- 気づいたら5点、6点と続けて取られて、点差が開いてしまう
- 悪い流れになると、コートの中で誰も声を出さなくなる
- タイムアウトを取っても、結局そのまま押し切られてしまう
こんな悩みを解決します。
連続失点を止める手は、1本を確実に返す・原因を1つに絞って共有する・攻め方を1つ変えるの3つです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中高生を指導してきましたが、崩れるチームは実力が落ちたのではなく、全員が一気に取り返そうとして雑になっていました。
流れというのは気持ちの問題に見えて、実際に起きているのは「返せていない」「決められている」「自分たちで落としている」のどれかです。原因が3つしかないなら、打つ手も決めておけます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 連続失点が起きている原因を、コートの中で見分けられるようになる
- 流れを止めるためにやるべき3つの手が、順番でわかる
- タイムアウトや練習で、止める力をチームに残す方法がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:連続失点を止める手は3つしかない
先に結論をお伝えします。連続失点を止める目的は、点を取り返すことではなく、まず連続を切って1本を取り戻すことです。
- 手1:1本を確実に返して、相手のミス待ちの状態に戻す
- 手2:タイムアウトや1呼吸で、原因を1つだけ全員に共有する
- 手3:サーブかトスのどちらかを変えて、相手のリズムを崩す
サルくん3点も4点も取られたら、一気に取り返さないと間に合わないんじゃないの?



一気に取り返そうとした瞬間に、もっと取られるんだよ。
バレーボールは、1本ずつしか点が動かない競技です。3点差を1本で戻すことはできないので、焦って強い球を狙うほどミスが増えます。
連続失点の最中に必要なのは、まず1本を取ることです。1本取れば相手のサーブ権は切れ、こちらのサーブから仕切り直せます。
取り返すのではなく、まず連続を切る。
サーブ権を取り戻す考え方そのものは、サイドアウトという言葉で整理されています。用語の意味をあらためて確認したい人は、こちらもあわせて読んでみてください。
ここから、原因の見分け方 → 3つの手 → やってはいけないこと → 練習方法の順に見ていきます。
連続失点が続くときに起きている3つの原因
止め方を選ぶ前に、いま何が起きているのかを見分けます。原因が違えば、打つ手も変わるからです。
見分け方は簡単で、直近3本の失点を思い出すだけです。3本のうち2本以上が同じパターンなら、それがいまの原因になります。
原因1:相手のサーブで崩されている
いちばん多いのがこのパターンです。サーブが返らず、セッターがネットから離れた位置で上げるしかなくなり、攻撃が単調になります。
攻撃が単調になれば、相手のブロックは楽に構えられます。決まらない攻撃を拾われ、そのまま失点する流れがくり返されるわけです。
この状態のときは、攻撃の問題ではなく1本目の問題です。打つ人を変えるより、受ける形を整えるほうが先になります。
原因2:相手の同じ攻撃で取られている
2つ目は、相手のエースや速攻など、決まった攻撃で連続して取られている状態です。同じ場所から、同じコースに打たれ続けます。
この場合は、こちらの守り方が読まれています。ブロックの位置とレシーブの立ち位置が、相手の狙いに合っていない状態が続いているわけです。



同じところに打たれてるって、言われるまで気づかなかった…



コートの中にいると意外と見えないから、失点した場所を口に出すといいよ。
原因3:自分たちのミスだけで点が動いている
3つ目は、サーブミスやスパイクアウトなど、相手に触られずに点を渡している状態です。相手が強いのではなく、こちらが崩れています。
このパターンがいちばん止めやすく、いちばん見落とされます。相手を警戒するあまり、自分たちのミスが原因だと気づかないまま進んでしまうからです。



シッテンノ ゲンイン ハ ミッツ ダケ
3つのうちどれかがわかれば、次の1本でやることが決まります。原因を決めずに気合いだけ入れても、同じ失点がもう1回起きるだけです。
手1:1本を確実に返して相手のミス待ちに戻す


最初の手は、確実性を上げることです。連続失点の最中は、こちらのミスが増える方向に全員が傾いています。
サーブは強打より、入るコースを選ぶ
自分たちのサーブから始まる場面では、サーブの強さを1段階落とします。ここでサーブミスをすると、相手は何もせずに連続失点を伸ばせるからです。
狙うのは、相手が動きながら取る位置です。
前後の間や、レシーブが得意でない選手の正面から少しずらした場所に落とすと、返球が乱れます。
強く打つのをやめる代わりに、コースをはっきり決めてから打ちます。何も考えずに入れにいくサーブは、相手にとっていちばん攻撃しやすい球になります。
レセプションはアンダーで確実に返す
相手のサーブを受ける場面では、確実に返すことを最優先にします。オーバーで弾いて返すと、接触時間が短いぶん、面のずれがそのまま返球ミスになります。
大事なのは、落下点の後ろに入って両手のアンダーで返せる位置を先に取ることです。ポジショニングで解決できれば、難しい技術は要りません。
崩れているときほど、1本目は安全な形にそろえる。
そして攻撃は、高いトスをサイドへ上げて、しっかり助走してから打ちます。速いテンポで振り切ろうとするほど、ミスが出やすくなる場面です。



高いトスって、ブロックが構えちゃうから不利じゃないの?



不利だけど、こちらのミスで点が入るよりずっといいんだ。
決めきれなくても、相手コートに返っていればラリーは続きます。ラリーが続けば、相手にもミスが起きる可能性が生まれます。
サーブカットの並び方そのものに不安があるときは、隊形の記事もあわせて確認してみてください。
手2:タイムアウトは原因を1つ共有する時間にする


2つ目の手が、タイムアウトです。時間は30秒しかないので、話す内容をあらかじめ決めておきます。
取るのは2連続で取られた直後
タイムアウトを取るタイミングは、3点、4点と離れてからでは遅くなります。2連続で取られ、同じパターンがもう1回起きそうだと感じた時点が目安です。
ただし、点差が開いていても全員が声を出して動けているときは、そのままプレーで断ち切るほうがうまくいくこともあります。
止めるかどうかは、点差ではなくコートの様子で決めます。
6人制では、タイムアウトは1セットにつき2回までと日本バレーボール協会の競技規則で決められています。数に限りがあるからこそ、使いどころを決めておく価値があります。
回数や使い方のルールそのものは、別の記事で整理しています。ベンチ側の判断を知りたい指導者の方は、こちらもどうぞ。
伝えるのは事実と、次の1本にやること
30秒で反省会を始めると、全員が下を向いたままコートに戻ります。話すのは、起きている事実と、次の1本でやることの2つだけにします。
たとえば「ライトから3本続けて打たれている」が事実で、「ブロックはライトに1枚そろえる」が次にやることです。誰が悪いかは、試合が終わってから話せば十分です。



30秒で全部直そうとしてた…



1つに絞ったほうが、全員が同じ絵を見て戻れるんだ。
私が指導するときも、タイムアウトで話すのは1つだけと決めています。選手が覚えて帰れる量は、そのくらいだからです。
声かけは気合いを入れるためではなく、情報を渡すための技術です。短い言葉で相手に動いてもらうという感覚をもてると、タイムアウトの質が変わります。
手3:攻め方を1つ変えて相手のリズムを崩す
3つ目は、こちらから変化をつける手です。同じことをくり返している限り、相手は準備した守りのまま得点できます。
変えるのは1つだけにします。2つも3つも同時に変えると、味方どうしの意思がそろわず、かえってミスが増えます。
サーブで狙う場所を変える
まず変えやすいのがサーブです。狙う場所を1つずらすだけで、相手の攻撃の組み立てが変わります。
短く落として前に走らせれば、その選手はスパイクの助走に入れません。逆に深く入れれば、相手のセッターは下がった位置から上げることになります。
サーブで先手を取る考え方は、短いサーブの記事にまとめています。夏から秋の新人戦に向けて、1本だけでも武器を持っておくと戦い方が広がります。
トスを上げる位置を変える
もう1つは配球です。同じ選手ばかりにトスが集まっていると、相手のブロックは1人に絞って跳べます。
ミドルの速攻を1本混ぜる、あるいは反対側のサイドへ振るだけで、ブロックは中央に戻らざるを得ません。決まらなくても、次の1本でブロックの反応が遅れます。
変えるのは1つだけ。相手が「揃えた守り」を崩せれば十分。
もちろん、崩れている場面で急に難しいコンビを入れる必要はありません。狙いは、相手に「次はどこに来るかわからない」と思わせることです。
連続失点中にやってはいけない3つのこと
止め方と同じくらい大事なのが、やらないことを決めておくことです。崩れるチームには共通した行動があります。
下を向いて声が消える
いちばん多いのが、失点のたびに全員が下を向く状態です。声が消えると、どちらも取れる球でお見合いが起き、失点がさらに増えます。
声かけの優先順位は決まっています。どちらも取れる球は、先に声を出して動き出した人が取り、遠ざかる側はカバーに回ります。
うまくいっていないときこそ、声は増やします。気合いの声ではなく、「ライト」「任せた」「ワンチ」のような短い情報の声で十分です。
全部を直そうとする
2つ目は、あれもこれも直そうとする行動です。サーブもレシーブもブロックも、と考えた時点で、全員の頭の中はばらばらになります。
直すのは、いま起きている原因の1つだけにします。残りの課題は、試合が終わってから練習で埋めれば間に合います。
守りに入って攻めをやめる
3つ目は、ミスを怖がって全部を返すだけにしてしまう行動です。攻めをやめると、相手はブロックを跳ぶ必要すらなくなります。
確実に返すのは1本目のレセプションとつなぎの部分で、最後の1本は振り切ります。安全にするところと、思い切るところを分けるのがポイントです。



全部安全にするんじゃなくて、返すところと打つところを分けるんだね!



そう。最後まで振れるチームのほうが、結局ミスは少ないんだよ。
ミスを引きずってしまう選手が多いときは、切り替えの考え方も共有しておくと効きます。
流れを止める力がつく練習メニュー
流れを止める力は、本番だけでは身につきません。練習で「追いかける状況」を先に経験しておきます。
ビハインドから始めるゲーム形式
普段のゲーム練習を、0対0ではなく不利な点数から始めます。追う側の緊張感を、練習の中で何度も味わえます。
大事なのは、勝ち負けよりも「何を話したか」です。タイムアウトで決めた1つを、戻った直後に実行できたかを確認します。
2連続で取られたら止める約束をつくる
もう1つは、チームの約束ごとを作る練習です。2連続で失点したら、誰かが必ず声をかけて全員を集める、と決めておきます。



誰が声をかけるか決めておけば、迷わなくて済むね。



最初はキャプテンでいいよ。慣れてきたら誰でもできるようになる。
この約束があると、タイムアウトを使い切った後でも自分たちで止められます。試合を止める権利は、ベンチだけのものではありません。
つなぎの局面から攻撃へ切り返す形は、レシーブ練習としても組み立てられます。
よくある質問
まとめ:流れは1本と声で戻ってくる
最後に要点をふり返ります。連続失点は気持ちの問題ではなく、原因ごとに打つ手が決まっている場面です。
| 原因 | 起きていること | 最初に打つ手 |
|---|---|---|
| 相手のサーブで崩れる | 1本目が返らず攻撃が単調になる | アンダーで確実に返す位置を取り直す |
| 同じ攻撃で取られる | 守り方が読まれている | ブロックとレシーブの位置をそろえ直す |
| 自分たちのミスが続く | 相手に触られず点を渡している | サーブとトスの確実性を1段階上げる |
まず1本を切る。次に原因を1つ決める。最後に攻め方を1つ変える。
私は元日本代表として多くのチームを見てきましたが、強いチームほど崩れた時の手順が決まっていました。うまい選手が多いから止められるのではありません。



次の試合で2連続取られたら、すぐ全員を呼んでみます!



それができるチームは、点差が開く前に立て直せるよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの戦術・システムについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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