- チームの練習だけでは足りない気がするけれど、1人で何をやればいいか分からない
- 家では場所も音も気になって、結局ストレッチだけで終わってしまう
- 自主練をしているのに、試合でうまくなった実感がない
こんな悩みを解決します。
一人練習は種目を増やすほど伸びるわけではなく、ボールを操る→フォームを固める→体をつくる、の順番で組むかどうかで差がつきます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生・高校生を指導してきて、伸びる選手に共通しているのは、練習量よりも1人の時間の使い方が整っていることでした。
チーム練習では球が来るまで待つ時間があります。一人練習は、その待ち時間がまるごと自分のものになる時間です。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 一人練習を組むときの正しい順番が分かる
- ボールがある日・ない日それぞれのドリルが分かる
- 家や公園で続けるための時間と場所の決め方が分かる
体の使い方の全体像は、こちらの記事でまとめています。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:一人練習はボール→フォーム→体の順で組む
先に結論をお伝えします。一人練習は、次の順番で組んでみてください。
この順番には理由があります。バレーは反応 → ストップ → ボールコントロールのくり返しで成り立つスポーツです。
いちばん最後のボールコントロールが安定しないまま、体力づくりだけを増やしても、試合での精度は変わりません。
だから、まずボールに触る練習から入ります。ボールが使えない日だけ、フォームと体づくりに切り替える。これが迷わない組み方です。
サルくん毎日ぜんぶやらなくていいんですか?



1回10分で1つか2つで十分だよ。続く形にするほうが大事なんだ。
一人練習でやることを絞ると伸びる理由
やることを絞ると聞くと、物足りなく感じるかもしれません。それでも絞ったほうが伸びるのには、2つの理由があります。
正しいフォームは1人の時間ほど固めやすい
チーム練習では、相手が打った球に合わせて動きます。ボールが毎回ちがうので、フォームそのものに集中するのは難しくなります。
一人練習は、自分でボールを出せる練習です。同じ高さ、同じ位置に上げられるので、直したい部分だけを見ていられます。
正しいフォームからは、そもそもミスが起きにくくなります。だからこそ、早いうちに正しい形を体に入れておきたいところです。
努力の方向が合っていれば、少ない本数でも変化は出ます。逆に、形が崩れたまま本数だけ重ねると、崩れた形が固まってしまいます。
迷う時間が減って、ボールに触る回数が増える
今日は何をやろうかと考える時間は、そのまま練習時間から引かれていきます。
やることを先に決めておけば、ボールを持った瞬間から練習が始まります。10分でも、触る回数はかなり変わってきます。



メニューヲ決メルト迷ウ時間ガ消エル
ボールが使える日にやる3つのドリル


体育館の空き時間、公園、庭。ボールが使える日は、この3つから選んでください。
ドリル①:直上パスでおでこの前に面を作る
自分の真上にボールを上げて、落ちてきたボールをオーバーハンドパスで返します。バレーの一人練習で、いちばん土台になるドリルです。
見るポイントは高さではありません。おでこの前でボールを迎えられているか、この1点だけを見ます。
ボールを迎えに行って体の前で触ってしまうと、指に負担がかかり、返る方向も安定しなくなります。
慣れてきたら、座った姿勢でも同じことをやってみてください。下半身が使えない分、手だけで押し出しているかどうかがはっきり分かります。



高く上げたほうが練習になりますか?



高さより、おでこの前で待てるかどうかを見てね。
アンダーハンドパスでも同じように、真上へ返す練習ができます。
パスの一人練習をもっと細かく知りたい人は、こちらの記事が参考になります。
ドリル②:壁パスで回数を数える
壁に向かってパスを続けるドリルです。直上パスが安定してきたら、こちらに進みます。
回数の目安を持っておくと、上達がはっきり見えます。私のスクールでは、入部して間もない選手に次の基準を伝えています。
| 時期 | オーバーハンドパス | アンダーハンドパス |
|---|---|---|
| 始めたばかり | 各10回 | 各10回 |
| 1〜2か月後 | 20回 | 20回 |
| 数か月後 | 50回 | 50回 |
数えるときは、途切れたら1からやり直してください。連続で続けることに意味があります。
壁は跳ね返りが速いので、体を前に突っ込ませないことが大事です。壁から2mほど離れ、体の正面でさばくようにします。



20回が全然続かないです…



続かないときは壁との距離が近すぎるかも。1歩下がるだけで変わるよ。
アンダーハンドでの壁パスのやり方は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
ドリル③:サーブはトスだけを先に固める
サーブは1人で完結する数少ないプレーです。ところが、いきなり打つ練習から入ると、うまくいかない原因が分からなくなります。
まずはトスだけを7日ほど続けてみてください。右利きなら、右肩の前方へ、床と垂直に肩の高さまでボールを持ち上げる、これだけです。左利きは左右を入れかえます。
トスが毎回同じ場所に上がるようになってから、踏み込みとスイングを足していきます。トスが安定しないうちに打ち方をいじると、何が良かったのか分からなくなります。
打つ場所がない日でも、トスの練習なら部屋の中でもできます。



トスだけで7日も使うんですか!?



そこが固まると、打ち方の直しが一気に進むんですよ。
壁打ちができる場所があるなら、ゴム付きの練習ボールも選択肢に入ります。手元に戻ってくるので、球拾いの時間がほとんどなくなります。
サーブの一人練習は、次の記事で手順をまとめています。
ボールが使えない日にやる3つのドリル


雨の日、夜、旅行先。ボールが使えない日は、フォームと体づくりに切り替えます。
ドリル④:スパイクは立ったままフォームを固める
スパイクの一人練習は、跳ばずに立ったまま始めるのが近道です。跳びながら腕も振ろうとすると、どちらも中途半端になります。
右利きなら左足を前に出して立ちます。そこから、打つ側の肩を後ろに引き、反対側の肩を前に出すように、背骨を軸にして体をひねります。
野球のバッティングやテニスのフォアハンドと同じ動きだと考えると分かりやすいはずです。ひねり戻しでパワーが生まれます。
- 肘が肩より低い位置に落ちていないか
- 手のひらでボールを包み込んで押し出す形になっているか
- 打ち終わりで、手の甲が打ちたい方向を向いているか
この形ができてから、2歩助走と踏み切りを足します。最後に着地を確認する、という順番です。



立位デ形ヲ固メテカラ下半身ヲ足ス
スパイクのドリルをもっと見たい人は、こちらの記事が参考になります。
ドリル⑤:ブロックは構えと手の出し方を確認する
ブロックも、ネットがなくても形は作れます。鏡の前に立って、構えから手を出すところまでをゆっくりくり返してください。
構えで見るのは手の高さです。基本は肩の高さにセットします。相手の攻撃が速い場面では顔の高さ、相手が二段トスを上げる場面では胸の高さ、と場面で変わります。
手を出すときは、脇を締めて、肘が体の前を通るようにします。肘の移動が最短距離になるほど、手が早く完成します。
ここで気をつけたいのが手首です。通常のブロックでは、手首は折らずにまっすぐのまま手を出します。
手のひらは相手コートへ向けますが、手首を前へかぶせる動きは入れません。



手首を返すって教わったことがありました!



相手コートへ蓋をするだけでいいんだ。手首はまっすぐのままだよ。
ブロックの一人練習は、次の記事でドリルを紹介しています。
ドリル⑥:心拍数が上がる動きで体の土台をつくる
最後が体づくりです。ここを最初に持ってこないのは、フォームが整っていない状態で体力だけ上げても、試合の精度につながらないからです。
バレーで落ちやすいのは、試合後半のプレー精度です。心肺機能が低いままだと、同じ動きでも後半にガクッと落ちてしまいます。
心拍数が上がった状態で動き続ける時間を、週に何回か作ってください。走る、その場でのジャンプ、短いダッシュのくり返し。どれでもかまいません。
自分の体重を使った腹筋・背筋・スクワットも、この時間に入れられます。



走るのも練習のうちなんですね!
一方で、重いダンベルやバーベルは中学生の年代では必要ありません。器具である程度の重さを扱うのは、怪我の予防と骨の成長を考えると高校生になってからで十分です。
一人練習でやりがちな3つの失敗
一人練習は自由な分、方向をまちがえたまま進んでしまうことがあります。よくあるのは次の3つです。
本数だけを追いかけてしまう
100本打った、という記録は気持ちがいいものです。ただし、崩れた形で100本打つと、崩れた形が100回分だけ体に残ります。
本数を目標にするのは、形が固まってからにしてください。それまでは、10本のうち何本が狙った形だったかを数えるほうが効果的です。



たくさんやったほうが上手くなると思ってました…



数より、狙った形で触れた回数を見るほうが伸びますよ。
家の中で強く打ってしまう
家の中で強く打つと、物が壊れるだけでなく、近所の迷惑にもなります。夜の時間帯はとくに音が響きます。
家でやるのは、直上パス・トスの動き・立ったままのスイングまでにしておきましょう。強く打つ練習は、公園や体育館に持っていく。この線引きを先に決めておくと安心です。
自分のフォームを見ないまま続けてしまう
自分の感覚と、実際に起きている動きはずれていることが多いものです。頭の中では肘を上げているつもりでも、映像で見ると下がっていることがあります。
私が指導するときも、まず選手に自分の動画を見てもらいます。
言葉で10回伝えるより、1回見てもらうほうが早いんですよね。
スマホで自分のフォームを撮って、理想とする選手の動きと見比べてみてください。ずれている場所が見つかると、直す場所が1つに絞れます。
続けるための時間と場所の決め方
一人練習でいちばん難しいのは、内容ではなく続けることです。決め方を2つだけ紹介します。
1回10分を、すでにある習慣にくっつける
やる気に頼ると、疲れている日に消えてしまいます。おすすめは、すでに毎日やっていることの前後にくっつける方法です。
お風呂の前に10分、朝の支度の前に5分。時間を決めるより、行動の順番に組み込むほうが続きます。
10分でも、直上パスなら100回近く触れます。1週間で700回です。
場所は家・壁・公園で使い分ける
場所ごとにできることが決まっていると、その日の判断が早くなります。
| 場所 | できること |
|---|---|
| 家の中 | 直上パス・サーブのトス・立ったままのスイング・体づくり |
| 壁のある場所 | 壁パス・オーバーとアンダーの連続・的を狙うコントロール |
| 公園や広場 | 高いトス・サーブの助走・フットワーク |
公園でボールを使うときは、周りに人がいないかを必ず確かめてください。ボール遊びが禁止されている場所もあります。



家と公園で分けておけば、迷わないですね!



そうそう。場所が決まると、やることも自然に決まるよ。
よくある質問
まとめ:1人の時間の使い方が、チーム練習の質を決める
一人練習は、やることを増やす時間ではありません。ボールを操る感覚を整え、フォームを固め、体の土台をつくる。この順番を守るだけで十分です。
1回10分、決めた1つか2つを続けるほうが、思いついた練習を2時間やるより確実に伸びます。
| 場面 | やるドリル |
|---|---|
| ボールが使える日 | 直上パス → 壁パス → サーブのトス |
| ボールが使えない日 | 立位のスイング → ブロックの手の出し方 → 体づくり |
| 時間がない日 | 直上パスだけ10分 |
私は元日本代表として、多くの選手の成長を近くで見てきました。
チーム練習で差がつくのではなく、1人の時間の使い方で差がついていきます。まずは今日、真上にボールを上げるところから始めてみてください。



今日は直上パスから始めてみます!



いいね。数えながらやると、明日の自分と比べられるよ♪
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの基本動作については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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