- 誰よりも練習しているのに、思ったように上手くならない
- 何を直せばいいのか、自分ではよく分からない
- 同じ学年の選手とだんだん差がついてきた気がする
こんな悩みを解決します。
バレーが上手くなる選手とそうでない選手の差は、練習の量ではなく、正しい形を先に覚えて、できない場面を切り分けて、ふり返って直しているかにあります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきた中で、短い期間でぐっと伸びる選手には、はっきりした共通点がありました。
伸びる選手は、自分の課題を1つの言葉で説明できます。「レシーブが下手」ではなく「速い球の時だけ腕が振れてしまう」のように、場面と症状で言えるということです。
課題を細かく言えるようになると、その日の練習で何をすればいいかが決まります。逆に、ぼんやりした課題のまま数をこなしても、上達の速さは変わりません。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 練習量を増やしても伸びない理由が、自分の言葉で説明できるようになる
- 伸びる選手がやっている5つの習慣と、その始め方が分かる
- 3か月で結果を変えるための、練習の組み立て方が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:上手くなる方法は「正しい形・切り分け・ふり返り」の3本柱

先に結論からお伝えします。バレーが上手くなる選手は、次の3つを順番に回しています。
- 正しい形:直したい動きの正解を、先に1つだけ決める
- 切り分け:できない場面を、状況と症状に分けて言葉にする
- ふり返り:その日やったことと結果を、短くても書き残す
この3つは、才能や身長とは関係ありません。中学生でも今日から始められるものばかりです。
大切なのは順番です。正しい形を決めないまま数をこなすと、間違った動きが体にしみ込んでいきます。時間をかけたぶんだけ、直すのにも時間がかかってしまいます。
サルくんたくさん練習してるのに、なんで伸びないんだろう…。



努力の方向が少しずれているだけですよ。
正しいフォームからは、そもそもミスが起きにくくなります。
私が指導の現場でいちばん最初に見るのも、その選手が何を目指して体を動かしているかです。目指す形がはっきりしている選手は、修正が速く、同じ練習量でも伸び方が違います。
ここからは、練習量だけでは伸びない理由、伸びる選手の5つの習慣、やりがちな失敗、3か月の組み立て方の順に見ていきましょう。
練習量を増やしても上手くならない3つの理由
まずは、なぜ量だけでは足りないのかを整理します。ここが分かると、練習の中身を変える気になれるはずです。
努力の方向が目指す形とずれている
1つ目は、方向のずれです。目指す形が決まっていない状態で数をこなすと、その日の調子でフォームが毎回変わってしまいます。
バレーの動きは、1回ごとに少しずつ体が覚えていきます。ばらばらの動きを100本くり返せば、ばらばらのまま100本ぶん覚えることになるわけです。



ホウコウ ガ ズレルト リョウ ハ ムダニナル
だからこそ、練習を始める前に「今日はここを直す」と1つだけ決めます。決めるのは1つで十分です。2つ3つと増やすと、どれも中途半端になります。
症状が出た場所と原因の場所がずれている
2つ目は、原因の探し方です。バレーの動作は最初から最後までひとつながりなので、うまくいかない原因は、症状が出た場所より前の段階にあることがよくあります。
たとえばスパイクがネットにかかる時、多くの選手は打つ瞬間の手を直そうとします。ところが原因は、助走の入り方やトスとの距離にあることの方が多いんです。



打つところだけ直しても変わらなかった…。



原因は、たいてい1つ手前にありますよ。
手を直しても変わらない時は、その1つ前の段階を見ます。1つ前を見て変わらなければ、さらに1つ前へ。この順でさかのぼると、本当の原因にたどり着けます。
レシーブも同じ考え方で見ていきます。返る方向が定まらない時、腕の振り方より先に見るのは、落下点に入れているかどうかです。
足が間に合っていなければ、腕をどれだけ直しても球は安定しません。原因が足にあるうちは、腕の練習を増やしても時間が過ぎるだけになります。
練習がきつすぎてバレーが嫌いになっている
3つ目は、心の方です。走り込みや長い練習でへとへとになると、体は動かなくなり、頭も働かなくなります。
私がいちばんよくないと考えているのは、練習のきつさでバレーそのものが嫌いになってしまうことです。嫌いになった競技で上達し続けるのは、大人でも難しいことでしょう。
続けられる練習の方が、きつい練習より結果的に伸びます。
疲れきった状態でフォームを固めようとすると、体は楽な動きに逃げます。それは正しい形とは違う動きなので、覚えるほど遠回りになります。
上手くなる選手がやっている5つのこと


ここからが具体的な方法です。特別なことは1つもありません。今日の練習から始められるものだけを選びました。
①直したい動きの正解を1つだけ決める
最初にやるのは、正解を決めることです。「レシーブを上手くする」ではなく「おでこの前で面を作ってから待つ」のように、体の動きの言葉にします。
正解が言葉になっていれば、うまくいった時とうまくいかない時の違いが自分で分かります。分かるようになると、コーチに言われなくても直せる回数が増えていきます。



セイカイ ヲ コトバニ スル ト ジブンデ ナオセル
決める時は、解説を1つ選び、それに沿って形を作ってみてください。あちこちのやり方を同時に試すと、体が混乱します。
②できない場面を状況と症状で切り分ける
次にやるのが、切り分けです。「サーブが入らない」で止めず、どんな時にどうなるのかまで分けます。
ネットにかかるのか、大きくアウトになるのか。練習では入るのに試合で外すのか。ここまで分けると、直すべき場所が1つに絞られます。
- どんな場面で起きるのか(練習・試合・特定の相手)
- どんな症状で失敗するのか(ネット・アウト・当たらない)
- 直前の動きはどうなっていたか(構え・助走・トス)
この3つに答えられたら、その日の練習でやることはもう決まったも同然です。答えられない項目があれば、そこを次の練習で観察します。
③短い時間でも毎日ボールに触る
3つ目は、回数の作り方です。まとまった練習時間がなくても、家で5分から10分だけ体を動かす日を作ります。
直上パス、壁に向かってのパス、サーブの素振り。どれも狭い場所でできて、フォームを確かめるには十分な練習です。



5分なら、宿題の前でもできそうです!
家でやる時のメニューは、次の3つから選べば迷いません。どれも1つの動きに絞ってあるので、直したい場所と結びつけやすくなります。
- 直上パス30回:おでこの前で面を作り、真上に高さをそろえて上げ続ける
- 壁パス30回:2mほど離れて立ち、同じ場所へ返し続ける
- サーブの素振り20回:ボールを持たず、トスを上げる手と打つ手の動きだけを確かめる
回数は少なめで構いません。数を追いかけると形が崩れるので、決めた形のまま終われる回数にしておきます。



疲れて形が崩れる前にやめるのがコツです。
体は、間隔が空くほど動きを忘れます。週に1回長く練習するより、短くても毎日触った方が、正しい形は早く定着するんです。
④スマホで撮って理想の形と見比べる
4つ目は、自分の動きを目で見ることです。自分では正しくできているつもりでも、実際の動きはかなり違っていることがあります。
練習の時にスマホでフォームを撮り、目指している形と並べて見比べてみてください。頭の中のイメージと実際の差が、はっきり見えてきます。



自分の動きを見た日から、修正が一気に速くなりますよ。
見比べる時は、直す場所を1つだけ選びます。全部が違って見えても、直すのは今日決めた1つだけにしておくと、次に撮った時の変化が分かりやすくなります。
⑤その日の練習を短くふり返って書き残す
5つ目は、ふり返りです。練習が終わったら、決めたこと・やったこと・変わったことを3行でいいので書いておきます。
書き残しておくと、前の自分がどこでつまずいていたかを思い出せます。同じ失敗をくり返している時は、それにも気づけるようになります。
これは選手が自分のために書くものです。誰かに見せるためではなく、自分が次に何をするかを決めるために使ってください。
伸び悩む時にやりがちな3つの失敗
順調に伸びていた選手が急に止まることがあります。その多くは、次の3つのどれかに当てはまります。
教わった1つのやり方だけを何年も続けている
最初に習った型を、そのまま何年も使い続けている選手は少なくありません。学び方としてはまじめですが、体も相手も変わっていくので、同じ型が合わなくなる時期がきます。
伸びる選手は、教わったやり方を1度疑ってみます。別のやり方も試し、場面によって使い分けられるようになると、対応できる相手が一気に増えます。



習った通りにやってるのに、通用しなくなってきた…。



型を増やす時期にきたということですね。
できないところばかり数えている
2つ目は、見る場所の偏りです。うまくいかない場面ばかり数えていると、練習そのものが苦しい時間になります。
最初はできないところばかりなのが当たり前です。私が指導で最初にするのも、できているところを見つけて伝えることでした。
できている部分を数えられる選手ほど、長く伸び続けます。
自分でふり返る時も同じです。直す点を1つ書いたら、できるようになった点も1つ書いておくと、続ける気持ちが保てます。
体を大きく使わず手先だけで直そうとしている
3つ目は、直し方の癖です。うまくいかないと、手首や指先など、目に見える先の方だけを動かして調整しようとしてしまいます。
バレーの力は、足から体、体から腕へと順に伝わって生まれます。手先だけで合わせにいくと、その場は入っても、強い球や速い展開になると通用しません。



テサキ ノ チョウセイ ハ ツヅカナイ
直す時は、足の向き、体の向き、腕の順で見ていきます。土台から見直す方が、遠回りに見えて実は近道です。
3か月で変えるための練習の組み立て方
最後に、ここまでの内容を実際の練習に落とし込みます。期間は3か月を目安にしてください。
3か月で1つの動きが変われば、1年で4つ変わります。これは、なんとなく1年練習した選手との差としては、とても大きなものになります。
週の練習は「形・反復・実戦」で配分する
同じ1週間でも、中身の配分で結果が変わります。目安としては、形を確かめる練習、数をこなす練習、試合に近い練習の3つを、意識して混ぜてください。
| 練習の種類 | 週の目安 | 目的 |
|---|---|---|
| 形を確かめる | 2回 | 正しい動きを、ゆっくり丁寧に確認する |
| 数をこなす | 3回 | 決めた形のまま反復して、体に覚えさせる |
| 試合に近い形 | 1回から2回 | 決めた形が、速い展開でも出るかを試す |
形だけをやり続けても試合では出ませんし、実戦だけをやり続けても悪い癖は直りません。3つがそろって、はじめて上達につながります。
チームの練習で配分を決められない時は、自分の中だけで切り替えれば十分です。同じメニューでも、今日は形を確かめる日と決めれば、見る場所が変わります。



同じ練習でも、意識で変えられるんだ。



何を見て取り組むかで、同じ1本の中身が変わりますよ。
伸びを確かめる日をあらかじめ決めておく
もう1つ大事なのが、確かめる日を先に決めておくことです。何も決めずに続けると、変わったのかどうかが分からないまま時間だけが過ぎていきます。
1か月に1回、同じ練習を同じ回数だけやってみてください。入った本数や続いた回数を記録しておけば、伸びが数字で見えるようになります。



月に1回のテストなら、続けられそうです。
よくある質問
まとめ
バレーが上手くなる方法は、特別な練習ではありません。正しい形を決めて、できない場面を切り分けて、ふり返って直す。この流れをくり返すだけです。
量ではなく、向きと順番を整えることが上達の近道になります。
| やること | 具体的な進め方 |
|---|---|
| 正しい形を決める | 直す動きを1つ選び、正解を言葉にしておく |
| 切り分ける | 場面・症状・直前の動きの3つで課題を絞る |
| 毎日触る | 家で5分、直上パスや素振りで形を確かめる |
| 目で見る | スマホで撮り、目指す形と並べて見比べる |
| 書き残す | 決めたこと・やったこと・変化を3行で残す |
私は元日本代表として、また指導者として多くの選手を見てきましたが、伸びる選手ほど自分の課題を細かい言葉で説明できました。



まずは1つだけ決めて、今日から始めます!



その1つが変われば、次の1つはもっと速く変わりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの基本動作については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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