- 部活の救急箱に何を入れておけばいいのか分からない
- 市販の救急セットを買ったけれど、バレーで使う物が入っていない気がする
- けが人が出たときに、必要な物がすぐ出てこなくて慌ててしまった
こんな悩みを解決します。
バレー部の救急セットでいちばん大事なのは、中身を増やすことではなく、使う場面から逆算して並べておくことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生を指導していますが、体育館で起こるけがは、突き指と足首の捻挫、そして床との接触による擦り傷にだいたい集中します。
使う物が決まっているのに、箱の中は関係ない物でいっぱい、という光景を何度も見てきました。
慌てる原因は道具が足りないことではなく、探す時間が長いことです。ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- バレー部の救急セットに入れる10品がわかる
- 箱の中を「探さずに取り出せる」形に並べる方法がわかる
- 中身が減ったまま放置されない管理の手順がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:救急セットは「冷やす・守る・支える」の3つで組む
先に結論をお伝えします。バレー部の救急セットは、冷やす物・傷を守る物・関節を支える物、この3つのグループに分けて入れておくのが正解です。
品数をそろえること自体が目的になると、箱の中身は増えるのに、必要な場面で目当ての物が出てきません。
バレーで起こることの多いけがは、種類がかなり限られています。ジャンプの着地でひねる足首、ボールを受け損ねた指、床に滑り込んだときの擦り傷。
この3つでほとんどを占めます。
だから中身も、その3つに対応する形で組めば十分です。
れおコーチ市販の救急箱を買ったんですが、使う物が見つからなくて。



中身が悪いんじゃなくて、並べ方の問題であることが多いですよ。
グループ分けをすると、指示も短くなります。「冷やす袋を持ってきて」と言えば伝わるからです。
これが「救急箱を持ってきて」だと、持ってきた人が箱の中を探すところからやり直しになります。数十秒の差ですが、その場の落ち着きがまったく変わります。
もう1つ大事なのが、救急セットは治すための道具ではないという前提です。あくまで、医療機関にかかるまでの時間をつなぐための物になります。
痛みが強い、腫れが引かない、動かせないといった場合は、その場で判断せず医療機関を受診してください。
判断に迷ったときほど、早めに見てもらうほうが結果的に復帰は早くなります。



冷ヤス 守ル 支エル
なぜチームに1つ常備しておくのか
「保健室があるから大丈夫」と考える方もいらっしゃいます。ただ、体育館での活動には、保健室が使えない時間帯や場所がどうしても出てきます。
平日の遅い時間、休日の練習、他校での練習試合。このどれもが、学校の保健室から離れた状況です。
大会会場には救護所があることも多いのですが、コートから救護所まで距離があります。最初の1〜2分で手が打てるかどうかは、手元に物があるかで決まります。



会場に救護があるから、と油断していました。



救護までの数分をつなぐ物が、手元にあるかどうかなんです。
もう1つの理由が、チームで管理すると中身が偏らない点です。個人任せにすると、持っている人と持っていない人の差が大きく開きます。
私が指導している現場でも、テーピングを常に持っている選手はごく一部でした。その日にたまたま持っていた選手の物を使う形になると、次の日に困るのは持ち主のほうです。
チームで1つ用意しておけば、誰の物かで気を遣う必要がなくなります。使ったら補充する、という決まりだけで回ります。
常備する10品と選び方
ここが本題です。バレー部の救急セットに入れる10品を、3つのグループ順に並べます。
数を増やすより、この10品が確実にそろっていて、すぐ取り出せる状態のほうがはるかに役に立ちます。
冷やすための3品
1つ目のグループが、冷やすための道具です。ジャンプ競技であるバレーでは、ここがいちばん出番の多い部分になります。
氷のうを1〜2個。口が広いタイプだと氷が入れやすく、閉めるときも手間取りません。ベルト付きなら手で押さえ続けなくて済みます。
口が広いスポーツ用の氷のうなら、たとえばこのようなものがあります。
瞬間冷却剤(叩いて冷たくなるタイプ)を5個ほど。氷が用意できない会場や、移動中に使えるのが強みです。使い切りなので、使った分だけ足していく形になります。
ビニール袋を10枚ほど。製氷機の氷をそのまま入れられるので、氷のうが足りないときの代わりになります。



会場に氷がないこともありますよね?



だから叩くタイプを常に何個か入れておくんです。
冷やす時間や当てる場所には目安があります。部位ごとの当て方は、次の記事にまとめました。
傷を守るための4品
2つ目が、擦り傷や切り傷に対応するグループです。バレーは床に滑り込む動きが多いので、膝や肘の擦り傷はよく起こります。
使い捨て手袋を数組。他人の血液に直接触れないための物で、指導者と選手の両方を守ります。ここは省略しないでください。
滅菌ガーゼを10枚ほど。傷を覆う、押さえるといった場面で使います。
絆創膏を3サイズ。指用の細い物、標準サイズ、関節が動いても剥がれにくい大きめの物をそろえておくと、たいていの傷に足ります。
洗浄用の水として、未開封のペットボトルを1〜2本。傷に付いた砂やほこりは、まず流すのが基本になります。



消毒液は入れなくていいんですか?



流水で洗うのが先です。判断に迷う傷は病院へ行ってもらいましょう。
深い傷、出血が止まらない傷、砂が取れない傷は、その場で処置を続けず医療機関へ向かってください。救急セットは応急の段階までで区切るのが安全です。
支えるための3品
3つ目が、関節や患部を支えるグループです。ここはバレー特有の中身になります。
テーピングテープを2種類。指を固定する細めの物と、足首に使う幅広の物をそろえておきます。巻き方は事前に覚えておかないと、その場では手が動きません。
指用の細いテープなら、たとえばチームで使いやすいまとめ入りのものがあります。
弾性包帯を2本。腫れてきた部分を軽く押さえる、氷のうを固定するといった使い方ができます。
三角巾を2枚。腕を吊る場面のほか、大きめの布としても使えます。



突き指のテーピングは自分で覚えます!



それが一番早いですよ。選手が自分でできると安心です。
巻き方の手順は別の記事で解説しています。セットに入れるだけでなく、練習のない日に一度試しておいてください。
忘れられがちな残りの3品
最後に、3グループに入らないけれど必要になる物を挙げます。
はさみを1本。テープや包帯を切る場面で必ず使いますが、意外と入っていないことが多い道具です。
体温計を1本。夏場の体調確認に加え、休ませるかどうかの判断材料になります。
連絡先メモを1枚。保護者の連絡先、学校の緊急連絡先、近隣の医療機関と休日診療の窓口を書いて、箱の内側に貼っておきます。
連絡先メモは、10品の中でいちばん軽くて、いちばん効く1枚です。慌てている場面で、スマートフォンから連絡先を探すのは想像以上に時間がかかります。



紙一枚ガ 一番速イ
置き場所と管理の5ステップ
道具がそろっても、置き場所と管理の形が決まっていないと機能しません。次の5ステップで運用してください。
小分けにすると探す時間が消える
5つの中で効果が大きいのが、1つ目の小分けです。透明のポーチに分けておくと、外から見ただけで中身が分かります。
ひとつの箱にすべて入っていると、必要な物を探す時間が長くなります。急いでいる場面では、この探す時間がそのまま焦りに変わります。
ポーチの色を分けておくのも有効です。「青い袋を持ってきて」で通じるようになると、指示が一言で済みます。



色で分けるのはすぐできますね。



実際、この一手間だけでかなり変わりますよ。
補充は「気づいた人」に任せない
4つ目と5つ目も欠かせません。使ったその日に記録し、月に1回まとめて買い足す形です。
補充を「気づいた人がやる」運用にすると、ほぼ確実に減ったまま止まります。誰の仕事でもない状態になるからです。
マネージャーがいるチームなら担当を決めやすく、いない場合は学年ごとの持ち回りでも回ります。大事なのは、担当が決まっていることそのものです。
ありがちな3つの失敗
ここでは、実際によく見かける失敗を3つ挙げておきます。
市販セットをそのまま置いている
いちばん多いのが、市販の救急セットを買ってきて、そのまま体育館に置いているパターンです。
市販品は家庭やアウトドア向けに作られているので、バレーで必要な氷のうやテーピングが入っていないことがよくあります。
逆に、体育館ではまず使わない物が場所を取ります。
買うこと自体は問題ありません。買った後に中身を入れ替える工程を、必ず1回はさんでください。
使用期限を確認していない
2つ目が、期限の見落としです。絆創膏や滅菌ガーゼにも使用期限があり、瞬間冷却剤も年数が経つと冷えにくくなります。
何年も開けていない救急箱は、中身がそろっていても機能しないことがあります。年度の初めに一度、全部出して並べる日を作ってください。



開けたら、いつの物か分からない物ばかりでした…。



年に1回、全部出す日を決めておくといいですね。
使い方を覚えている人が1人しかいない
3つ目が、いちばん見落とされやすい失敗です。テーピングを巻ける人が顧問1人だけ、という状態はよくあります。
その1人がいない日に何かが起きたとき、道具はあっても手が動きません。
年に1回でいいので、キャプテンとマネージャーを含めた数人で、中身を出して使い方を確認する時間を取ってください。10分あれば十分です。
使う前に決めておく2つの線引き
道具の話の最後に、使う前の判断について触れておきます。ここを決めていないと、救急セットがかえって判断を遅らせることがあります。
その場で対応する範囲を決めておく
1つ目が、どこまでを応急とするかの線引きです。冷やす、覆う、支える。ここまでが救急セットの役割になります。
痛みが強い、腫れが大きい、体重をかけられない、指が曲がらない。こうした様子が見えたら、応急の段階で止めて医療機関へ向かってください。
道具があるほど「もう少し様子を見よう」と考えてしまいがちですが、迷った時点で受診したほうが安全です。
意識がはっきりしない、呼吸がおかしい、出血が止まらない場合は、迷わず救急車を呼んでください。
保護者への連絡の順番を決めておく
2つ目が、連絡の順番です。けがが起きたとき、誰がどの順で連絡するかを事前に決めておきます。
現場で対応する人と、連絡する人を分けるのが基本です。1人が両方をやろうとすると、どちらも中途半端になります。



対応しながら電話は、確かに無理がありますね。



連絡係を先に決めておくだけで、現場が落ち着きますよ。
- 応急で止めるか、受診に切り替えるか
- 誰が保護者へ連絡するか
- どの医療機関へ向かうか
けがの後の受診先で迷う場面もあります。判断の考え方は次の記事にまとめました。
よくある質問
まとめ
バレー部の救急セットは、品数を競う物ではありません。使う場面が決まっている競技なので、そこから逆算して並べるだけで十分に機能します。
冷やす・守る・支えるの3つに小分けし、中身表と担当を決める。これだけで、慌てる時間がほとんど消えます。
| グループ | 入れる物 | 主な出番 |
|---|---|---|
| 冷やす | 氷のう・瞬間冷却剤・ビニール袋 | 足首や膝をひねったとき |
| 守る | 使い捨て手袋・滅菌ガーゼ・絆創膏・洗浄用の水 | 床での擦り傷・切り傷 |
| 支える | テーピングテープ・弾性包帯・三角巾 | 突き指・足首の固定 |
| その他 | はさみ・体温計・連絡先メモ | 全般・体調確認・連絡 |
| 管理 | 中身表・置き場所の固定・月1回の補充 | 減ったまま放置しない |
| 判断 | 応急で止める線引き・連絡の順番 | 受診に切り替えるとき |
私は元日本代表として、また指導者として多くの中学生を見てきましたが、けがの場面で差が出るのは道具の量ではありませんでした。
決めごとがあるチームは、指導者がいない場面でも選手だけで動けるんです。
冷やす物を持ってきて、連絡係はこの人、という形が共有されていれば、慌てる時間が短くなります。



明日、部室の箱を全部出してみます!



中身表を作るところから始めましょうか。



その1回で、来年まで安心して使えますよ。
アイシング用の道具は、選び方でも使いやすさが変わります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
- ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
- ボールカゴ2つ…球出しと片づけが一気に楽になる
- ネット・アンテナ…予備がないと、欠けた日の練習が止まる
ケース単位でそろえるなら楽天市場でバレーボールを探すのもおすすめです。
▶ 関連記事: バレー部の用具・備品の管理|数え方・点検・買い替えの基準









