- 合宿や遠征で、宿の食事をどれくらい食べればいいのか分からない
- バイキングだと、好きなものばかり取ってしまう
- 練習のあとにおなかがすいたとき、コンビニで何を買えばいいか迷う
こんな悩みを解決します。
合宿・遠征の食事は、宿の食事をしっかり食べ、足りないものをコンビニや持ってきた食べもので足すのが基本です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
この記事では、農林水産省の「食事バランスガイド」や消費者庁の食中毒予防の資料、海外のスポーツ機関が出している遠征時の食事のポイントをもとに、合宿・遠征で選手が自分でできる食べ方を解説します。
家を離れても食事のリズムをくずさなければ、合宿の最終日まで動ける体を保ちやすくなります。ぜひ参考にしてみてください。
- 合宿・遠征で食事がくずれやすい理由がわかる
- 宿の食事(定食・バイキング)の食べ方がわかる
- コンビニで足すもの、持っていくと便利なものがわかる
結論:宿の食事を軸に、足りないものを足す
結論からお伝えします。合宿・遠征の食事は、宿の食事を毎回しっかり食べ、足りないものだけをコンビニなどで足すと考えるのがおすすめです。
アスリートの食事では、主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物の5つをそろえるのが理想とされています。宿の食事は主食と主菜がそろいやすい一方で、牛乳・乳製品や果物は少なくなりがちです。
そこで、宿の食事を「土台」、コンビニや持ってきた食べものを「足りない分を足すもの」と分けて考えてみてください。
サルくん合宿だと、ついお菓子やジュースばかり買ってしまいます…。



まずは宿のご飯をしっかり食べよう。買うのは足りないものだけでいいんだ。
- 合宿・遠征では、食事の時間・料理・量がいつもと変わる
- 宿の食事を残さず食べ、主食はふだんどおりの量を確保する
- バイキングでは5つのグループを1皿ずつ集める
- コンビニでは牛乳・乳製品・果物・おにぎりを足す
- 手洗いと「買ったら早めに食べる」で食中毒を防ぐ



ヤド ノ ショクジ ガ ドダイ タリナイモノ ヲ タス
合宿・遠征で食事がくずれやすい3つの理由
まずは、合宿・遠征で食事がくずれやすい理由を知っておきましょう。理由が分かると、どこに気をつければいいかが見えてきます。
食事の時間がいつもと変わる
合宿では、朝早くから練習が始まったり、練習が長引いて夕食がおそくなったりと、食事の時間がふだんと変わりやすくなります。
遠征では、バスや電車での移動が長く、食事と食事の間があいてしまうこともあります。
アメリカのオリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)の栄養チームは、遠征時の資料で食事と食事の間に食べる補食を持っていくことをすすめています。
おなかがすきすぎる時間をつくらない準備が大切です。



バスの移動中に、おなかがペコペコになったことがあります…。
食べ慣れない料理が出る
宿の食事には、ふだん家では食べない料理が出ることもあります。
オーストラリアのニューサウスウェールズ州スポーツ研究所(NSWIS)は、家を離れてもふだん練習期間に食べているものにできるだけ近い食事を続けるようにすすめています。
食べ慣れない料理は、おなかの調子をくずすきっかけになることがあります。特に試合が近い日は、なじみのある料理を中心に食べるようにしましょう。



合宿でも、家で食べているような料理を中心に選べば大丈夫。
量が決まっている・好きなだけ取れる
宿の食事は、定食のように量が決まっている形と、バイキング(ビュッフェ)のように好きなだけ取れる形があります。
量が決まっている場合は、練習量が多い日には足りなく感じることがあります。
反対にバイキングでは、好きなものばかり取ってかたよったり、食べすぎたりしやすくなります。



同じ合宿でも、食事の形で気をつけることが変わるんですね!
宿の食事の食べ方
ここからは、宿の食事の形ごとに、食べ方のコツを紹介します。
定食形式は残さず食べ、ご飯で量を調整する
定食のように1人分が決まっている場合は、まず出された料理を残さず食べることを目標にしましょう。
宿の食事は、主食・主菜・副菜がそろうように作られていることが多いからです。
練習量が多くて足りないと感じたら、ご飯のおかわりができるか宿の人に聞いてみてください。ご飯などの主食は、練習で使うエネルギーのもとになります。
練習量とご飯の量の目安は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
バイキングは5つのグループを1皿ずつ集める
バイキングでは、農林水産省の「食事バランスガイド」の考え方を使うと迷いにくくなります。料理は、次の5つのグループに分けて考えます。
| グループ | 1つの目安 | バイキングでの例 |
|---|---|---|
| 主食 | おにぎり1個・食パン1枚 | ご飯・パン・麺 |
| 副菜 | 野菜の小鉢1皿 | サラダ・おひたし・野菜の煮物 |
| 主菜 | 卵料理1皿・納豆1パック | 焼き魚・肉料理・卵料理・豆腐 |
| 牛乳・乳製品 | 牛乳コップ半分・ヨーグルト1パック | 牛乳・ヨーグルト・チーズ |
| 果物 | みかん1個・りんご半分 | 果物・100%ジュース |
※「1つの目安」は農林水産省「食事バランスガイド」料理区分の説明より。
取り方のコツは、まず主食、次に主菜、そして副菜・牛乳乳製品・果物の順に皿を集めることです。
好きなものから取り始めると、皿がいっぱいになって副菜や果物が入らなくなりがちです。
鳥取県のジュニアアスリート向けのスポーツ食育プログラムでも、ビュッフェ形式で5つのグループがそろうように料理を選び、自分に合った量を知る実習が組まれています。



5つのお皿を集めるゲームだと思えば、選びやすいですね!
バイキングでも量はふだんどおりを目安にする
バイキングでは、ついいつも以上に取りたくなります。NSWISの資料でも、量はふだん食べている量に合わせることがすすめられています。
食べすぎると、次の練習でおなかが重く感じることがあります。主食はふだん家で食べている量、おかずは揚げ物ばかりにならないようにと決めておくと、取りすぎを防げます。
反対に、食欲がなくても主食を少なくしすぎないようにしましょう。食べられないときは、おにぎりやバナナなどを補食で足して、1日の合計で量を確保してください。
練習や試合の前の食事は脂の多い料理をひかえる
練習や試合の前の食事では、揚げ物や脂の多い肉料理はひかえめにしましょう。脂質の多い料理は消化に時間がかかり、体を動かすときにおなかが重く感じることがあります。
練習前に食べる時間と量の目安は、こちらの記事でまとめています。



練習の前は、ご飯や麺を中心に、脂の少ないおかずを選ぶといいよ。
足りないものはコンビニと持ち物で足す
宿の食事だけでは足りないものは、近くのコンビニやスーパーで足しましょう。何を足すかは、宿の食事で少なかったものから考えます。
| 足りないもの | コンビニで選べる例 |
|---|---|
| 牛乳・乳製品 | 牛乳・ヨーグルト・チーズ |
| 果物 | バナナ・カットフルーツ・100%果汁ジュース |
| 主食(エネルギー) | おにぎり・パン・カステラ |
| 主菜(たんぱく質) | ゆで卵・サラダチキン・豆腐 |
| 副菜 | カット野菜のサラダ・野菜スープ |
牛乳・乳製品と果物を優先する
日本スポーツ振興センターのスポーツメディカルセンターは、出前などを使うときの資料で、牛乳・乳製品や果物はとりづらいので、スーパーやコンビニで買って用意しておくようにすすめています。
宿の食事でも同じことが起こりやすいので、コンビニではまず牛乳・ヨーグルトと果物を探してみてください。NSWISの資料でも、遠征中は1日に少なくとも1つは果物を食べることがすすめられています。
練習後の補食はおにぎりと牛乳が基本
練習が終わってから夕食までに時間があくときは、補食を食べましょう。
おにぎりやバナナで主食を、牛乳やヨーグルトでたんぱく質を足す組み合わせが選びやすいです。お菓子や甘い飲みものだけで済ませると、夕食が食べられなくなったり、必要な栄養が足りなくなったりします。
練習後に食べるタイミングや、コンビニで選べる高タンパク食品は、こちらの記事で紹介しています。



コンビニでは、まず牛乳と果物を探します!



いいね。宿のご飯で足りないものを考えてから選ぶのがコツだよ。
常温で持ち歩ける補食を持っていく
コンビニが近くにない宿や、長い移動がある遠征では、食べものを自分で持っていくと安心です。
持っていく食べものは、常温で持ち歩けて、個包装になっているものを選びましょう。たとえば、次のようなものです。
- 個包装のゼリー飲料
- クラッカーやビスケット
- ドライフルーツ
- 小さいパックの100%果汁ジュース
USOPCの資料でも、遠征先で手に入りにくい栄養をおぎなう食べものを、バッグに入れて持っていくことがすすめられています。
手作りのおにぎりやサンドイッチ、生ものは、暑い時期に長時間持ち歩くと傷みやすいので気をつけてください。
水筒と手をきれいにする道具も持っていく
遠征中の移動でも、のどがかわく前に少しずつ水分をとりましょう。水筒があると、移動中や宿でもこまめに飲めます。
また、ウェットティッシュや手指の消毒用品があると、手を洗えない場所でも食べる前に手をきれいにできます。NSWISとUSOPCの資料でも、手指の消毒用品を持ち歩くことがすすめられています。
練習中の水分補給の量とタイミングは、こちらの記事を参考にしてください。



ウェットティッシュも、食事のための持ち物なんですね!
食中毒と体調不良を防ぐための注意
合宿・遠征中に体調をくずすと、練習にも試合にも参加できなくなってしまいます。食事で気をつけたいことを3つ紹介します。
食中毒予防の3原則を覚えておく
消費者庁は、食中毒を防ぐために、食中毒菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」ことが大切だとしています。
選手が合宿・遠征中にできることに置きかえると、次のとおりです。
| 原則 | 合宿・遠征でできること |
|---|---|
| つけない | 食べる前に石けんで手を洗う |
| 増やさない | 買ったものは早めに食べる・冷やす必要があるものは冷蔵庫へ |
| やっつける | 肉や魚はしっかり火が通ったものを食べる |
消費者庁の資料では、冷蔵庫は10℃以下に保つことが目安とされています。
部屋に冷蔵庫がない宿では、牛乳やヨーグルトなど冷やす必要があるものは、買ったらすぐ食べるようにしましょう。
試合前は生ものや食べ慣れないものをひかえる
試合が近い日は、刺身などの生ものや、初めて食べる料理はひかえるようにしましょう。
食べ慣れたものを選んでおけば、おなかの調子をくずすきっかけを減らせます。試合前日と当日の食事は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
体調が悪いときはすぐに指導者に伝える
おなかが痛い、気持ちが悪い、熱っぽいなど、体調がおかしいと感じたら、がまんせずにすぐ指導者に伝えましょう。
合宿や遠征では、チームで同じ食事をとっています。自分の体調を早く伝えることは、チームのみんなを守ることにもつながります。



言い出しにくくても、早く伝えるのがチームのためなんだ。
症状がつらいときや続くときは、医師の診察を受けてください。



タイチョウ ガ ワルイトキハ スグ ツタエル
合宿の1日の食事の流れの例
ここでは、1日に2回練習がある合宿を例に、食事の流れを紹介します。時間や量は、自分の練習量やおなかのすき具合に合わせて調整してください。



1日の流れが分かると、何を買っておけばいいか決めやすいです!
合宿・遠征の食事についてよくある質問
まとめ:宿の食事を土台に、足りないものを足そう
この記事では、合宿・遠征の食事の考え方と、宿の食事・コンビニ・持ち物の使い方を紹介しました。
合宿・遠征では、宿の食事をしっかり食べ、足りないものをコンビニや持ってきた食べもので足す。
| 場面 | ポイント |
|---|---|
| 定食形式 | 残さず食べ、足りなければご飯をおかわり |
| バイキング | 5つのグループを1皿ずつ、量はふだんどおり |
| コンビニ | 牛乳・乳製品・果物・おにぎりを優先 |
| 持ち物 | 常温で持てる補食・水筒・手をきれいにする道具 |
| 体調管理 | 手洗い・買ったら早めに食べる・不調はすぐ伝える |
まずは次の合宿の前に、持っていく補食と、宿の近くにコンビニがあるかを確認するところから始めてみてください。
家を離れても自分で食事を整えられる選手は、合宿の最終日や大会の決勝まで、力を出し切れるはずです。



次の合宿では、5つのお皿を集めてみます!



自分で食事を選べる力は、これから先の遠征でもずっと役に立つよ。
参考にした資料
- 農林水産省「食事バランスガイド」料理区分の説明(実践食育ナビ)
- 消費者庁「食中毒(細菌・ウイルス)」食品安全に関する総合情報サイト
- 厚生労働省 広報誌「厚生労働」2019年3月号「身近な危険 食中毒」
- 日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター スポーツメディカルセンター栄養グループ「アスリートがデリバリーを活用するときのポイント」(2021年・PDF)
- 鳥取県「スポーツ食育」プログラム(PDF)
- NSW Institute of Sport「Athletes guide to eating away from home」(2019年・英語)
- USOPC Sport Nutrition Team「Travel Nutrition」(2020年・英語・PDF)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
食事・栄養については他にも記事を書いています。
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