- ぶつけた場所を冷やしたいけれど、何分冷やせばいいのか分からない
- 保冷剤を当てていたら、肌が赤くヒリヒリしてしまった
- 練習のあとは毎回冷やしたほうがいいのか迷っている
こんな悩みを解決します。
アイシングでいちばん大事なのは、痛みや熱がある場所を、感覚がなくなるまで15〜20分冷やすことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生以上の選手を指導してきましたが、冷やし方でつまずく選手の多くは、時間ではなく当て方でつまずいていました。
保冷剤をタオルなしで押し当てる。5分で外してしまう。この2つを直すだけで、冷やす効果はまるで変わります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- アイシングの基本のやり方が、3つの手順で分かる
- 冷やす時間・間隔・部位別の当て方の目安が分かる
- 冷やす場面と温める場面の違い、病院に相談する線引きが分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:痛みと熱がある場所を15〜20分冷やす

結論からお伝えします。痛みや熱をもっている場所に、氷のうを15〜20分当ててください。
冷やす目的は、傷んだところの熱と腫れを落ち着かせることです。ぶつけた直後や、ひねった直後がいちばん出番の多い場面になります。
つまり、冷やすかどうかは部位ではなく状態で決まるんですよね。どこであっても、熱をもって痛むなら冷やす対象になります。
しかも、短すぎる冷却はほとんど効きません。冷たさが皮膚の下まで届くには時間がかかるので、5分で外すと表面だけを冷やして終わります。
サルくん冷たくて痛いので、いつも5分くらいで外していました。



冷たさの感じ方は途中で変わりますよ。
冷やしている間、感覚は 冷たい → ヒリヒリする → 痛い → 感じにくくなる、と4段階で変わります。この最後まで来たら外すタイミングです。
- 痛みや熱がある場所だけを冷やす
- 15〜20分、感覚がなくなるまで続ける
- 肌と氷の間に薄いタオルを1枚はさむ
この3つを外さなければ、道具の違いはそれほど問題になりません。逆にここを外すと、長く当てても効きませんし、肌を傷める危険もあります。
なお、足首をひねった直後や突き指の直後は、冷やす前にやることの順番があります。当てはまる人は、そちらを先に読んでから戻ってきてください。
アイシングを始める前に決める3つのこと
冷やし方より先に決めておくことがあります。ここがあいまいだと、当てても効きません。
決めること1:いま冷やす場面かを見分ける
まず、その痛みが冷やすべきものかを見ます。手のひらを当てて、まわりより熱い・腫れている・押すと強く痛む。このどれかがあれば冷やす場面です。
反対に、朝の動きはじめだけ硬い、じんわり重いだけ。こういう痛みは冷やしてもあまり変わりません。



ぶつけたところが熱をもっています。



それなら、迷わず冷やしていい場面ですね。
判断に迷ったときは、まず冷やして様子を見るのが安全です。熱をもっていない場所を短時間冷やしても、大きな害はありません。
決めること2:冷やす道具を選ぶ
いちばん使いやすいのは、氷のう(アイスバッグ)です。氷を入れて空気を抜くと、体の丸みに沿ってぴったり当たります。
スポーツ用の氷のうなら、たとえばこのようなものがあります。
氷のうがなければ、ビニール袋で代用できます。氷を入れて少しだけ水を足し、空気を抜いて口を結んでください。



氷ト少シノ水 空気ヲ抜クト密着スル
気をつけたいのが保冷剤です。冷凍庫から出したての保冷剤は0℃よりずっと冷たく、直接当てると肌を傷めます。
冷却スプレーも、その場の痛みをまぎらわせるだけで、中まで冷やす力はありません。道具の選び方は、こちらの記事にまとめてあります。
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決めること3:当てる場所を絞る
冷やす範囲は、痛い場所とその周りだけで十分です。脚全体・腕全体のように広く冷やすと、体が冷えすぎて動きが硬くなります。
指1本で押して痛む点を見つけ、その点を中心に手のひら1枚ぶんを目安にしてください。
そして、氷を当てる前に薄いタオルを1枚はさみます。厚いタオルだと冷たさが届かないので、ハンドタオル1枚くらいがちょうどいい厚さです。



タオルなしのほうが早く冷えませんか?



早く冷える代わりに、凍傷の危険が出ます。
アイシングの基本のやり方3手順


ここからが実際のやり方です。手順は3つだけで、どれも自分ひとりでできます。
手順1:氷のうを作る
最初に、当てる道具をつくります。氷だけを詰めるのではなく、少量の水を足すのがコツです。
水を足すと袋の中が0℃に近づき、体の丸みにも沿いやすくなります。氷だけだと角が当たって、冷える面がせまくなるんです。
冷凍庫から出したての氷は、表面に霜がついています。さっと水で流してから使うと、肌への刺激がやわらぎます。



霜ヲ流ス 水ヲ少シ足ス コレデ準備完了
袋の空気は、しっかり抜いてください。空気が残っていると、その部分だけ冷たさが伝わりません。
手順2:タオルをはさんで当てる
次に、患部へ当てます。薄いタオルを1枚はさみ、氷のうを軽く押しつけてください。
手で押さえ続けるのが大変なら、包帯やラップで軽く巻いて固定します。締めつけるのではなく、落ちない程度に留めるだけで十分です。
くり返し使うなら、氷のうを留める専用のバンドもあります。
このとき、体の力を抜いて楽な姿勢をとります。座って足を台に乗せる、いすの背もたれに寄りかかるなど、15分待てる姿勢にしておきましょう。



座って冷やせば、勉強もできますね!



その時間の使い方はいいですね。
脚を冷やすときは、心臓より少し高くしておくと腫れが引きやすくなります。クッションや畳んだタオルの上に足を乗せてみてください。
手順3:時間を計って外す
最後に、外すタイミングです。目安は15〜20分ですが、それより先に感覚がなくなったらその時点で外します。
外したあとは1〜2時間あけて、必要ならもう1度くり返します。強くぶつけた日や、ひねった直後は、この繰り返しを2〜3日続ける場面もあります。
連続で30分以上当て続けない。これだけは守ってください。



長く当てたほうが効きそうですけど…。



そこから先は、効果ではなく凍傷の話になります。
冷やし終わったら、皮膚の色を見ておきます。白くなっている・感覚が戻らない場合は、次回の時間を短くしてください。
アイシングでよくある3つの失敗
うまくいかないときは、たいてい次の3つのどれかです。1つずつ見ていきます。
失敗1:保冷剤を直接当てている
いちばん多いのが、保冷剤をそのまま肌に押し当てるパターンです。手軽なので、体育館の冷凍庫から出してすぐ使ってしまいます。
肌が白い・赤いまだらになる・感覚が戻らない。この3つは、冷やしすぎのサインです。
このサインが出たら、すぐに外して自然に温まるのを待ってください。こすったり、お湯で急に温めたりするのは避けます。
保冷剤を使うなら、必ずタオルを1枚はさみます。氷のうより冷たいぶん、時間も少し短めにしておくと安心です。
失敗2:5分で外してしまう
次に多いのが、冷たさに耐えられず途中でやめるパターンです。いちばんつらいのは、じつは始めて数分の「ヒリヒリする」時期なんですよね。
そこを越えると痛みは落ち着き、やがて感覚が鈍くなります。この段階まで来て、はじめて中まで冷えた状態です。
冷たさがきついときは、タオルをもう1枚重ねてください。届く冷たさはゆるやかになりますが、途中でやめるよりずっといい結果になります。



ヒリヒリハ途中経過 ソコデヤメナイ
失敗3:痛くない場所まで広く冷やしている
最後が、範囲の失敗です。念のためと思って、脚全体・肩から腕まで広く冷やしてしまう選手がいます。
広く冷やすと体温が下がり、筋肉が硬くなります。そのまま練習に戻ると、動きが鈍いままプレーすることになるんです。
冷やすのは痛む場所とその周りだけ。冷やしたあとにすぐ動く予定があるなら、軽く体を動かして温めてからコートに戻ってください。



冷やしたあと、すぐ跳んでも大丈夫ですか?



少し歩いて、体を戻してからにしましょう。
部位別:アイシングの当て方
当てる場所によって、押さえ方が少し変わります。よく使う3か所を見ていきます。
足首や膝などの関節
関節は骨のでこぼこが多く、平らな保冷剤だと浮いてしまいます。氷のうを使い、へこんだところに沿わせるように当ててください。
包帯やラップで軽く巻いて固定すると、手を離せます。足首なら、外くるぶしのまわりを包む形が当てやすいはずです。
太ももやふくらはぎなどの筋肉
筋肉は面が広いので、氷のうを当てて上から軽く押さえます。ぶつけた直後は、その場所を中心に手のひら1枚ぶんで十分です。
ここでも巻きすぎに注意します。強く巻くと血の流れが止まり、しびれが出ることがあります。



ぶつけた太ももが熱をもっています。



座って足を上げ、その場所だけ冷やしましょう。
肩や肘など打つ側の関節
打つ動作をくり返した日は、肩や肘に熱が残ることがあります。その場合も、痛む点を中心に15分ほど当てれば十分です。
ただし、毎日のように肩や肘が痛むなら、冷やして続けるより原因を直すほうが先になります。フォームや練習量を見直すきっかけにしてください。
冷やす場面と温める場面はどう分ける?
冷やすと温めるは、どちらが上ということはありません。使う場面が違うだけです。
熱と腫れがあるうちは冷やす
ぶつけた・ひねった直後や、押すと強く痛む時期は冷やす場面です。熱をもっているうちは、温めると痛みが強くなることがあります。
目安として、ぶつけてから2〜3日は冷やす期間と考えてください。腫れが引き、熱が落ち着いてきたら次の段階です。
熱が引いたら温めて動かす
熱が引いたあとは、温めて血の流れを良くするほうが回復に向きます。お風呂につかる、軽く歩く、といった方法が現実的でしょう。
練習後の疲れを取りたいだけなら、最初から温めるほうが合っています。冷やすのは、あくまで痛みと熱がある場所への手当てです。



練習後は毎回冷やすものだと思っていました。



痛くない日は、お風呂とストレッチで十分ですよ。
| 場面 | 向いている手当て | 理由 |
|---|---|---|
| ぶつけた・ひねった直後 | 冷やす | 熱と腫れを落ち着かせたい時期 |
| 押すと強く痛む2〜3日 | 冷やす | まだ熱が残っていることが多い |
| 熱が引いたあと | 温める | 血の流れを良くして回復に向かう |
| 練習後の軽い疲れ | 温める | 痛みではなく疲れなので冷やす場面ではない |
疲れを翌日に残さない手当ての順番は、こちらの記事にまとめました。
冷やさずに休む・病院に相談する目安
アイシングは、痛みを治す道具ではありません。傷んだところの熱と腫れを落ち着かせて、体が回復する時間をつくるための手当てです。
だから、冷やせば練習に戻れるという考え方は危ないところがあります。
体重をかけられない・関節がぐらつく・冷やしても腫れが増えていく。
このどれかがあれば、その日は動かさずに整形外科へ。
冷やすのを避けたほうがいい人もいます。感覚が鈍い場所、冷たさで肌が赤くふくらむ体質の人は、自己判断で長く当てないでください。



試合が近いと、冷やして出たくなります…。



その気持ちは分かりますが、1試合と1シーズンを比べてください。
痛みが落ち着いてきたら、練習へ戻す順番も決めておきたいところです。いきなり全部に戻ると、同じ場所をもう一度傷めます。
よくある質問
まとめ:場所と時間が合えば、冷やし方はシンプル
アイシングは、長く当てるほど効く手当てではありません。痛みと熱がある場所を、決まった時間だけ冷やすのが基本です。
熱がある場所だけ。15〜20分。タオルを1枚はさむ。
| つまずくところ | 直し方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 冷やしても変わらない | 15〜20分まで続ける | 5分で外すと表面しか冷えない |
| 肌が赤くヒリヒリする | タオルを1枚はさむ | 保冷剤を直接当てない |
| 冷やしたあと動きが硬い | 範囲を痛む場所だけに絞る | 脚全体・腕全体を冷やさない |
| 腫れが引かない | 冷やすのをやめて受診する | 冷やし続けて様子を見ない |
私が指導してきたなかでも、当て方を直しただけで翌日の腫れの引き方が変わった選手は何人もいました。使う氷の量はむしろ減っています。
体育館でできる手当てには限りがあります。それでも、その場の15分をていねいに使えるかどうかで、次の練習に戻れる日は変わってきます。
そのうえで、冷やす回数が減っていくのがいちばんいい状態です。あせらず、体の使い方から整えていってください。



今日は時計を見ながら冷やしてみます。



感覚がなくなったら外す、そこまでが手順ですよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
コンディショニングについては他にも記事を書いています。
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