:集中しよう・切り替えよう・落ち着こう
- 増やしたい:ここを締める・次は真ん中が空く・サーブは3番へ
短い情報ほど、競った場面では残ります。何を言うかを決めておくだけで、終盤の1本目からチームの動きはそろってくるはずです。



競った場面ほど、言われた言葉が残らないです。
20点以降にやることを3つに絞る


ここからが具体策です。原因が3つなら、対策も同じ数でそろえます。
サーブは「入る打ち方」のまま狙いを1つ決める
終盤のサーブは、強さを上げる場面ではありません。いちばん入る確率の高い打ち方のまま、狙う場所だけを決めて打ちます。
狙いどころを考える材料は、試合の中にそろっています。相手でレセプションが苦手な選手・セッターが入ってくる位置・エースに先にレシーブをさせられる並び、この3つです。
大事なのは、相手をイメージしてから打つことです。今どんな陣形で受けようとしているかを見て、ここを狙ってみようと自分の中で決めてから打つ習慣が、本番の平常心につながります。



迷って打った1本より、決めて打った1本ですよ。
攻撃はいちばん自信のある形に戻す
終盤の攻撃は、決定率のいちばん高い形に戻します。セッターは、その日いちばん決まっている選手と、その日いちばん決まっているコースを覚えておきましょう。
セッターの仕事は、序盤・中盤・終盤の展開を描いて、25点を取り切るまでをまとめることです。そのために、アタッカーの調子を数字で大まかにつかんでおきます。
- 今日いちばん決まっている選手は誰か
- その選手が決めているコースはどこか
- 相手のブロックがいちばん遅れる攻撃はどれか
ここで決定率の落ちている選手にトスを集めると、本人もチームも苦しくなります。調子を落とさせないことが、セッターのいちばん大事な仕事です。



終盤のトスは、勇気ではなく数字で選びましょう。
守りは締める場所を1つだけ決める
守備も同じ考え方で絞ります。全部を守ろうとすると、結局どこも中途半端になってしまいます。
相手の得点源が使っているコースを1つ選び、そこだけは全員で捨てないと決めます。空けた場所を打たれたなら、それは想定内の失点です。



捨てる場所を決めておけば、迷わず動けますね!
終盤の守備は、守る場所を増やすより、捨てる場所を決めるほうが強くなります。
競った場面で効く「見せて裏をかく」1本
絞ると決めたうえで、最後にもう1つだけ使える手があります。それが、序盤に見せておいた形の逆を突く1本です。
序盤に見せた形が、終盤の武器になる
私は現役時代、左利きのジャンプサーブで自分のコートの左寄りから、相手のゾーン4・5方向へ切れていくサーブを得意にしていました。
この形を序盤から打ち込んでおくと、相手は自然にそちらへ寄って受けるようになります。そこで要所だけ、逆のゾーン1のライン際へ打ち込みました。
このサーバーはこういうサーブを打ってくる、と相手に思わせておくことが準備になります。実際に、この1本でサービスエースを取り、勝ち切れた試合がありました。



裏をかく1本は、見せておいた形があって初めて効きます。
逆を突くのは1セットに1〜2回まで
裏をかく手は、使いすぎると裏でなくなります。1セットに1〜2回、それも点差やローテーションを見て選ぶくらいがちょうどよい回数です。
スパイクでも考え方は同じになります。自分の得意なコースに打つだけでなく、相手にとっていちばん嫌なことを選ぶ視点を持ちましょう。
- 相手が明らかにこちらの得意コースへ寄ってきた時
- 相手のエースにレシーブをさせたい時
- 自分たちが1点リードして、少しだけ攻められる時
セットの序盤で試し、後半に向かって決定率を上げていく。この順番が、スパイカーにとっても大切な考え方です。
終盤の失点を止める立て直しの手順
競り合いでは、それでも連続で失点する時間が来ます。序盤と違って、終盤は取り返す時間が残っていません。
2連続で失点したら形を1つ戻す
序盤なら3連続まで様子を見られますが、終盤は2連続で動きます。戻すのは、いちばん確実なサーブと、いちばん決まっている攻撃の2つです。
このとき、新しいことを足さないでください。追い詰められた状況で選択肢を増やすと、迷いが増えて失点が続きます。



焦ると、やったことない攻撃を言いたくなります…。



そこで戻せるチームが、接戦に勝ちますよ。



追イツメラレタラ フヤサズ モドス
タイムアウトで決めることは1つにする
終盤のタイムアウトは、残り本数が少ないぶん価値が高くなります。だからこそ、話すことは1つに絞りましょう。
30秒ほどの時間で、原因の説明と対策と気持ちの整理を全部やろうとしても、コートに戻ると何も残りません。次の1本でやることを1つ決めて戻るほうが、実際に動きが変わります。
- サーブは、いちばん入る打ち方に戻して3番の前へ
- ブロックは、相手エースのクロスだけを締める
- 攻撃は、迷ったら今日決まっている選手へ集める
コートに戻る前に、全員が同じ言葉でそれを言えるかどうかを確かめてください。言えないうちは、まだ共有できていない状態です。
終盤に強くなる普段の練習
競り合いの強さは、本番で急に手に入るものではありません。練習のやり方を少し変えるだけで、終盤の経験は積み上がっていきます。
ゲーム練習を20対20から始める
練習ゲームを0対0から始めると、いちばん練習したい時間帯がなかなか回ってきません。そこで、最初から20対20で始める形を取り入れてみてください。
1本目から終盤の緊張感で入れるので、短い時間でも競り合いを何度もくり返せます。人数が少ない日でも、3人対3人などの形で成立します。
大事なのは、勝敗より内容のふり返りです。どの失点が準備不足で、どの失点が想定内だったのかを分けておくと、次の試合で迷いが減ります。
終盤の経験は、終盤の場面を練習した回数だけ積み上がります。
1本ごとに狙いを言ってから打つ
普段の練習から、打つ前に狙いを声に出す習慣をつけましょう。狙いを言葉にすると、入ったか外れたかだけでなく、狙いどおりだったかどうかで判断できるようになります。
この積み重ねが、本番で平常心を保つ土台になります。相手をイメージしてから打つ回数を増やすほど、終盤でも同じ手順で1本を打てるようになるからです。



練習から狙いを声に出してみます!



それが、いちばん近道ですよ。
よくある質問
まとめ
終盤に競り負けるのは、気持ちが弱いからではありません。点差が詰まってから、それまでと違うことを始めてしまうだけです。
サーブ・攻撃・守りをそれぞれ1つに絞れば、最後の5点は取り切れます。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 20点以降のサーブ | 入る打ち方のまま、狙う場所を1つ決めて打つ |
| 20点以降の攻撃 | その日いちばん決まっている選手とコースへ戻す |
| 20点以降の守り | 締める場所を1つ決め、空けた場所の失点は想定内とする |
| 2連続で失点 | 新しいことを足さず、確実な形へ戻す |
| 普段の練習 | ゲームを20対20から始め、最後の5点をふり返る |
私は元日本代表として、また指導者として多くの接戦を見てきましたが、勝ち切るチームほど終盤の選択肢が少なくなっていました。



次の接戦は、やることを3つに絞って戦います!



それができれば、最後の5点は変わりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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