- 練習中に部員同士が言い合いになり、どう止めればいいか分からない
- どちらの言い分を信じればいいのか迷ってしまう
- けんかのあとから、チームの空気が悪いままになっている
こんな悩みを解決します。
バレー部の部員同士のけんかに指導者が入るときは、その場で止めて安全を確保し、1人ずつ話を聞いて事実をそろえてから、話し合いと見守りへ進めるのが基本の順番です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
指導者の立場から見ても、けんかそのものより、そのあとの大人の入り方でチームの空気は大きく変わると感じます。どちらかを悪者にして終わらせると、同じことがくり返されやすくなります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- バレー部でけんかが起きやすい場面と、その理由が分かる
- 指導者がけんかの間に入るときの5つの手順が分かる
- やりがちな失敗と、けんかが起きにくいチームのつくり方が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:止める→分けて聞く→そろえる、の順番を守る
先に結論をお伝えします。部員同士のけんかに指導者が入るときに大切にしたいのは、次の3つです。
- 止める:まず言い合いや手が出る状態を止め、全員の安全を守る
- 分けて聞く:その場で裁かず、1人ずつ落ち着いてから話を聞く
- そろえる:聞いた話から事実と気持ちを分け、次にどうするかを決める
けんかを目の前にすると、指導者はすぐにどちらが悪いのかを決めたくなるものです。けれど、気持ちが高ぶっている最中に話を聞いても、本当のことは出てきにくくなります。
れおコーチ目の前で言い合いが始まると、つい大きな声で叱ってしまいそうです…。



まずは止めて、落ち着く時間をつくりましょう。
けんかの対応は、その場で決着をつけるより、順番を守ることが大切です。順番を守れば、どちらの部員も「ちゃんと話を聞いてもらえた」と感じやすくなります。
私は、けんかは一緒に本気で取り組んでいるからこそ起きる面もあり、大人の関わり方しだいでチームが強くなるきっかけにもなると考えています。
バレー部でけんかが起きやすい4つの場面
バレーはコートの中で6人がつねに関わり合う競技なので、ほかの部活に比べても言葉のぶつかり合いが起きやすい面があります。よくある場面を4つに分けて見ていきます。
- ミスのあとに、責め合いになる
- ポジションやレギュラーをめぐって、気持ちがぶつかる
- 先輩と後輩の間で、言い方や役割に不満がたまる
- 部活の外やSNSでのやりとりが、練習に影響する
ミスのあとに責め合いになる
ボールを落としたあとに「今のはそっちでしょ」と言い合いになるのは、バレー部でよく見られる場面です。2人の間に落ちたボールや、つながらなかったトスは、どちらのミスか分かりにくいことがよくあります。
試合が近い時期や、なかなか勝てない時期は、気持ちに余裕がなくなり、ちょっとした一言が大きなけんかになりやすくなります。



どっちがとるボールだったのか、言い合いになってしまいました…。
ポジションやレギュラーをめぐってぶつかる
同じポジションを争う部員どうしは、仲間でありながら競争相手でもあります。選ばれなかった側の悔しさが、相手への強い言葉になって出てしまうことがあります。
選ぶ基準が部員に伝わっていないと、「えこひいきだ」という不満が部員どうしの対立に変わることもあるので注意が必要です。
先輩と後輩の間で不満がたまる
準備や片づけの分担、声のかけ方など、先輩と後輩の間の小さな不満が積み重なって、ある日ぶつかることがあります。後輩が言い返せずに我慢している場合は、表に出にくいのが特徴です。
部活の外やSNSでのやりとりが練習に影響する
学校生活やSNSでのやりとりがきっかけで、練習中の態度がとげとげしくなることもあります。
指導者からは原因が見えにくいので、「急に仲が悪くなった」と感じたら、部活の外の出来事も考えに入れておきましょう。



練習の外の出来事が原因のこともあるんですね。
指導者が間に入る5つの手順
ここからは、部員同士のけんかが起きたときに、指導者が進める対応を5つの手順で紹介します。
①その場で止めてケガを確かめる
言い合いが始まったら、まずは練習を止めて2人の間に入り、距離をとらせましょう。このとき、指導者まで大きな声を出すと、場の空気はさらに張りつめてしまいます。
「いったん止めよう」と短く、落ち着いた声で伝えるのがおすすめです。手が出てしまった場合は、何よりも先にケガがないかを確かめ、必要な手当てをしてください。



短く落ち着いた声のほうが、かえって場はおさまりますよ。
②1人ずつ別々に話を聞く
気持ちが落ち着いてから、2人を別々に呼んで話を聞きましょう。ほかの部員がいる場所ではなく、体育館のすみや練習後の時間など、周りを気にせず話せるところを選んでください。
途中で「でも相手はこう言っていた」と口をはさまず、まずは最後まで聞くことが大切です。まわりで見ていた部員がいれば、その部員からも別に話を聞いておくと、状況をつかみやすくなります。



先に話した子の言い分だけで、判断しないようにします。
③事実と気持ちを分けて整理する
2人の話を聞いたら、「実際に何が起きたか」と「そのときどう感じたか」を分けて整理します。
事実はくい違っていても、「悔しかった」「ばかにされたと感じた」という気持ちは、どちらも本当のことが多いものです。
整理した事実は、それぞれの部員に「こういうことだったと思うけど、合っている?」と確かめましょう。
気持ちを受けとめたうえで、事実をそろえると、部員は自分の言い分が無視されていないと感じられます。
④必要なら話し合いの場をつくる
事実と気持ちが整理できたら、必要に応じて2人がそろって話す場を用意します。このときは指導者が同席し、責め合いにならないよう進め方を決めておきましょう。
話し合いの目的は、無理に仲直りさせることではありません。「練習中はどうするか」「次に同じ場面になったらどうするか」を、2人が自分の言葉で決められれば十分です。



仲良くさせるより、同じチームで練習できる約束を決めましょう。
⑤その後の練習で様子を見る
話し合いが終わっても、関係がすぐに元どおりになるとは限りません。数日から数週間は、練習中の声のかけ合いやペアの組み方などを、それとなく見ておきましょう。
同じペアを組ませ続けたり、逆にずっと離したりするより、自然な形で練習に入れるよう配慮するのがおすすめです。



話し合ったあとの練習も、しっかり見ておきます!
けんかの対応は、話し合いが終わったあとの見守りまでが1セットです。
けんかといじめを見分ける
部員同士のもめごとの中には、「けんか」ではなく、いじめにあたるものが含まれていることがあります。見分けるときは、次のような点に注意してください。
- 力の強い側から、一方的に言われたりされたりしている
- 同じ部員に対して、何度もくり返されている
- 1人に対して、複数の部員が関わっている
- 本人がつらさを口にしない、または練習に来なくなっている
対等な立場で言い合う「けんか」と違い、一方的でくり返される行為は、当事者どうしの話し合いで解決させようとしてはいけません。
こうしたサインが見えた場合は、指導者1人で抱えこまず、担任や管理職に報告し、学校のいじめ防止の決まりに沿って組織で対応してください。保護者への連絡も、学校の決まりに沿って進めることが大切です。



いじめのサインがあるときは、話し合いで終わらせてはいけません。
指導者がやりがちな3つの失敗
けんかを早くおさめたい気持ちが、かえってチームの関係をこじらせることがあります。避けたい3つの失敗を見ていきます。
失敗1:全員の前で問いただす
練習を止めた流れのまま、全員の前で「何があったのか説明しなさい」と問いただすのは避けましょう。見られている中では、部員は本当の気持ちを話せず、自分を守る言い方になりがちです。
名前を出して注意された部員は、チームの中で居心地が悪くなり、けんかの相手への不満もかえって強くなってしまいます。



みんなの前で聞くのが、いちばん早いと思っていました…。
失敗2:けんか両成敗で全員に罰を与える
「けんかをしたから、2人とも走ってこい」「チーム全体の責任だ」と、理由を聞かずに罰を与えるのもおすすめできません。なぜけんかになったのかが分からないままなので、同じことがくり返されます。
罰として練習量を増やすことは、部活のハラスメント防止の考え方からも避けたい対応です。
失敗3:その場で握手させて終わりにする
気持ちが落ち着く前に「ほら、握手して仲直り」と形だけ終わらせると、表面上はおさまっても、不満は心の中に残ります。



握手はしたけど、まだモヤモヤが残っています…。
部員にとっては「話を聞いてもらえなかった」という思いだけが残り、指導者に相談しにくくなることもあります。



早く終わらせようと、握手させて済ませていました…。
けんかが起きにくいチームにする2つの工夫
けんかをゼロにすることはできませんが、起きにくくする工夫はあります。日ごろの練習の中でできることを2つ紹介します。
ミスのあとの声かけを決めておく
ミスのあとに責め合いにならないよう、「ミスのあとは『ドンマイ』『次いこう』と声をかける」など、チームで決まりをつくっておきましょう。
ボールが2人の間に落ちたときに、どちらがとるかの声のかけ方を練習しておくのも効果的です。
決まりは指導者が押しつけるより、部員と一緒に決めたほうが守られやすくなります。
不満を言葉にできる場をつくる
不満をため込んだまま練習を続けると、ある日けんかとして爆発しやすくなります。練習の終わりに短いふり返りの時間をとるなど、部員が思っていることを落ち着いて話せる場をつくっておきましょう。
キャプテンや学年のリーダーに、部員どうしの様子を気にかけてもらうのも1つの方法です。ただし、けんかの仲裁そのものを部員にまかせきりにせず、大人が最後に責任をもつようにしてください。



小さな不満を話せるチームは、大きなけんかになりにくいんです。
よくある質問
まとめ:けんかの対応は「止める・聞く・見守る」
バレー部の部員同士のけんかに指導者が入るときは、その場で止めて安全を確保し、1人ずつ話を聞いて事実と気持ちを整理し、話し合いのあとも見守ることが中心になります。
どちらかを悪者にするより、同じチームで練習を続けられる約束をつくることが大切です。
| 手順 | 指導者がすること |
|---|---|
| 止める | 練習を止めて距離をとらせ、ケガを確かめる |
| 分けて聞く | 1人ずつ、周りを気にせず話せる場所で聞く |
| 整理する | 事実と気持ちを分けて、本人に確かめる |
| 話し合う | 同席して、次にどうするかを2人で決めてもらう |
| 見守る | その後の練習で関係が戻っているかを見る |
部員同士のけんかは、指導者にとって気の重い場面です。けれど、落ち着いて順番どおりに対応すれば、部員が大人を信頼するきっかけにもなります。
まずは次の練習で、ミスのあとにかける言葉をチームで1つ決めるところから始めてみてください。



次の練習で、ミスのあとの声かけをみんなで決めてみます!



その1つの約束が、けんかを防ぐ力になりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの指導については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
- ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
- ボールカゴ2つ…球出しと片づけが一気に楽になる
- ネット・アンテナ…予備がないと、欠けた日の練習が止まる
ケース単位でそろえるなら楽天市場でバレーボールを探すのもおすすめです。
▶ 関連記事: バレー部の用具・備品の管理|数え方・点検・買い替えの基準









