トータルディフェンスとは|ブロックとレシーブをつなぐ守備

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トータルディフェンスとは ブロックとレシーブをつなぐ守備
  • ブロックとレシーブがバラバラで、拾えるはずの球を落としてしまう
  • 「トータルディフェンス」という言葉は聞くけど、中身がわからない
  • 守備を強くしたいのに、何から手をつければいいか迷っている

こんな悩みを解決します。

強い守備の正体は、個人技ではなくブロックとレシーブを1つのシステムとしてつなぐ「トータルディフェンス」の考え方にあります。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

現役時代も指導の現場でも、拾えるチームは例外なく「ブロックが塞いだ残りをレシーブが守る」という約束を全員が共有していました。

守備は個人の反射神経ではなく、チームの設計で決まります。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • トータルディフェンスという守備の全体像がわかる
  • ブロックとレシーブの役割分担の考え方がわかる
  • 明日の練習で守備を整えるための第一歩がわかる

それでは、詳しく見ていきましょう。

この記事は「守備を1つのシステムとして捉える考え方(トータルディフェンス)」に特化しています。

守備フォーメーションの具体的な組み方はレシーブフォーメーションの基本|強打とフェイントの守り方、スパイクレシーブ個人の位置取りはスパイクレシーブの位置取り|コースの読み方とブロック連携で解説しています。

目次

結論:ブロックで「コースを塞ぎ」、残りをレシーブが「守る」

先に結論からお伝えします。トータルディフェンスとは、ブロックとレシーブを別々の技術ではなく、1つの守備システムとして連動させる考え方です。

ブロックだけで1本止め切れる場面は、実はそう多くありません。多くのボールはブロックの横や上を抜けて、コート内に落ちてきます。

だからこそ、ブロックが「どのコースを塞ぐか」を決め、その残りをレシーブが分担して守る。

この約束事があってはじめて、コート全体をムダなく守れます。

サルくん

ブロックが全部止めてくれるわけじゃないんだ?

あげば

うん。ブロックの本当の仕事は、レシーブが守りやすいように「相手の打てる場所を減らす」ことなんだ。

たとえば味方がストレートを塞げば、相手はクロスかフェイントしか打てません。そうすると後ろのレシーバーは、守る範囲がぐっと狭くなります。

つまりブロックは、点を止める壁であると同時に、レシーブに「ここだけ守ればいい」と教える道しるべでもあるのです。

なぜ「つなぐ」発想が必要なのか:個人技だけでは守れない理由

トータルディフェンスが大事なのは、コートが1人では守りきれない広さだからです。

バレーコートは9m四方あり、相手のスパイクは一瞬でその隅に飛んできます。どんなに反応が速い選手でも、たった1人で全面をカバーするのは物理的に無理です。

バボット

ヒトリデ マモルナ ミンナデ マモレ

だからバレーの守備は、最初から「6人で分担する」前提で組み立てます。誰がどこを守るかがあいまいだと、選手同士の間に必ず穴が空きます。

その分担の基準になるのが、ブロックの位置です。ブロックが塞いだコースは打ち込まれないので、そこを守る選手は強打を捨てて、フェイントや軟打に備えられます。

サルくん

ブロックがある場所を基準に、みんなが守る場所を決めるんだね。

あげば

そう。ブロックとレシーブがバラバラに動くと、同じ場所を2人で守って別の場所が空く、なんてことが起きるんだ。

逆に言えば、ブロックとレシーブの意思が揃っていないチームは、拾える球も落とします。守備が弱いチームほど、個人の頑張りに頼っていることが多いんです。

もう1つ知っておきたいのが、守備は「時間の勝負」でもあるという点です。相手のスパイクは、打たれてからコートに落ちるまで、ほんの一瞬しかありません。

その一瞬で、どこに来るかを考えてから動いていては間に合いません。

だからこそ、ブロックの位置を手がかりに「来る場所」をあらかじめ絞り込んでおく必要があります。

ブロックが塞いだコースには強打が来ない。その前提があれば、レシーバーは残りのコースだけに集中して構えられます。考える範囲が狭いほど、反応は速くなります。

サルくん

守る場所が決まってると、その分だけ早く動けるんだね!

あげば

そう。迷いがなくなるからね。守備は「考える時間を減らす」ことが、そのまま速さになるんだ。

つまりトータルディフェンスは、選手一人ひとりの負担を軽くする仕組みでもあるのです。全員で守る場所を分け合うことで、それぞれが自分の担当に集中できます。

守備を強くしたいなら、まず「ブロックを基準に全員の守る場所を決める」というシステムの発想に切り替えることが第一歩になります。

トータルディフェンスの2本柱:ブロックとフロアの役割

トータルディフェンスは、大きく「ブロック(空中の守り)」と「フロア(床のレシーブ)」の2つで成り立ちます。

守備を支える2本柱
  • ブロック:ネット際で相手の打てるコースを減らす
  • フロア:ブロックの残りをレシーブで拾い上げる

ブロックの役割:止めるより「コースを限定する」

ブロックの一番大事な仕事は、シャットで点を取ることではありません。

もちろん止まれば最高ですが、狙いは相手が打てる範囲を狭くして、後ろのレシーブを楽にすることです。

たとえば2枚ブロックでクロスを塞げば、相手はストレートかフェイントに絞られます。すると後ろのレシーバーは、あらかじめストレート側に立って待てます。

サルくん

止まらなくても、ブロックには意味があるんだね。

あげば

大ありだよ。ワンタッチで球を殺したり、相手の選択肢を奪ったり。止まらないブロックも立派な仕事なんだ。

フロアの役割:ブロックの「影」を消す

フロア(レシーブ)の仕事は、ブロックが塞ぎきれなかった残りを拾うことです。

ここで大事なのが、ブロックの真後ろは「影」になって見えづらいという点です。この影の部分を、後衛のレシーバーが少し下がってカバーします。

味方がストレートを塞いでいるコースの後ろを守る選手は、強打はブロックが止めてくれるので思い切って捨ててかまいません。

そのかわり、フェイント・ハーフショット・ブロックの上を抜けてくるボールに全対応するのが役割になります。

このとき手を下げて待つと、ブロックの上から来る速いボールに間に合いません。手のひらを顔の横から肩の前あたりに置き、しっかりハンズアップして待つのがコツです。

相手を基準に守りを組む:どのコースを消すか

トータルディフェンスの質は、「どのコースを消すと決めるか」で大きく変わります。

守りの出発点は、相手のどこを警戒するかを決めることです。何となく守るのではなく、相手の攻撃力が高い場所から順に消していきます。

STEP
相手の一番強い攻撃(エースの得意コース)を確認する
STEP
そのコースをブロックで塞ぐと全員で決める
STEP
残ったコースを後衛レシーバーで分担する

たとえば相手のレフトエースがクロスに強いなら、ブロックでクロスを締めます。すると相手は、あまり得意でないストレートかフェイントを選ぶしかありません。

サルくん

相手の得意な所を、あえて塞ぐんだ?

あげば

そう。相手に「一番打ちたいコースを打たせない」だけで、決定率はぐっと下がるんだ。

ここで大切なのは、ブロックとレシーブが同じコースを共有していることです。ブロックがクロスを塞ぐと決めたなら、レシーバーはストレート側に立って待ちます。

もしブロックはクロスを塞いでいるのに、レシーバーもクロス側に寄っていたら、ストレートがガラ空きになります。

この「守る場所のズレ」が、拾えるはずの球を落とす最大の原因です。

だからこそ、サーブを打った瞬間に「自分はこっちを守る、そっちは任せた」と声をかけ合うことが欠かせません。

ブロックが塞ぐコースとレシーブの立ち位置は、必ず「逆側」で揃える。ここがズレると穴になる。

もう1つ意識したいのが、相手の攻撃は毎回同じではないという点です。同じエースでも、調子や場面によって打つコースが変わります。

だから、序盤の何本かで相手の傾向を観察するのも守備の一部です。

「このエースは、追い込まれるとストレートに逃げる」といった情報がつかめれば、次からの守りが的確になります。

ブロッカーとレシーバーがその情報を共有できると、守備はさらに強くなります。「さっきはストレートだったから、今度も警戒しよう」と全員で申し合わせるイメージです。

サルくん

守備って、ただ反応するだけじゃないんだ?

あげば

うん。強いチームほど「次はどこに来るか」を予想して先に動いているよ。守備は頭も使うプレーなんだ。

守備は反応の速さだけでなく、こうした相手を読む力の積み重ねでも差がつきます。試合を重ねるほど、チームの守りは賢くなっていきます。

トータルディフェンスがうまくいかない時の直し方

守備が崩れる時には、だいたい決まった原因があります。ここでは3つの典型と直し方を見ておきましょう。

守備が崩れる3つの典型
  • ブロックとレシーブの守る場所がズレている
  • ブロックの後ろ(影)が空いている
  • 声かけがなく、お見合いで落ちる

1つ目の「守る場所のズレ」は、ブロックが塞ぐコースを全員で共有すれば直ります。

練習では、ブロッカーが跳ぶ前に「ストレート締めるよ」と一声かける約束にすると揃いやすいです。

2つ目の「ブロックの影が空く」は、後衛のカバーが甘い時に起きます。ブロックの真後ろは、少し下がった選手が担当すると決めておきましょう。

サルくん

お見合いって、なんで起きちゃうの?

あげば

「誰かが取るだろう」ってお互いが思うからだよ。だから、取る人が先に声を出すのが一番の予防なんだ。

3つ目の「お見合い」は、声かけの習慣で防げます。相手がサーブや攻撃をした瞬間に、隣同士で「自分が取る・任せる」を確認するクセをつけましょう。

もう1つ、ブロックが1枚しか間に合わない場面もあります。この場合はコースを塞ぐだけでなく、空中で手を動かして1本止めに行く選択もあります。

サルくん

1枚でも、あきらめずに勝負していいんだね!

あげば

そうだよ。ただし後ろの味方には「1枚だよ」と伝えておくこと。守る範囲が広くなるからね。

なお、ブロックでワンタッチが取れないこと自体は、システムとしては問題ありません。塞いだコースの外にレシーバーがいれば、それで守りは成立しています。

確認したいのは、コート後方の角へ鋭角の強打を落とされていないかどうかです。そこを繰り返し落とされている場合はレシーブが難しいので、素早く反応してワンタッチを取りに行く練習を増やしましょう。

守備は派手ではありませんが、こうした小さな約束の積み重ねで、拾えるチームに変わっていきます。あせらず1つずつ揃えていきましょう。

トータルディフェンスについてよくある質問

ブロックが低くて止まりません。それでも意味はありますか?

あります。止まらなくても、相手の打てるコースを狭められれば後ろのレシーブが楽になります。ワンタッチで球の勢いを削るだけでも十分な仕事です。

レシーブ位置は毎回同じでいいですか?

いいえ。ブロックが塞ぐコースによって、守る場所は変わります。ブロックの残りを守るのが基本なので、そのつど立ち位置を調整します。

少人数のチームでも取り入れられますか?

はい。人数が少ないほど「誰がどこを守るか」の分担が重要になります。ブロックを基準に守る場所を決める考え方は、人数に関係なく役立ちます。

まとめ:守備は「1つのシステム」として組み立てよう

トータルディフェンスとは、ブロックとレシーブを別々の技術ではなく、1つの守備システムとして連動させる考え方です。

ブロックが相手の打てるコースを減らし、その残りをレシーブが分担して守る。この約束を全員で共有できたとき、守備は一気に安定します。

場面ブロックの仕事レシーブの仕事
強打への守り得意コースを塞ぐ残りのコースを待つ
ブロックの後ろ相手の視界を切る影に落ちる球をカバー
フェイント手を出して迷わせるハンズアップで前を守る

守備は個人技ではなくチームの設計。ブロックを基準に、全員の守る場所を決めるのが第一歩。

私は元日本代表として、そして指導者として、守備の強いチームほど「約束事」がはっきりしていると感じてきました。反射神経より、まず設計から整えていきましょう。

サルくん

よし、次の練習でブロックとレシーブの守る場所を揃えてみる!

あげば

その意識が守備の第一歩だよ。声をかけ合いながら、みんなで守っていこう♪

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

戦術・システムについては他にも記事を書いています。気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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