- 9人もいるのに、選手と選手の間にボールが落ちてしまう
- 強打を拾っても、次の攻撃につながらないまま返すだけになる
- 誰がどこを守るのか、チームの中であいまいになっている
こんな悩みを解決します。
9人制の守備は、1人ずつの守備範囲と境目のルールを先に決めて、拾った球をコート中央へ高く上げることで安定します。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、人数が増えたチームほど、拾えない原因は動きの速さではなく約束のあいまいさにありました。
9人いれば守れるはずが、隣との間に落ちる。これは体力の問題ではなく、決めごとが足りないだけなんです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 9人制の守備が6人制と何が違うのかが分かる
- 誰がどこを守り、境目をどう消すのかが分かる
- 拾った1本目をどこへ返せば攻撃につながるかが分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:9人制の守備は、範囲を決めて境目を消す

先に結論からお伝えします。9人制で拾えるチームがやっているのは、持ち場を固定して、隣との境目を先に決めておくことです。
9人制にはローテーションがありません。だから守る場所を試合中に入れ替える必要がなく、1人ずつの持ち場をとことん決め込めます。
これは6人制にはない大きな利点になります。決め込めるのに決めていないチームが、いちばん拾えません。
サルくん9人もいるのに落ちるって、なんでですか?



人数ではなく、境目の約束が足りないんですよ。
- 約束①:サーブレシーブは中衛・後衛の6人で受ける
- 約束②:強打はブロックの締めたコースで役割を分ける
- 約束③:境目のボールは声と体の向きで先に決める
- 約束④:拾った1本目はコート中央へ高く上げる
この4つは、上から順に決めていくと噛み合います。1本目の返し先だけを話し合っても、守る場所が決まっていなければ形になりません。



場所ガ先 返シ先ハ後
9人制の守備が6人制と違う3つの前提
約束に入る前に、土台になる前提をそろえます。ここを6人制の感覚のままにすると、練習しても拾えるようになりません。
並びが変わらないから、守る場所を決め切れる
9人制は、試合が終わるまで立つ場所が固定されます。前衛の選手が後ろへ下がることも、後衛の選手が前へ出ることもありません。
つまり、1人ずつに「あなたはここを守る」と決めてしまえるということです。6人制のように、並びが変わるたびに守備範囲を組み替える手間がいりません。
守る場所が毎回同じなら、足の運び方も目線の高さも同じ形で練習できます。反応が速く見えるチームは、この積み重ねができています。



ずっと同じ場所なら、体が覚えますね。
1人が守る幅は狭く、そのぶん境目が増える
9人でコートを守るので、1人あたりの幅は6人制より狭くなります。走る距離が短くてすむのは、大きな利点です。
ただし、隣の選手との境目は6人制より多く生まれます。人が増えるほど、譲り合いが起きる場所も増えるわけです。
落ちるボールの大半は、この境目に来ています。動く速さではなく、境目の決め方が結果を分けます。



落チル場所ハ 人ト人ノ間
ブロックで触ると、そのチームの1回目に数えられる
9人制では、ブロックでボールに触れた時点で、それがそのチームの1回目のヒットになります。6人制とは反対の数え方です。
だからブロックで触れたら、残されているのは2回だけになります。守備側にとっては、つなぎの回数が1つ減るという意味です。
触った本人が声を出して味方に伝えるところまでを、守備の一部として決めておいてください。



ブロック接触ハ 1回目 残リ2回
ブロックの接触を回数に数える条文は、日本バレーボール協会がルールブックの案内を公開しています。
回数の数え方に迷ったときは、こちらの記事で整理しています。
約束①:サーブレシーブは中衛・後衛の6人で受ける
最初に決めるのは、サーブを誰が受けるかです。ここがあいまいだと、攻撃の準備までまとめて崩れます。
前衛3人は攻撃に残し、6人で面を作る
多くのチームでは、前衛の3人をネット際に残し、中衛と後衛の6人でサーブを受けます。前衛が下がってしまうと、助走に入る時間がなくなるからです。
6人で受けると、1人が守る幅はさらに狭くなります。だからこそ、無理に動かず止まって面を作ることを優先してください。
サーブレシーブは、アンダーで確実に返すのが基本になります。オーバーで弾く形は接触の時間が短く、面のわずかなズレがそのまま返球のミスにつながりやすいからです。



オーバーで取ったほうが速くないですか?



速さより、そろえる確実さを優先しますよ。
サイドライン際に立ちすぎない
立つ位置は、サイドラインぎりぎりを避けてください。サーバーから見ると、ライン際50cmへ速いサーブを通すのは難しく、そこを守っても打たれる本数は多くありません。
端に寄りすぎると、相手がいちばん打ちやすい中央のコースが空いてしまいます。守る幅を均等に割るのではなく、打たれやすい場所から埋めるのが基本です。
① 端に立ちすぎず、打たれやすい中央から埋める。
② 前後の迷いがある人は、少し前に立って下がりながら取る。
サーブを安定して返す基準は、6人制と共通です。
約束②:強打はブロックの締めたコースで役割を分ける


相手が攻撃してきたときは、9人が同じ守り方をしてはいけません。ブロックが締めているコースかどうかで、待ち方を分けます。
締めていないコースは、低く構えて目線を固定する
ブロックが塞いでいないコースには、強打がそのまま飛んできます。ここを守る選手は、足幅を広くして低く構えてください。
大事なのは、目の高さを一定に保つことです。構えの途中で体が上下すると、速い打球ほど落下点を読み違えます。
肘は体の前に置き、面がすぐ完成する形で待ちます。腕を後ろに引いたままだと、面を作るまでにボールが着いてしまいます。
締めているコースの後ろは、ハンズアップして待つ
味方がストレートを締めているコースの後ろは、強打を捨ててかまいません。締めている以上、そのまま打ち込まれる可能性は低いからです。
そのかわり、フェイント・ハーフショット・ワンタッチのすべてに反応する役割になります。
ブロックの上を抜けてくる球が、いちばん速く落ちてきます。
このとき、手のひらを顔の横から肩の前あたりに置いて待ってください。手を下げて構えると、ブロックの上を通る球に間に合いません。



しっかりとハンズアップして待ちなさい、といつも伝えています。



手を上げたまま待てばいいんですね!



締メタ後口ハ 手ヲ上ゲテ待ツ
フェイントやワンタッチへの反応は、こちらの記事でくわしく解説しています。
約束③:境目のボールは声と体の向きで先に決める
9人制でいちばん落ちるのは、選手と選手の間です。ここは技術ではなく、約束で消せます。
先に声を出して動いた人が取る
どちらも取れるボールは、先に声を出して動き出した人が取ります。あとから同じ球へ入ってきた選手は、その瞬間にカバーへ回ってください。
声は気合いではなく、味方に動いてもらうための情報です。短い言葉ほど速く伝わります。



2人とも声を出したらどうしますか?



先に動き出したほうが取る、で迷いませんよ。
ボールが近づいてくる側が取る
声が重なったときの2つ目の基準が、ボールの向きです。ボールが近づいてくる側の選手が取り、遠ざかる側はカバーに回ります。
遠ざかりながら取る形は体勢が苦しく、面が安定しません。同じ球でも、近づく側が入るだけで返球の質が変わります。
前後の間に落ちる球は、後ろの選手が取ると決めておくと迷いが消えます。後ろからのほうが、前へ動きながらボールを見られるためです。
① どちらも取れる球は、先に声を出して動いた人が取る。
② 声が重なったら、ボールが近づいてくる側が取る。
お見合いを防ぐ声かけの型は、こちらの記事にまとめています。
約束④:拾った1本目はコート中央へ高く上げる
拾えるようになったチームが次につまずくのが、返す場所です。ここを直すだけで、守備が攻撃に変わります。
セッターをピンポイントで狙わない
強打を拾うときは、上げる相手を点で狙わないでください。速い球に対して正確な角度を作ろうとすると、力んで面が振れます。
目標にするのは、アタックライン上のコート中央あたりです。ネットから4.5mほどの場所へ、高く上げることを最優先にします。
そこへ高く上がれば、味方が下に入って次の攻撃を組み立てられます。直接失点しなければ、その1本は合格です。



強打ハ 中央ヘ高ク
ブロックで触ったら、残りの2回を数える
ブロックで触れた球を拾ったときは、残っている回数が2回だけになります。つないでから上げ直す余裕はありません。
だから拾う人は、次の人がそのまま攻撃を作れる高さまで上げる必要があります。低く速く返すと、2回では形にならないまま返球で終わってしまいます。
触った選手が短く声を出し、残りの回数を全員で共有してください。この一言があるだけで、あわてた4回目の接触が減ります。



数え方が違うだけで、そこまで変わるんですか!?



残り2回だと分かって動くかどうかの差ですよ。
拾った球を攻撃につなげる形は、こちらの記事で解説しています。
守れない時に見直す順番
拾えない試合が続いても、飛び込む練習から増やさないでください。落ちている原因は、たいてい構える前の段階にあります。
上の3つが崩れたままだと、フライングや回転レシーブを増やしても本数は変わりません。応用の守備は、足で間に合わない球にだけ使うものです。
ベンチから見るときも、同じ順番で観察してください。拾えなかった選手は、自分の反応が遅いせいだと思い込んでいることが多いからです。



飛び込む前に、決めごとを見直すんですね。



原因は、たいてい1つ前にありますよ。
9人で守り切るための練習の組み方は、こちらの記事にまとめてあります。
よくある質問
まとめ:決めごとがそろえば、9人でコートは埋まる
9人制の守備は、持ち場と境目を決め、拾った球をコート中央へ高く上げるのが基本でした。人数の多さは、約束がそろって初めて力になります。
持ち場は固定。境目は声で先に決める。強打は中央へ高く。
| 約束 | やること | 効果 |
|---|---|---|
| 約束① | 中衛・後衛の6人で受ける | 前衛3人が攻撃に入れる |
| 約束② | 締めたコースの後ろは手を上げて待つ | ブロック上の球に間に合う |
| 約束③ | 声と向きで境目を決める | 人と人の間に落ちない |
| 約束④ | コート中央へ高く上げる | 拾った球が攻撃に変わる |
私が指導してきたチームでも、守備が安定するきっかけは決めごとの共有でした。9人制はその効果がいちばん出やすい競技だといえます。



まず、境目を決めるところから始めます!



そこがそろえば、9人の守りは一気に変わりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
9人制バレーについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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