- 3年生が引退したあと、何から手をつければいいのか分からない
- 前の代のやり方をそのまま続けていて、新チームらしさが出ない
- 決めごとが増えすぎて、選手が覚えきれていない
こんな悩みを解決します。
バレー部の代替わりでやることは、目標・役割・チームルール・練習の型・引き継ぎ資料の5つを最初の2週間で決め切ることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中高生を指導してきましたが、代替わりでつまずくチームは、決めることを1つずつ先延ばしにしていました。
決まっていない時間が長引くほど、選手は前の代の記憶を頼りに動きます。そのまま新人戦を迎えると、新チームの形は最後まで固まりません。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 代替わりで決める5つが分かり、順番に手をつけられる
- 引退した3年生との関わり方を、期間を区切って決められる
- 指導者が任せる範囲と決める範囲を線引きできる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:代替わりは最初の2週間で5つを決め切る
先に結論からお伝えします。代替わりでやることは、目標・役割・チームルール・練習の型・引き継ぎ資料の5つを決めることです。
そして、この5つは最初の2週間で決め切ってしまうのがおすすめです。時間をかけるほど良い結論が出るわけではないからです。
新チームが動き出したばかりの時期は、選手のやる気がいちばん高い状態にあります。この時期に決めたことは、選手の中にすっと入っていきます。
反対に、1か月も宙ぶらりんの状態が続くと、決めごとは「またなにか増えた」という受け取られ方に変わってしまいます。
- 目標=このチームがどこまで行くのかを1つの言葉にする
- 役割=キャプテンと係を決め、誰が何をするかをはっきりさせる
- チームルール=毎日守る約束を3つまでにしぼる
- 練習の型=週の練習の流れと、変えない部分を決める
- 引き継ぎ資料=前の代から受け取る書類と道具をまとめる
れおコーチ引退したあと、何から手をつけるか毎年迷います…。



決めることを5つに絞ってみよう。順番も決まっているんだ。
5つには順番があります。目標が決まらないと役割は決まらず、役割が決まらないとルールを守らせる人がいないからです。
ここからは、代替わりの時期と3年生との関わり方を整理してから、5つの決め方・つまずく失敗・指導者の立ち位置の順に見ていきます。
バレー部の代替わりの時期|引退した3年生との関わり方
代替わりとは、3年生が引退して、1・2年生が主体となった新しいチームに切り替わることをいいます。
中学でも高校でも、夏の大会が終わったタイミングで切り替わるのが一般的です。次の公式戦である新人戦まで、2〜3か月しかありません。
この短さが、代替わりを急ぐ理由になります。準備の期間だと思っていると、あっという間に初戦を迎えてしまいます。



引退した3年生には、いつまで練習に来てもらえばいいですか。



期間を決めて伝えるのがいちばんです。
切り替えの時期:夏の大会が終わった週から始める
新チームの活動は、大会が終わった次の週から始めるのが目安です。間を空けるほど、選手の気持ちは切れていきます。
まず全員を集めて、今日から新チームであることを言葉にして伝えてください。区切りを声に出すだけで、選手の顔つきは変わります。
その場で決めるのは、いつまでに5つを決めるかという日程だけで構いません。中身は次のミーティングで話し合う形にします。
3年生の関わり方:教える側として1か月だけ残ってもらう
引退した3年生には、期間を区切って残ってもらう形がうまくいきやすいです。目安は1か月で、役割は「教える側」に固定します。
球出しやレシーブの相手をしてもらいながら、後輩に自分の経験を渡してもらう時間にします。試合形式に入れて主役にしてしまうと、新チームが育ちません。
期限を伝えておくと、3年生も自分の進路に気持ちを向けやすくなります。なんとなく来なくなる形で終わると、後輩に渡し損ねたものが残ってしまいます。
新チームが最初に決める5つ|目標から引き継ぎ資料まで
ここが代替わりの中心になる部分です。5つを順番に見ていきます。
私が新チームの相談を受けるときも、この順番で決めていくようにお伝えしています。順番を入れ替えると、話し合いがどこかで止まってしまうからです。
どれも話し合いで決めるものですが、時間をかけすぎないことを優先してください。1つあたり30分を目安にすると、2週間で終わります。
①目標:チームが行きたい場所を1つの言葉にする
最初に決めるのは目標です。県大会出場のように、勝敗で測れる言葉にすると全員の認識がそろいます。
目標が大きすぎると自分ごとになりません。今のチームの力から見て、届きそうで少し足りないくらいの高さが、選手がいちばん動く高さです。
決まったら、体育館に貼り出して毎日目に入る場所に置いてください。口で言った目標は、2週間で忘れられます。



貼ってあると、毎日いやでも目に入ります!



そこがねらいだよ。見えている目標は消えにくいんだ。
②役割:キャプテンと係を決めて責任の場所をはっきりさせる
次に役割を決めます。キャプテンだけでなく、副キャプテン・用具係・記録係まで決めておくと、日々の運営が止まりません。
キャプテンはうまい選手から選ぶのではなく、チームのために動ける選手を選びます。実力で選ぶと、調子を落としたときにチームごと沈みます。
係は1人1つを目安にして、全員が何かを担当する形にしてください。役割を持った選手は、練習の見え方が変わります。



うまい子をキャプテンにしがちでした。



実力より、チームのために動けるかで選ぼう。
③チームルール:毎日守る約束を3つまでにしぼる
チームルールは、代替わりのタイミングでしか作り直せません。前の代のルールをそのまま使うか、作り直すかをここで決めます。
大事なのは数です。守れるルールは3つまでで、それ以上は誰も覚えていません。
集合の時間・あいさつ・道具の片づけのように、毎日起きることから選んでください。試合中の約束事は、ここではなく練習の中で決めます。



去年は10個作って、誰も覚えていませんでした。



3つでいいんです。守れたら次を足していこう。
新しいルールは、決めた選手たち自身の口から全員に伝えてもらう形にします。指導者から渡されたルールより、自分たちで決めたルールの方が長く残ります。
④練習の型:週の流れと、変えない部分を決める
練習の型とは、1週間の練習の組み方のことです。曜日ごとにやることの軸を決めておくと、その日の思いつきで練習が変わりません。
新チームになったからといって、全部を作り変える必要はありません。前の代から続けてきたもので、機能していた部分は残します。
足すのは1つだけにしてください。一度に増やすと、どれも中途半端なまま新人戦を迎えることになります。



全部作り変えないといけない気がしていました。



機能していたものは残していいんです。
⑤引き継ぎ資料:書類と道具を1か所にまとめる
最後が引き継ぎです。大会の申込書類・連絡先・会計のノート・用具の数え方まで、前の代が持っていた情報を1か所に集めます。
この作業は、3年生が残っている1か月の間に終わらせてください。引退してからでは、聞ける相手がいなくなります。
チーム登録の手順や期限は年度で変わることがあるので、日本バレーボール協会(JVA)の公式サイトでも確認しておくと安心です。
- 大会関係=申込の期限・提出する書類・登録の手順
- 道具=ボールの数・カゴ・クランク(巻き取りハンドル)の置き場所
- お金=部費の集め方と、記録しているノート
- 連絡=保護者や他校への連絡先と、伝える順番
書き出した内容は、紙とデータの両方で残すのが確実です。次の代へ渡すときにも、そのまま使えます。



去年の書類、どこにあるか誰も知りませんでした…。



だから3年生がいるうちに集めておくんだよ。
代替わりでつまずく3つの失敗
決める内容よりも、進め方で失敗するチームの方が多いです。体育館でよく見かける3つを挙げます。
どれも悪気があって起きるものではありません。むしろ、まじめに取り組んでいるチームほど当てはまります。
失敗1:前の代のやり方をそのまま続けてしまう
いちばん多いのが、去年と同じ練習を同じ順番で続けてしまうパターンです。前の代で結果が出ていたチームほど起こります。
けれど、選手が変われば得意な形も変わります。背の高い選手がいた代の戦い方を、そうでない代がそのまま続けても、同じ結果にはなりません。
夏の大会で何が足りなかったのかを、新チームの選手と一緒に振り返ってください。そこで出た言葉が、変える部分の手がかりになります。



去年の形をなぞるだけになっていました。



選手が変われば、勝てる形も変わるんです。
失敗2:ルールと決めごとを一度に増やしてしまう
新チームの最初は、指導者も気合いが入ります。その勢いで決めごとを10個も20個も作ると、1か月で形だけが残ります。
守られていないルールが目の前にある状態は、チームにとって良くありません。守らなくてもいいものがある、という空気が生まれてしまうからです。
決めるときは、いま守れていないことを1つ選んで足す形にしてください。増やすより、残すものを選ぶ方が難しい作業になります。
失敗3:キャプテンにすべてを背負わせてしまう
キャプテンを決めた安心感から、チームのことをすべて任せてしまう場面もよく見かけます。新チームのキャプテンは、まだ経験がありません。
同級生に注意をするのは、大人が思うよりずっと難しい行動です。1人で抱えた結果、練習に来られなくなってしまう選手もいます。
副キャプテンや係と分担させて、キャプテンが1人で言う場面を減らすことを考えてください。指導者が代わりに言う場面も、はっきり決めておくと安心につながります。



同級生に注意するのって、すごく勇気がいります。



1人で背負わなくていい。分けていこう。
指導者が代替わりでやること|任せる範囲を先に決める
代替わりは、選手に任せる部分を増やすチャンスでもあります。ただし、全部を任せると決まらないまま時間だけが過ぎます。
任せる範囲を先に線引きしておくと、話し合いが早く終わります。選手が迷う時間そのものが減るからです。



自由に決めていいと言われると、逆に決まりません!



そうだよね。だから枠だけは先に渡しておくんだ。
選手に決めさせること:目標・ルール・係の分担
目標・チームルール・係の分担は、選手たちに決めさせる部分です。自分で決めたことは、守る理由が自分の中にあります。
指導者は、案が偏ったときに問いを返す役に回ってください。答えを出すのではなく、それで新人戦に間に合うかと聞くだけで十分です。
指導者が決めること:キャプテンと安全に関わること
一方で、キャプテンの任命と、安全に関わる決めごとは指導者が決めます。人気投票で決めると、あとから選手が苦しむ形になりやすいためです。
練習時間・休養日・怪我をしたときの対応も同じです。中学生や高校生に判断を預けてよい範囲ではありません。
決めたことは、理由まで添えて伝えてください。理由が分かっているルールは、指導者がいない練習でも守られます。



任せる範囲を先に決めると、話が早く終わりますね。



枠があるから、選手も安心して決められるんです。
よくある質問
まとめ:代替わりは決める順番で差がつく
最後に要点をふり返ります。代替わりで差がつくのは決める中身ではなく、決める順番と、決め切るまでの速さです。
| 時期 | 最優先すること | 具体的な行動 |
|---|---|---|
| 大会が終わった週 | 区切りを言葉にする | 全員を集めて新チームの開始を宣言し、決める日程だけ共有する |
| 最初の2週間 | 5つを決め切る | 目標→役割→チームルール→練習の型→引き継ぎの順に話し合う |
| 3年生が残る1か月 | 情報を受け取る | 書類・道具・お金・連絡先を1か所にまとめ、紙とデータで残す |
私は元日本代表として多くのチームを見てきましたが、秋に伸びるチームは、決まっていない期間が短いという共通点がありました。
決めごとが早く固まるほど、選手は練習そのものに集中できます。まずは目標の1行から始めてみてください。



今週のうちに、目標だけでも決めてしまいます!



それでいいんです。1つ決まれば、次が決まりやすくなります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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