- 合宿や遠征に送り出すとき、食事のことまで手が回らない
- 宿の食事だけで足りるのか、何を持たせればいいのか分からない
- 移動中やコンビニで、子どもが何を選べばいいのか教えられない
こんな悩みを解決します。
合宿・遠征の食事でいちばん大事なのは、主食(ごはん・パン・麺)を切らさないことと、足りない分を補食で埋めることの2つです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
現役時代も指導者になってからも、合宿や遠征には数えきれないほど参加してきました。そこで見てきたのは、練習量が家にいるときの何倍にもなるのに、食べる量は逆に減ってしまう選手の姿です。
環境が変わるだけで、食は驚くほど簡単に崩れます。だからこそ、行く前に決めておけることがあるんですよね。
なお、食物アレルギーや持病がある場合、体調に不安がある場合は、この記事の内容よりも学校や医療機関への相談を優先してください。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 宿舎の食事で何をそろえて食べればよいかが分かる
- 移動中や会場で使える補食とコンビニの選び方が分かる
- 保護者が持たせるもの・声のかけ方の目安が分かる
コンディショニング全体の整え方は、こちらの記事でまとめています。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:合宿の食事は「主食を切らさない」と「補食で埋める」
先に結論からお伝えします。合宿・遠征の食事で押さえるのは、次の3つだけです。
- 主食(ごはん・パン・麺)を毎食きちんと食べる
- 宿の食事で足りない分は、持参した補食で埋める
- 練習と練習の間を空腹のまま過ごさせない
合宿では、1日に2部練習や3部練習が入ることも珍しくありません。ふだんの部活が2時間だとすると、動く時間が3倍近くになる日もあります。
それだけ動けば、体は当然たくさんのエネルギーを必要とします。
ところが実際には、宿の食事は決まった量しか出てきません。慣れない場所で、周りを気にして遠慮してしまう選手も多いのが現実です。
つまり合宿は、必要な量がいちばん増える時期に、食べる量がいちばん減りやすい環境でもあるということです。この差を埋める作業が、合宿の食事サポートの中心になります。
サルくん合宿の途中から、なんだか体が重くなってくるんだよね…。



それ、練習量のせいだけじゃないことが多いんだ。エネルギーが足りていないまま次の練習に入っている場合もあるよ。
疲れが抜けない、後半に足が動かない、いつもより気持ちが落ちる。合宿の中盤にこうしたことが起きたとき、原因を練習量だけに求めてしまうと解決しません。
食べた量と動いた量が釣り合っているか。まずはそこを見てあげてください。
動く量が増えたら、食べる量も増やす。これが合宿の大前提です。
ここからは、環境の違い・宿の食事・朝食・補食・衛生面・保護者の準備の順に見ていきます。
合宿・遠征の食事が家と違う3つの理由
なぜ合宿だと食が崩れるのか。理由が分かっていると、対策の優先順位が決めやすくなります。
理由1:量を自分で調整できない
家の食事なら、足りなければおかわりができますし、苦手なものは別のもので置きかえられます。宿舎の食事は基本的に一人分が決まっているので、その調整がききません。
とくに体の大きい選手や、まだ食べる量が安定していない中学生は、決まった一人分だと足りないことがあります。逆に量が多すぎて残してしまう選手もいます。



おかわりできない日もあるもんね。
理由2:食べる時間がずれる
合宿のスケジュールは練習が中心なので、食事の時間は前後します。朝が早い日もあれば、夕食が20時を過ぎる日もあります。
食事と食事の間が長く空くと、その間にエネルギーが切れます。空腹のまま練習に入ると、動きが鈍るだけでなく、集中力も落ちてしまいます。
理由3:緊張と疲れで食欲が落ちる
初めての場所、初めての相手、いつもと違う布団。合宿の1日目や2日目は、それだけで体に負担がかかっています。
疲れが強いときほど食欲は落ちます。ここで「食べなさい」と量を押しつけると、かえって食べられなくなることもあります。



家では普通に食べるのに、合宿だと減っちゃうのはそういうことなのね。



そうなんだ。だから量を増やすより、「食べられる形で回数を増やす」ほうがうまくいくことが多いよ。
この3つを踏まえると、やるべきことははっきりします。宿の食事でそろえるものを決めておくこと、そして足りない分と時間の空白を補食で埋めることです。
普段の食事の考え方は、こちらでまとめています。
宿舎の食事は5つそろえる|先に献立表を見ておく
宿の食事を前にしたとき、選手が自分で判断できる基準があると迷いません。私が伝えているのは、次の5つをそろえるという考え方です。
- 主食(ごはん・パン・麺)…体を動かすエネルギー源
- 主菜(肉・魚・卵・大豆)…体をつくるもとになる
- 副菜(野菜・きのこ・海藻)…体調を整える働きを助ける
- 乳製品(牛乳・ヨーグルト)…不足しやすい栄養を補う
- 果物(みかん・バナナなど)…補いにくい部分を埋める
この5つを毎食そろえるのが理想ですが、宿の献立でどれかが足りないことはよくあります。とくに不足しやすいのが乳製品と果物です。
トレーを見て、5つのうち何が抜けているかを確認する。抜けているものを補食で足す。この順番で考えれば、栄養の話が難しくなりません。
主食は最初に確保する
5つのうち、合宿でいちばん優先したいのが主食です。動くためのエネルギーは、主に主食からとることになるからです。
おかずを先に食べてお腹がいっぱいになり、ごはんを半分残してしまう。合宿ではこれが本当によく起きます。先にごはんを食べ切ると決めておくだけで、午後の動きが変わる選手はたくさんいます。
ごはんを抜くとなぜ動けなくなるのかは、こちらでくわしく説明しています。
献立表は行く前に確認しておく
宿舎が決まっている合宿なら、献立表を事前にもらえることがあります。指導者や保護者会が窓口になるケースが多いので、早めに確認しておくと準備がしやすくなります。
献立を見て、揚げ物が続いていないか、主食の量が足りそうか、乳製品や果物が付いているかを見ておきます。足りない部分が分かれば、その分だけ持たせるものが決まります。



チームでまとめて確認しておくと、保護者ごとに準備がばらつかなくて助かりますね。



そのとおり。献立が分かっていれば、持ち物リストにも書けるからね。
なお、量や内容の変更をお願いできるかどうかは宿舎によって違います。無理を通そうとせず、まずは相談という形で聞いてみてください。
なお、宿を選ぶ段階から食事は始まっています。予約サイトの写真や口コミで朝食の内容(ごはんが選べるか・おかわりができるか)を確認しておくと、当日の献立の心配がぐっと減ります。
朝食で1日が決まる|合宿の朝ごはんの整え方
合宿の朝は、練習開始が早いことがほとんどです。そして、朝食を軽く済ませた日ほど、午前の練習の後半で動きが落ちます。
前の日の夕食から朝までは、10時間以上空いていることも珍しくありません。その状態で午前に長い練習が入るので、朝食はその日いちばん重要な食事になります。
早くても主食と汁物は入れる
眠くて食が進まない朝でも、主食と汁物だけは入れておきたいところです。ごはんに味噌汁、パンにスープでもかまいません。
水分と一緒だと、固形物が入りやすくなります。まったく食べられない日は、バナナやヨーグルト、100%のオレンジジュースなど、口に入りやすいものから始めてみてください。
朝に何も入れないまま練習に入る。これがいちばん避けたい形です。



汁物なら、眠くても入りそうね。



うん。固形物が入らない日は、飲めるものから始めるのがコツだよ。
起きる時間から逆算する
朝食は、練習が始まる1〜2時間前までに食べ終えておくのが一般的な目安とされています。ここから逆算すると、起床時間も自然に決まります。
起きてすぐは体も内臓も動き出していません。顔を洗って軽く体を動かしてから食堂に向かうと、食べやすくなる選手が多いです。
朝ごはんの量やメニューの決め方は、こちらでくわしく整理しています。
移動中と会場の補食|コンビニでの選び方
合宿・遠征でいちばん差がつくのが補食です。宿の食事は変えられませんが、補食は自分たちで決められるからです。
補食は、おやつではなく食事の一部として考えます。目的は、練習と練習の間、食事と食事の間にできる空白を埋めることです。
持っていくものは3種類でいい
荷物には限りがあるので、あれこれ持たせる必要はありません。次の3種類があれば、たいていの場面をしのげます。
- エネルギー源…おにぎり、パン、カステラ、ようかんなど
- 体をつくるもの…魚肉ソーセージ、ゆで卵、ヨーグルト飲料など
- 不足を埋めるもの…バナナ、みかん、100%果汁ジュースなど
夏場の遠征では、常温で持ち歩けるものを中心にしてください。ゼリー飲料は食欲がないときに使いやすく、荷物にもなりにくいので1つ入れておくと安心です。
補食の使い分けは、こちらでくわしくまとめています。
コンビニで迷ったら「主食+たんぱく質+果汁」
遠征先でコンビニに寄る場面も多いはずです。子どもだけで選ぶとお菓子と炭酸飲料に偏りがちなので、選ぶ基準を先に伝えておきます。
伝え方はシンプルでかまいません。おにぎりかパンを1つ、たんぱく質になるものを1つ、果汁かヨーグルトを1つ。この3つを組み合わせるだけです。
揚げ物や菓子パンは、消化に時間がかかることがあります。試合や練習の直前は避けて、終わったあとに回すほうが無難です。
コンビニでの具体的な選び方は、こちらの記事も参考になります。



3つ選ぶって決めておけば、迷わなくて済むね!



そう。ルールが簡単なほど、本番でちゃんと使えるんだ。
試合が続く日は少しずつ何度も
遠征で試合が続く日は、まとまった食事の時間がとれません。その場合は、1回に多く食べるのではなく、少量を何度かに分けます。
お腹が重い状態で動くと、パフォーマンスが落ちるだけでなく気持ち悪くなることもあります。試合の合間は、消化のよいものを少しずつが基本です。
遠征で気をつけたい衛生面と水分
合宿・遠征では、家では起きにくいトラブルが起きます。とくに気をつけたいのが、食べ物の傷みと水分です。
弁当を持たせる日は衛生を最優先に
移動を伴う日にお弁当を持たせる場合、作ってから食べるまでの時間が長くなります。夏場は特に注意が必要です。
しっかり加熱して、冷ましてから詰める。汁気の多いものは避ける。保冷剤と保冷バッグを使う。この3つを守るだけでもリスクは下がります。生野菜や半熟卵は、遠征の日は入れないほうが安心です。
家庭でできる食中毒の予防については、厚生労働省の食中毒に関する情報ページにも基本がまとめられています。
遠征用のお弁当づくりは、こちらでくわしく紹介しています。
水分は「移動中から」始める
遠征では、移動中に水分をとらない選手が多くいます。バスや電車でトイレに行きづらいという理由からです。
けれど、体育館に着いてから飲み始めるのでは間に合いません。移動中からこまめに口に含んでおくほうが、練習に入ったときの状態がよくなります。
夏の遠征では、汗をかいた分だけ塩分も出ていきます。水だけで済ませず、スポーツドリンクや塩分を含むものと組み合わせてください。
水分は、のどが渇く前から。移動中から少しずつが基本です。



移動中って、つい遠慮して飲ませそびれちゃうのよね。



出発前に一口だけでも入れておくといいよ。着いてからでは間に合わないからね。
食べ慣れないものは本番前に試さない
遠征先の名物や、初めて買うスポーツ用の食品。気持ちは分かりますが、大事な試合の前日や当日に初めて口にするのは避けたほうが無難です。
体に合うかどうかは、実際に食べてみないと分かりません。試すなら、練習日など影響の小さい日にしてください。
保護者が準備できること・声のかけ方
最後に、送り出す側で準備できることを整理します。すべてを完璧にする必要はありません。ここまで挙げた中で、手が回る範囲で十分です。
持たせるものは「足りない分だけ」
献立表で確認して、足りないものだけを足す。これが荷物を増やさないコツです。5つのうち乳製品と果物が抜けていることが多いので、そのあたりが候補になります。
日持ちのしないものは避けて、常温で置けるもの、個包装のものを選ぶと扱いやすくなります。荷物の全体像は、持ち物リストと合わせて確認しておくと漏れが減ります。
量ではなく「食べられたか」を聞く
合宿から帰ってきたとき、つい「ちゃんと食べた?」と聞きたくなります。ただ、この聞き方だと責められていると受け取る子もいます。
「何がおいしかった?」「食べにくいものあった?」のように、事実を聞く形にすると答えやすくなります。そこで出てきた話が、次の合宿の準備につながります。



つい「残さず食べた?」って聞いちゃってたわ。



気持ちは分かるよ。でも、食べられなかった理由が分かるほうが、次に生きるんだ。
家庭で判断しないほうがいいこと
合宿から帰ったあとに、食欲が戻らない日が続く、体重が急に落ちた、下痢や嘔吐が続くといった場合は、家庭で様子を見るだけにしないでください。医療機関に相談することをおすすめします。
サプリメントで補おうという考え方も、成長期の選手には慎重になったほうがよい部分です。食事でとることが基本という前提は崩さず、心配なことがあれば医師や管理栄養士に相談してください。
保護者ができる食事サポート全体は、こちらでまとめています。
よくある質問
まとめ:合宿の食事は、行く前に決めておくほど楽になる
合宿・遠征の食事は、現地で頑張るものではありません。行く前にどこまで決めておけるかで、ほとんどが決まります。
献立を確認する。足りない分を持たせる。主食を切らさない。
| 場面 | やること | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 出発前 | 献立表を確認し、足りない分だけ持たせる | 荷物を増やしすぎる・何も確認しない |
| 移動中 | こまめに水分をとる・軽く補食を入れる | トイレを気にして飲まない |
| 宿の食事 | 5つそろえる・主食を先に食べ切る | おかずで満腹にしてごはんを残す |
| 練習の合間 | 補食で空白を埋める | 次の食事まで空腹で待つ |
| 帰宅後 | 食べられた物・食べにくかった物を聞く | 「ちゃんと食べた?」だけで終わらせる |
私は元日本代表として、そして指導者として、合宿は技術より先に「生活の力」が試される場だと感じています。
決められた量の中で自分に必要な分を確保できる選手は、コートの上でも自分で判断できます。食事の準備は、その力を育てる練習でもあります。



次の合宿は、ごはんから食べる!



いいね。それだけで、午後の練習がぜんぜん違ってくるよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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