- スパイクで腕を振り上げると、脇の下がつっぱる感じがする
- バンザイをすると、腕より先に腰が反ってしまう
- 体を横に倒すストレッチをしても、どこが伸びているのか分からない
こんな悩みを解決します。
体側(脇腹から脇の下にかけての体の横)のストレッチは、腕を上げたまま、骨盤を動かさずに上半身だけを真横へ倒すと効き方が変わります。肋骨と骨盤のあいだを広げるイメージです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
バレーは、スパイク・ブロック・サーブと、腕を頭より高く上げるプレーが続く競技です。腕を上げる動きには、肩だけでなく脇の下から腰まで広がる背中や脇腹の筋肉も関わっています。
体の横をゆるめる伸ばし方と、それがバレーのどのプレーにつながるのかをセットでお伝えします。ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 体の横が硬いと、バレーのどこに影響が出るのかが分かる
- 脇腹と脇の下を順番にゆるめる5つのストレッチが分かる
- 腰を痛めないために避けたいやり方が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:体側は「腕を上げて、骨盤を止めて、真横に倒す」
結論からお伝えします。体側のストレッチは、腕を耳の横まで上げ、骨盤を止めたまま上半身を真横へ倒すと効きます。
体の横には、脇腹をななめに走る筋肉(腹斜筋)と、脇の下から背中を通って腰や骨盤までつながる大きな筋肉(広背筋)があります。どちらも、肋骨と骨盤のあいだをつないでいる筋肉です。
そのため、腕を下ろしたまま体を倒しても、脇の下から背中にかけての部分はあまり伸びません。腕を上げることで、広背筋の端が引っぱられ、体の横全体に伸びが届きます。
サルくん横に倒すだけじゃ、足りなかったんですね。



腕を上げてから倒すと、脇の下まで伸びてきますよ。
もう1つ大事なのが、倒す前に一度、上へ伸びることです。背すじを縮めたまま倒すと、腰が折れ曲がるだけで、肋骨と骨盤のあいだは広がりません。
- 腕を耳の横まで上げてから倒す
- 倒す前に、指先を天井へ引き上げて背すじを伸ばす
- 体を前に傾けず、真横へ倒す
- 1つの姿勢は20秒ほど、呼吸を止めずに保つ
この4つを押さえるだけで、同じ時間でも体の横をしっかりゆるめられます。
体側が硬いとバレーで起きる3つのこと
体の横の硬さは、ふだんの生活ではあまり気になりません。それでも、腕を高く上げるプレーでは次の3つの形で表れます。
1:スパイクで肘を高く引き上げにくい
1つ目は、スパイクの空中姿勢です。テイクバックでは、背骨を軸に体をひねりながら、打つ側の肘を高く上げ、手のひらを耳の後ろまで引きます。
脇の下から背中にかけてが硬いと、この肘の引き上げが途中で止まりやすくなります。足りない分を肩だけで上げようとすると、肩に負担が集まったり、打点が下がったりする原因の1つになります。
体の横がゆるむと、肘を高く上げたテイクバックが楽になります。スパイクの打点が上がらない人は、打ち方と一緒に体の横の硬さも見直してみてください。
2:腕を上げると、腰が反ってしまう
2つ目は、腰の反りです。広背筋は腰や骨盤までつながっているため、ここが硬いと、腕を頭の上へ上げたときに骨盤ごと引っぱられ、腰が反りやすくなります。
スパイクでも、初心者はまず腰の反りを使わず、背骨を軸にしたひねりでテイクバックを作るのが基本です。腰を反らないと腕が上がらない状態では、この形が作りにくくなります。



腕ヲ 上ゲルト 腰ガ 反ル ハ 体ノ 横ガ 硬イ サイン
私は、腰の反りが気になる選手には、腹筋を鍛える前に、まず脇の下から背中をゆるめる時間を取るようおすすめしています。腕が上がりやすくなると、腰で無理に反る必要が減るからです。
3:ブロックやレシーブで、横へ腕が伸びきらない
3つ目は、腕を伸ばしきるプレーです。ブロックでは、構えた手をネットの上へまっすぐ出します。サイドに移動して跳ぶときほど、体の横が伸びないと手の出し方が窮屈になります。
レシーブでも、横に外れたボールへ腕を伸ばす場面では、体を横に倒しながら腕の面を作ります。体の横がゆるんでいると、足を運んだうえで最後のひと伸びが出しやすくなります。
ストレッチだけでケガを防げるわけではありません。それでも、よく使う体の横を練習のたびにゆるめておくことは、次の練習で気持ちよく動くための準備になります。



ブロックで手を出すとき、脇がつっぱっていたのはそのせいなんですね。



腕を上げるプレーは、体の横もいっしょに働いているんですよ。
まずは30秒でできる体側の硬さチェック
伸ばす前に、自分の体の横がどれくらい硬いのかを確かめておきましょう。やり方は2つです。
- 壁に背中とかかとをつけて立ち、両腕をバンザイする:腰が反らずに手の甲が壁につくか
- 足を肩幅に開いて立ち、片手を太ももの横に沿わせて真横へ倒す:指先がどこまで下がるか
1つ目で、腰と壁のすき間が大きく開く人や、手の甲が壁に届かない人は、脇の下から背中が硬めです。2つ目で、指先が膝の上で止まる人は、脇腹が硬めのサインになります。
左右で差があるかも見ておいてください。スパイクで打つ側の腕は使う回数が多いので、差が出ることはよくあります。差が大きい側を、次のストレッチで1回多めに行いましょう。



右に倒すと、左より手が上で止まってしまいました…。
体の横をゆるめるストレッチ5つ(1日3分)
ここからが本題です。立ったままできるものから始めて、座って、床を使うものの順に進めると、無理なく深く伸ばせます。
ストレッチ1:立って手首をつかみ、真横へ倒す
足を肩幅に開いて立ち、両腕を頭の上へ上げます。左手で右の手首をつかみ、指先を天井へ引き上げてから、上半身を左へゆっくり倒していきます。
右の脇腹から脇の下にかけて伸びていればOKです。手首を引っぱる方向は、真横よりも少し斜め上を意識すると、脇の下まで伸びが届きます。20秒ほど保ち、左右を入れかえます。
ストレッチ2:片脚を横に伸ばして座り、体を倒す
床に座り、右脚を横へ伸ばして、左脚は膝を曲げて足の裏を右の太ももの内側につけます。左腕を頭の上へ上げ、右のつま先の方向へ上半身を倒していきます。
座って行うと骨盤が床に固定されるので、立ったままより脇腹が深く伸びます。
胸を天井に向けたまま倒すと、体が前に丸まらずに済みます。こちらも20秒保ち、左右を入れかえましょう。



脇腹の奥まで伸びてきました!



お尻が床から浮かないように気をつけると、もっと伸びますよ。
ストレッチ3:正座から、手を斜め前へすべらせる
正座から上半身を前へ倒し、両腕を床の上で前に伸ばします。そのまま両手を右ななめ前へすべらせ、お尻はかかとの上に残したまま保ちます。
左の脇の下から背中の横にかけて伸びます。広背筋を伸ばすのに向いている形で、腕を上げるプレーの前後に取り入れやすいストレッチです。20秒保ったら、手を左ななめ前へ移しましょう。
ストレッチ4:柱や壁をつかみ、お尻を横へ引く
柱や壁の横に立ち、右手を頭の高さでつかみます。足を柱から少し離し、つかんだ手はそのままに、お尻を左横へゆっくり引いていきます。
体重を使える分、脇の下から腰の横まで一気に伸びます。胸が柱のほうへ向きすぎるとひねりが入るので、体の正面を前に向けたまま行いましょう。
ストレッチ5:横向きに寝て、上の腕を頭の先へ伸ばす
最後に、左を下にして横向きに寝て、右腕を頭の先の方向へ伸ばします。右脚を少し後ろへ伸ばすと、脇の下から腰の横までが一直線に伸びます。
寝たまま行えるので、体の力を抜きやすいのが良いところです。ゆっくり息を吐きながら20秒保ち、反対側も行います。
毎日続けるときの目安
体側のストレッチは、一度に長く伸ばすより、毎日少しずつ続けるほうが変化につながります。
おすすめは、練習のあとやお風呂あがりの、体が温まっている時間です。5つを1回ずつ行っても、3分ほどで終わります。
- 1つの姿勢は20秒ほど、左右それぞれ行う
- 体が温まっている時間に、できれば毎日行う
- チェックで硬かった側を1回多めに伸ばす
- 1か月ごとに、壁バンザイの腰のすき間を比べる
練習の前は、止まって長く伸ばすより、両腕を上げて左右にリズムよく倒したり、腕を大きく回したりして、動かしながら温めるほうが向いています。前と後でやることを分けると、プレーにもつなげやすくなります。
体側のストレッチでやりがちな3つの失敗
体の横を伸ばしているつもりでも、形がずれていると効きません。次の3つに心当たりがないか確かめてください。
失敗1:体が前に倒れてしまう
いちばん多いのが、この形です。横に倒しているつもりでも、胸が床のほうを向いて前かがみになると、伸びるのは背中の後ろ側になり、体の横はほとんど伸びません。
壁に背中をつけたまま横に倒すと、前に倒れていないかがすぐ分かります。形が分からない人は、最初の数回だけ壁を使って確かめてみましょう。



横ニ 倒ス ハ 前ニ 倒ス ト 別ノ モノ
失敗2:腰から折れて、骨盤ごと流れる
次に多いのが、背すじを伸ばさずに腰から折れ曲がる形です。骨盤ごと反対側へ流れてしまうと、肋骨と骨盤のあいだが広がらず、腰の一か所だけに負担がかかります。



深く倒せば倒すほど効くと思っていました…。



深さより、先に上へ伸びることです。骨盤を止めて、少し倒すだけで十分ですよ。
失敗3:息を止めて、痛みをがまんする
3つ目は、やりすぎです。反動をつけたり、息を止めて力んだりすると、筋肉は縮んで身を守ろうとするので、かえって伸びにくくなります。
体を倒すと腰に鋭い痛みが走るとき、脚にしびれが出るとき、脇腹に強い痛みがあるときは、ストレッチを止めてください。痛みが続くときは、整形外科で診てもらいましょう。
伸ばすだけでは足りない部分
ここまで体の横をゆるめる方法をお伝えしてきましたが、柔らかくなるだけで、スパイクが強くなったり打点が上がったりするわけではありません。
体の横は、空中で体がぶれないように支える場所でもあります。ゆるめる練習と一緒に、体を横から支える力をつける練習も進めてください。
伸ばして動く範囲を広げ、その範囲で体を支えられるように鍛える。この2つがそろうと、テイクバックの高さも、空中での安定も、ブロックの手の出しやすさも伸びていきます。



伸ばすのと鍛えるの、両方やってみます!



体の横が使えるようになると、腕の上がり方が変わっていきますよ。
よくある質問
まとめ:体側は腕を上げて、骨盤を止めて真横に倒す
体側のストレッチは、腕を下ろしたまま横に倒すだけで終わらせないことが大切です。腕を耳の横まで上げ、上へ伸びてから、骨盤を止めて真横へ倒していきましょう。
腕を上げる。上へ伸びる。真横に倒す。
| つまずくところ | 直し方 |
|---|---|
| 脇の下まで伸びない | 腕を耳の横まで上げて倒す |
| 背中の後ろが伸びる | 胸を正面に向けて真横へ |
| 腰だけが痛くなる | 先に上へ伸び、骨盤を止める |
| 打つ側だけ硬い | 硬い側を1回多めに伸ばす |
| 痛みやしびれが出る | すぐ止め、続けば整形外科へ |
必要なのは自分の体と床、あれば壁だけです。体の横がゆるむほど、スパイクのテイクバックも、ブロックで手を出す動きも楽になっていきます。
そのうえで、ゆるめた体の横で空中の体を支えるための力づくりも並行して進めてください。



今日のお風呂あがりから、座って倒すストレッチを始めてみます!



1か月たったら、壁バンザイで腰のすき間が変わったか比べてみましょうね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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