- 大会が終わるとぐったりして、何を食べればいいか分からない
- 次の日も試合があるのに、疲れが残ったまま朝をむかえてしまう
- 帰りにお菓子やジュースだけですませてしまうことが多い
こんな悩みを解決します。
試合のあとは「水分と塩分→主食+たんぱく質の補食→しっかりした夕食」の順で、使ったものを戻していきます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
この記事では、アメリカスポーツ医学会(ACSM)などがまとめたスポーツ栄養の共同声明と、日本スポーツ協会の資料をもとに、試合や大会のあとの食べ方を紹介します。
大会の疲れは、試合が終わってからの数時間の過ごし方でも変わってきます。ぜひ次の大会の前に読んでおいてください。
- 試合のあと、体に何が足りなくなっているかがわかる
- 会場・帰り道・家の夕食で、それぞれ何を食べればいいかがわかる
- 次の日も試合がある大会での、食べる量とタイミングがわかる
結論:水分→補食→夕食の3段階で戻す
結論からお伝えします。試合後の食事は、まず水分と塩分、次に主食とたんぱく質の補食、最後に夕食で1日の量を食べきるのが基本です。
特別な食べ物は必要ありません。スポーツドリンク・おにぎり・牛乳といった身近なものと、ふだんどおりの夕食で十分に対応できます。
- 試合のあとは、燃料・水分・体の材料の3つが減っている
- 会場では、飲み物とおにぎり・牛乳などを先に口に入れる
- 次の試合まで8時間ない日は、早めにこまめに食べる
サルくん試合が終わると、ぐったりして食べる気がしないんです…。



まずは飲み物から。それなら口に入りやすいよね。
試合のあとに体で足りなくなっているもの
なぜ試合のあとの食事が大事なのでしょうか。理由は、試合で体の中の3つのものが減っているからです。
燃料:筋肉のグリコーゲンが減っている
バレーは、ジャンプやダッシュをくり返すスポーツです。こうした動きのエネルギーは、主に筋肉にたくわえられたグリコーゲン(炭水化物からできるエネルギーのもと)からまかなわれます。
1日に何試合もある大会では、このグリコーゲンがだんだん減っていきます。減った燃料を戻すには、ご飯やパンなどの炭水化物を食べることが欠かせません。
炭水化物の役割については、こちらの記事でくわしく紹介しています。
水分と塩分:汗で外に出ている
試合中は、汗と一緒に水分と塩分が体の外に出ていきます。体育館の中は、季節によってはかなり暑くなりますよね。
日本スポーツ協会は、運動による体重の減りが2%を超えないように水分をとること、汗で失われる塩分も0.1〜0.2%程度補うことをすすめています。
体重50kgの選手なら、2%は1kgです。試合中にこまめに飲んでいても、終わったときには水分が足りていないことが多いと考えておきましょう。



こまめに飲んでいても、足りていないんですか!?
体の材料:たんぱく質で筋肉を立て直す
全力のジャンプや切り返しを続けると、筋肉にも負担がかかります。その筋肉を立て直す材料になるのが、肉・魚・卵・大豆製品・牛乳などに多いたんぱく質です。
ACSMなどの共同声明では、運動後の早い時間(0〜2時間)に、体重1kgあたり0.25〜0.3gのたんぱく質をとることが目安とされています。
体重50kgなら約13〜15gで、牛乳コップ1杯と卵1個でほぼとれる量です。



ネンリョウ ト ミズ ト ザイリョウ ガ タリナイ



3つとも戻さないと、疲れが残るんですね!
最後の試合が終わったら会場でやること
ここからは、試合が終わったあとの流れにそって、何をすればいいかを見ていきます。まずは、会場にいるあいだです。
まず飲み物で水分と塩分を戻す
試合が終わったら、着替える前に飲み物を手に取りましょう。汗をたくさんかいた日は、水よりも塩分をふくむスポーツドリンクが向いています。
ACSMなどの共同声明では、減った体重1kgあたり1.25〜1.5Lの飲み物をとることが示されています。
試合が終わってからも、汗やおしっこで水分は出ていくため、減った分より多めに飲む必要があるからです。
同じ声明では、食べ物や飲み物にふくまれる塩分が、飲んだ水分を体にとどめるのを助けるとも書かれています。試合のあとに、塩分を無理にひかえる必要はありません。
ただし、一度にがぶ飲みするとお腹が苦しくなります。帰りの時間も使って、少しずつ飲み続けるのがコツです。
水分補給の量やタイミングは、こちらの記事でくわしく紹介しています。
帰る前におにぎりと牛乳を口に入れる
飲み物と合わせて、主食とたんぱく質がそろう補食を食べましょう。会場から家まで時間がかかる日ほど、この補食が大切になります。
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」の値をもとにすると、試合後にとりやすい食べ物の栄養は次のとおりです。
| 食べ物(量) | 炭水化物 | たんぱく質 |
|---|---|---|
| おにぎり1個(ご飯100g) | 約37g | 約2.5g |
| バナナ1本(食べる部分100g) | 約23g | 約1g |
| 牛乳コップ1杯(200g) | 約10g | 約7g |
| ヨーグルト(無糖)100g | 約5g | 約4g |
| 卵1個(中身50g) | ほぼなし | 約6g |
たとえばおにぎり2個と牛乳1本で、炭水化物は約84g、たんぱく質は約12gになります。コンビニなら、ゆで卵やサラダチキンを足すとたんぱく質を増やせます。
暑い時期は、おにぎりや乳製品を長い時間持ち歩かないようにしましょう。会場の近くや帰り道のコンビニで買うのも1つの方法です。
コンビニで選びやすい高タンパク食品は、こちらの記事でまとめています。



着替える前に飲む、これなら忘れずにできそうです!
家に帰ってからの夕食で1日の量を食べきる
補食はあくまでつなぎです。試合の日の回復のカギは、家に帰ってからの夕食にあります。
主食・主菜・副菜に牛乳と果物をそろえる
夕食は、ふだんの食事と同じように、主食・主菜・副菜をそろえるのが基本です。そこに牛乳・乳製品と果物を足せると、さらに整います。
| グループ | 役割 | 夕食の例 |
|---|---|---|
| 主食 | 燃料(炭水化物)を戻す | ご飯・うどん・パン |
| 主菜 | 体の材料(たんぱく質) | 肉・魚・卵・豆腐 |
| 副菜 | 体の調子を整える | 野菜のおかず・みそ汁 |
| 牛乳・乳製品 | たんぱく質とカルシウム | 牛乳・ヨーグルト |
| 果物 | 炭水化物とビタミン | みかん・キウイ・バナナ |
試合の日は、ご飯をいつもより少し多めにと意識するだけでも、減った燃料を戻しやすくなります。



ご飯おかわり、試合の日は遠慮しなくていいんですね!
みそ汁やスープは、水分と塩分の補給にもなるので取り入れたいところです。
疲れている日は、調理に手間のかかるものより、丼ものや鍋のように1品で主食と主菜がとれるメニューも便利です。
家族に作ってもらう場合は、「試合の日はご飯を多めにしてほしい」と前もって伝えておくとよいでしょう。
疲れて食べられない日は分けて食べる
試合のあとは、疲れや興奮で食欲がわかないこともあります。そんな日は、無理に一度に全部食べようとしなくても大丈夫です。
汁物やうどんなど、のどを通りやすいものから始めましょう。食欲が戻ってきたら、ご飯や主菜を足していきます。
夕食がどうしても遅くなる日は、補食と夕食を2回に分けるのも1つの方法です。寝る前に食べるときのコツは、こちらの記事で紹介しています。



食べられない日は、汁物から少しずつで大丈夫だよ。
次の日も試合がある大会の食べ方
2日以上つづく大会や、1日目の夜から2日目の朝までの時間が短い大会では、食べ方を少し変えます。
8時間ないときは「早く・こまめに」食べる
ACSMなどの共同声明では、次のハードな運動まで8時間ないときは、はじめの4時間、体重1kgあたり1時間に1.0〜1.2gの炭水化物をとることが目安とされています。
小分けにして、こまめに食べるのもよいとされています。
体重50kgなら、1時間に50〜60gです。おにぎり1個が約37gなので、1時間におにぎり1個半くらいのペースになります。
ただし、これは大人のアスリートを中心にした目安です。数字どおりに食べることより、試合が終わってから夕食までの時間を空けすぎないことを意識してください。
次の試合まで8時間以上あく日は、そこまで急ぐ必要はありません。夕食と翌日の朝食で、しっかり量を食べることを優先しましょう。
練習後の食べるタイミングについては、研究の内容もふくめてこちらの記事でくわしく紹介しています。
宿に泊まる日は宿の夕食と朝食を土台にする
遠征で宿に泊まる大会では、宿の夕食と朝食をしっかり食べることが基本です。足りないものがあれば、コンビニなどで牛乳・ヨーグルト・果物を足すと補えます。
2日目の朝は、試合の時間から逆算して朝食を食べる時間を決めておきます。試合当日の朝ごはんや、試合の合間の補食の考え方は、次の記事を参考にしてください。



次の日も試合なら、夜の食べ方がもう準備なんですね!



そのとおり。1日目の夜から、2日目の試合は始まっているよ。
試合後の食事でありがちな失敗
最後に、試合のあとにやってしまいがちな失敗を3つ紹介します。どれも、少し気をつけるだけで防げるものです。
お菓子やジュースだけですませる
疲れているときは、甘いお菓子やジュースに手がのびやすいですよね。エネルギーにはなりますが、それだけではたんぱく質がほとんどとれません。
お菓子を食べるなら、おにぎりや牛乳を先に食べてから、量を決めて楽しみましょう。



先に主食とたんぱく質、お菓子はそのあとだよ。
何も食べずに寝てしまう
疲れきって、帰ってすぐ寝てしまうのもよくある失敗です。燃料も材料も戻らないまま朝をむかえることになり、次の日の体の重さにつながりかねません。
眠くても、補食と飲み物だけは寝る前にとると決めておくと安心です。



ネル マエ ニ ヒトクチ ダケデモ
揚げ物や脂っこい料理ばかり食べる
大会のあとに、外食で揚げ物や脂の多い料理ばかりを選ぶのも気をつけたいところです。脂の多い料理は消化に時間がかかり、主食の量も少なくなりがちだからです。
外食するなら、ご飯がしっかり食べられる定食や丼ものを選ぶと、燃料を戻しやすくなります。外食のメニューの選び方は、こちらの記事でまとめています。
試合後の食事についてよくある質問
まとめ:使ったものを、その日のうちに戻そう
この記事では、試合や大会のあとの食べ方を紹介しました。
水分と塩分→主食+たんぱく質の補食→夕食で1日の量を食べきる。
この順番を覚えておけば、疲れていても何をすればいいか迷わずにすみます。
| タイミング | やること | 例 |
|---|---|---|
| 試合直後(会場) | 水分と塩分をとる | スポーツドリンク |
| 帰る前・帰り道 | 主食+たんぱく質の補食 | おにぎり・牛乳・ヨーグルト |
| 夕食 | 主食を多めに、1日の量を食べきる | ご飯・主菜・副菜・みそ汁 |
| 翌日も試合 | 早めに、こまめに食べる | 宿の夕食・朝食+足りない分 |
スクールの選手たちにも、大会の日は「終わったらまず飲む、帰る前に1つ食べる」と伝えています。まずは次の大会の荷物に、飲み物とおにぎりを入れておくことから始めてみてください。



次の大会は、終わったらすぐ飲んで、おにぎりを食べます!



その積み重ねが、大会の最後まで動ける体につながるよ。
参考にした資料
- Thomas DT, Erdman KA, Burke LM. Nutrition and Athletic Performance (Position of the Academy of Nutrition and Dietetics, Dietitians of Canada, and the American College of Sports Medicine), 2016
- 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防5ヶ条」
- 文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
食事・栄養については他にも記事を書いています。
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