- ジャンプの着地で、膝や足首を痛めないか不安がある
- 正しい着地のやり方を、ちゃんと教わったことがない
- 着地のときに膝が内側に入っていると言われたことがある
こんな悩みを解決します。
ジャンプの着地は、両足でやわらかく降りて、膝とつま先を同じ向きにそろえるのが基本です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
高く跳ぶ力と同じくらい大切なのが、安全に降りる力です。どれだけ跳べても、着地でけがをしてしまえば、練習も試合も続けられません。
この記事では、海外の研究をもとに、膝を守る着地のやり方と、気をつけたい危ない形を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- 膝と足首を守る着地の基本の形が分かる
- けがにつながりやすい危ない着地の形を知れる
- 自分の着地をチェックして、直していく方法が分かる
結論:着地は「両足・やわらかく・膝とつま先を同じ向き」
結論からお伝えします。安全な着地は、両足で同時に降りて、膝を曲げて衝撃を受け止め、膝とつま先を同じ向きにそろえることです。
バレーは、1試合や1回の練習で何十回も跳ぶ競技です。跳んだ回数だけ着地があるので、1回ごとの着地の質が、そのまま膝や足首の負担につながります。
サルくん跳ぶことばかり考えていて、降り方は意識していませんでした…!
- 両足で同時に降りる
- つま先側から降りて、かかとまでつける
- 膝とつま先を同じ向きにそろえる
- 膝と股関節を曲げて、やわらかく受け止める



着地は、次のプレーへのスタートでもあるよ。
ここからは、着地が大事な理由、4つのポイント、危ない形、チェックの方法、練習のやり方の順に見ていきます。
なぜ着地が大事なのか|研究でわかったけがとの関係
まずは、着地とけがの関係について、研究で分かっていることを紹介します。
足首の捻挫の多くはネット際の着地で起きている
Bahr らの研究(1994年・アメリカのスポーツ医学の専門誌)では、ノルウェーの上位2リーグのバレー選手318人を対象に、足首の捻挫を調べました。
その結果、捻挫の86%はネット際で起きていて、その多くはブロックやスパイクの着地のときだったと報告されています。
内訳を見ると、ブロックのあとの着地が63%、スパイクのあとの着地が29%でした。また、捻挫した選手の78%は、同じ足首を前にも痛めたことがありました。



ネンザノ 86% ハ ネットギワ
ネット際では、相手や味方の足の上に降りてしまうことがあります。足首を一度痛めると、くり返しやすいことも分かってきています。



一度ねんざすると、また同じところを痛めやすいんですね…。
研究チームは、ルールの工夫や技術の練習、テーピングやサポーターで、こうしたけがを減らせる可能性があると述べています。
捻挫をしてしまったときの対処は、こちらの記事で解説しています。
膝が内側に入る着地は前十字靱帯のけがと関係する
膝のけがで特に気をつけたいのが、膝の中にある前十字靱帯(ぜんじゅうじじんたい)のけがです。一度切れると、手術や長いリハビリが必要になることが多い大きなけがです。
Hewett らの研究(2005年・アメリカのスポーツ医学の専門誌)では、サッカー・バスケットボール・バレーボールの女子選手205人の着地の動きを、事前に計測しました。
その後、9人が前十字靱帯を切っていました。
この9人を調べると、着地のときに膝が内側に入る角度が、けがをしなかった選手より8度大きかったと報告されています。膝を内側に倒そうとする力も、約2.5倍でした。



着地の形が、そんなに大きなけがにつながるんですか…。
ただし、けがをした人数は9人と少なく、女子選手だけを調べた研究です。膝が内に入れば必ずけがをするわけではありませんが、気をつけておきたい形といえます。
膝を守る着地の4つのポイント
ここからは、安全な着地のポイントを1つずつ見ていきます。どれも、跳ぶ前から意識しておくことが大切です。
①両足で同時に降りる
いちばんの基本は、両足で同時に降りることです。両足で降りれば、着地の衝撃を2本の脚で分けて受け止められます。
片足で降りると、その1本に体重と衝撃がすべてかかります。膝も内側に入りやすくなるので、まずは両足で降りることを習慣にしましょう。
②つま先側から降りて、かかとまでつける
着地は、つま先側(足の指のつけ根あたり)から降りて、そのままかかとまで床につけます。足首もクッションの1つとして使うイメージです。
かかとから「ドン」と降りると、衝撃が足首や膝でやわらげられず、そのまま体に伝わってしまいます。



着地の音が小さいほど、やわらかく降りられているサインだよ。
③膝とつま先を同じ向きにそろえる
着地のとき、膝はつま先と同じ方向を向いているのが理想です。正面から見て、膝がつま先より内側に入っていないかを確かめましょう。
足の幅は、肩幅くらいを目安にします。両足がくっつきすぎると膝が内に入りやすく、広げすぎると踏ん張りがききにくくなります。
④膝と股関節を曲げて、やわらかく受け止める
着地では、膝だけでなく股関節(脚のつけ根)も曲げて、お尻を少し後ろに引きます。上半身は少しだけ前に傾けます。
DeVita と Skelly の研究(1992年・スポーツ医学の専門誌)では、膝を深く曲げる「やわらかい着地」と、膝をあまり曲げない「かたい着地」を比べました。
その結果、やわらかい着地のほうが床から受ける力が小さく、股関節と膝の筋肉がより多くの衝撃を吸収していたと報告されています。



膝だけじゃなくて、お尻も一緒に使えばいいんですね!
ただし、深くしゃがみこみすぎると、次の動きに移るのが遅れます。試合では、衝撃を受け止めたら、すぐ次のプレーに動ける高さで止まりましょう。
スパイクのあとなら、着地と同時に次の動きを準備します。視線はネットの向こうに向けたまま、相手の返球やブロックのこぼれ球にそなえましょう。



降りたら終わりじゃなくて、降りた瞬間から次のプレーが始まるんだ。
気をつけたい危ない着地の形3つ
ここからは、膝や足首を痛めやすい着地の形を3つ紹介します。自分の着地に当てはまらないか、確かめてみてください。
膝が内側に入る
着地の瞬間に、両膝がくっつくように内側に入る形です。先ほどの研究のとおり、前十字靱帯のけがとの関係が指摘されています。
膝が内に入る原因の1つは、お尻の横の筋肉が弱いことです。お尻の筋肉の鍛え方は、こちらの記事で紹介しています。
膝が伸びたまま棒立ちで降りる
膝をほとんど曲げずに、棒のように降りる形です。衝撃を吸収できず、膝や腰に大きな負担がかかります。
疲れてくると、膝を曲げる力が残らず、棒立ちの着地になりがちです。試合の後半や練習の終わりこそ、着地を丁寧にしましょう。
かたい着地をくり返すと、膝のお皿の下にある腱にも負担がたまっていきます。膝の下が痛むときは、早めに練習量を見直してください。



ツカレタトキホド チャクチニ チュウイ
片足で降りる・体が横に流れる
スパイクで体が流れたときや、ブロックで横に跳んだときに起きやすい形です。片足だけで降りると、その足首や膝に衝撃が集中します。
体が流れると、着地の場所がずれて、相手や味方の足の上に降りてしまう危険も高まります。ブロックで体が流れる原因は、こちらで解説しています。
自分の着地をチェックする方法
着地の形は、自分では見えにくいものです。スマホの動画を使えば、1人でもチェックできます。
スマホで正面と横から撮る
その場で両足ジャンプをして着地するところを、正面と横から撮影します。スローモーションで撮ると、着地の瞬間が見やすくなります。
- 正面:膝がつま先より内側に入っていないか
- 正面:左右の足が同時に着いているか
- 横:膝と股関節がしっかり曲がっているか
- 横:かかとから降りていないか
着地の形はけがの危険の目安になる
アメリカでは、着地の形を点数にしてチェックする方法が研究されています。
Padua らの研究(2015年・アスレティックトレーニングの専門誌)では、11〜18歳のサッカー選手829人の着地の形を、シーズン前に点数で評価しました。
その結果、前十字靱帯を痛めた選手は、痛めなかった選手より、着地の「ミス」の点数が高い傾向があったと報告されています。



着地の形は、動画で見れば自分でも直していけるよ。
ただし、この研究でけがをしたのは7人だけです。研究チームも、人数が少ないことを限界としてあげています。点数だけで、けがをするかどうかが決まるわけではありません。
着地を身につける練習のやり方
着地の形は、練習でくり返すことで身についていきます。跳ぶ力を伸ばす練習と同じくらい、降りる練習も大切です。
3段階で着地の練習を進める
着地の練習は、やさしいものから順に進めます。いきなり助走から始めず、形をつくってから動きを大きくしていくのがコツです。



ヤサシイ ジュンバンデ チャクチヲ ミニツケル
どれも、1回ごとに形を確かめながら、少ない回数をていねいに行いましょう。



まずは、その場でピタッと止まる練習からやってみます!
台から降りて跳ね返るデプスジャンプは、ボックスジャンプの着地が安定してから行います。
くわしい目安は、こちらの記事を参考にしてください。
着地の練習でけがが減ったという研究
Bahr らの別の研究(1997年・スカンジナビアのスポーツ医学の専門誌)では、ノルウェーの上位リーグで、けがを防ぐ取り組みを行いました。
内容は、ブロックとスパイクの踏み切りと着地の技術練習、バランスボードの練習、けがについて学ぶ時間の3つです。
その結果、足首の捻挫は、1,000時間あたり0.9件から0.5件へと、ほぼ半分に減ったと報告されています。
また、Webster と Hewett のまとめの研究(2018年・整形外科の専門誌)もあります。
この研究では、けがを防ぐトレーニングを行うと、前十字靱帯のけが全体の危険がおよそ半分になると結論づけています。
ただ、女子選手のデータが中心で、男子についてはまだ十分なデータがないとされています。着地の練習は、男女どちらにとっても取り入れやすいけが予防の1つです。



着地の練習は、地味だけど一生ものの財産になるよ。
よくある質問
まとめ:安全な着地が高く跳び続ける土台になる
この記事では、膝を守るジャンプの着地のやり方と、気をつけたい危ない形を解説しました。
両足で、つま先側からやわらかく降りて、膝とつま先を同じ向きにそろえる。
| 着地の形 | 体への影響 | 直し方 |
|---|---|---|
| 膝が内に入る | 前十字靱帯の負担 | 膝とつま先をそろえる |
| 棒立ちで降りる | 膝や腰に衝撃 | 膝と股関節を曲げる |
| 片足で降りる | 足首や膝に集中 | 真上に跳んで両足で |
私は元日本代表として、高く跳ぶ力と同じくらい、安全に降りる力も大切だと考えています。
まずは次の練習で、その場ジャンプの着地をスマホで撮って、膝の向きを確かめてみてください。



今日から、着地の音を小さくすることを意識してみます!



着地が安定すれば、思いきって高く跳べるようになるよ。
参考にした研究・資料
- Bahr R, Karlsen R, Lian O, Ovrebø RV. Incidence and mechanisms of acute ankle inversion injuries in volleyball. A retrospective cohort study. The American Journal of Sports Medicine, 1994
- Hewett TE, et al. Biomechanical measures of neuromuscular control and valgus loading of the knee predict anterior cruciate ligament injury risk in female athletes: a prospective study. The American Journal of Sports Medicine, 2005
- DeVita P, Skelly WA. Effect of landing stiffness on joint kinetics and energetics in the lower extremity. Medicine and Science in Sports and Exercise, 1992
- Padua DA, et al. The Landing Error Scoring System as a Screening Tool for an Anterior Cruciate Ligament Injury-Prevention Program in Elite-Youth Soccer Athletes. Journal of Athletic Training, 2015
- Bahr R, Lian O, Bahr IA. A twofold reduction in the incidence of acute ankle sprains in volleyball after the introduction of an injury prevention program. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 1997
- Webster KE, Hewett TE. Meta-analysis of meta-analyses of anterior cruciate ligament injury reduction training programs. Journal of Orthopaedic Research, 2018
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










