- 「県大会出場」と掲げたものの、そのあと何をすればいいのか決まっていない
- 目標を紙に書いて貼ったのに、数週間で誰も見なくなった
- 選手ごとの個人目標がバラバラで、練習とつながっていない
こんな悩みを解決します。
チームの目標が続かない原因は、勝ち負けだけを目標にして、日々の行動に置きかえていないことにあります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、伸びるチームは目標を数字と行動の両方で持っています。
決め方の順番さえわかれば、目標は貼り紙ではなく練習を動かす道具になります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- チーム目標と個人目標を、どの順番で決めればいいかがわかる
- 「県大会出場」を日々の練習に落とし込む方法がわかる
- 決めた目標が途中で忘れられない回し方がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:結果目標の下に行動目標を必ず置く
目標には2つの種類があります。この区別をつけるところが出発点です。
- 結果目標…県大会出場・3位以内など、勝ち負けで決まるもの
- 行動目標…自分たちの行動で決まるもの。毎日その場で確かめられる
結果目標だけを掲げても、選手は明日から何をすればいいのかわかりません。相手や抽選で結果が変わるので、努力とのつながりも見えにくいところです。
たとえば県大会出場という目標は、同じ地区にどんなチームが入るかで難しさが変わります。自分たちが変えられない部分に、目標の達成が左右されてしまうわけです。
一方で行動目標は、相手が誰でも自分たちで決められます。だから毎日の練習と直接つながります。
そこで結果目標の下に、必ず行動目標をぶら下げる形にします。県大会出場という旗の下に、そこへ届くための行動を並べるイメージです。
れおコーチ「県大会出場」と貼っただけで終わっていました…。



旗は必要です。そのすぐ下に、明日やることを置いてあげてください。



結果ハ選ベナイ 行動ハ選ベル
目標設定がチームを変える2つの理由
目標を決める作業は、時間をかけるだけの価値があります。理由は2つです。
理由1:練習の中身に判断基準ができる
目標がはっきりすると、練習メニューを選ぶ基準ができます。サーブレシーブの精度を上げると決めたチームなら、そこに時間を配分すればいいわけです。
反対に目標があいまいなままだと、毎回同じメニューを流す練習になりがちです。何を伸ばしているのかが、指導者にも選手にも見えません。
メニューの組み立て方そのものを整理したい場合は、こちらの記事が参考になります。
理由2:選手が自分で判断できるようになる
行動目標があると、選手はコートの中で自分の動きを確かめられます。指示を待たずに、決めたことをやれているかを自分で判断できるからです。
私の指導現場でも、目標を自分の言葉で言える選手は伸び方が違います。言えない選手は、練習をこなす作業になってしまいがちです。



選手が自分で気づける状態を作るのが先なんですね。



そう。目標は、指導者が管理するための道具じゃないんだ。
目標を決める4ステップ
ここからが実践です。順番に見ていきます。
最初にやるのは現在地の確認です。ここを飛ばして目標だけ決めると、届くのか届かないのかが誰にもわかりません。
数字は難しいものでなくて構いません。サーブの成功本数、サーブレシーブが返った本数など、練習で数えられるもので十分です。
数え役はマネージャーや、その日けがで練習に入れない選手に任せる方法もあります。数えるだけでも試合の見方が育つので、任された側にも学びが残ります。
現在地がわかると、目標の高さも自然と決まります。今の倍を目指すのか、あと1本を積むのかが見えてくるからです。



数字がないと、上がっているのかどうかも言えませんね。
結果目標は、選手たちに言葉にしてもらってください。指導者が決めた目標は、達成できなかったときに他人ごとになります。
行動目標を3つにしぼるのは、増やすほど1つあたりの意識が薄まるからです。多くても4つまでにとどめます。
しぼるときの基準は、いちばん失点につながっている場面から選ぶことです。得点源を伸ばすより、崩れている場面をふさぐほうが勝ち負けは早く変わります。
新チームの立ち上げ時期にまとめて決めておくと、その後の練習が組みやすくなります。



目標ハ 3ツマデ
チーム目標と個人目標の分け方
2つの目標は役割がちがいます。混ぜてしまうと、どちらも中途半端になります。
チーム目標は全員で同じものを持つ
チーム目標は、全員が同じ言葉で言えるものにします。学年やレギュラーかどうかで内容を変えません。
たとえばサーブレシーブなら、5本のうちAパス2本・Bパス2本・Cパス1本という水準が1つの目安になります。ここまで返れば、サーブレシーブから直接失点しない形が作れます。
Aパスはセッターが定位置でそのまま上げられる返球、Bパスはセッターが動かされてもクイックが使える返球、Cパスは二段トスでの攻撃なら可能な返球です。
数字で表せる目標は、練習でそのまま数えられるところが強みになります。
うまくいっているかどうかを、感覚ではなく本数で共有できます。指導者と選手の間で認識がずれにくくなるところも利点です。
もちろん、すべての課題が数字になるわけではありません。声かけや切り替えの速さのように、回数で数える形に置きかえられるものから始めてください。



数エラレル形ニ 置キカエル
個人目標はチーム目標につながる形にする
個人目標は選手ごとに変えます。ただし、必ずチーム目標につながる内容にしてください。
サーブレシーブが課題なら、ある選手は構えの高さ、別の選手は1歩目の速さ、というように担当する部分が変わります。同じチーム目標を、それぞれの弱点から支える形です。
まったく関係のない目標を各自が立てると、練習が個人練習の寄せ集めになります。
決め方の手順もシンプルにします。まず選手自身に「チーム目標のために、自分がいちばん足を引っぱっている場面」を挙げてもらってください。
そのうえで、その場面を1つだけ選んで今月の目標にします。指導者は選択肢を示す役に回り、決めるのは本人に任せます。



決メルノハ 本人
自分で決めた目標は、届かなかったときにも他人のせいになりません。ここが続くかどうかの分かれ目です。



個人目標は自由に書かせていました…。



自由に出させたあとで、チーム目標とつなげ直せば大丈夫だよ。
選手が自分で考えられるようになる問いかけは、こちらにまとめています。
目標が続かない3つの原因と直し方
決めた目標が忘れられるのには、はっきりした原因があります。
原因1:結果目標しか書いていない
貼り紙に「県大会出場」だけが書かれているパターンです。毎日見ても、今日やることが1つも書いていません。
直し方は、同じ紙に行動目標を並べて書くことです。旗と足元の両方が見えている状態にします。
原因2:ふり返る日を決めていない
2つ目は、決めた日以降まったく開かないパターンです。目標は立てた瞬間がいちばん熱く、そこから急速に冷めます。
週に1回、曜日を決めてふり返る時間を作ってください。5分で構いません。
練習の最後に組み込んでしまうと、忘れずに続けられます。わざわざ別の時間を取ろうとすると、忙しい週から抜け落ちていきます。
原因3:達成できなかった時に責める空気がある
3つ目は、目標が届かなかった時に選手が責められる場合です。次からは、達成できる低い目標しか出てこなくなります。
目標は評価するためのものではなく、次の練習を決めるためのものです。届かなかった理由を一緒に探す時間にしてください。
指導者の言葉が「なぜできなかったのか」だけになると、選手は言い訳を用意して臨むようになります。「どこまではできたか」から入ると、話す内容が変わります。
達成できなかった週があっても、目標そのものを下げる必要はありません。下げるのは目標ではなく、今週やることの粒の大きさです。
- 今週、できた場面はどこだった?
- できなかった時、直前に何が起きていた?
- 来週やることを1つ選ぶとしたら?
この3つを順に聞くだけでも、選手は自分で原因までたどり着けます。
指導者が答えを先に言ってしまうと、その場は早く終わりますが、次の場面で同じことが起きます。待つ時間も指導のうちだと考えてください。
ふり返りは、反省会ではなく次の1週間を決める会議にする。
調子を落とした選手への関わり方は、こちらの記事で整理しています。
ふり返りを回す週1回の進め方
目標は決めた後の回し方で決まります。時間をかけるのは決める場面ではなく、続ける場面です。
週1回、次の順番で進めてください。
大事なのは、最後の1行です。ふり返って終わりにせず、決めたことを練習に組み込むところまでを1セットにします。
来週やることを1つにしぼるのは、増やすと結局どれもやらないからです。1週間で1つ変われば、3か月で12個の変化が積み上がります。
選手が自分で1つを選べない場合は、こちらから2つの案を出して選んでもらってください。選ぶ形にするだけでも、自分ごとになります。



つい、こちらが全部決めてしまいがちです。



選択肢を用意して、最後の一手だけ渡す。それで十分ですよ。
個人のふり返りは、ノートに書かせると定着しやすくなります。指導者が全部を読む必要はなく、週に1回だけ目を通す形でも十分です。



週1回5分なら、練習の最後に入れられます!



その5分がいちばん練習を変えます。まずは1か月続けてみてください。
よくある質問
まとめ:旗と足元の両方を書けば目標は続く
目標設定は、結果目標を決めて終わりではありません。その下に行動目標をぶら下げ、個人目標までつなげて初めて練習が動きます。
結果目標は選手の言葉で。
行動目標は3つまで。
ふり返りは週1回5分。
| つまずき | 起きていること | 直す方向 |
|---|---|---|
| 貼り紙が読まれない | 結果目標しか書いていない | 同じ紙に行動目標を並べる |
| 途中で忘れられる | ふり返る日が決まっていない | 曜日を決めて週1回5分 |
| 目標が下がっていく | 未達成を責める空気がある | 次の1週間を決める会議にする |
| 個人練習の寄せ集めになる | 個人目標が自由すぎる | チーム目標とつなげ直す |
私は元日本代表として、また指導者として多くのチームを見てきましたが、強いチームほど自分たちの現在地を数字で言えます。



まずは現在地を数えるところから始めます!



それでいいんです。数えられた瞬間から、目標は具体的になりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
- ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
- ボールカゴ2つ…球出しと片づけが一気に楽になる
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