- 練習中に選手が倒れたら、正しく動ける自信がない
- 熱中症や大きな怪我への備えが、自分の感覚頼みになっている
- チームとしての緊急対応の手順を、一度も決めたことがない
こんな悩みを解決します。
緊急時に落ち着いて動けるかどうかは、手順と役割を事前に決めて、チーム全員で共有してあるかでほぼ決まります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営する中で痛感しているのは、事故対応は当日の判断力ではなく、前日までの準備で決まるということです。
倒れた選手を前にして、初めてAEDの場所を考えるようでは間に合いません。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 熱中症を疑うサインと、その場での対応手順がわかる
- 怪我の種類別に、やるべきこと・やってはいけないことがわかる
- 練習前に整えておく安全管理体制のチェックリストが手に入る
なお、この記事は一般的な安全管理の考え方をまとめたものです。実際の症状への対応は、医療機関や救急の指示を最優先してください。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:事故対応は決めておいた手順でしか動けない
先に結論からお伝えします。緊急時の対応で一番大切なのは、迷ったら救急要請という原則と、誰が何をするかの役割分担を先に決めておくことです。
- 迷ったら119番(ためらった数分が最も高くつく)
- 役割分担を事前に決める(処置・通報・誘導・記録)
- 判断に必要な情報を平時に集めておく(持病・連絡先・AEDの場所)
れおコーチ緊急のとき、自分が冷静に判断できるか不安なんです…



冷静さは性格ではなく準備で作れるんだよ。
人は緊急事態になると、思っている以上に頭が働かなくなります。だからこそ、考えなくても動ける手順を先に作っておくんです。
緊急時の合言葉は、迷ったら救急車。大げさだったと笑える結果が最良の結果。
救急要請をためらう理由の多くは、大ごとにしたくないという心理です。しかし、様子を見ているうちに悪化するのが、熱中症や頭部の怪我の怖さです。
この記事では、熱中症への対応、怪我の初期対応、練習前の体制づくり、事故後のフォローの順で解説していきます。
なぜ準備が必要か:体育館でも重大事故は起きる
安全管理というと屋外スポーツの話に聞こえるかもしれません。しかし、体育館のバレーボールにも重大事故のリスクははっきり存在します。
熱中症は屋内でも起きる
体育館は風が通りにくく、夏場は外より蒸し暑くなることがあります。締め切った館内は熱と湿気がこもり、熱中症の条件がそろいやすい環境です。



タイイクカンモ ネッチュウショウ オキル
環境省は、暑さ指数(WBGT)という指標で運動時の危険度を示しています。気温だけでなく湿度を含めた指標で、屋内の運動でも判断の目安になります。
真面目な選手ほど、限界まで我慢してから倒れます。指導者が環境側の数字で練習の強度を調整することが、根性論より先に来る安全管理です。
私の指導現場では、夏場は暑さ指数のチェックを練習開始前のルーチンに組み込み、休憩の回数を先に決めてから練習を始めるようにしています。



頑張り屋さんほど危ない。だから環境の数字で線を引くんだ。
接触・着地の怪我は一瞬で起きる
バレーボールは、ネット際の着地で足を重ねたり、レシーブで選手同士がぶつかったりと、一瞬で怪我が起きる競技です。
捻挫や突き指だけでなく、頭から落ちる、ボールが顔に強く当たる、といった重い事故の可能性もゼロではありません。
起きる頻度は低くても、起きたときの重さで備えの優先度を決める。
だからこそ、めったに起きないからではなく、起きたら重大だからという基準で、頭部や首の怪我への対応も決めておく必要があります。



たしかに、頭を打ったときの手順は考えたことがありませんでした…
熱中症を疑うサインと対応手順
ここからは具体的な対応です。まずは発生数の多い熱中症から見ていきます。
気づくためのサイン
熱中症のサインは、軽いものから重いものまで段階があります。早い段階で気づくほど、軽くすませられます。
- めまい・立ちくらみ・足がつる・大量の汗
- 頭痛・吐き気・体のだるさ・ぼんやりする
- 呼びかけへの反応がおかしい・まっすぐ歩けない・意識がない
特に危険なのは3行目のサインです。呼びかけに正しく答えられない状態は、その場で救急要請のレベルと決めておきましょう。



返事がおかしい・歩けない・意識がない。この3つは迷わず119番だよ。
プレー中の選手は自分の異変に気づきにくいものです。動きが急に鈍った、ミスが急に増えた、といった変化も、指導者が気づくきっかけになります。
顔が真っ赤なのに汗が出ていない、逆に汗の量が明らかに多すぎる、といった見た目の変化も要注意のサインです。
練習前に選手の顔色と睡眠・朝食の状況をひと声かけてチェックしておくと、その日の異変との比較がしやすくなります。
気づいたらの動き方
熱中症を疑ったら、その場で運動を中止させて、次の手順で動きます。
大切なのは、自分で飲めるかどうかという線引きです。自力で水分をとれない状態は、口から与えるのが危険な段階に入っています。



ジブンデ ノメナイ ナラ キュウキュウシャ
日本スポーツ協会は、スポーツ活動中の熱中症予防について詳しい資料を公開しています。チームで一度読み合わせておくと、判断の物差しがそろいます。
出典:日本スポーツ協会(スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック)



手順がはっきりしていれば、慌てずに動けそうです!
怪我の初期対応:種類別のやること・やらないこと
次は怪我です。バレーボールで起きやすい怪我を、対応の性質で2つに分けて整理します。
足首・指などの怪我:冷やして安静が基本
着地での捻挫、ブロックでの突き指は、バレーボールで最も多い怪我です。
一般的な初期対応は、運動を中止して選手を安静にし、患部を氷などで冷やし、心臓より高くもち上げておくという流れです。腫れや痛みが強い場合は、早めに医療機関を受診させましょう。
痛いけど動けるは、続けてよいの意味ではない。その日は戻さない勇気をもつ。
やってはいけないのは、無理に引っぱる・その場で関節を戻そうとする・痛みをこらえさせてプレーを続けさせることです。



大事な試合前だと、つい続けさせたくなってしまいます…



その1試合と選手の競技人生は比べられないよ。戻す判断は医療の側に任せよう。
判断に迷う腫れ方や痛がり方のときは、軽く見ずに受診させるのが原則です。骨折かどうかは、見た目では判断できないことが多いからです。
頭・首の怪我:動かさないが基本
頭を打った、首を痛めた、という場面では対応がまったく変わります。自分たちで動かさないことが最優先です。
頭を打った直後は元気に見えても、あとから症状が出ることがあります。当日は1人にせず、家庭にも様子見のポイントを伝えて引き継ぎましょう。



アタマト クビハ ウゴカサナイ
心停止の可能性がある場合は、ためらわずに119番通報とAEDの手配を同時に行います。通報すれば、電話口で救急隊が手順を案内してくれます。
だからこそ、AEDの場所を全員が知っていることが、何よりの備えになるんです。
練習前に整える安全管理体制
個々の対応を支えるのは、平時の体制づくりです。ここは指導者にしかできない仕事です。
緊急情報と連絡網を平時に集める
緊急時に必要な情報は、緊急時には集められません。年度はじめに、選手ごとの緊急連絡カードを作っておきましょう。
- 保護者の連絡先(2つ以上・つながる優先順)
- 持病・アレルギー・服用中の薬
- かかりつけ医と保険証情報の保管場所
個人情報なので、保管は指導者と決めた管理者だけがアクセスできる形にします。集め方と保管方法は、保護者会で説明して了承を得ておくと安心です。



情報があるだけで、救急隊への説明も早くなりますね。
AED・救急用品・避難経路をチームで確認する
体育館のAEDの場所を、指導者だけでなく選手全員が言えるでしょうか。年に1回、チーム全員でAEDと救急箱の場所を歩いてチェックする時間を作りましょう。



大人が不在の時間帯もある。だから選手も含めた全員で覚えるんだよ。
救急箱の中身は、氷のう・冷却材・包帯・テーピングなど、チームの怪我の傾向に合わせて季節ごとに補充します。
施設の住所を貼り出しておくのも、意外に重要な備えです。119番通報で最初に聞かれるのは場所ですが、いつもの体育館の正式な住所は、案外だれも言えないものです。
暑さ指数で練習メニューを調整する
夏場は、暑さ指数(WBGT)を練習計画に組み込みます。休憩と水分補給の回数を環境に合わせて増やし、危険な数値の日は練習内容の変更や中止を判断します。
中止の基準を数字で先に決めておけば、当日の判断に迷いと情が入らない。
こうした安全のルールも、ハラスメント防止と同じで、明文化してチーム全員と保護者に共有しておくと運用がぶれません。
事故が起きた後のフォローも対応の一部
応急対応が終わっても、事故対応は終わりではありません。事後の動きが、選手と保護者の安心、そしてチームの再発防止につながります。
まず、保護者への連絡はできるだけ早く、事実を正確に伝えます。小さく見える怪我でも、チームで起きたことは当日中に共有するのが信頼の基本です。



報告しにくい内容だと、つい連絡が遅れがちです…



悪い知らせほど早く。遅れそのものが不信感になるんだ。
次に、記録を残します。日時・状況・対応・引き継ぎ内容を簡単にメモしておくと、医療機関や保険の手続きでも役立ちます。
最後に、再発防止です。事故のたびに、環境・練習メニュー・人の配置のどこに原因があったかを振り返り、安全ルールを1行更新していきます。
事故後の3点セットは、早い連絡・簡潔な記録・ルールの更新。
この積み重ねが、チームの安全文化になります。安全管理も含めた指導全般の学び方は、コーチングの学習マップにまとめてあります。
ここからは、指導者の方からよくいただく質問にお答えします。
バレー練習中の事故対応でよくある質問
まとめ:準備した分だけ落ち着いて動ける
最後に、この記事の要点を振り返ります。緊急対応の質は、当日の冷静さではなく、前日までの準備で決まります。
| 場面 | 最優先の行動 | 事前の備え |
|---|---|---|
| 熱中症の疑い | 冷却+飲めなければ救急要請 | 暑さ指数で練習を調整 |
| 足首・指の怪我 | 冷やして安静・早めの受診 | 救急用品の補充 |
| 頭・首の怪我 | 動かさず観察・救急要請 | AEDの場所を全員で共有 |
迷ったら救急車。役割は事前に分担。情報は平時に集める。この3つで初動は変わる。
私は元日本代表として多くの現場を見てきましたが、強いチームほど安全管理が地味に、確実に整っています。



まずは緊急連絡カードとAEDのチェックから始めます!



それが一番の近道だよ。備えは選手への一番の愛情だからね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの指導・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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