- ジャンプ力のトレーニングは、週に何回やればいいのか分からない
- 毎日跳んだほうが早く伸びるのでは、と思っている
- どれくらい続ければ効果が出るのか知りたい
こんな悩みを解決します。
ジャンプ力を上げる跳ぶトレーニングは、週1〜2回・間を空けて・1回ごとに全力で行うのが基本です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、早く伸ばしたい気持ちから毎日跳びすぎて、かえって脚を重くしてしまう選手は少なくありません。
研究を見ても、回数を増やせば増やすほど伸びる、という結果にはなっていないんです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 跳ぶトレーニングを週何回やればいいか、研究をもとに分かる
- 効果が出るまでの期間と、1回に跳ぶ回数の考え方が分かる
- 部活の練習や試合がある週に、どう組み込めばいいかが分かる
結論:跳ぶトレーニングは週1〜2回で十分
結論からお伝えします。ボックスジャンプなどの跳ぶトレーニング(プライオメトリクス)は、週1〜2回、間に休みの日をはさんで行えば十分です。
バレー選手を対象にした研究では、週1回でも週2回でも、ジャンプの高さは同じくらい伸びていました。
毎日跳ぶと体が回復しきれず、全力で跳べない日が増えてしまいます。大切なのは回数の多さではなく、元気な状態で質の高いジャンプを続けることなんです。
- 跳ぶトレーニングは週1〜2回、続けて2日やらない
- 1回の量は少なめにして、1本ごとに全力で跳ぶ
- 伸びたかどうかは、数週間〜数か月の単位で見る
ここからは、研究でわかっていること、毎日跳ばないほうがいい理由、期間と回数の目安、練習との組み合わせ方の順に見ていきます。
研究でわかった頻度と伸び方の関係
まずは、週に何回跳ぶとどれくらい伸びるのかを調べた研究を紹介します。
週1回と週2回で、伸び方は同じだった
Hernandez-Martinez らの研究(2023年・スポーツ生理学の国際誌)では、平均14.7歳の男子バレー選手を3つのグループに分けて8週間比べました。
1つは週1回、もう1つは週2回、跳ぶトレーニングを行うグループです。1週間に跳ぶ合計の回数は、どちらも同じにそろえられていました。
その結果、反動をつけたジャンプの高さは、週1回のグループで約12%、週2回のグループで約11%伸びています。2つのグループの間に、はっきりした差は見られませんでした。
ふだんの練習だけを続けたグループは、ほとんど変わっていません。
サルくん週1回でも、ちゃんと伸びるんですね!



1週間に跳ぶ量が同じなら、分け方はあまり関係ないんだ。
週4回にしても、伸び方は大きく変わらない
de Villarreal らの研究(2008年・アメリカの筋力トレーニング専門誌)では、学生を週1回・週2回・週4回のグループに分け、7週間、台から跳び降りてすぐ跳ぶデプスジャンプを行いました。
週4回のグループは、週2回のグループの2倍の回数を跳んでいます。
それでも、ジャンプの伸びは週2回のグループと同じくらいでした。研究チームは、週2回のほうが、1本あたりの効率がよかったとまとめています。



シュウ4カイ デモ ノビハ ホボ オナジ
バレー選手の研究をまとめても、差は小さい
Ramirez-Campillo らの研究(2020年・スポーツ科学の国際誌)は、バレー選手を対象にした14の研究、322人分のデータをまとめて分析しています。
その結果、週2回以下と週3回以上で、ジャンプの伸び方にはっきりした差はありませんでした。合計の跳ぶ回数が2,000回より少ないか多いかでも、同じように差は見られていません。
研究チームは、男女や年代を問わず、回数も頻度も比較的少ないプログラムで、ジャンプの高さは伸ばせると結論づけています。
研究ごとに対象やメニューは違うので、全員が同じだけ伸びるわけではありません。それでも、「たくさん跳ぶほど伸びる」とは言えない点は、どの研究にも共通しています。
毎日跳ばないほうがいい3つの理由
研究の結果を見ると、週1〜2回で十分な理由も見えてきます。ここでは、毎日跳ばないほうがいい理由を3つにまとめました。
理由1:体が強くなるのは休んでいる間
トレーニングで筋肉や腱に負荷がかかると、休んでいる間に回復し、前より少し強くなります。
アメリカの筋力トレーニングの専門団体(NSCA)は、子どもや10代の選手の筋トレについて、週2〜3回、続けて行わない日に組むことをすすめています。
こうすると、トレーニングの間に48〜72時間の回復の時間がとれるからです。
跳ぶトレーニングは、筋トレよりも1回ごとの衝撃が大きい種目。休む日をはさむことが、なおさら大切になります。



休んでいる間に強くなるなんて、知りませんでした!
理由2:バレーの練習でもたくさん跳んでいる
バレーの練習では、スパイク・ブロック・ジャンプサーブなどで、すでに何十回、何百回と跳んでいます。
そこに毎日、跳ぶトレーニングを足すと、ひざや足首、かかとにかかる負担はどんどん積み重なっていきます。
先ほどの Hernandez-Martinez らの研究でも、跳ぶトレーニングは練習に上乗せせず、ふだんの技術練習の一部と入れかえる形で行われていました。



部活でもう跳んでいるのを、忘れていました…。



練習のジャンプも、1週間の量にふくめて考えよう。
理由3:疲れた状態では全力で跳べない
跳ぶトレーニングの目的は、短い時間で大きな力を出す力をきたえることです。
脚に疲れが残っていると、踏み切りでつぶれたり、着地がぶれたりして、全力のジャンプになりません。疲れた状態で回数をこなしても、ゆっくり跳ぶ練習をしているのと同じになってしまいます。
反動で跳ぶしくみについては、こちらの記事でくわしく解説しています。
ジャンプ力が伸びるまでの期間の目安
次に、どれくらい続ければ変化が出るのかを見ていきましょう。
研究では7〜8週間ほどで変化が出ている
ここまで紹介した研究では、7〜8週間のトレーニングで、ジャンプの高さに変化が出ていました。
Ramirez-Campillo らのまとめでも、8週間以下のプログラムと8週間より長いプログラムの両方で、ジャンプの高さが伸びています。
一方で、56の研究をまとめた de Villarreal らの分析(2009年)では、10週間より長く、20回より多く続けたプログラムで伸びが大きくなりやすいとされています。
つまり、2か月ほどで変化が見えはじめ、続けるほど積み上がっていくと考えるとよいでしょう。



2カゲツ ツヅケテ カラ ハンダン
1回の測定で効果を判断しない
ジャンプ力は、その日の疲れや体の温まり方でも1〜2cmは上下します。1週間や2週間で測って「伸びていない」と判断するのは早すぎます。
測るのは1〜3か月に1回くらいにして、同じ方法・同じ条件で記録を比べましょう。測り方の手順は、こちらの記事でまとめています。
1回に跳ぶ回数の考え方
頻度と同じくらい気になるのが、1回のトレーニングで何回跳ぶかです。
回数より、1本ごとの全力を大切にする
このサイトでは、種目ごとに次の回数を目安にしています。どれも、少ない回数を全力で跳ぶ考え方です。
| 種目 | 1回の目安 | 週の頻度 |
|---|---|---|
| ボックスジャンプ | 5〜8回×2〜3セット | 週2回ほど |
| デプスジャンプ | 3〜5回×2〜3セット | 着地が安定してから |
| スクワット | 10回前後×2〜3セット | 週2〜3回(間に1日休み) |
セットの間は、息が整うまでしっかり休みます。1本ごとに、できるだけ高く、できるだけ素早く跳ぶことを意識しましょう。



5回だけだと、物足りない気がします…。



全力の5回は、なんとなくの50回よりずっと効くよ。
台の高さや、次の段階へ進む目安は、種目ごとの記事で解説しています。
研究の回数を、そのまま真似しない
研究の中には、1回で50回以上跳ぶプログラムもあります。
先ほどの de Villarreal らの2009年の分析でも、1回に50回より多く跳んだプログラムで伸びが大きくなりやすいとされていました。
ただし、研究のトレーニングは、指導者がそばについて、跳び方や着地を確かめながら行われています。そこにバレーの練習でのジャンプが加わると、脚への負担はかなり大きくなります。
NSCA の見解でも、体育の授業で250回を超えるスクワットジャンプをくり返した12歳の子が、筋肉をいためて体調をくずした例が紹介されています。
- 研究は、指導者がそばで跳び方を確かめながら行われている
- 部活の練習で跳ぶ分が、さらに上乗せされる
- 回数を増やしても、伸び方は大きく変わらないという研究がある
少なめの回数から始めて、着地が乱れないことを確かめながら進めるのが安全です。



多く跳ぶより、正しく跳ぶことが先だよ。
練習の1週間への組み込み方
ここからは、部活の練習がある中で、跳ぶトレーニングをどこに入れるかを考えます。
行う時間帯は、練習のはじめ、アップで体が温まった直後がおすすめです。疲れていない状態のほうが、1本ごとに全力で跳べるからです。
試合がない週の組み込み方
試合がない週は、跳ぶトレーニングを週2回、間を2日ほど空けて入れます。
スクワットなどの筋トレと同じ日にまとめると、休む日をしっかり確保できます。その場合は、跳ぶトレーニングを先に、筋トレをあとに行いましょう。
| 曜日の例 | 内容 |
|---|---|
| 月 | ふだんの練習 |
| 火 | 練習のはじめに跳ぶトレーニング+筋トレ |
| 水・木 | ふだんの練習 |
| 金 | 練習のはじめに跳ぶトレーニング+筋トレ |
| 土・日 | 練習・休み |
これはあくまで1つの例です。部活の休みの日や、体育館が使える日に合わせて調整してください。
1週間の筋トレ全体の組み立て方は、こちらの記事でまとめています。
試合がある週の組み込み方
週末に試合がある週は、跳ぶトレーニングを週1回にへらし、試合の2〜3日前までに終えておきます。
試合の直前に全力のジャンプをくり返すと、脚の疲れが抜けないまま当日をむかえてしまいます。試合で力を出しきるために、休む日を前に寄せておきましょう。



試合前は、休むのも準備なんですね!
大会が続く時期の組み込み方
大会が続く時期は、試合そのもので何度も全力で跳んでいます。この時期は、跳ぶトレーニングを週1回、少ない回数にとどめて、今の力を保つことを目標にしましょう。
NSCA の見解では、筋トレで身につけた筋力を保つには、週1回でも役に立つ可能性があると紹介されています。
同じ見解の中では、小学生年代のサッカー選手が跳ぶトレーニングを10週間行ったあと、量を減らした8週間のあいだもパワーの伸びを保てていた、という研究も紹介されています。
伸ばす時期と保つ時期を分けて考えると、1年を通して無理なく続けられます。



大会中は、伸ばすより保つことを考えよう。
量を減らしたほうがいい4つのサイン
頻度や回数の目安を守っていても、体の状態は日によって変わります。次のサインが出たら、跳ぶトレーニングの量を減らすか、その週は休みましょう。
- ひざ・かかと・すねなどに痛みがある
- 着地がふらついたり、ひざが内側に入ったりする
- 脚が重く、いつもの高さが出ない日が続く
- 測ったジャンプの記録が、何回か続けて下がっている
とくに成長期の選手は、ひざの下やかかとに痛みが出やすい時期です。痛みがあるのに跳び続けると、長く練習を休むことになりかねません。



イタミ ガ アルトキハ トバナイ
痛みが続くときは、無理をせず整形外科を受診してください。量を減らして休む日を増やすことは、あとで伸びるための大事な判断です。
よくある質問
まとめ:週1〜2回、休みをはさんで全力で跳ぼう
この記事では、ジャンプ力を上げる跳ぶトレーニングの頻度と、期間・回数の目安を解説しました。
跳ぶトレーニングは週1〜2回、間に休みの日をはさみ、少ない回数を全力で跳ぶ。伸びたかどうかは2か月ほど続けてから確かめる。
| 時期 | 頻度の目安 | 意識すること |
|---|---|---|
| 試合がない週 | 週2回 | 間を2日ほど空ける |
| 試合がある週 | 週1回 | 試合の2〜3日前までに終える |
| 大会が続く時期 | 週1回・少なめ | 今の力を保つ |
私は元日本代表として、ジャンプ力を伸ばす選手は、たくさん跳ぶ選手ではなく、休むことも計画に入れられる選手だと考えています。
まずは今週、跳ぶトレーニングを入れる曜日を2日決めるところから始めてみてください。



火曜と金曜に決めて、1本ずつ全力で跳びます!



休む日も大事なトレーニングだよ。
参考にした研究・資料
- Hernandez-Martinez J, et al. Effects of different plyometric training frequencies on physical performance in youth male volleyball players: a randomized trial. Frontiers in Physiology, 2023
- de Villarreal ES, González-Badillo JJ, Izquierdo M. Low and moderate plyometric training frequency produces greater jumping and sprinting gains compared with high frequency. Journal of Strength and Conditioning Research, 2008
- Ramirez-Campillo R, et al. Effects of Plyometric Jump Training on Vertical Jump Height of Volleyball Players: A Systematic Review with Meta-Analysis of Randomized-Controlled Trials. Journal of Sports Science and Medicine, 2020
- de Villarreal ES, Kellis E, Kraemer WJ, Izquierdo M. Determining variables of plyometric training for improving vertical jump height performance: a meta-analysis. Journal of Strength and Conditioning Research, 2009
- Faigenbaum AD, et al. Youth Resistance Training: Updated Position Statement Paper From the National Strength and Conditioning Association. Journal of Strength and Conditioning Research, 2009
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










