- 部員が少なくて、6人での練習形式が組めない
- 少ない人数でも意味のある練習メニューにしたい
- このままで大会に出られるのか不安になっている
こんな悩みを解決します。
結論からお伝えすると、少人数のバレー部は「不利なチーム」ではありません。1人あたりのボールに触る回数を増やせる、伸びやすい環境です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営してきましたが、部員が5人や6人という学校から通ってくる選手も何人もいました。
そういう選手ほど、1回の練習でボールに触る回数が多く、基礎が早く固まっていく傾向がありました。
問題は人数そのものではなく、少ない人数のまま「6人でやる練習」を縮小コピーしてしまうことにあります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 少人数のバレー部で起きる壁の正体がわかる
- 2人・3〜4人・5〜6人それぞれの練習の組み方がわかる
- 6人そろわないときにとれる選択肢がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:少人数は「1人あたりのボールタッチ数」で勝てる
先に結論をお伝えします。少人数のバレー部が強くなる道は、6人制の練習形式を再現することではなく、1人あたりのボールタッチ数を積み上げることです。
部員が20人いるチームでは、1本の球出しに対して並んで順番を待つ時間が生まれます。
一方で部員が6人以下のチームには、その待ち時間がほとんどありません。同じ90分でも、1人が触るボールの数はまったく違ってきます。
- 待ち時間が少なく、同じ時間でボールタッチ数を稼げる
- 全員に目が届くので、フォームの崩れをその場で直せる
- 全員が全ポジションを経験でき、状況判断が育ちやすい
れおコーチうちは7人しかいなくて、練習メニューがいつも同じになってしまうんです。



人数に合わせて「形」を変えれば、内容はいくらでも変えられますよ。
大切なのは、人数が足りないことを嘆く前に、その人数でしか組めない形に練習を作り替えることです。
私がスクールで見てきた限り、少人数のチームで伸び悩むのは、6人制の練習を人数不足のまま無理に続けている場合がほとんどでした。
この記事では、少人数で起きる壁、人数別のメニューの組み方、ゲーム感の鍛え方、避けたい失敗、そして6人そろわないときの選択肢の順にお伝えします。
なお、部員が多いチームの回し方は逆の工夫が必要になります。人数が多い場合は次の記事を参考にしてください。
部員が少ないバレー部で起きる3つの壁
まず、少人数だから起きる壁を正しく把握しておきましょう。原因がはっきりすれば、打つ手も決まります。
私がよく相談を受けるのは、次の3つのどれかに当てはまるケースです。壁の正体を取り違えると、練習量だけを増やす方向に走ってしまいます。
壁①:6人そろわず、実戦形式の練習が組めない
いちばん多いのがこの壁です。6人制の試合はコートに6人が入るので、対戦形式にするには最低でも12人が必要になります。
7人や8人のチームでは、どうしても片側のコートしか埋まりません。
そこで「実戦練習ができないから基礎練習だけ」となってしまうと、試合で使える判断力が育たないまま大会を迎えることになります。
この壁は、コートを狭く区切って人数に合った形にすることで越えられます。くわしくは後の章でお伝えします。
壁②:役割が固定して、伸び方が偏る
人数が少ないと、上手な選手にセッターやレシーブの中心を任せきりになりがちです。
短期的には試合が成立しますが、長い目で見ると本人も周りも伸びしろを失います。
とくに中学生の時期は、複数のポジションを経験しておくほど、状況を読む力が育ちます。
役割を固定しすぎない練習の組み方は、少人数チームでこそ意識してほしいところです。役割の決め方そのものは、次の記事でも整理しています。
壁③:人数の少なさが、そのまま気持ちの重さになる
3つ目は技術ではなく、気持ちの問題です。
大きな学校と練習試合をしたあとに、「うちは人数が足りないから」と選手が口にするようになったら注意してください。
言い訳の材料を渡してしまうと、練習の質そのものが落ちていきます。



相手は20人もいて、正直かなわないなって思っちゃいました…。



人数は変えられませんが、1本あたりの集中は君たちの方が上にできますよ。
指導者が「少ないからできない」と言わないことが、そのままチームの空気になります。まずは大人が前提を変えることが出発点です。
人数別:少人数の練習メニューの組み方
ここからが本題です。人数ごとに、練習の形を切り替えていきます。
共通する考え方は、ボールを止めない形にすること、そして1人が連続で触る回数を決めておくことの2つです。
球出し役が1人取られてしまうのが少人数の泣きどころなので、可能な範囲で球出しも選手同士で回していきます。
2人:対人でボールタッチ数を積み上げる
2人しかいない日は、割り切って基礎の反復に使います。むしろ2人は、フォームを作り直すのに最適な人数です。



2人だけの日って、何をすればいいのか毎回迷います。



本数を決めて、その1本ずつを丁寧に触るだけで十分ですよ。
回数を決めるのは、集中の切れ目を作らないためです。「10分やる」より「50本続ける」の方が、1本あたりの意識が上がります。
サーブとサーブレシーブを2人で回す形は、少人数チームの主力メニューにしてかまいません。試合の最初の1本を左右する技術だからです。
壁を使った練習は、こちらの記事にメニューをまとめています。
3〜4人:ラリーを「つなぐ形」に組み替える
3人以上そろったら、パスからトス、攻撃までを1つの流れにします。
おすすめは、コートを縦半分に区切って使う形です。3人対3人にすると、狭いコートで実戦に近いラリーが生まれます。
- 3人でのレシーブ→トス→攻撃(役割を1本ごとに交代する)
- コート半面での3対3ラリー(サーブから始めて得点まで行う)
- 2人がレシーブ、1人がセッターに入るローテーション形式
- ネット越しの対人ディグ(打つ人は無理に強く打たない)
ここでのポイントは、1本ごとに役割を交代させることです。同じ人がずっとセッターに入らないだけで、全員の理解が深まります。
打つ球の強さは、段階的に上げてください。いきなり強打を受けさせると、恐怖心が先に育ってしまいます。
5〜6人:実戦に近い形まで広げる
5人から6人そろえば、片側のコートは埋まります。もう一方に指導者や交代選手が入れば、実戦形式が作れます。
サーブを打ってから得点が決まるまでを1セットとして、レシーブの入り方やカバーの位置を確認していきましょう。
- 指導者が球出し役になり、相手コートから攻撃を打ち込む
- サーブから始めて、1本のラリーが終わるまで止めない
- ローテーションを1本ごとに回して、全ポジションを経験させる
- 得点を数えて、5点先取などの区切りをつける
この形なら、6人制の動き方をそのまま練習に落とし込めます。人数が少ないほど、1人が全ポジションを経験できるという利点も生きてきます。
少人数でもゲーム感を鍛える3つの工夫
基礎の反復だけでは、試合で判断する力までは育ちません。少人数でもゲーム感を鍛える方法があります。
コツは、コートとルールを人数に合わせて作り替えることです。人数に合わせてコートを狭くすると、少人数でも試合と同じ密度のラリーが生まれます。
工夫①:コートを狭くして「密度」を戻す
6人で守るコートを3人で守れば、当然すき間だらけになります。そこでコートを縦半分、または前後半分に区切ります。
守る面積が人数に見合えば、ラリーが続きます。ラリーが続けば、判断する場面も増えていきます。



コートを狭くするのは、手抜きになりませんか?



逆です。同じ時間でラリーの本数が増えるので、判断の回数はむしろ多くなります。
工夫②:制約ルールで狙いを1つに絞る
普通のゲームをするのではなく、その日の狙いに合わせてルールを足します。
- 3回で返すことを必須にする(1回返しを禁止する)
- サーブは狙ったゾーンに入らなければ相手の得点にする
- レシーブが上がったらセッター以外がトスを上げる
- ラリーが5本続いたらボーナス点を入れる
制約を加えると、選手は自然にその技術を使わざるを得なくなります。声をかけて直すより早く身につくことが多いです。
工夫③:試合の記録を1つだけ取る
少人数の練習では、ベンチに入る人がいません。そこで、休憩中の選手に記録係を任せます。
サーブの成功率でも、サーブレシーブがセッターに返った本数でも、記録するのは1種類で十分です。
数字が残ると、練習の成果が目に見えます。記録した本人も、外から試合を見る目が育ちます。



休んでいる子に役割があるのは、たしかに良いですね。



少人数のチームこそ、コートの外にいる時間の使い方が差になりますよ。
少人数の練習でやってはいけない3つのこと
ここまでの内容と同じくらい大切なのが、避けるべきやり方です。よかれと思ってやったことが、選手の伸びを止めてしまう場合があります。
私が見てきた中で、少人数チームがはまりやすい失敗は次の3つでした。
やってはいけない①:人数不足を走り込みで埋める
「人数が少ないぶん、体力で勝とう」という発想は自然に出てきます。ただ、走り込みばかりの練習は逆効果になりやすいです。
練習がきつくてバレーボールそのものを嫌いになってしまうのが、いちばん避けたい結末です。
少人数のチームは、1人抜けたときの影響が大きくなります。故障や退部につながる負荷のかけ方は、そのままチームの存続に関わります。



走るのがしんどくて、練習に行くのが憂うつな時期がありました。



そこまで追い込むのは、少人数のチームでは特に危ないサインです。
体づくりを入れるなら、ボールを使った練習の合間に短く挟む形にしてください。
やってはいけない②:同じ役割をずっと固定する
勝つために、上手な選手をセッターやリベロに固定したくなります。試合が近い時期は、それも1つの判断です。
ただし普段の練習まで固定してしまうと、その選手が休んだ日にチームが機能しなくなります。
少人数チームこそ、全員がセッターとレシーブの両方を経験しておくことが保険になります。
やってはいけない③:強い球から練習を始める
人数が少ないと、1人あたりの反復が増えるぶん、体への負担も増えます。
いきなり強い球を受けさせたり、高い台から打ち込んだりするのは避けてください。軽い負荷から段階的に上げていくのが基本です。
とくに成長期の中学生は、膝や腰に負担が集中しやすい時期です。痛みを訴えたときは、様子を見るのではなく医療機関で診てもらうようにしてください。
6人そろわないときにとれる選択肢
最後に、そもそも大会に出る人数が足りない場合の話をします。ここは指導者だけで抱え込まないでほしい部分です。
6人制の試合はコートに6人が入るため、単独チームで出場するには一定の人数が必要になります。
ただし、人数が足りない場合の救済制度は、地域や大会ごとに用意されていることがあります。
代表的なのが、複数の学校が一緒にチームを組む合同チームの制度です。
- 所属する中学校体育連盟・高等学校体育連盟の大会要項
- 合同チームの申請条件と、締め切りの時期
- 近隣の学校との合同練習が組めるか(顧問同士の相談)
- 校内での部員募集や、他部との兼部が認められるか
条件や締め切りは地域によって差が大きいので、必ず所属する連盟や都道府県のバレーボール協会が出す要項で確認してください。
都道府県協会の連絡先は、日本バレーボール協会(JVA)の公式サイトからたどれます。



保護者の方には、どこまで相談していいものでしょうか。



早めに共有しておくほど、味方になってもらいやすいですよ。
人数の状況は、保護者にも早い段階で伝えておくことをおすすめします。
合同チームになれば移動や日程の調整が発生しますし、部員募集に協力してもらえる場合もあります。
保護者との関係づくりについては、次の記事も参考にしてみてください。
よくある質問
まとめ
部員が少ないバレー部は、不利なチームではありません。1人あたりのボールタッチ数を増やせる環境です。
6人制の練習を縮小して真似るのではなく、その人数でしか組めない形に作り替えることが出発点になります。
| 人数 | 練習の中心 | 意識すること |
|---|---|---|
| 2人 | 対人パス・サーブとサーブレシーブ | 時間ではなく本数で区切る |
| 3〜4人 | コート半面でのつなぎとラリー | 1本ごとに役割を交代する |
| 5〜6人 | 実戦形式・ローテーション | 得点をつけて区切りを作る |
| 共通 | ボールを止めない形にする | 待ち時間をそのまま残さない |
| 避けたいこと | 走り込みで人数不足を埋める | 嫌いになる練習にしない |
| 6人未満のとき | 合同チームなどの制度を確認 | 連盟の要項で条件を確かめる |
私は元日本代表として、また指導者としてたくさんの試合を見てきましたが、人数の多いチームが必ず勝つわけではありませんでした。
1本を大切にできるチームは、人数に関係なく強くなります。



まずはコートを半分にして、3対3から始めてみます!



それで十分です。人数のせいにしない練習を、1つずつ積み上げていきましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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