バレー部の新入部員の育て方|最初の1か月でやる5つ

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バレー部の新入部員に球出しをする指導者のイラスト
  • 初心者ばかりで、何から教えればいいか決まらない
  • 上級生の練習と新入部員の練習をどう分けるか迷う
  • 入ってすぐ辞めてしまう子が毎年出てしまう

こんな悩みを解決します。

新入部員の最初の1か月は、技術より、続けられる状態を作ることを先に置いてください。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

10年以上スクールを運営してきた経験から言えるのは、辞めていく子の多くは技術で行き詰まったわけではないということです。

自分の居場所が分からないまま1か月が過ぎ、来る理由が薄くなっていきます。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 新入部員の最初の1か月でやることの順番がわかる
  • 上級生と新入部員の練習を分ける組み方がわかる
  • 入ってすぐ辞める子を減らすための具体的な関わり方がわかる

それでは、くわしく見ていきましょう。

目次

結論:最初の1か月は5つの順番で進める

先に結論からお伝えします。新入部員には、安全→役割→ボールに触る回数→できた実感→上級生とのつながり、この順番で渡してください。

技術の順番より先に決めるのが、体育館での過ごし方です。何をすればいいか分からない時間が長いほど、来る理由は薄くなります。

STEP
けがをしない体の使い方と、コート内の安全を先に伝える
STEP
練習中の役割を1人ずつ決めて、待つだけの時間をなくす
STEP
ボールに触る回数を1日単位で確保する
STEP
1週間で1つ、できたと言える形を作る
STEP
上級生と話す場面を意図的に作る

この5つは、どれも技術指導ではありません。それでも、この土台があるかどうかで1か月後の残り方が変わります。

技術の順番そのものは、土台ができてから組み立てても遅くありません。

れおコーチ

早く基本を教えたくなってしまいます…。

あげば

気持ちは分かります。でも、続かなければ教える機会もなくなりますよ。

大切なのは、1か月で上手にすることを目標にしないことです。1か月後も体育館に来ている、それが最初のゴールになります。

週ごとに見ると、渡していく内容はもう少しはっきりします。

時期その週にやること
1週目安全の約束と、体育館での自分の居場所を決める
2週目直上パスなど、触る回数の多い練習を反復する
3週目上級生の練習に役割をもって合流する
4週目できるようになったことを本人に確認させる

この流れなら、技術が身につく前の段階でも、来る理由が毎週更新されていきます。

1か月で上手にするのではなく、1か月続く形を作ると考えてください。

なぜ最初の1か月で辞める子が出るのか

入部してすぐに辞めていく子には、共通する場面があります。技術が身につかないことではありません。

いちばん多いのは、練習中に自分のやることが分からない時間が続くことです。

待っている時間が長いほど、来る理由が薄くなる

人数が多いチームほど、新入部員はコートの外にいる時間が長くなります。

球拾いや見学が続くと、自分が必要とされていないように感じてしまいます。これが2週間も続けば、休みたくなるのは自然なことです。

そのため新入部員の練習は、上手さではなく触る回数で設計するという考え方が要になります。

あげば

見ているだけの子を作らない。これが最初の1か月の設計です。

球出しの人数が足りない日は、上級生に役を渡すという方法もあります。教える側にも学びがあるので、両方に効きます。

目安として、1回の練習で1人あたり100回以上はボールに触れる形を組んでください。数を決めておくと、待ち時間が長い組み方に気づきやすくなります。

コートが足りない場合は、壁を使う練習を並行させる方法もあります。順番待ちの列を短くするだけで、体感はまったく変わります。

れおコーチ

人数が多いと、どうしても列が長くなってしまって…。

あげば

列を1本増やすより、壁や外周を使って場所を分けるほうが早いですよ。

分からないまま聞けない状態が続く

もう1つが、分からないことを聞けないまま時間が過ぎる場合です。

初めて聞く言葉が多く、周りは当たり前のように動いています。この状況では、何が分からないのかを言葉にすること自体が難しくなります。

対策は単純で、指導者から聞きに行く形にすることです。1日1回、名前を呼んで一言だけ交わす。それだけで質問が出るようになります。

聞き方も、答えやすい形にしてください。何か質問はあるかと聞かれても、新入部員には何を聞けばいいのかが分かりません。

今日やった中でいちばん難しかったのはどれか、と場面を限定して聞くほうが答えが返ってきます。

質問が出ないのは、疑問がないからではなく、聞き方が広すぎるからという場合がほとんどです。

安全と体の使い方を最初に渡す

最初の1か月でいちばん先に渡すのは、けがをしないための約束です。ここを飛ばすと、練習量が増えたときに一気に故障が出ます。

伝えるのは複雑な内容ではありません。コートの中で起きやすい危険を、場面として共有します。

場面先に伝えること
ボールを追うとき声を出す・人とぶつからない位置取り
着地するとき両足で着く・人の足元に入らない
練習の合間転がったボールを放置しない
痛みが出たときその日のうちに申告する

とくに最後の1つは、最初に何度でも伝えてください。痛みを言い出せずに続けた結果、長く休むことになる例は少なくありません。

新入部員は、休むと迷惑をかけると考えがちです。申告することは休むことと違う、と最初に伝えておくと言いやすくなります。

れおコーチ

言いやすくしておくのも、こちらの仕事なんですね。

活動時間そのものの考え方は、次の記事でも解説しています。

上級生と分ける練習の組み方

新入部員と上級生を同じ内容で回すと、どちらも中途半端になります。かといって、完全に切り離すとチームが分かれてしまいます。

現実的なのは、時間帯で分けて、最後だけ合わせる形です。

前半は分けて、後半は同じ場に置く

前半は、新入部員だけの時間にします。パスの基本や、ボールの落下点に入る動きなど、繰り返しが必要な内容に絞ります。

後半は、上級生の練習の中に入れてしまいます。役割は球出しや点数の管理でもかまいません。試合の流れを見ているだけでも、覚える速さが変わります。

STEP
前半45分は新入部員だけで基本を反復する
STEP
後半は上級生の練習に合流し、役割を持って入る
STEP
最後の10分は全員で同じメニューをやる

最後の10分を全員でやるのが要点です。ここがないと、同じ部にいる感覚が育ちません。

内容は簡単なもので十分です。全員で円になってパスを続ける、片づけを一緒にやる、それだけでも同じ時間を共有したことになります。

分ける時間が長い日ほど、この10分の意味が大きくなります。

教える役を上級生に渡す

新入部員の指導を、上級生に任せる時間も作ってください。

教える側は、自分が分かっているつもりだった部分に気づきます。教わる側も、指導者より年齢の近い相手のほうが質問しやすくなります。

ただし丸投げにはしないでください。何を伝えるかは指導者が決め、伝え方だけを任せる形にします。

あげば

内容はこちらが決めて、伝え方を渡す。この線引きが大事です。

練習全体の組み立て方は、次の記事でも解説しています。

できた実感を1週間に1つ作る

続けられるかどうかを分けるのは、上達の速さではありません。自分が変わったと感じられる場面があるかどうかです。

そのため、1週間に1つでいいので、できたと言える形を用意します。

数えられる形にして渡す

できたかどうかが本人に分かるように、数えられる形にしてください。

抽象的な目標だと、達成したかどうかを本人が判断できません。判断できないものは、達成感になりません。

1週目に置きやすい小さな目標
  • 直上パスを10回続ける
  • サーブを5本中3本、コートに入れる
  • 落下点に入って、両手で受ける形を作る

できた瞬間に、その場で一言かけてください。あとからまとめて褒めるより、その場の1回のほうが残ります。

声をかける内容も、上手いという評価より、どこが変わったかを言うほうが効きます。ひざの使い方が先週と違う、といった具体の指摘は本人の記憶に残ります。

あげば

上手いね、より、ここが変わったね、のほうが効きますよ。

比べる相手は上級生にしない

このとき、上級生と比べる言い方は避けてください。差は誰の目にも明らかなので、比べるほど下を向きます。

比べる相手は、先週の本人です。先週できなかったことが今週できた、という形にすると前に進めます。

この比べ方を最初に伝えておくと、本人同士の比較も減っていきます。同期の中で早く上手くなる子と、時間のかかる子は必ず出るからです。

差がついた時期に辞めていく子を減らすためにも、比べる相手の基準は最初に配っておいてください。

れおコーチ

基準を先に配っておく、という発想がなかったです。

れおコーチ

先週の自分と比べる。そう言い換えればいいんですね!

あげば

上級生と比べるのは、上達してからでも遅くありません。

保護者への最初の連絡でそろえること

新入部員の1か月は、家庭側にも不安が集まる時期です。ここで情報が届いていないと、小さな行き違いが積み重なっていきます。

最初の連絡で伝えておく内容は、次の4つに絞れます。

入部直後に保護者へ伝える4つ
  • 平日と休日の活動時間、休養日の考え方
  • そろえてほしい道具と、当面は不要な道具
  • 痛みが出たときの申告の流れと、こちらの対応
  • 連絡の手段と、返事が必要かどうかの線引き

とくに道具は、最初にすべてそろえる必要がない点まで伝えてください。何をいつ買えばいいのかが分からないまま、負担だけが先に来ることがあります。

連絡の手段については、返事が必要な連絡かどうかを毎回はっきりさせておくと、双方の負担が減ります。

れおコーチ

返事がいるかどうか、たしかに毎回迷わせていました。

あげば

最初にその線を決めておくだけで、やり取りは半分になりますよ。

保護者会そのものの運営については、次の記事でも解説しています。

よくある質問

未経験の顧問でも新入部員を指導できますか?

最初の1か月は技術指導より、安全・役割・触る回数の設計が中心なのでできます。
技術の細かい部分は、上級生に伝え方を任せたり、外部指導者に相談したりする形でも進められます。

練習は何から始めるのがいいですか?

直上パスなど、ボールの落下点に入る動きから始めるのが無難です。
いきなりスパイクなど派手な内容に入るより、触る回数を増やせる内容のほうが定着します。

経験者と初心者が混ざっている場合はどうしますか?

前半の基本練習だけ分け、後半は同じ場に置く形が回しやすいです。
経験者には、初心者に伝える役を渡すと本人の理解も深まります。

辞めたいと言ってきたらどう対応しますか?

まず理由を聞く場を作り、その日のうちに結論を出させないでください。
人間関係が理由のことも多いので、練習の組み方や役割を変えるだけで戻ることがあります。

まとめ:1か月後も来ていることが最初のゴール

新入部員の育て方は、教える内容より、続けられる設計で決まります。安全・役割・触る回数・できた実感・上級生とのつながり、この5つを最初の1か月で整えてください。

やること具体的な形つまずいたときの直し方
安全痛みはその日に申告させる申告した子を責めない空気を作る
役割練習中の役を1人ずつ決める待つ時間が長い子から先に配る
触る回数前半は新入部員だけの時間にする球出しを上級生に渡して回数を増やす
実感1週間に1つ、数えられる目標上級生ではなく先週の本人と比べる
つながり最後の10分は全員で同じ練習上級生に伝え方だけを任せる

私は元日本代表として活動したあと、10年以上スクールで選手を指導してきました。

続いていく選手を見ていて感じるのは、最初の1か月に上手かったかどうかはほとんど関係がないということです。

行けば自分のやることがある、その状態が作れていたかどうかで残り方が変わります。

明日の練習では、待っている時間がいちばん長い子を1人見つけてみてください。そこから設計を組み直せます。

れおコーチ

まず、待たせている子を探してみます!

あげば

そこが分かれば、あとは組み替えるだけですよ♪

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

🏐 チームの備品、足りていますか?

ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。

  • ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
  • ボールカゴ2つ…球出しと片づけが一気に楽になる
  • ネット・アンテナ…予備がないと、欠けた日の練習が止まる

ケース単位でそろえるなら楽天市場でバレーボールを探すのもおすすめです。

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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