- 雨の日は体育館の床が滑ると聞くけれど、家で何をさせればいいのか分からない
- 練習から帰ってきたシューズと荷物がびしょ濡れで、翌朝までに乾かない
- 雨でも部活はあるのか、送り迎えをどうするかで毎回バタバタしてしまう
こんな悩みを解決します。
雨の日のバレー部で気をつけることは、足もとが滑ることでのケガと、濡れた道具を翌日までに戻すことの2つだけです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生を指導していて、雨が続く時期は体育館の中の様子が普段とはっきり変わります。
雨の日は練習の中身を変えるより、足もとと乾かし方を整えるほうが、ケガも道具の傷みもぐっと減っていきます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 雨の日に体育館の床が滑るしくみと、その場でできる対処がわかる
- やってはいけない滑り止めを知って、床と体を守れるようになる
- 濡れたシューズと荷物を翌朝までに戻す手順が決まる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:雨の日は「滑る床」と「濡れた道具」の2つに絞る
先に結論をお伝えします。雨の日にやることを増やす必要はありません。床の滑りと、濡れたものの乾かし方。この2つだけ押さえれば十分です。
バレーボールは屋内競技なので、雨が降っても練習は普段どおりあります。だから「雨だから休み」ではなく、「雨の日用のやり方」を決めておくほうが現実的なんですよね。
雨の日に何が変わるのかというと、まず体育館の床の状態が変わります。
空気が湿ると床の表面がわずかに湿り、足が止まりきらずに流れやすくなります。
もう1つ変わるのが、家に帰ってからの手間です。シューズ・ウェア・バッグの3つがまとめて濡れて帰ってくるので、翌朝までに元に戻す作業が増えます。
この2つはどちらも、その日のうちに手を打てば大きな問題になりません。逆に放っておくと、ケガとにおいという形で後から返ってきます。
うさママ雨の日は帰ってきてからが本当に大変で…。



手順を決めておけば、10分くらいで終わりますよ。
対処の中身は次の3つに分かれます。練習前に足もとを整えること、練習中に動き方を少し変えること、そして帰宅後に乾かすことです。
- 練習前:シューズの裏とコートのほこりを落として摩擦を戻す
- 練習中:止まる動きを1歩早めて、無理な踏ん張りを減らす
- 帰宅後:シューズ・ウェア・バッグを分けて乾かす
順番はこのとおりで構いません。特に最初の2つは選手本人がやることなので、家では帰宅後の乾かし方だけ決めておけば回っていきます。



滑リト濡レ ソレダケ押サエル
雨の日に体育館の床が滑る2つの理由
なぜ雨の日だけ床が滑るのか、しくみを知っておくと対処の理由がはっきりします。理由は大きく2つあります。
湿った空気が床の表面で水の膜になる
1つ目が、湿気です。雨の日は空気にふくまれる水分が多く、その空気が体育館の冷えた床に触れると、表面にうっすらと水分が出てきます。
冷たい飲み物のコップの外側に水滴が付くのと同じ現象で、これを結露と呼びます。床全体がびしょ濡れになるわけではなく、目で見ても分からない程度のことがほとんどです。
ところが、バレーボールで必要な急な停止や切り返しには、この目に見えない水分が大きく影響します。足の裏と床の間に薄い水の層ができると、摩擦が落ちて止まりきれなくなるからです。
特に危ないのが、レシーブで一歩踏み込んだ瞬間や、スパイクの助走から踏み切りに移る瞬間になります。
止まる力を前提に体を倒しているので、足だけが流れると体が支えを失います。



この前、助走で足だけスーッていっちゃって…。



止まれる前提で体を倒しているから、危ないんです。
砂ぼこりと汗が混ざって摩擦が落ちる
2つ目が、床の上のよごれです。体育館の床には、外から持ち込まれた細かい砂ぼこりが必ず乗っています。
乾いているときは、この砂も大きな問題になりません。しかし湿気があると、砂と汗と水分が混ざって薄い膜になり、シューズの裏の溝をふさいでしまいます。
バレーシューズの裏は、ゴムが床に吸い付くことでグリップを出しています。そこに膜が一枚できると、どれだけ高いシューズでも本来の性能が出せません。
つまり雨の日の滑りは、床だけの問題でも、シューズだけの問題でもないということです。
床のよごれとシューズの裏、この2つを両方きれいにして初めて摩擦が戻ります。
シューズの裏の状態そのものが気になる場合は、日ごろの手入れの方法も合わせて確認してみてください。
滑る床でケガをしないために選手がやる5つ
ここからが実際の対処です。雨の日に体育館へ入ったら、次の順番でやってみてください。どれも1分もかからないことばかりです。
いちばん効くのは1つ目のモップがけです。床の砂を減らすだけで、滑りの感じ方はかなり変わります。私のスクールでも、湿気の多い日は練習前のモップがけを必ず入れるようにしています。
このとき使うのは、必ず乾いたモップにしてください。水を含んだモップで拭くのは逆効果になります。
2つ目のシューズの裏を拭く作業も、効果のわりに忘れられがちです。濡らして固くしぼったタオルを1枚コート横に置いておくと、選手が自分でこまめに拭けます。
3つ目が、その日の滑り具合を先に確かめておくことです。同じ雨の日でも、体育館によって滑り方はまったく違うんですよね。
アップの中で軽く止まったり切り返したりして、いつもと同じ感覚で止まれるかを確かめておくと、本練習でいきなり足が流れる事態を避けられます。



最初に試しておけば、その日の加減がつかめますよ。



アップのうちに確かめておけばいいんだ!
4つ目と5つ目は、動き方の調整になります。止まる動きを1歩早く始めると、急ブレーキではなくゆるやかに減速する形になり、足が流れても体勢を立て直せます。
反対に、床を強く蹴って一気に方向を変える動きは、滑ったときにいちばん危険です。雨の日は、急な切り返しと片足の大きな踏ん張りを減らすと決めておいてください。
なお、転んで痛みが続く場合や、足首や膝に力が入らない場合は、その場で練習を止めて医療機関で診てもらうようにしてください。
床の水拭きは逆効果|やってはいけない滑り止め
雨の日に「滑るから拭こう」と考えるのは自然なことです。ただし、やり方を間違えると床そのものを傷めてしまいます。
水拭きとワックスがけは原則やめるよう通知が出ている
体育館の床板がはがれて、その破片で選手が大けがをする事故が全国で起きています。
この事故を受けて、文部科学省は体育館の管理者に向けて、床の水拭きとワックスがけを原則として行わないよう通知を出しています。
床板がはがれる原因の1つが、清掃のときに想定以上の水分を吸ってしまうことだとされています。木の床は水を吸って膨らみ、乾いて縮むことをくり返すうちに、表面が浮いてはがれてしまうわけです。
くわしい内容は文部科学省の体育館の床板の剥離による事故防止のページにまとめられています。
顧問の先生や役員の方は、一度目を通しておくと安心です。
つまり、雨の日に濡れた雑巾で床を拭くのは、滑り対策としても床の管理としても正しくありません。床の手入れは、乾いたモップでほこりを取ることが基本になります。
どうしても水滴が浮いているときは、その部分だけを乾いた布で押さえるように取り、広い面を水拭きしないようにしてください。



よかれと思って雑巾がけを提案しそうでした…。



気持ちはわかります。でも乾拭きが正解なんです。
飲み物や市販の液体を床にまくのも避ける
もう1つ、部活の現場で見かけるのが、滑り止めのために床へ何かをまく方法です。炭酸飲料をうすめてまく、市販のスプレーを吹きかける、といったやり方が知られています。
これらは一時的に止まりやすくなることがありますが、床にべたつきが残り、次に使う人が転ぶ原因になります。学校の体育館は他の部活動や地域の方も使う場所です。
そもそも学校の施設なので、床に何かをまく前には必ず管理している先生の許可がいります。チームの判断だけで進めてよい話ではありません。



先輩から教わった方法だったんですけど…。



気持ちはわかりますが、床に残るものは使わないでおきましょう。
滑るときに使ってよいのは、床ではなくシューズの裏に使うタイプのものです。
専用の滑り止めシートを入り口に置き、そこを踏んでから入る形なら、床を汚さずに摩擦を戻せます。
チームで用意する場合は、たとえばこのような踏むだけの靴底クリーナーがあります。
換気と除湿も、地味ですが効果があります。窓と扉を開けて空気を通し、除湿機があれば練習前から動かしておくと、床の表面に出てくる水分が減っていきます。



床ニマクノハ禁止 乾拭キト換気ガ正解
濡れたシューズと荷物を翌日までに乾かす手順
ここからは家での話になります。雨の日に帰ってきた荷物をそのままにすると、翌朝には生乾きのにおいが出て、シューズは乾かないまま2日目を迎えます。
帰宅後の30分で、次の順番で分けてしまってください。
シューズは新聞紙と風で乾かす
まずシューズです。中敷きとひもを外して、本体の中に丸めた新聞紙を詰めます。新聞紙が中の水分を吸い出してくれます。
置き場所は、直射日光の当たらない風通しのよいところにしてください。ベランダの日なたや暖房の吹き出し口に直接当てると、ソールの接着が傷んで寿命が縮みます。
扇風機やサーキュレーターの風を当てられるなら、乾き方は一気に早くなります。新聞紙は途中で1回替えると、さらに効きます。
通学用の靴と部活のシューズを1足ずつしか持っていない場合、雨の日が続くと乾く時間が足りません。体育館用のシューズを2足で回している家庭が多いのは、こうした事情もあります。
ウェアとバッグは帰宅後すぐに分ける
次にウェアです。濡れたウェアを袋に入れたままにすると、においのもとになる菌が一気に増えます。帰宅後すぐに袋から出して、洗濯機へ入れてしまうのが確実です。
雨の日は外に干せないので、部屋干しになります。その場合は、風を当てることと、洗濯物どうしの間隔をあけることの2つを意識してください。
最後がバッグです。見落とされがちですが、バッグの底は水がたまりやすく、中身を出した後もしばらく湿ったままになっています。
私が選手に伝えているのは、雨の日だけは帰ってすぐにバッグを空にすること、この1つだけです。
中身を全部出して、口を開けて逆さに立てかけておいてください。翌日また濡れた荷物を入れることになるので、内側が乾いているかどうかで快適さがまるで違います。



バッグの底、いつもジメジメしてました…。



出して逆さに置くだけで変わりますよ。
洗濯物の量そのものに困っている場合は、回し方を先に整えるほうが早く楽になります。
雨の日の登下校と送迎で親ができること
最後が、家を出てから帰るまでの部分です。ここは親が手を出せるところなので、決めごとにしておくと毎回の判断がいらなくなります。
雨の日だけ持ち物に足す3つ
雨の日は、いつもの持ち物に3つだけ足してください。替えの靴下、大きめのビニール袋、そして小さめのタオルです。
替えの靴下は、通学で濡れた足のまま練習に入るのを防ぐためのものです。足が濡れたままだとマメができやすく、シューズの中もよぶんに湿ります。
ビニール袋は、濡れたウェアとタオルをバッグの中で分けるために使います。1枚あるだけで、教科書やお弁当箱が湿るのを防げます。
タオルは、シューズの裏を拭く用として1枚持たせておくと、練習前の手入れがその場でできます。
- 替えの靴下:濡れた足のまま練習に入らないため
- 大きめのビニール袋:濡れたものを他の荷物と分けるため
- 小さめのタオル:シューズの裏とコートの水滴を拭くため
荷物そのものが重くて困っている場合は、防水のバッグに替えるだけで雨の日の負担が減ることもあります。
送り迎えの線引きを先に決めておく
もう1つが送迎です。雨の日に車を出すかどうかを、その日の朝に決めようとすると、家の中がもめる原因になります。
おすすめは、雨の強さと時間帯で線を引いておくことです。たとえば、朝は自分で行く、暗くなってからの下校は雨なら迎えに行く、というように条件を先に決めておきます。
体育館の前は、雨の日ほど車が集中します。学校が指定している乗降場所があるなら必ずそこを使い、指定がなければ少し離れた場所で待ち合わせてください。
なお、雨そのもので部活が中止になることはほとんどありませんが、警報が出た場合は学校の判断で活動が止まります。
その日の連絡の受け取り方は先に確認しておいてください。



先に決めておけば、朝もめずに済みますね。



判断を毎回しないのが、いちばん楽な方法です。
よくある質問
まとめ
雨の日のバレー部でやることは、足もとを整えることと、濡れたものを翌日までに戻すことの2つだけです。
乾いたモップで床のほこりを取り、シューズの裏を拭く。帰ったら30分でシューズ・ウェア・バッグを分けて乾かす。この2つで十分です。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 練習前 | 乾いたモップで床のほこりを取る |
| 練習前 | シューズの裏を濡れタオルで拭く |
| アップ中 | 止まる動きを試して滑り具合を確かめる |
| 練習中 | 止まる動作を1歩早め、大きな踏ん張りを控える |
| 床の手入れ | 水拭き・ワックス・床にまく滑り止めはしない |
| 帰宅後 | シューズは中敷きとひもを外し新聞紙を詰める |
| 帰宅後 | ウェアは袋から出してすぐ洗い、風を当てて部屋干し |
| 帰宅後 | バッグは中身を出して逆さに立てかける |
| 持ち物 | 替えの靴下・ビニール袋・タオルを足す |
私は元日本代表として、また指導者として多くの中学生を見てきましたが、雨の時期にケガが出るチームほど、床とシューズの手入れが後回しになっています。
やることは地味ですが、ここを整えている日は選手の動きも落ち着くんですよね。



今度の雨の日は、モップと靴の裏からやります!



それだけで、ずいぶん安全になりますよ♪
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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