- 練習の前に、何時間前までに食べればいいのか分からない
- 食べてすぐ練習すると、お腹が重くなったり脇腹が痛くなったりする
- 昼ごはんから練習まで時間があいて、練習の後半にお腹がすいてしまう
こんな悩みを解決します。
しっかりした食事は、練習のおよそ3〜4時間前までにすませるのが目安です。そこから練習までの時間は、残り時間に合わせて「補食(ほしょく)」で軽くつなぎます。
練習が近づくほど、量は少なく、消化のよい炭水化物にしていくのがポイントです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
この記事では、アメリカスポーツ医学会(ACSM)などの共同声明や、県のスポーツ科学センターの資料をもとに、練習前に「いつ・何を・どれくらい」食べればいいかを紹介します。
読み終わるころには、自分の練習の時間に合わせて、食べる時間と中身を決められるようになるはずです。
- 練習の何時間前に、どんな食事をすればいいかがわかる
- 残り時間ごとに、食べてよいものと量の目安がわかる
- 放課後練習・休日練習など、自分の1日に当てはめた食べ方がわかる
結論:食事は3〜4時間前、あとは補食でつなぐ
結論からお伝えします。主食・主菜・副菜のそろった食事は練習の3〜4時間前までにすませ、そのあとは時間に合わせて補食を少しずつとるのがおすすめです。
ACSMなどの共同声明(2016年)では、1時間以上続く運動の前には、運動の1〜4時間前に炭水化物をとることがすすめられています。
バボットイチ カラ ヨジカンマエ ニ タンスイカブツ
日本でも、秋田県スポーツ科学センターの資料では、試合の日は「アップも含めて3〜4時間前まで」に定食の形の食事をすませ、そのあとは時間から逆算して補食をとる流れが紹介されています。
資料によって「何時間前」には少し幅があります。共通しているのは、「直前ほど軽く」「食べなさすぎない」の2つです。



食事と補食で、食べる時間を分けて考えるんですね!



そう。時間が近いほど、軽くて消化のよいものにしていくんだ。
- しっかりした食事は練習の3〜4時間前までにすませる
- 2時間前ならおにぎりやパンなど、主食中心の補食
- 1時間前〜30分前は、バナナやゼリーなど軽いもの
- 練習の前は、脂っこいもの・食物繊維の多いものをひかえる
- 合うタイミングには個人差があるので、練習の日に試して見つける



何時間前でも、いつも同じ量を食べていました…。



チカイホド カルク スクナク
なぜ「何時間前に食べるか」が大事なのか
練習の前の食事で気をつけたいことは、大きく分けて2つあります。「食べてすぐ動くとつらい」ことと、「食べないとエネルギーが足りなくなる」ことです。
食べてすぐ動くと、お腹が重くなる
食べたものは、胃から腸へとゆっくり進みながら消化されていきます。消化が終わらないうちに激しく動くと、お腹が重く感じたり、気持ち悪くなったりしやすくなるんですよね。
ACSMなどの声明では、運動前の食事は脂質や食物繊維が少なく、たんぱく質も多すぎないものがよいとされています。
これらが多いと胃から先へ進むのに時間がかかり、お腹の不調につながりやすいからです。
だからこそ、しっかりした食事ほど練習から時間をはなし、直前は消化の早いものにしていく、という考え方になります。



唐揚げを食べてすぐ練習したら、ずっとお腹が重かったです…。



揚げ物は消化に時間がかかるから、練習前にはひかえよう。
食べないと、練習の途中でエネルギーが切れる
一方で、お腹が重くなるのがいやだからといって、何も食べずに練習するのもおすすめできません。
海外の研究(Chryssanthopoulosら、2002年)では、大人の男性10人が、走る3時間前に炭水化物中心の食事をとった日と、何も食べなかった日で比べました。
その結果、食事をとった日のほうが、限界まで走り続けられた時間が長かった(平均約103分→約112分)と報告されています。
アメリカの研究(Leeら、2011年)では、平均15歳の男子13人が、運動の30分前に炭水化物の飲み物を飲んだ日と、飲まなかった日で比べています。



中学生や高校生くらいの年齢でも、調べられているんですね!
炭水化物をとった日は、最初の30秒の全力こぎで平均パワーが高くなりました。ただし、そのあと何本もダッシュをくり返したときの疲れ方には、差が見られませんでした。
どちらの研究も、バレーボールの練習そのものを調べたものではありません。
それでも、「練習の前に何もとらない」よりは、時間に合わせて食べておくほうが、エネルギー切れを防ぎやすいといえます。



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時間別:練習前の食べ方の目安
ここからは、練習までの残り時間ごとに、何をどれくらい食べればいいかを見ていきます。
3〜4時間前:ふつうの食事をしっかり
練習まで3〜4時間あるなら、ふだんどおりの食事をしっかり食べてかまいません。
主食(ご飯・パン・麺)・主菜(肉・魚・卵・大豆)・副菜(野菜・きのこ・海藻)をそろえた食事が基本です。中でも主食は、練習のエネルギーになる炭水化物の中心なので、しっかり食べておきましょう。
学校の昼ごはん(給食や弁当)が、このタイミングにあたる選手も多いはずです。



昼ごはんをしっかり食べるのも、練習の準備なんですね!
2時間前:おにぎりやパンなど主食中心の補食
練習まで2時間くらいなら、おにぎりやパンなど、主食を中心にした補食にします。
秋田県スポーツ科学センターの資料では、試合の2時間前までの補食の例として、おにぎり・パン・果物・カステラ・ゼリーなどがあげられています。
このタイミングでは、おかずはひかえめにして、炭水化物を中心にとるのがコツ。具の多いサンドイッチより、具がシンプルなおにぎりのほうが、お腹にやさしいでしょう。
1時間前〜30分前:バナナやゼリーなど軽いもの
練習まで1時間を切ったら、しっかりした食べ物はやめて、軽いものに切りかえます。
同じ資料では、30分〜1時間前までの補食の例として、バナナ・ゼリー・スポーツドリンクなどが紹介されています。
この時間帯は、量をおさえることが大切です。たとえば、バナナ1本やゼリー飲料1個くらいにしておくと、お腹が重くなりにくくなります。



直前に食べすぎると、動きにくくなるから気をつけよう。
時間別の目安まとめ
ここまでの内容を、表にまとめておきます。
| 練習までの時間 | 食べ方 | 食べ物の例 |
|---|---|---|
| 3〜4時間前 | ふつうの食事 | 主食・主菜・副菜のそろった食事 |
| 2時間前 | 主食中心の補食 | おにぎり・パン・カステラ |
| 1時間〜30分前 | 軽い補食 | バナナ・ゼリー・スポーツドリンク |
部活の1日に当てはめると
時間の目安が分かったら、自分の練習の時間に当てはめてみましょう。ここでは、よくある3つのパターンで考えてみます。
放課後の練習(16時ごろ開始)
12時半ごろに昼ごはんを食べて、16時から練習を始める場合、昼ごはんから練習まで3時間以上あきます。
秋田県スポーツ科学センターの資料でも、昼食から練習まで時間があく場合は、運動の前に補食をとることがすすめられています。
- 12時半ごろ:昼ごはん(給食・弁当)をしっかり食べる
- 15時半ごろ:練習の前に、おにぎり1個かバナナ1本
- 練習の途中:のどがかわく前に、こまめに水分をとる
ただし、学校のきまりで補食が食べられないこともあります。そのときは、昼ごはんを残さずしっかり食べておくことが、いちばんの準備になります。



うちの学校は、練習前に食べるのが禁止なんです。



それなら、昼ごはんを残さず食べるところから始めよう。
休日の午前練習(9時ごろ開始)
9時から練習が始まる日は、3〜4時間前だと朝5〜6時になってしまいます。そこまで早く起きるのは、現実的ではありませんよね。
この場合は、練習の2時間前くらいまでに、ご飯やパンを中心にした朝ごはんをすませるのがよいでしょう。おかずは消化のよいものを少しにして、主食をしっかりとっておくのがコツです。



朝ごはんは、主食を中心にしっかりとっておこう。
ACSMなどの声明では、朝の運動の前の食事は、寝ている間に減った体のエネルギーをおぎなう役割があるとされています。朝ごはんをぬいて練習に行くのは、さけたいところ。
朝早い練習の日の起き方や食べ方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
休日の午後練習(13時ごろ開始)
13時から練習が始まる日は、お昼ごはんを食べる時間に迷いやすいパターンです。12時に食べると、練習まで1時間しかありません。
おすすめは、朝ごはんをしっかり食べ、10時ごろまでに早めの昼ごはん(または、おにぎりなどの補食)をとる方法です。そうすれば、練習の3時間前に食事をすませられます。
そのうえで、練習の前にお腹がすいたら、30分〜1時間前にバナナやゼリーを足しましょう。



ゴゴレンシュウ ノ ヒルゴハン ハ ハヤメ
練習前の食べ物の選び方
時間と同じくらい大切なのが、何を食べるかです。練習前に選びたいものと、ひかえたいものを整理しておきます。
選びたいもの:消化のよい炭水化物
練習前は、エネルギーになりやすい炭水化物を中心に選びます。文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」の値をもとにすると、炭水化物の量は次のとおりです。
| 食べ物(量) | 炭水化物 |
|---|---|
| おにぎり1個(ご飯100g) | 約37g |
| 食パン 6枚切り1枚(60g) | 約28g |
| バナナ1本(食べる部分100g) | 約23g |
ACSMなどの声明では、運動の1〜4時間前に、体重1kgあたり1〜4gの炭水化物をとる目安がしめされています。ただし、これは主に大人のアスリートを対象にした数字で、量も時間も幅が広いものです。
まずは「2時間前ならおにぎり1〜2個」「1時間前ならバナナ1本」くらいから試して、自分に合う量を見つけていきましょう。
炭水化物を1日にどれくらいとればいいかは、こちらの記事でまとめています。
ひかえたいもの:脂っこいもの・食物繊維の多いもの
練習の前は、消化に時間がかかるものをひかえます。秋田県スポーツ科学センターの資料でも、試合前に気をつけたい点として、次のようなものがあげられています。
- 揚げ物など脂っこい料理
- ごぼうやさつまいもなど、食物繊維の多いもの
- 刺激の強い香辛料
- 刺身などの生もの
スナック菓子やチョコレート菓子も、脂質が多いものが少なくありません。練習前のおやつは、おにぎりやバナナに置きかえるのがおすすめです。
練習前後の補食で選ぶ食べ物は、こちらの記事でもくわしく紹介しています。
自分に合うタイミングを見つける方法
ここまで紹介したのは、あくまで目安です。消化のスピードや、平気な量には個人差があります。
練習の日に試して、ふり返る
ACSMなどの声明では、運動前の食事の時間・量・中身は、選手一人ひとりの好みや体の反応に合わせて、前もって試しておくことがすすめられています。
1〜2週間続けると、「自分は2時間前におにぎり1個がちょうどいい」というように、自分のパターンが見えてくるはずです。



次の練習から、食べた時間をメモしてみます!
試合の日に、いきなり変えない
試合の日だけ、ふだんとちがう時間や食べ物にすると、お腹の調子をくずすことがあります。
秋田県スポーツ科学センターの資料でも、ふだんの練習のときから「補食のとり方の練習」をしておくことがすすめられています。
練習の日に見つけた自分のパターンが、そのまま試合の日の土台になるというわけです。試合当日の食事については、こちらの記事で紹介しています。
緊張して食べられないときは、飲めるものから
大事な練習試合の前など、緊張して固形物がのどを通らないこともあるでしょう。
ACSMなどの声明では、緊張しやすい選手や、時間が読めない場合には、消化の早い飲みものタイプのものが役立つとされています。
ゼリー飲料やスポーツドリンクなど、飲めるものから少しずつとってみてください。



ゼリー飲料なら、緊張していても飲めそうです!
家の人に食事を用意してもらっている選手は、「明日は13時から練習だから、昼ごはんを10時ごろに食べたい」と、自分から伝えてみましょう。
練習の時間を一番分かっているのは、自分自身です。
練習前の食事についてよくある質問
練習の前後にプロテインをどう使うかは、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ:練習の時間から逆算して食べる
この記事では、練習の何時間前に、何をどれくらい食べればいいかを、スポーツ栄養の声明や県のスポーツ科学センターの資料をもとに解説しました。
しっかりした食事は3〜4時間前、そこからは時間に合わせて補食でつなぎ、近づくほど軽くする。
| 練習までの時間 | ポイント |
|---|---|
| 3〜4時間前 | 主食・主菜・副菜のそろった食事 |
| 2時間前 | おにぎりやパンなど主食中心 |
| 1時間〜30分前 | バナナ・ゼリーなど軽いものを少し |
まずは次の練習の日に、「練習開始は何時か」「最後に食べたのは何時か」を確かめてみてください。あいている時間が3時間以上なら、おにぎりやバナナを1つ足すところから始めましょう。



練習の時間から逆算して、食べる時間を決めてみます!



自分に合うタイミングが見つかれば、練習の最後まで動けるよ。
参考にした資料
- Thomas DT, Erdman KA, Burke LM. Nutrition and Athletic Performance (Position of the Academy of Nutrition and Dietetics, Dietitians of Canada, and the American College of Sports Medicine), 2016
- 秋田県スポーツ科学センター スポーツコラム 2025年度第4号「試合期の食事」
- 秋田県スポーツ科学センター スポーツコラム 2024年度第2号「スポーツ選手の補食」
- Chryssanthopoulos C, et al. The effect of a high carbohydrate meal on endurance running capacity. International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism, 2002
- Lee JD, et al. The effect of pre-exercise carbohydrate supplementation on anaerobic exercise performance in adolescent males. Pediatric Exercise Science, 2011
- 文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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