- 子どもがバレーを始めたけれど、自分は未経験で何も分からない
- 練習を見ていても、上手いのか下手なのかすら判断できない
- 周りの保護者が経験者ばかりで、話についていけない
こんな悩みを解決します。
未経験の親がまずやることは、技術を覚えることではなく家の中を整えて、体育館では見るだけにすることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、保護者の方から「自分は未経験なので何もしてあげられない」という相談を受けることがあります。
そのたびにお伝えしているのは、伸びる選手の家庭が特別なことをしているわけではないということです。
技術は体育館で身につきます。家でしか作れないものが、別にあるんです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 未経験の親が担当すべき範囲がはっきり分かる
- 観戦のために覚えるルールの最低ラインが分かる
- 試合の後にかける言葉の型が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:未経験の親の役割は「環境・観察・言葉」の3つ
未経験だからできることが少ない、ということはありません。役割が違うだけです。
技術指導は指導者の担当で、家庭の担当はその手前にあります。ここを分けて考えると、やることがはっきりします。
- 環境:道具・食事・睡眠・予定を整える
- 観察:体調と表情の変化に気づく
- 言葉:練習と試合の後にかける一言を決めておく
この3つはどれも、経験の有無と関係ありません。むしろ毎日同じ屋根の下にいる人にしかできない仕事です。
逆に、フォームの善し悪しを判定する仕事は家庭には回ってきません。そこを無理に引き受けようとすると、あとで説明する失敗が起きます。
はじめてバレーに関わる家庭ほど、この線引きが曖昧なまま時間が過ぎていきます。何をどこまでやればいいのかが決まっていないので、すべてが気になってしまうんです。
先に担当を決めてしまえば、迷う時間がなくなります。決めた範囲の中では、未経験でもできることばかりです。
うさママ何も教えられないのが、ずっと引け目でした。



教える係は最初から別にいますよ。家には家の担当があります。
未経験は不利ではなく、担当が違うだけです。
親が技術を教えようとすると、かえって伸びが止まる
未経験の親が動画やネットで調べて、家で教えようとする場面があります。気持ちは分かるのですが、これは高い確率で逆効果になります。
理由は2つあります。どちらも子どもの側に起きる問題です。
家と体育館で言うことが違うと、子どもが迷う
指導者にはその日の練習の狙いがあります。腕を振らせない日もあれば、あえて大きく振らせる日もあります。
家庭で調べた情報は、その日の狙いとは無関係に届きます。子どもの中では、どちらを信じるかという問題に変わってしまいます。
迷った選手は動きが止まります。考えながら打つと、体はいちばん遅くなるんです。
指導者の言葉が届かなくなるのも困ります。せっかく体育館で伝えたことが、家で上書きされてしまうためです。
どうしても気になる点があるときは、子どもに伝えるのではなく、指導者に直接たずねてください。そのほうが早く解決します。



お母さんと監督で言うことが違うと、どっちを聞けばいいのか分からない…。
親が正解を持つと、子どもが自分で考えなくなる
家に「正解を教えてくれる人」がいると、子どもは自分で考えるのをやめます。聞いたほうが早いからです。
伸びる選手は、練習中に自分で試して、自分でずらして、また試しています。この作業を取り上げてしまうと、上達の速度は落ちます。
未経験の親は正解を持っていません。これは弱点ではなく、子どもに考える余地を残せるという意味では有利に働きます。



知らないほうが良いこともあるんですね。



聞き役に回れるのは、大きな強みですよ。
家では答えを渡さず、質問を返すほうが伸びます。
分からないことを子どもに聞いてみてください。説明しようとする過程で、本人の頭の中が整理されます。
観戦のために覚えるルールは3つで足りる
試合を見に行くと、周りの保護者が声を上げている場面で自分だけ状況が分からない、ということがあります。
ただ、応援するために全部のルールを覚える必要はありません。次の3つが分かれば、試合の流れは追えます。
得点は25点先取で、2点差がつくまで続く
1セットは25点を先に取ったほうが勝ちです。ただし24対24になったときは、2点差がつくまで続きます。
セットは3セット先取が基本で、最終セットだけ15点になります。大会によって本数が変わるので、要項を確認してください。
ボールは3回以内に相手コートへ返す
自分たちのコートでボールに触れるのは3回までです。3回で返すために、拾う・上げる・打つの役割が分かれています。
ブロックで触れた回数は数に入りません。ここを知っていると、混戦の場面でも流れが読めるようになります。
同じ人が続けて2回触るのも反則です。だから1本のボールに3人が関わる形になり、つなぐスポーツと言われます。
6人が時計回りに1つずつ移動する
サーブ権を取ると、コート上の6人が時計回りに1つずつ移動します。これがローテーションです。
だから背の高い選手が前にいる時間と、後ろにいる時間が交互に来ます。子どもの立ち位置が試合中に変わるのは、この決まりのためです。



ずっと同じ場所にいるものだと思っていました!



ここが分かるだけで、見え方はかなり変わりますよ。
この3つ以外の細かい判定は、審判と選手が分かっていれば足ります。正式なルールは日本バレーボール協会(JVA)が公開しているので、気になったときに確認してみてください。
私が保護者の方に最初にお伝えするのも、この3つだけです。全部を覚えようとすると続かないので、まず流れが追える状態を作ってください。
ルールをもう少し知りたくなったら、こちらにまとめてあります。
家で整えるのは道具・体・予定の3つ
ここが未経験の親のいちばんの仕事です。体育館では手が出せませんが、家の中は家庭にしか触れません。
私がスクールで保護者の方に伝えている順番があります。上から埋めていくと、抜けが出にくくなります。
道具は「体を守るもの」から先にそろえる
最初にそろえるのはシューズと膝サポーターです。どちらも体を守る側の道具なので、後回しにしないほうが安心です。
ボールやウェアは、チームの指定を確認してからで間に合います。買ってから使わない、という失敗が減ります。
サイズが合っていない道具は、動きの邪魔になります。足のサイズは半年で変わるので、様子を見て買い替えてください。
シューズの底のすり減り方も、たまに見てください。溝が消えていると体育館の床で滑るので、怪我につながります。



まだ履けそうに見えると、つい買い替えを先延ばしにしてしまって…。



底の溝だけ見てください。そこが消えていたら替えどきです。
体は食事と睡眠で作られる
練習量が増えると、それまでと同じ食事では足りなくなります。量を急に増やすのではなく、食べる回数を分けるほうが続きます。
睡眠も同じで、時間が確保できているかを先に見てください。疲れが抜けない時期は、練習内容より生活のほうに原因があることが多いです。
特定の食品やサプリで強くなるということはありません。食事が基本で、それを補う位置づけとして考えてください。体調が続けて悪いときは、自己判断せず医師にご相談ください。
予定と費用は1年単位で見ておく
送迎・遠征・合宿は、年間で見ると量が読めます。月ごとに考えると、急な出費に見えてしまいます。
かかる金額のおおよそを先に把握しておくと、後から慌てずに済みます。ここも未経験かどうかとは無関係にできる準備です。



家ガ整ウト練習ノ質モ上ガル
未経験の親がやりがちな3つの失敗
悪気がないぶん、気づきにくい行動があります。相談を受ける中でよく出てくるものを3つ挙げます。
体育館で声を出して指示してしまう
コートの外から「もっと前!」と声をかけると、子どもは指導者ではなく親を見るようになります。
視線が客席に向いた瞬間、プレーの判断は遅れます。応援の声と指示の声は、まったく別のものとして扱ってください。
他の子と比べた言い方をしてしまう
「あの子はもう試合に出ているのに」という言い方は、本人がいちばん気にしている場所を突きます。
比べる相手は、先週の本人です。この基準に変えるだけで、家の中の会話は落ち着きます。
出番の数はチーム事情でも決まります。本人の努力とは別のところで動く数字なので、家庭で追いかけないほうが健全です。
分からないまま指導者への不満を口にしてしまう
練習の意図が見えないと、方針に疑問を持つことがあります。ただ、それを子どもの前で言うと、本人が指導者を信じられなくなります。
聞きたいことがあるなら、直接たずねるのが早いです。伝え方には順番があるので、こちらも参考にしてみてください。



つい3つとも当てはまっていました…。



気づけた時点で十分です。次の試合から変えれば間に合いますよ。
試合の後は「感想」ではなく「質問」から入る
未経験の親がいちばん困るのは、試合の後にかける言葉です。内容の善し悪しが分からないので、何を言えばいいか迷います。
ここは型で解決できます。感想を言おうとするから止まるので、質問から入ってください。
最初の一言は「どうだった?」で止める
帰り道の最初の一言は「どうだった?」で十分です。評価を含まない問いなので、本人が話す内容を選べます。
話したくない日は「別に」と返ってきます。そこで追わないでください。話す準備ができた日に、必ず本人から出てきます。
負けた日ほど、口数は減ります。悔しさを整理している時間なので、静かにしておくのも立派な支え方です。
良かった場面を1つだけ具体的に伝える
質問のあとに、見ていて良かった場面を1つだけ伝えます。得点した場面である必要はありません。
拾いに行った・声を出していた・落ち込んだ後に切り替えた。こうした部分は未経験でも見えます。むしろ技術が分からないほうが、態度の変化に目が行きます。
① 最初は「どうだった?」と質問から入る。
② 良かった場面を1つだけ具体的に伝える。
③ 直す点は言わない。
3つ目が難しいところですが、直す点は指導者から伝わっています。家庭まで同じことを言うと、休む場所がなくなります。



帰りの車で「どうだった?」って聞かれるの、実はうれしいんだ。
よくある質問
まとめ:未経験でも担当できる範囲は決まっている
未経験の親ができることは、技術を教えることではありません。家の中を整えて、変化に気づいて、試合の後に一言かけることです。
体育館では見るだけ、家では整える。これで役割は足ります。
| 場面 | やること | やらないこと |
|---|---|---|
| 練習・試合中 | 表情と体調を見る | コートの外から指示を出す |
| 家の中 | 道具・食事・睡眠を整える | フォームを教える |
| 試合の後 | 質問から入り、良かった点を1つ伝える | 直す点を重ねて言う |
| 年間の準備 | 予定と費用の見通しを立てる | 月ごとに慌てて考える |
保護者の方から相談を受けるたびに感じるのは、未経験であることを気にしている家庭ほど、よく見ているということです。
見えていないのは技術の細部だけで、子どもの状態はいちばん近くで見えています。そこを担当してもらえれば、体育館の側は安心して技術を任せられます。



まずは道具と、帰りの一言から始めてみます。



それで十分です。続けているうちに、見えるものは自然に増えていきますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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