- 学校のマラソン大会が近いのに、部活も休みなく続いている
- 長い距離を走ると、次の日の練習でジャンプが重くなる
- 走り込みでケガをしないか、正直こわい
こんな悩みを解決します。
学校のマラソン大会(持久走大会)で足を痛める選手の多くは、走った距離ではなく、走る日と跳ぶ日を重ねてしまったことでつまずいています。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生・高校生を見てきましたが、秋から冬にかけて「すねが痛い」「かかとが痛い」と言い出す選手が増える時期は、学校のマラソン大会の練習期間と重なることがほとんどでした。
走ること自体が悪いわけではありません。
問題は、長い距離を走った日に、いつもと同じ本数のジャンプ練習をしてしまうことにあります。
同じ「足を使う」でも、走る動きと跳ぶ動きでは、体にたまる疲れの種類が違います。そこを分けて考えられれば、マラソン大会も部活も、どちらも無理なく乗り切れるでしょう。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- マラソン大会の練習で足を痛めない、5つの手順が分かる
- 走る日と跳ぶ日をどう組み合わせればいいかが分かる
- 大会が終わったあと、バレーの動きを早く取り戻す方法が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:マラソン大会は走る量より「足の残し方」で決まる
先に結論からお伝えします。バレー部がマラソン大会を無事に乗り切るためにやることは、走る量を増やすことではありません。
- 走る日と跳ぶ日を分けて、足への衝撃を重ねない
- 大会の2週間前から、ゆっくり走る時間を少しずつ足す
- 大会が終わった翌日は、全力のジャンプ練習を入れない
順位を上げたい気持ちがあるのは自然なことでしょう。ただ、バレー部にとってのマラソン大会は、あくまで学校行事のひとつです。
バレーのシーズンを削ってまで、順位を取りにいく必要はありません。
とはいえ、やる気のない走りをすればいいという話でもないはずです。同じ全力でも、準備をしてから走るのと、ぶっつけで走るのとでは、体に残るダメージがまったく変わります。
準備というのは、走り込みの量を増やすことではありません。「走ることに足を慣らしておく」という、それだけのことです。
サルくん部活で毎日動いてるし、走るのも平気じゃないの?



バレーの動きと長い距離を走る動きは、まったくの別物ですよ。
走ることに足を慣らしておけば、当日の疲れ方も、翌日の戻り方も変わります。逆に、何もしないまま本番を迎えると、疲れは全部あとから返ってきます。
大会が終わったあとに、練習で跳べない日が続くのがいちばんもったいない結果でしょう。
ここからは、なぜバレー部の足が長距離走で悲鳴を上げるのか、その理由から順に見ていきましょう。
持久走とバレーの走りは別物|同じ「走る」でも体への効き方が違う
普段からコートを走り回っているのに、たった数キロの持久走でこれほど疲れるのはなぜでしょうか。答えは、体の使い方がまったく違うからです。
力の出し方が違う
バレーの動きは、数秒動いて止まり、また動くという繰り返しでできています。
1本のラリーは長くても十数秒ほどで、その間に何度も切り返しながら、短い距離を全力で動きます。
いっぽう持久走は、同じペースを何分も保ち続ける運動です。息を吸って吐きながら、酸素を使って体を動かし続けます。
体の中でのエネルギーの作り方が違うため、バレーがどれだけ得意でも、長い距離を走る力は自動的には身につきません。
バレーが上手いことと、長く走れることは、まったく別の能力です。
だから走れなくても落ち込む必要はありませんし、「自分は動けるから大丈夫」と油断するのも危険だと言えます。
実際、コート内では誰よりも動けている選手が、持久走になると急に苦しそうな顔をすることは珍しくありません。



動けるのと、走れるのって違うんだ。



使っている力の出し方が、そもそも別ものなんですよ。
着地の回数が桁違いに増える
もうひとつ見落とされやすいのが、足が地面を叩く回数です。
バレーの練習で、片足ずつの着地を含めても、1回の練習で数百回といったところでしょう。
ところが数キロを走ると、その回数は一気に数千回まで跳ね上がります。
一歩ずつの衝撃は小さくても、数が積み重なれば、すねやかかと、ひざには確実に負担が残ります。



一歩は軽くても、回数がすごいんだ…



だから走った日は、跳ぶ本数を減らしてあげるんですよ。
すねの内側が痛くなるシンスプリントや、かかとの痛みが出るシーバー病は、まさにこの繰り返しの衝撃から起こります。
成長期の中学生は、骨が伸びている途中で、まわりの筋肉や腱が引っぱられやすい時期です。走る量が急に増えたときに、痛みが出やすくなります。
しかも痛みは、走っている最中ではなく、翌日や翌々日に出てくることがほとんどです。
「昨日は平気だったのに」と感じたときには、すでに負担が積み重なっているという見方をしてください。
マラソン大会で足を守る5つの手順
ここからが本題です。大会までの過ごし方を、順番に並べていきます。
ひとつずつ補足していきます。私が指導しているスクールでも、走る時期に入る選手にはこの順番で伝えています。



順番って、そんなに大事なの?



慣らす前に距離を伸ばすのが、いちばん危ない進め方ですよ。
まず1つ目の「ゆっくり走る」は、速く走るための練習ではありません。長い時間、足に衝撃を受け続けることに体を慣らすための時間です。
だから息が上がる速さで走る必要はありません。となりの人と話せるくらいの速さで、時間だけを少しずつ伸ばしていきます。
2つ目の靴は、想像以上に大きな差になります。
バレーシューズは、横の動きと着地を支えるために作られた靴です。前へまっすぐ長く進む動きには向いていません。
長い距離をバレーシューズで走ると、足裏とすねに負担が集中します。
3つ目が、この記事でいちばんお伝えしたい部分になります。走った日にいつも通りのジャンプ練習をすると、足への衝撃が一日で二重に積み重なるんです。
顧問の先生に「今日は学校でマラソンの練習がありました」と伝えられれば、それだけで本数を調整してもらえることも多いはずです。
4つ目のケアは、時間をかける必要はありません。お風呂上がりに、ふくらはぎとすねの外側を伸ばすだけで十分でしょう。
5つ目は、いちばん大事な線引きです。走り終えて休んでも痛みが引かないときは、体からの合図だと考えてください。
我慢して続けても、良くなることはまずありません。早めに止めたほうが、結果として休む期間は短くなります。



みんな走ってるのに、自分だけ止めるのは言いにくいな…



一週間休むか、一か月休むかの分かれ道ですよ。
痛みを伝えるのが苦手なら、「すねの内側が押すと痛い」のように、場所と痛み方を具体的に言葉にしてみてください。伝わり方がまるで変わります。
当日の走り方|最初の3分の1を我慢する
当日にできることも、じつはたくさんあります。大きく変わるのは、走り出しの数分です。
スタートの合図が鳴ると、まわりに引っぱられて一気に前へ出たくなります。そこを我慢できるかどうかで、後半の走りがまるで変わります。
全体の3分の1までは、まわりに抜かれても気にしないでください。呼吸が乱れない速さを保ったまま進みます。
そして中盤から、少しずつペースを上げていきます。最後まで同じ速さで走れる選手は、後半に必ず前へ出られます。



最初にがんばりすぎて、いつも後半で潰れてました…



抑えて入れば、後半に人を抜く楽しさが味わえますよ。
呼吸は、吐くほうを意識すると整いやすくなります。吸うことばかり考えると、体に力が入ってしまいます。
腕の振り方にもコツがあります。大きく振り回すのではなく、ひじを軽く曲げて、後ろへ小さく引く感覚を持ってください。
- ふくらはぎと太ももの裏を軽く動かして温める
- 上着はスタート直前まで着ておく
- 3分の1までのペースを決めておく
スタート前のアップも、そのまま走りにつながります。いきなり並ぶのではなく、軽く体を温めてから位置につきましょう。
ふくらはぎと太ももの裏を軽く動かしておくと、走り出しの数百メートルが楽になります。
前日の過ごし方も、当日の走りに影響します。夜更かしをせず、朝ごはんを食べる時間を確保しておくだけで、体は動きやすくなります。
寒い時期の大会では、体が冷えたままスタートを迎えないことも大切です。上着は直前まで着ておいて構いません。



スタート前に温めておけばいいんだね。



冷えた足で急に走り出すのが、いちばん危ないですよ。
バレー部がやりがちな失敗3つ
毎年のように繰り返される失敗があります。先に知っておけば、避けられるものばかりです。
- 前日や前々日に、長い距離を走り込んでしまう
- 大会のために買った新品の靴を、当日にいきなり履く
- 大会が終わった日の夜や翌日に、全力のジャンプ練習を入れる
1つ目は、直前の走り込みです。
数日前に距離を走っても、大会当日までに力にはなりません。残るのは疲れだけになります。
前の週までに準備を終えて、直前の3日間は軽く体を動かす程度にとどめるのが正解でしょう。
2つ目の新しい靴も、毎年どこかで起こる失敗です。
おろしたての靴は、まだ足になじんでいません。かかとや小指のあたりがこすれて、マメができることがあります。
新しい靴は、大会の2週間前までにおろして履き慣らしておきましょう。
3つ目が、いちばん見落とされる部分です。走り終えた解放感で、その日の部活でいつも以上に動いてしまう選手がいます。



走り終わったあとって、なんだか気分が上がるんだよね。



その日の夜がいちばん危ないので、跳ぶのは我慢してください。
走り終わった直後は、筋肉が疲れていても、気持ちの高ぶりで感じにくくなっています。そのまま全力で跳ぶと、着地で支えきれずにひざや足首を痛めることがあります。
順位が思ったより良かった日ほど、この落とし穴にはまりやすくなります。
大会の日は、走り終えた時点で「今日はここまで」と決めておくのがいちばん安全な進め方でしょう。
大会が終わったあと48時間の戻し方
マラソン大会が終わってからの2日間で、バレーの動きが戻るまでの早さが決まります。
大会の翌日に感じる筋肉痛は、太ももの前側とふくらはぎに出やすくなります。この状態でスパイクを打つと、踏み切りの力が抜けて、着地も不安定になります。
急いで戻す必要はありません。私が見てきた中でも、2日かければほとんどの選手はいつも通りに跳べるようになっていました。
食事も回復を助けてくれます。走ったあとは、ごはんやパンなどの主食と、肉や魚、卵といったたんぱく質をそろえて食べておきましょう。
水分も忘れがちな部分です。寒い時期の持久走は、汗をかいている感覚が薄いまま水分が抜けていきます。
のどが渇く前に、少しずつ飲む形に切り替えておきましょう。



冬でも水分っているんだ!



寒い日ほど飲む量が減るので、意識して足してくださいね。
痛みが3日以上続く場合や、押すと一点だけ強く痛む場合は、自己判断で練習を続けないでください。整形外科で診てもらうことをおすすめします。
なお、学校行事や部活動中のケガは、学校の管理下として災害共済給付の対象になる場合があります。制度の内容は日本スポーツ振興センターの公式サイトで確認できます。
よくある質問
まとめ
マラソン大会は、バレー部にとって避けて通れない学校行事です。ただし、走る量を増やすことが目的ではありません。
足を痛めずに大会を終えて、次の練習に戻ることがいちばんの目標です。
| やること | 具体的な進め方 |
|---|---|
| 2週間前 | 週2回、10〜15分をゆっくり走る |
| 靴を分ける | 長距離はランニングシューズを使う |
| 走った日 | ジャンプ練習の本数を半分の目安に |
| 当日 | 最初の3分の1は抑えて入る |
| 大会後 | 2日かけてジャンプを戻す |
私は元日本代表として、また指導者として多くの中高生を見てきましたが、秋から冬に足を痛める選手は、決まって走る日と跳ぶ日が重なっていました。
逆に言えば、この2つを分けるだけで、防げるケガはかなり多いということです。



走った日は、跳ぶのを我慢してみます!



その判断ができる選手は、シーズンを通して伸びますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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