- 第1セットの序盤でいつも点差をつけられてしまう
- 途中から動けるのに、最初の5点で流れを渡してしまう
- 立ち上がりを良くする方法が、気合い以外に思いつかない
こんな悩みを解決します。
立ち上がりが悪いチームに足りないのは気持ちではなく、体・約束・情報の3つを試合が始まる前にそろえておくことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきた中で、立ち上がりでつまずくチームには決まった共通点がありました。
最初の1本を「とりあえず入れる」で始めていることです。狙いのない1本から入ると、そのまま相手のペースで試合が進んでいきます。
逆に、序盤を安定して取れるチームは、始まる前にやることが決まっているんですよね。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 立ち上がりが悪くなる原因を、気持ち以外の言葉で説明できるようになる
- 試合前にそろえる準備と、最初の5点でやることが分かる
- 崩れた時の戻し方と、普段の練習での鍛え方が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:立ち上がりは試合前の「体・約束・情報」で決まる
先に結論をお伝えします。序盤に必要なのは、次の3つがそろっていることです。
- 体:アップの最後で、試合と同じ速さまで上げてある
- 約束:最初の1本で何を狙うかが、チームで決まっている
- 情報:相手の得点源と苦手な場所を、3つだけ知っている
この3つは、どれも試合が始まる前に用意できるものです。逆にいえば、笛が鳴ってから慌てて用意しようとしている状態が「立ち上がりが悪い」の正体になります。
サルくん序盤はいつも体が重くて、気づいたら5点差…。



体だけの問題ではないですよ。準備の順番の話です。
立ち上がりは根性ではなく、準備の順番でつくれます。
序盤の5点は、終盤の5点と同じ重さがあります。それなのに、序盤だけは「まだ大丈夫」と考えてしまうチームがとても多いんです。
ここからは、原因・試合前の準備・最初の5点・崩れた時の戻し方・普段の練習の順に見ていきましょう。
立ち上がりが悪くなる3つの原因
まずは、何が起きているのかを分けて考えます。原因が分かれば、打つ手も変わってきます。
体が試合の速さに追いついていない
1つ目は、体の準備です。アップはしていても、最後まで軽い動きで終えていると、試合の速さに体が追いつきません。
特に危ないのが、アップから試合開始までの待ち時間です。整列や挨拶で5分から10分空くと、せっかく上げた体温も心拍も下がっていきます。



アップノ アト ノ 待チ時間 ガ 落トシ穴
体が起きていない状態では、1歩目が半歩遅れます。その半歩が、序盤のレシーブがつながらない理由になっていることが多いんです。
最初の1本の狙いが決まっていない
2つ目は、狙いのなさです。最初のサーブを「まず入れよう」だけで打つと、相手はいちばん得意な形で攻撃を組み立ててきます。
守る側も同じです。どこを空けて、どこを締めるかが決まっていないと、1本目から全員がバラバラの位置に立つことになります。



最初はミスしたくないから、安全に入れちゃう。



気持ちは分かります。ただ、安全と無計画は別ものです。
相手を知らないまま入っている
3つ目は、情報です。相手の得点源が誰か、どこから攻めてくるかを知らないまま入ると、序盤の数点はどうしても様子見になります。
その様子見の時間が、そのまま点差になります。序盤に取られた5点は、後半の追い上げで取り返すよりずっと重いものなんです。



気づいたら相手の形に慣れる前に終わってました。
相手を知る作業は、試合が始まってからでも進みます。ただし、何も持たずに入るのと、3つだけ持って入るのとでは、確認にかかる時間がまったく違います。
様子見の時間を短くすることが、立ち上がりを良くする近道です。
試合前にそろえる3つの準備


ここからが具体策です。原因が3つなら、準備も3つでそろいます。
体は「アップの最後」と「待ち時間」で決める
アップの最後には、必ず試合と同じ速さの動きを入れます。全力のダッシュを2本、跳んで着地を2本、これだけでも体の反応は変わります。
そのうえで大事なのが、待ち時間の過ごし方です。整列前に体が止まる時間があるなら、その場でできる動きを決めておきましょう。
長く休むほど、最初の1歩は重くなります。動きを止めない時間を数分つくるだけで、序盤のレシーブが変わります。
冬場の体育館や、朝いちばんの試合では特に差が出ます。会場が寒い日は、上着を着たまま体温を保っておくのも立派な準備です。



待ってる間、じっと立ってました…。
約束は「1つだけ」に絞る
チームで決める約束は、多くしないことがコツです。序盤に思い出せる数はとても少ないので、1つに絞ります。
決めるのは、最初のサーブで狙う場所か、守りで最初に締める場所のどちらかです。全員が同じ言葉で言えることを1つ持って入ります。
- サーブは相手のレセプションが苦手な選手の前へ
- 最初の3本はコートの真ん中を空けずに守る
- 攻撃は迷ったらエースへ、無理なら高く相手コートの奥へ
約束が多いほど、迷いも増えます。1つに絞ったほうが、結果として動きはそろうんです。
情報は「3つだけ」持ってコートへ入る
相手の情報も、多く集めるほど良いわけではありません。序盤に使えるのは3つまでです。
見ておきたいのは、得点源になっている選手・レセプションが不安定な選手・セッターが入ってくる位置の3つになります。この3つが分かるだけで、様子見の時間は一気に短くなります。
この3つは、試合前の相手のアップを見るだけでもある程度つかめます。誰にトスが集まっているか、誰がレセプションに入っていないかを見ておくだけで十分です。



覚えるのは3つで十分。多いと使えません。
分かったことは、コートに入る前に声に出して共有します。頭の中に置いたままだと、全員が別の情報で動くことになってしまいます。
最初の5点でやること


準備が整ったら、次は入り方です。最初の5点は、点数以上に「型を決める時間」になります。
最初のサーブは狙いを持って打つ
序盤のサーブは、強さより狙いです。決めた場所へ打ち、その結果どうなったかをチーム全員で見ておきます。
私は現役時代、左利きのジャンプサーブで相手コートの決まった方向へ切れていくサーブを得意にしていました。序盤はその形を打ち込んでおき、要所で逆のライン際を突くとサービスエースにつながります。
序盤のサーブは、相手に「型」を見せておく時間にもなります。
大切なのは、相手の陣形を見てから打つことです。今どんな並びで受けようとしているかを見て、狙いを決めてから打つ習慣が、本番の平常心につながります。
最初のサイドアウトを全員で確認する
相手サーブの1本目を取り切れるかどうかは、序盤の空気を大きく変えます。ここは「決めた形で決め切る」ことを優先しましょう。
新しい攻撃を試すのは、まだ先で大丈夫です。いちばん自信のある形で1点を取り、その形が通じるかどうかを確かめます。
通じたなら、その形をしばらく続けます。止められたなら、次の1本で打つ場所を変えるか、攻撃する人を変えるかの2択で考えます。
どちらにしても、判断の材料は最初の数本で手に入ります。序盤を「情報を集める時間」と考えると、失点にも意味が出てくるんです。



まずは得意な形で1本、取りにいきます!



それでいいんです。冒険は流れを取ってからにしましょう。
立ち上がりで崩れたときの立て直し方
準備をしても、崩れる日はあります。大事なのは、崩れた後に何をするかです。
3連続で失点したら形を1つ戻す
序盤に3本続けて失点したら、いったん形を戻します。戻すのは、いちばん自信のある攻撃と、いちばん確実なサーブの2つです。
このとき、新しいことを足さないでください。崩れている時に選択肢を増やすと、迷いが増えて失点が続きます。



クズレタラ フヤサズ モドス
声かけも同じです。気合いを入れる言葉より、「次はここを締める」という短い情報のほうが、チームは動けます。



崩れてる時ほど、何を言われたか残らないです。
短い言葉ほど残ります。声かけは気持ちを高める道具ではなく、次の1本で動くための情報を渡す技術だと考えてください。
タイムアウトで決めることは1つにする
早い時間帯のタイムアウトも、使ってよい手です。ただし、そこで話すことは1つに絞ります。
30秒ほどの時間で、原因の説明と対策と気持ちの整理を全部やろうとすると、何も残りません。「次の1本でやること」を1つ決めて戻るほうが、実際に動きが変わります。
- サーブを1本、確実に入れる形に戻す
- 相手のエースに対して、ブロックはコースを1つに絞る
- レセプションの並びを、崩れている場所だけ入れ替える
その1つを、コートに戻る前に全員が同じ言葉で言えるかどうかを確かめてください。言えないうちは、まだ共有できていません。
立ち上がりを強くする普段の練習
立ち上がりは、試合当日だけの課題ではありません。普段の練習の始め方が、そのまま試合の始め方になります。
練習の1本目から試合の速さで入る
多くのチームは、練習の前半をゆっくり始めます。この習慣がついていると、試合でも同じ入り方になってしまいます。
対策はシンプルです。アップが終わったら、最初のメニューを「試合と同じ速さ」で始めると決めておきます。



練習の入り方は、そのまま試合の入り方になります。
1本目から声を出し、1本目から全力で足を運ぶ。この積み重ねが、本番の序盤で効いてきます。
もう1つ効くのが、練習の途中で1度止めて、そこから再開する形です。試合の待ち時間と同じ状況をつくり、止まった体から動き出す練習になります。
練習試合は第1セットだけを切り取って振り返る
練習試合の振り返りでは、全体を通して話すことが多いと思います。そこに、第1セットの序盤だけを見る時間を足してみてください。
見るのは、最初の5点の内容です。誰がサーブを打ち、どこを狙い、どんな失点で始まったのかを確認します。
- 最初のサーブは、決めた場所へ打てていたか
- 最初のサイドアウトを、決めた形で取れたか
- 最初の失点は、準備不足と技術のどちらが原因だったか
同じ場面が何度も出てくるなら、それがそのチームの立ち上がりの課題です。次の練習で、その1場面だけを取り出して練習できます。



最初の5点だけなら、振り返れそうです。
よくある質問
まとめ
立ち上がりが悪いのは、気持ちが足りないからではありません。始まる前に用意できるものを、用意しないまま入っているだけです。
体・約束・情報の3つを持って入れば、序盤の様子見は短くなります。
| 場面 | やること |
|---|---|
| アップの最後 | 全力ダッシュと跳んで着地を入れ、試合の速さまで上げる |
| 待ち時間 | 動きを止めず、足踏みと軽い屈伸で体温を保つ |
| 最初の1本 | 決めた場所へ狙って打ち、相手の陣形を見てから入る |
| 3連続失点 | 新しいことを足さず、得意な形を1つ戻す |
| 練習の日常 | 1本目から試合の速さで入り、第1セット序盤だけを振り返る |
私は元日本代表として、また指導者として多くの試合を見てきましたが、序盤に強いチームほど、始まる前の数分の使い方が決まっていました。



次の試合は、最初の1本から狙って打ちます。



それができれば、序盤の景色は変わりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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