- 練習のあと、手首から肘にかけて腕がパンパンに張る
- トスを上げ続けると、手首が重くなってくる
- 手首を回すだけで、ストレッチを済ませてしまっている
こんな悩みを解決します。
手首のストレッチは、手首そのものより「前腕(肘から手首までの腕)」を、手のひら側と手の甲側に分けて伸ばすと効き方が変わります。手首を動かしている筋肉の多くは、前腕についているからです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
バレーは、スパイク・トス・ブロック・レシーブのすべてで、手首と指に負担がかかる競技です。ボールを受ける回数が多いぶん、前腕の筋肉は練習のたびに固くなっていきます。
手首をゆるめる伸ばし方と、それがバレーのどのプレーにつながるのかをセットでお伝えします。ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 手首まわりが硬いと、バレーのどこに影響が出るのかが分かる
- 前腕と指を順番にゆるめる5つのストレッチが分かる
- 手首を痛めないために避けたいやり方が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:手首は「前腕の表と裏」を、肘を伸ばして伸ばす
結論からお伝えします。手首のストレッチは、肘を伸ばしたまま、前腕の手のひら側と手の甲側を1つずつ伸ばすと効きます。
手首を曲げたり反らしたりする筋肉は、手首のまわりではなく、肘の近くから始まって前腕を通り、手首や指まで伸びています。そのため、手首だけをくるくる回しても、前腕の筋肉はほとんど伸びません。
ポイントは肘の形です。肘を曲げると、前腕の筋肉がゆるんだ状態になり、手首をいくら倒しても伸び感が出にくくなります。
サルくん手首のストレッチなのに、腕を伸ばすんですか?



手首を動かす筋肉は、肘のあたりから始まっているんですよ。
もう1つ大事なのが、指です。手首を反らす筋肉と指を伸ばす筋肉はつながっているので、指までそろえて伸ばすと、前腕の奥まで伸びが届きます。
- 肘はまっすぐ伸ばしたまま行う
- 手のひら側と手の甲側を1つずつ伸ばす
- 指までそろえて、前腕の奥まで伸ばす
- 1つの姿勢は20秒ほど、痛みの手前で止める
この4つを押さえるだけで、同じ時間でも前腕全体をしっかりゆるめられます。
手首が硬いとバレーで起きる3つのこと
手首の硬さは、日常生活ではほとんど困りません。それでも、ボールに触れる瞬間には次の3つの形で表れます。
1:スパイクで手首を返しきれない
1つ目は、スパイクです。ミートでは、手のひらでボールを包み込んで押し出し、最後は手首を返して、手の甲が打球方向を向くまで振り抜くのが基本になります。
前腕が張っていると、この手首の返しが途中で止まりやすくなります。返しきれないとボールに回転がかからず、打球が浮いたりアウトになったりする原因の1つになります。
前腕がゆるむと、ミートの最後まで手首を大きく使えます。スパイクがふかしやすい人は、打ち方と一緒に手首まわりの硬さも見直してみてください。
2:トスで手首が固まり、ボールが伸びない
2つ目は、トス(オーバーハンドパス)です。トスは手首を固めるのではなく、肘を伸ばす力に合わせて、手首から指へ順に力を伝えて押し出します。
前腕が硬いと、ボールを受けた瞬間に手首が柔らかく曲がらず、はじくような当たり方になりがちです。すると、肘から指への力の受け渡しがうまくいかず、ボールが遠くまで伸びません。



手首ガ 柔ラカイト 指マデ 力ガ 伝ワル
私は、トスを上げる機会が多い選手には、練習のあとに前腕をゆるめる時間を取るようおすすめしています。受けて押し出す動きをくり返す分、手首まわりは知らないうちに張ってくるからです。



トス練習のあと、腕がだるいのはそのせいだったんですね。



使った分だけ、伸ばす時間もセットにしましょう。
3:ブロックやレシーブで手首と指に負担が残る
3つ目は、ボールを受けるプレーです。ブロックは手首を折らず、まっすぐ保ったまま手を出すのが基本です。強いスパイクを受け止める分、前腕には大きな力がかかります。
レシーブでも、ボールを当てる場所は前腕の中央です。手首の近くで受けると痛みが出やすいため、当てる場所をそろえることが第一ですが、受けたあとの腕の張りはどうしても残ります。
ストレッチだけで手首や指のケガを防げるわけではありません。それでも、よく使う前腕を練習のたびにゆるめておくことは、次の練習で気持ちよく動くための準備になります。



ブロックのあと腕が重かったのは、受け止めていたからなんですね。



手首まわりは、それだけたくさん働いているということなんですよ。
まずは30秒でできる手首の硬さチェック
伸ばす前に、自分の手首がどれくらい硬いのかを確かめておきましょう。やり方は2つです。
- 胸の前で両手を合わせ、手のひらをつけたまま下げていく:どこで手のひらが離れるか
- 手の甲どうしを合わせ、指先を下に向けて持ち上げていく:手首がどこまで曲がるか
1つ目で、手首がみぞおちより上で離れる人は、手のひら側が硬めです。2つ目で、手の甲がすぐ離れる人は、手の甲側が硬めのサインになります。
左右で差があるかも見ておいてください。利き手のほうが硬いことはよくあるので、差が大きい側を、次のストレッチで1回多めに行いましょう。



右手だけ、みぞおちより上で離れてしまいました…。
手首と前腕をゆるめるストレッチ5つ(1日3分)
ここからが本題です。立ったままできるものから始めて、床を使うもの、指の順に進めると、無理なく深く伸ばせます。
ストレッチ1:腕を前に出し、手のひら側を伸ばす
右腕を前にまっすぐ伸ばし、手のひらを前に向けて指先を下にします。左手で右手の指をつかみ、手前へゆっくり引き寄せます。
前腕の手のひら側から肘の内側にかけて伸びていればOKです。肘が曲がると伸び感が消えるので、肘をまっすぐ保ったまま20秒ほど保ち、左右を入れかえます。
ストレッチ2:手首を下に曲げ、手の甲側を伸ばす
右腕を前に伸ばし、今度は手の甲を前に向けて手首を下へ曲げます。左手で右手の甲を包み、手前へゆっくり引き寄せます。
前腕の手の甲側から肘の外側にかけて伸びます。指を軽く握って丸めると、手の甲側がさらに深く伸びます。こちらも20秒保ち、左右を入れかえましょう。



肘の外側まで伸びてきました!



そこが、手首を反らす筋肉の始まりなんですよ。
ストレッチ3:四つばいで、体重をかけて伸ばす
床に四つばいになり、手のひらを床につけて、指先を膝のほうへ向けます。肘を伸ばしたまま、お尻をゆっくり後ろへ引いていきます。
体重を使える分、立ったまま行うより深く伸びます。最初は指先を横に向けるところから始め、慣れてきたら膝のほうへ向けていくと、無理なく進められます。
ストレッチ4:指を1本ずつ反らす
手首を軽く反らした状態で、反対の手で指を1本ずつ手の甲側へ反らします。親指から小指まで、1本につき5秒ほどを目安に行いましょう。
トスやブロックでは、指の1本1本でボールに触れます。指のつけ根がゆるんでいると、ボールを受けたときに指全体で力を分け合いやすくなります。
ストレッチ5:手首を内と外へひねる
最後に、肘を体の横で90度に曲げ、手のひらを上に向けたり下に向けたりして、前腕をゆっくりひねります。反対の手で手首を軽く持ち、ひねりきったところで5秒ほど止めましょう。
前腕のねじる動きがゆるむと、スパイクで手首を返す動きや、レシーブで腕の面を作る動きが楽になります。
毎日続けるときの目安
手首のストレッチは、一度に長く伸ばすより、毎日少しずつ続けるほうが変化につながります。
おすすめは、練習のあとやお風呂あがりの、体が温まっている時間です。5つを1回ずつ行っても、3分ほどで終わります。
- 1つの姿勢は20秒ほど、左右それぞれ行う
- 体が温まっている時間に、できれば毎日行う
- チェックで硬かった側を1回多めに伸ばす
- 1か月ごとに、硬さチェックの離れる高さを比べる
練習の前は、止まって長く伸ばすより、手首を回したり指を開いたり閉じたりして、動かしながら温めるほうが向いています。前と後でやることを分けると、プレーにもつなげやすくなります。
手首のストレッチでやりがちな3つの失敗
手首を伸ばしているつもりでも、形がずれていると効きません。次の3つに心当たりがないか確かめてください。
失敗1:手首を回すだけで終える
いちばん多いのが、この形です。手首をくるくる回すのは、体を温める準備としては役立ちますが、前腕の筋肉を伸ばすストレッチにはなりません。
練習前は回す、練習後は止めて伸ばす、と使い分けましょう。回すだけで終えていた人は、ストレッチ1と2を足すだけで伸び感が変わります。



回ス ト 伸バス ハ 別ノ モノ
失敗2:肘を曲げたまま引っ張る
次に多いのが、肘が曲がったまま手首を引っ張る形です。肘が曲がると前腕の筋肉がゆるむので、手首を強く倒しても伸びる感じが出ません。



強く引っ張れば効くと思っていました…。



強さより肘の形です。肘をまっすぐにして、軽く引くだけで十分ですよ。
失敗3:痛みやしびれをがまんして続ける
3つ目は、やりすぎです。反動をつけたり、痛みをがまんして反らしたりすると、筋肉は縮んで身を守ろうとするので、かえって伸びにくくなります。
手首に腫れや熱があるとき、反らすと鋭い痛みが走るとき、指にしびれが出るときは、ストレッチを止めてください。痛みが続くときは、整形外科で診てもらいましょう。
伸ばすだけでは足りない部分
ここまで手首をゆるめる方法をお伝えしてきましたが、柔らかくなるだけで、スパイクが強くなったりトスが安定したりするわけではありません。
手首と指は、ボールの勢いを受け止めて、押し返す場所です。ゆるめる練習と一緒に、支える力をつける練習も進めてください。
伸ばして動く範囲を広げ、その範囲で力を出せるように鍛える。この2つがそろうと、ミートの返しも、トスの伸びも、ブロックの手の強さも伸びていきます。



伸ばすのと鍛えるの、両方やってみます!



手首が使えるようになると、ボールの触り方が変わっていきますよ。
よくある質問
まとめ:手首は前腕の表と裏を、肘を伸ばして伸ばす
手首のストレッチは、手首を回すだけで終わらせないことが大切です。肘を伸ばしたまま、前腕の手のひら側と手の甲側を1つずつゆるめていきましょう。
肘を伸ばす。表と裏に分ける。毎日3分続ける。
| つまずくところ | 直し方 |
|---|---|
| 伸びている感じがしない | 肘をまっすぐ伸ばしてから引く |
| 手の甲側が伸びない | 指を軽く握って丸める |
| 回すだけで終わっている | 練習後は止めて20秒伸ばす |
| 利き手だけ硬い | 硬い側を1回多めに伸ばす |
| 痛みやしびれが出る | すぐ止め、続けば整形外科へ |
必要なのは自分の手と床だけです。前腕がゆるむほど、ミートの最後の返しも、トスの押し出しも楽になっていきます。
そのうえで、ゆるめた手首でボールを受け止め、押し返すための力づくりも並行して進めてください。



今日のお風呂あがりから、手の甲側のストレッチを始めてみます!



1か月たったら、硬さチェックで手のひらが離れる高さを比べてみましょうね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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