- 部活で坂道ダッシュをするけれど、バレーのどこに効くのか分からない
- 何mの坂を何本走ればいいのか、目安が知りたい
- 坂道ダッシュのあと、膝やすねが痛くなることがある
こんな悩みを解決します。
坂道ダッシュは、ボールへ飛び出す一歩目の力を育てる練習として効果があります。ただし、長い坂を何本も走る「走り込み」にすると、その効果は薄れてしまいます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生以上の選手を指導してきましたが、動き出しが速い選手は、体を前に傾けたまま地面を強く押せる選手です。
坂道は、その押し方を自然に覚えられる場所になります。ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 坂道ダッシュがバレーのどんな動きにつながるのかが分かる
- 坂の選び方・距離・本数・頻度の目安が分かる
- 膝やすねを痛めないための注意点と、坂道だけでは足りない部分が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:坂道ダッシュは「短く・全力・歩いて戻る」

結論からお伝えします。バレーのための坂道ダッシュは、短い坂を全力で上がり、歩いて下りて休む練習です。
上り坂では、体を前に傾けないと進めません。しかも足を遠くに伸ばせないので、足の真下で地面を後ろへ押す走り方に自然となっていきます。
これは、構えからボールへ飛び出すときの体の使い方とよく似ているんですよね。平らな道で同じことを意識するより、坂のほうがずっと覚えやすくなります。
サルくん体力をつける練習だと思っていました!



走り方を覚える練習として使うと、バレーに生きてきますよ。
一方で、長い坂を何本もくり返すと、今度は持久走に近い練習に変わっていきます。一歩目の速さを伸ばしたいなら、1本は短く区切ってください。
- 1本は5〜8秒で走り切れる短い坂にする
- 毎回全力で走り、下りは歩いてしっかり休む
- 走る本数を増やすより、フォームを崩さないことを優先する
この3つを守れば、1回15分ほどで終わります。反対に、疲れ切るまで走ると、フォームが崩れて膝やすねに負担が残るだけになってしまいます。
坂道ダッシュがバレーに効く3つの理由
なぜ坂道ダッシュがバレーに向いているのか、理由は3つあります。ここを知っておくと、走る目的がはっきりします。
理由1:体を前に倒したまま押す感覚がつかめる
1つ目は、一歩目の体の使い方です。速く動き出す選手は、体を起こさずに前へ倒れ込みながら、地面を後ろへ押しています。
平らな場所では、走り出してすぐに体が起き上がってしまう選手が少なくありません。上り坂なら、体を起こすと前へ進めなくなるので、前傾の姿勢を保ったまま走る形になります。
この感覚が身につくと、レシーブで前のボールへ飛び出すときにも、体が浮かずに低く出られるようになります。



坂道ハ 前傾ヲ 自然ニ作ル
一歩目が遅くなる原因そのものは、こちらの記事でくわしく解説しています。
理由2:お尻と太ももの裏で押す力がつく
2つ目は、使う筋肉です。坂を上がるときは、平らな道より強くお尻と太ももの裏(ハムストリングス)を使います。
この2つは、構えから飛び出すときにも、ジャンプの踏み切りでも働く筋肉です。器具を使わずに、走りながら押す力をまとめて鍛えられるのが坂道の良さになります。



踏み切りと同じ筋肉を使っているんですね!



走るだけで、跳ぶ土台にもつながっていきますよ。
太ももの裏を中心にした鍛え方は、こちらにまとめています。
理由3:着地の衝撃が平らな道より小さい
3つ目は、体への負担です。上り坂では、足が地面に着くまでの落差が小さくなるため、着地の衝撃が平らな道より小さくなります。
全力で走っても、膝や足首にかかる衝撃をおさえやすいのは大きな利点です。成長期の選手にとって、スピードを出す練習を安全に積める方法の1つといえるでしょう。
ただし、これは上りだけの話です。下り坂を走ると、反対に膝への負担は大きくなります。



下りも走ったほうが、練習になると思っていました。



下りは歩いて、次の1本のために休む時間にしましょう。
坂道ダッシュの正しいやり方


ここからが実際のやり方です。走る前に、軽いジョギングと体操で体を温めておいてください。
坂はゆるく短いものを選ぶ
まずは坂の選び方です。目安は、歩いて上るとふくらはぎが少しきつく感じるくらいの、ゆるい上り坂。距離は20〜30mもあれば十分です。
急すぎる坂は、腰が引けて前傾の姿勢が崩れます。長すぎる坂は、後半でスピードが落ちて全力で走れなくなります。



急スギル坂ト 長スギル坂ハ 避ケル
場所は、車の通らない公園や河川敷の坂がおすすめです。道路の坂を使う場合は、車や自転車の少ない時間を選んでください。
構えから飛び出してスタートする
次に、スタートの仕方です。陸上のスタートではなく、バレーの構えから走り出すのがポイントになります。
足を肩幅より広く開いて腰を落とし、母指球(足の親指のつけ根)に体重を乗せた姿勢から、前へ倒れ込むように出てください。
構えから前へ倒れ込み、その勢いのまま最初の数歩を小さく速く刻みます。
これが、コートでの一歩目と同じ動きになります。
腕を前後に振って上がり切る
最後は、上がり方です。肘をだいたい直角に曲げ、腕を前後に大きく振ってください。
腕の振りが小さくなると、脚も前に出にくくなります。坂の上までスピードを落とさず、上がり切ってから止まることを目標にしましょう。
目線は2〜3m先の地面に置きます。坂の上ばかり見ると、あごが上がって体が反ってしまいます。



目線ハ 足元ノ少シ先
平らな道での走り方のコツは、こちらの記事でくわしく紹介しています。
坂道ダッシュの本数と頻度の目安
形が決まったら、次は量です。ここを間違えると、速くなる練習が疲れるだけの練習に変わってしまいます。
1回5〜8本、下りは歩いて休む
まず1回の量です。20〜30mの坂を、5〜8本走れば十分です。
1本ごとに、歩いて下りる時間をしっかり休みにあてます。息が整い、次の1本も全力で走れる状態になってから走り出してください。
| 目的 | 坂の長さ | 本数と休み方 |
|---|---|---|
| 一歩目を速くしたい | 20〜30m(5〜8秒) | 5〜8本・歩いて下って休む |
| はじめて取り入れる | 10〜20m | 3〜5本・呼吸が整うまで休む |
| 試合が近い週 | 10〜20m | 2〜3本・フォームの確認だけ |
週1〜2回、練習のない日か練習前半に入れる
次に頻度です。坂道ダッシュは脚への負担が大きいので、週1〜2回で足ります。
全力で走る練習は、体が疲れていないときに行うほど効果が出ます。部活が休みの日か、ボール練習の前半に短く入れるのがおすすめです。
練習の最後に疲れ切った状態で走ると、フォームが崩れたまま体が覚えてしまいます。



毎日走れば、そのぶん速くなると思っていました。



休んだ次の日のほうが、脚はしっかり動きますよ。
走り込みの罰にしない
最後に、やり方の考え方です。坂道ダッシュは、ミスをしたときの罰として何本も走らされる場面もあります。
しかし、疲れ切るまで走っても、一歩目は速くなりません。つらいだけの練習が続けば、バレーそのものが嫌になってしまうかもしれません。
坂道ダッシュは、我慢の強さを試す練習ではありません。
速く動き出す体の使い方を覚える練習です。
坂道ダッシュでよくある3つの失敗
うまく効果が出ないときは、たいてい次の3つのどれかです。1つずつ見ていきます。
失敗1:長い坂を何本も走っている
いちばん多いのが、長い坂をくり返すパターンです。100m以上の坂を何本も走ると、後半はスピードが出ず、持久走に近い練習になります。
体力をつける練習としては意味がありますが、一歩目の速さにはつながりにくくなります。スピードを伸ばしたい日は、1本を短く区切ってください。
試合の後半まで動ける体力づくりには、別のやり方が向いています。
失敗2:体が反って、あごが上がっている
次に多いのが、上半身の形です。つらくなってくると、あごが上がって体が後ろに反っていきます。
この形では、地面を押す力が上に逃げてしまいます。目線を足元の少し先に戻し、胸をやや前に向けて走ってください。



最後のほうは、空を見て走っていました…



目線を下げるだけで、体は前に傾きますよ。
失敗3:下り坂も走って戻っている
最後は、戻り方です。時間を短くしようとして、下り坂も走って戻る選手がいます。
下り坂を走ると、着地のたびに膝やすねへ大きな衝撃がかかります。成長期の選手は、膝の下やすねの内側が痛くなる原因になりかねません。
痛みが出たときは走るのをやめ、無理をせず休んでください。
坂道ダッシュだけでは足りない部分
ここまで坂道ダッシュの良さをお伝えしてきましたが、これ1つで守備の動きが完成するわけではありません。
横・後ろへの動きは別に練習する
まず、動く方向です。坂道ダッシュで鍛えられるのは、前へまっすぐ飛び出す動きだけになります。
バレーでは、横や斜め後ろへ動く場面も少なくありません。方向を変えながら動く力は、コートの中で別に練習してください。
ボールを見て反応する練習と組み合わせる
次に、反応です。坂道では合図を待たずに自分のタイミングで走り出せますが、試合ではボールや相手の動きを見てから動きます。
相手が打つ瞬間に軽く跳ねてから動き出す「スプリットステップ」を身につけると、坂で覚えた一歩目をコートで生かせます。



坂で走り方、コートで反応を練習してみます!



その組み合わせで、一歩目は速くなっていきますよ。
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よくある質問
まとめ:本数ではなく、全力で走れたかで見る
坂道ダッシュは、何本走ったかを競う練習ではありません。短い坂を、毎回全力で上がれたかを見てください。
短く走る。全力で上がる。歩いて下る。
| つまずくところ | 直し方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 後半にスピードが落ちる | 坂を20〜30mに短くする | 長い坂を何本も走らない |
| 体が起き上がる | 構えから前へ倒れ込んで出る | 陸上のスタートにこだわらない |
| あごが上がる | 目線を2〜3m先の地面に置く | 坂の上ばかり見ない |
| 膝やすねが痛む | 下りは歩き、本数を減らす | 痛みが続くなら整形外科へ |
| コートで生きない | スプリットステップを合わせる | 前以外の方向も練習する |
私の指導現場でも、動き出しが速い選手は、最初の数歩で体を起こさずに地面を押しています。その土台は、こうした地道な走り方の練習で作られていきます。
必要なのは短い坂が1つと、15分ほどの時間だけ。週に1〜2回、ぜひ練習に入れてみてください。
そのうえで、横への動きや反応の練習も並行して進めていきましょう。走り方と反応がそろえば、ボールへの一歩目は変わってくるはずです。



まずは短い坂を5本、全力で走ってみます!



下りは歩いて休むことも忘れないでくださいね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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