- ジャンプ力が上がっているのか、自分で確かめる方法が知りたい
- 壁にタッチして測っているけれど、毎回数字がばらついてしまう
- スマホの動画でジャンプの高さが分かると聞いたけれど、やり方が分からない
こんな悩みを解決します。
ジャンプ力は、壁にタッチする方法と、スマホで撮った動画から空中にいた時間を数える方法の2つで、自分でも測れます。
ただし、測るたびに条件が変わると、数cmの伸びは誤差にうもれて見えなくなってしまいます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、トレーニングを頑張っているのに、測り方がバラバラなせいで伸びに気づけていない選手は少なくありません。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 壁タッチとスマホ動画、2つの測り方の手順と違いが分かる
- 測るたびに数字がばらつく原因と、条件のそろえ方が分かる
- 記録のつけ方と、伸びたかどうかの見方が分かる
結論:測り方を1つに決めて、毎回同じ条件で測る
結論からお伝えします。ジャンプ力は、壁タッチかスマホ動画のどちらかに測り方を決めて、毎回同じ条件で測ることがいちばん大切です。
どちらの方法でも、自分の伸びを確かめるには十分使えます。
ただし、壁タッチとスマホ動画では、同じジャンプでも出てくる数字が変わります。測り方を途中で変えると、伸びたのか、測り方のせいなのかが分からなくなってしまうんです。
- 測り方は壁タッチかスマホ動画のどちらかに決め、途中で変えない
- 体の温まり方・シューズ・床・跳び方など、条件を毎回そろえる
- 1〜2cmの差は誤差と考え、数か月単位の変化を見る
この記事では、2つの測り方の手順、それぞれの注意点、記録のつけ方と見方の順に解説していきます。
ジャンプ力の測り方は2種類ある
まずは、自分で測れる2つの方法の違いを整理しておきましょう。
「手が届いた高さ」を測る壁タッチ
1つ目は、壁の横で跳び、指先が届いた高さから、立ったまま手を伸ばした高さを引く方法です。
体育の体力テストや部活の測定で、なじみのある人も多いでしょう。メジャーとチョーク(またはテープ)があれば測れます。
「空中にいた時間」から計算するスマホ動画
2つ目は、ジャンプをスマホで撮影し、足が床から離れてから着地するまでの時間(滞空時間)から、跳んだ高さを計算する方法です。
研究や測定の現場では、床にマットを置いて滞空時間を測る機械がよく使われています。同じ考え方を、スマホの動画で行うわけです。
| 測り方 | 測っているもの | 必要な道具 |
|---|---|---|
| 壁タッチ | 指先が届いた高さ | 壁・メジャー・チョーク |
| スマホ動画 | 足が浮いていた時間 | スマホ(スロー撮影) |
サルくん同じジャンプなのに、測っているものがちがうんですね。



そう。だから2つの数字をそのまま比べてはいけないんだ。
2つの方法で数字がちがう理由
Ferreira らの研究(2010年・アメリカの筋力トレーニング専門誌)では、男性15人のジャンプを、壁タッチ式の測定器と、床反力計(床を押す力を測る精密な機械)で同時に測りました。
その結果、壁タッチ式の測定器で測った跳んだ高さは、床反力計よりも大きく出ていました。
壁タッチは、跳んだときに肩や腕をぐっと伸ばすと、そのぶん指先が高く届きます。体そのものが上がった高さとは、少しずれてしまうんですね。



カベタッチ ハ ウデ ノ ノビ モ ハイル
ここで大切なのは、どちらが正しいかではありません。自分の伸びを見るなら、同じ方法で比べ続けることが何より大事です。
壁タッチでの測り方と注意点
ここからは、壁タッチでジャンプ力を測る手順を見ていきます。
壁タッチの手順
跳ぶのは3回までにして、いちばん高い記録を残しましょう。回数を重ねると疲れて、本来の力より低い数字になりやすいからです。
スパイクの助走をつけて跳ぶ「最高到達点」の測り方や、年代ごとの目安は、こちらの記事でまとめています。
基準の高さの測り方で、数字が変わる
壁タッチで意外と差が出るのが、最初に測る「基準の高さ」です。
先ほどの Ferreira らの研究では、基準の高さを4通りの方法で測って比べています。
その結果、片手を伸ばし、つま先立ちになって測った基準の高さを使うと、床反力計の値にもっとも近くなりました。
反対に、かかとをつけたまま測った基準の高さを使うと、跳んだ高さは大きめに出やすくなります。
- いつも同じ手(壁側の手)で測る
- かかとをつけるか、つま先立ちになるかを決めて毎回そろえる
- 肩をぐっと上げるかどうかも、毎回同じにする
どの方法を選んでも、自分の伸びを見るぶんには問題ありません。決めたやり方を、ノートの最初にメモしておくと安心です。



基準の高さの測り方なんて、気にしたことなかったです!



ここをそろえるだけで、数字のばらつきがぐっと減るよ。
壁タッチでよくある失敗
壁タッチでは、次のような失敗で記録がずれやすくなります。
- 壁から離れて跳んでしまい、指先が壁に届ききっていない
- チョークを多くつけすぎて、タッチした位置がにじむ
- 測る人によって、印を読む位置がちがう
測る人はできれば毎回同じ人にして、印のいちばん上のはしを読むと決めておきましょう。
スマホ動画での測り方と注意点
次に、スマホの動画で滞空時間から高さを計算する方法です。
滞空時間から高さを出す計算式
滞空時間から跳んだ高さを出すには、次の式が使われています。
跳んだ高さ(m)= 9.81 × 滞空時間(秒)× 滞空時間(秒)÷ 8
たとえば、滞空時間が0.5秒なら、9.81×0.5×0.5÷8 で約0.31m、つまり約31cmになります。
| 滞空時間 | 跳んだ高さ(計算) |
|---|---|
| 0.40秒 | 約20cm |
| 0.45秒 | 約25cm |
| 0.50秒 | 約31cm |
| 0.55秒 | 約37cm |
| 0.60秒 | 約44cm |
| 0.65秒 | 約52cm |
この式は、跳び上がる時と着地する時の体の姿勢が同じ、という前提で作られています。この前提が、あとで出てくる注意点につながります。



0.1秒ちがうだけで、10cm以上も変わるんですね…。



だから、時間を正確に読むことがとても大事なんだ。
スマホの測定はどれくらい正確?
Balsalobre-Fernández らの研究(2015年・イギリスのスポーツ科学専門誌)では、運動習慣のある男性20人が反動をつけたジャンプを5回ずつ跳びました。
それをスマホのスロー動画と床反力計で同時に測ったところ、2つの数字はほぼ一致し、差は平均で約1cmでした。
さらに、Gençoğlu らのまとめの研究(2023年・国際的な科学誌)は、スマホアプリでジャンプを測った21本の研究を集めて整理しています。
その結果、スマホで測った高さは基準となる機械とほぼ同じで、くり返し測っても安定していると結論づけています。
ただし、まとめに入った研究の多くは大人が対象で、子どもを対象にした研究は1本だけだった点も注意として書かれています。



スマホ デモ ホボ セイカク ニ ハカレル
スマホ動画の撮り方
コマを読むのは手作業になるので、ジャンプの高さを計算してくれる専用のアプリを使うと楽です。どのアプリでも、考え方は同じく滞空時間からの計算です。
スロー撮影にしないと誤差が大きくなる
ふつうの動画は、1秒あたり30コマほどで撮影されています。1コマは約0.033秒です。
滞空時間0.5秒のジャンプで、離れた瞬間や着いた瞬間が1コマずれると、計算上は高さが4cmほど変わってしまいます。
240コマのスロー撮影なら、1コマは約0.004秒です。同じ1コマのずれでも、計算上の高さのずれは1cmより小さくおさまります。
Balsalobre-Fernández らの研究でも、120コマの撮影では、離れた瞬間や着いた瞬間のコマが映らないことがある点を、注意点として挙げています。



だからスロー撮影じゃないとダメなんですね!
着地でひざを曲げると高く出すぎる
スマホ動画で気をつけたいのが、着地の姿勢です。
滞空時間からの計算は、跳び上がる時と着地する時の姿勢が同じという前提でした。着地のときにひざや足首を曲げて、早めに沈み込むと、そのぶん足が床に着くのが遅れます。
すると、空中にいた時間が長くなり、実際より高く跳んだように計算されてしまうんです。
Gonçalves らの研究(2024年・国際的な科学誌)では、着地で足首の角度が変わったときの誤差を計算で確かめています。
その結果、平均的な身長の人が30cmほど跳んだ場合、着地で足首を曲げてかかとから降りると、跳んだ高さが約18%大きく出ることがありました。
- 着地でひざや足首を曲げ、空中で脚を縮めている
- かかとから着地している
- 空中で脚を前に出したり、体を丸めたりしている



チャクチ デ ヒザ ヲ マゲルト ズル ニナル
測定のときは、空中で脚を伸ばし、つま先から降りることを意識しましょう。ふだんの練習の着地とは目的がちがうので、測定のときだけの約束と考えてください。
毎回の数字をそろえる測る条件のそろえ方
どちらの方法でも、測るたびに条件が変わると、記録はばらつきます。ここでは、そろえておきたい条件を整理します。
そろえたい5つの条件
- 時間帯:練習のはじめ、体を温めた直後など、毎回同じタイミングで測る
- アップの内容:測る前のアップを毎回同じ流れにする
- シューズと床:同じシューズ、同じ体育館の床で測る
- 跳び方:腕振りあり・なし、反動あり・なしを決めて変えない
- 測る人:印を読む人や、動画のコマを読む人をできるだけ同じにする
とくに、腕振りや反動の深さは、それだけで数字が大きく変わります。腕振りや沈み込みの深さが高さにどう関わるかは、こちらの記事で解説しています。
疲れている日は測らない
試合の翌日や、きつい練習のあとは、脚に疲れが残っていて数字が下がりやすくなります。
測る日は、前日にハードな練習や試合がなかった日を選びましょう。数字が下がったとき、疲れのせいなのか、力が落ちたのかが分かりにくくなるからです。



測る日も「いつもと同じ日」を選ぶのがコツだよ。
記録のつけ方と伸びたかどうかの見方
最後に、測った数字の残し方と、伸びたかどうかの見方です。
記録に残したい項目
数字だけを書くのではなく、条件も一緒に残しておきましょう。あとで見返したときに、数字が変わった理由が分かります。
| 残す項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 日付と時間帯 | 10月7日・練習のはじめ |
| 測り方 | 壁タッチ(つま先立ちで基準) |
| 記録 | 3回のうちいちばん高い数字 |
| 気づいたこと | 前日は試合・脚が重かった など |
ノートでもスマホのメモでもかまいません。大切なのは、毎回同じ形で書くことです。
1〜2cmの差は誤差と考える
Markovic らの研究(2004年・アメリカの筋力トレーニング専門誌)は、体育を学ぶ学生93人のジャンプを何度も測り、同じ人の記録がどれくらいばらつくかを調べました。
その結果、同じ人が跳んでも、記録には2〜5%ほどのばらつきが出ていました。
40cm跳ぶ人なら、1〜2cmくらいは、何もしなくても上下することがあるということです。



1cm下がっただけで、落ちこんでました…。



1回の数字より、何回か測ったときの流れを見ることが大事なんだ。
測るのは1〜3か月に1回で十分
ジャンプ力は、毎週測っても大きな差は出にくいものです。測るのは1〜3か月に1回くらいで十分です。
新チームのはじまり、大会の前、シーズンの終わりなど、区切りのいい時期に合わせると続けやすくなります。
垂直跳びのほかに、助走ジャンプや反復横とびなども合わせて測りたい場合は、こちらの記事で項目と手順をまとめています。
痛みがあるときは測らない
ひざやかかと、腰などに痛みがあるときは、測定のために全力で跳ぶのはやめましょう。
とくに成長期の選手は、ひざやかかとに痛みが出やすい時期です。痛みが続くときは、整形外科を受診してください。
よくある質問
まとめ:同じ方法・同じ条件で測って、伸びを見える形にしよう
この記事では、ジャンプ力を自分で測る2つの方法と、記録をそろえるコツを解説しました。
壁タッチでもスマホ動画でも、自分の伸びを確かめるには十分です。大切なのは、測り方を1つに決めて、毎回同じ条件で測り、数か月単位で変化を見ることです。
私は元日本代表として、トレーニングを続けられる選手は、自分の伸びを数字で確かめている選手だと考えています。
まずは今日、今のジャンプ力を測って、最初の記録を残すところから始めてみてください。



測り方を決めて、ノートに最初の記録を書きます!



最初の数字があれば、伸びたときにはっきり分かるよ。
参考にした研究・資料
- Ferreira LC, Schilling BK, Weiss LW, Fry AC, Chiu LZ. Reach height and jump displacement: implications for standardization of reach determination. Journal of Strength and Conditioning Research, 2010
- Balsalobre-Fernández C, Glaister M, Lockey RA. The validity and reliability of an iPhone app for measuring vertical jump performance. Journal of Sports Sciences, 2015
- Gençoğlu C, et al. Validity and reliability of “My Jump app” to assess vertical jump performance: a meta-analytic review. Scientific Reports, 2023
- Gonçalves C, Baptista R, Tufano J, Blazevich AJ, Vieira A. Error in jump height estimation using the flight time method: simulation of the effect of ankle position between takeoff and landing. PeerJ, 2024
- Markovic G, Dizdar D, Jukic I, Cardinale M. Reliability and factorial validity of squat and countermovement jump tests. Journal of Strength and Conditioning Research, 2004
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










