- 前屈をすると、膝の裏がつっぱって手が床に届かない
- レシーブの構えを続けると、腰や太ももの裏が疲れてくる
- もも裏を伸ばしているのに、なかなかやわらかくならない
こんな悩みを解決します。
もも裏のストレッチは、手がどこまで届くかより、背中を丸めずに骨盤ごと前へ倒せているかで効き方が変わります。背中が丸まったままだと、伸びているのはもも裏ではなく背中や腰のほうです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
バレーは、低く構える・一歩目を出す・跳んで着地するをくり返す競技です。そのすべてで、お尻から膝の裏までつながる太ももの裏の筋肉が働いています。
もも裏を正しく伸ばすやり方と、それがバレーのどこにつながるのかをセットでお伝えします。ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- もも裏が硬いとバレーのどこに困るのかが分かる
- 背中を丸めずに伸ばす4つのストレッチと、硬さのチェック方法が分かる
- やりがちな失敗と、しびれや痛みが出たときの目安が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:もも裏は「背中を丸めず骨盤から倒す」で伸びる
結論からお伝えします。もも裏は、背中をまっすぐに保ったまま、脚の付け根から体を前へ倒すと伸びます。
太ももの裏の筋肉は、お尻の下の骨(座ったときに床に当たる骨)から、膝の裏までつながっています。骨盤ごと前へ倒れると、その上の端が引っぱられて、筋肉全体が伸びていきます。
反対に、背中を丸めて手を遠くへ伸ばすと、骨盤は後ろへ倒れたままです。手は床に近づいても、もも裏はあまり伸びていません。
サルくん手が床に近づくほど、しっかり伸びているんだと思っていました。



手の位置より、おへそが太ももに近づいているかを見てくださいね。
- 背中はまっすぐ、胸を軽く張ったまま倒す
- 膝は軽く曲げてもよいので、付け根から倒れる
- 痛みの手前の「気持ちよく伸びる」ところで20〜30秒止める
- 反動をつけず、息を吐きながらゆっくり倒れる
この4つがそろうと、同じ姿勢でも太ももの裏の真ん中あたりに効く感覚がはっきり出てきます。
もも裏が硬いとバレーで困る3つのこと
太ももの裏が硬いと、なぜバレーで困るのでしょうか。主な理由は3つあります。
困ること1:低い構えで腰が丸まりやすい
1つ目は、レシーブの構えです。構えでは、背骨をまっすぐに保ったまま股関節を曲げ、重心を足の親指の付け根あたりに乗せます。
もも裏が硬いと、股関節から体を前に倒そうとしたときに骨盤が引っぱられて止まってしまいます。そのぶん背中や腰を丸めて低くなろうとするので、構えが長く続くと腰に疲れがたまります。
もも裏のやわらかさは、腰を丸めずに低く構えるための土台です。構えの形そのものは、あわせて練習で身につけていきましょう。
困ること2:一歩目やダッシュで裏ももに負担がかかる
2つ目は、動き出しです。前に落ちるボールへ飛びこむときや、大きく一歩を出すとき、太ももの裏は伸ばされながら強く働いています。
ここが硬いままだと、急に大きく伸ばされたときに筋肉が耐えきれず、張りや痛みにつながることがあります。もも裏の肉離れは、バレーでも起こりやすいケガのひとつです。



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もちろん、伸ばすだけでケガがすべて防げるわけではありません。やわらかさと、次の章で触れる筋力の両方が必要です。
困ること3:成長期は特に硬くなりやすい
3つ目は、成長期の体です。身長が伸びる時期は、骨が先に伸びて、筋肉があとから追いつきます。
太ももの骨が伸びるあいだは、もも裏がいつもより引っぱられた状態になりがちです。去年より前屈が届かなくなったという中学生や高校生は、この時期の硬さが出ていることがあります。
こまめに伸ばす習慣を、今のうちから作っておきましょう。
まずは30秒でできる硬さチェック
伸ばす前に、自分のもも裏がどのくらい硬いのかを確かめておきましょう。床の上で、道具なしでできます。
上げた脚が床から70〜80度ほど、ほぼ垂直に近づけば、今の柔らかさはおおむね十分です。45度前後で膝の裏がつっぱる場合は、太ももの裏が硬いサインです。
左右で差があることもよくあります。硬いほうを、少し多めに伸ばしてあげましょう。



右はけっこう上がるのに、左は途中で止まっちゃいました…。



左右差に気づけたのが大事な一歩です。左を多めに伸ばしていきましょう。
もも裏を伸ばすストレッチ4つ(1日5分)
ここからが本題です。やりやすいものから始めて、慣れてきたら順に増やしてください。
ストレッチ1:仰向けでタオルを使う
最初におすすめなのが、仰向けで寝るやり方です。背中を床に預けられるので、背中を丸めずにもも裏だけを伸ばしやすくなります。
仰向けに寝て、片方の足の裏にタオルをかけます。膝を軽く伸ばしたまま、タオルを引いて脚をゆっくり上げ、太ももの裏が伸びたところで20〜30秒保ちます。
反対の脚は床にまっすぐ置いたままにしてください。膝が曲がって浮いてくるなら、上げる角度を少し下げましょう。左右を入れかえて2回ずつ行います。
ストレッチ2:椅子に座って伸ばす
授業の合間や家でもできるのが、椅子を使うやり方です。
椅子に浅く座り、片方の脚を前へ伸ばして、かかとを床につけます。つま先は天井へ向けておきます。背筋を伸ばし、胸を張ったまま、脚の付け根からお辞儀をするように体を前へ倒してください。



前に倒すと、どうしても背中が丸まっちゃいます…。



両手を腰に当てて、おへそを太ももに近づけるつもりで倒してみてくださいね。
手を足先へ伸ばす必要はありません。太ももの裏が伸びてきたところで止め、20〜30秒保ったら、反対の脚も同じように伸ばします。
ストレッチ3:立って台に脚をのせる
練習のあとにその場でできるのが、立ったまま低い台を使うやり方です。ベンチや階段の1段目など、膝より低い高さのものを選びましょう。
片方のかかとを台にのせ、つま先を天井へ向けます。立っている脚の膝は軽くゆるめ、背中をまっすぐにしたまま、脚の付け根から体を前へ倒していきます。
台が高すぎると、背中を丸めないと倒れられなくなるので、低い台から始めるのがコツです。ぐらつく人は、壁に片手をついて行ってください。
ストレッチ4:片膝立ちで伸ばす
膝の裏に近い部分まで伸ばしたいときは、片膝立ちのやり方が向いています。床につく膝の下には、タオルを敷いておきましょう。
片膝を床につき、反対の脚を前へ伸ばして、かかとを床につけます。お尻を後ろへ引くようにしながら、背中をまっすぐにしたまま体を前へ倒します。



お尻を後ろに引いたら、膝の裏の上あたりがじわっと伸びてきました!



その感覚です。前の脚の膝が内や外へ倒れていないかだけ気をつけてくださいね。
続けるときの目安
伸ばすタイミングは、練習のあとやお風呂あがりの、体が温まっている時間がおすすめです。4つを1回ずつ行っても、5分ほどで終わります。
- 1つの姿勢は20〜30秒、左右2回ずつ行う
- 練習後やお風呂あがりなど、体が温まった時間に行う
- 週に1回、仰向けのチェックで変化を確かめる
練習の前は、止まって長く伸ばすより、脚を前後に振るなど動かしながら温めるほうが向いています。前と後でやることを分けると、プレーにもつなげやすくなります。
もも裏ストレッチでやりがちな3つの失敗
もも裏がなかなかやわらかくならない選手には、共通するくせがあります。次の3つに心当たりがないか確かめてください。
失敗1:背中を丸めて手を遠くへ伸ばす
いちばん多いのが、この形です。手を床やつま先につけることが目的になると、背中を丸めてでも手を遠くへ伸ばそうとしてしまいます。
これでは、もも裏より背中や腰が引っぱられます。手の位置は気にせず、胸を張ったまま付け根から倒れることを優先してください。
失敗2:反動をつけて何度も押しこむ
次に多いのが、体を上下に弾ませて、勢いで深く倒そうとする形です。反動をつけると、筋肉は伸ばされまいとして、かえって縮もうとします。
ゆっくり倒れて止まり、息を吐きながら少しずつ深めていくほうが、結果として早くやわらかくなります。



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失敗3:膝の裏のしびれを我慢する
3つ目は、膝の裏やふくらはぎに、ピリピリしたしびれを感じても伸ばし続けることです。筋肉が伸びる感じとは違う、電気が走るような感覚は、神経が引っぱられているサインのことがあります。
このときは、つま先を天井へ向けるのをやめたり、膝を少し曲げたりして、しびれの出ない範囲まで戻してください。



ピリッとしても、我慢したほうが伸びると思っていました…。



伸びる感じと、しびれる感じは別物です。しびれたら一度ゆるめましょうね。
しびれや腰の痛みが続くときや、伸ばすたびに強くなるときは、無理をせず整形外科で診てもらいましょう。
伸ばすだけでは足りない部分
ここまでもも裏を伸ばす大切さをお伝えしてきましたが、やわらかくするだけでケガを防げるわけではありません。
一歩目やダッシュで太ももの裏が傷むのは、伸ばされながら強い力を出す場面です。そこで耐えるには、やわらかさに加えて、伸ばされながら踏んばる筋力も必要になります。
構えについても同じです。もも裏がやわらかくなっても、お尻や体幹で姿勢を支える力がないと、低い構えを長く保つのは難しくなります。
伸ばす習慣と一緒に、もも裏やお尻を鍛える練習も進めてください。やわらかさと、体を支える力の両方がそろうと、動き出しと構えが安定します。



伸ばすのと、裏ももを鍛えるの、両方やってみます!



両方そろうと、低い構えから一歩目がぐっと出しやすくなりますよ。
よくある質問
まとめ:手の位置より、背中を丸めないことを優先する
もも裏のストレッチは、手が床につくかどうかの勝負ではありません。背中を丸めずに、太ももの裏へしっかり効かせられているかが大切です。
胸を張る。付け根から倒す。息を吐きながら30秒。
| つまずくところ | 直し方 |
|---|---|
| 効いている感じがしない | 背中を丸めず、おへそを太ももに近づける |
| 背中が丸まる | 膝を軽くゆるめ、低い台や椅子から始める |
| なかなか伸びない | 反動をつけず、止めて少しずつ深める |
| 膝の裏がしびれる | つま先をゆるめ、しびれない範囲まで戻す |
| 腰やしびれが続く | 無理をせず整形外科で診てもらう |
必要なのは床とタオル1枚、あとは毎日の5分だけです。もも裏がやわらかくなるほど、腰を丸めずに低く構えやすくなっていきます。
そのうえで、もも裏やお尻を鍛える練習も並行して進めてください。



今日の練習後から、仰向けのタオルストレッチを始めてみます!



1週間たったら、仰向けのチェックでもう一度比べてみましょうね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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