- 「足首のバネを使え」と言われるけれど、何のことか分からない
- 接地が長くて、跳ぶまでにもたついている気がする
- 足首のバネは、どうやったら鍛えられるのか知りたい
こんな悩みを解決します。
足首のバネとは、床についた瞬間に足首がつぶれすぎず、すぐに跳ね返せる「硬さ」のことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
足首のバネは、研究の世界では「スティフネス(硬さ)」という言葉で調べられています。
この記事では、海外や国内の研究をもとに、足首のバネがジャンプを変える仕組みと、バネをきたえる考え方を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- 足首のバネ(スティフネス)が何を指すのかが分かる
- 足首のバネがジャンプの高さや速さに関わる理由が分かる
- バネをきたえる練習の考え方と、やりすぎの注意点が分かる
結論:足首のバネは「つぶれずに跳ね返す硬さ」
結論からお伝えします。足首のバネとは、着地や踏み切りで床についた瞬間に、足首が深くつぶれすぎず、すぐに跳ね返せる性質のことです。
ボールで考えると分かりやすいでしょう。空気がしっかり入ったボールは床で少しだけつぶれて、すぐに高く跳ね返ります。空気が抜けたボールは大きくつぶれて、跳ね返りも弱くなります。
サルくん足首にも、空気の入り具合みたいなものがあるんですか?
人の脚も同じように、床についたときに「どれくらいつぶれるか」が人によって、また跳び方によって変わります。このつぶれにくさを、研究では「スティフネス(硬さ)」と呼んでいます。
- 脚全体のバネの硬さは、おもに足首で調整されている
- バネの正体は、ふくらはぎの筋肉とアキレス腱の協力
- 硬ければ硬いほど良いわけではなく、ちょうどよい硬さがある



「バネ」は才能の言葉じゃなくて、体の仕組みの話なんだ。
脚のバネの硬さは足首でほぼ決まる
まずは、脚全体のバネと足首の関係です。
その場で高く跳ぶと脚のバネは約2倍硬くなる
Farley と Morgenroth の研究(1999年・バイオメカニクスの国際誌)では、5人の参加者に、その場で一定のリズムで跳び続けてもらいました。
自分の好きな高さで跳ぶときと、できるだけ高く跳ぶときをくらべたところ、できるだけ高く跳ぶときは、脚全体のバネがおよそ2倍硬くなっていたと報告されています。
高く跳ぼうとすると、人は自然と脚のバネを硬くして、床からの跳ね返りを強くしているわけです。



タカク トブト バネハ ヤク2バイ カタクナル
足首を硬くすると脚全体も硬くなる
同じ研究では、足首は約1.9倍、膝は約1.7倍硬くなっていました。
そこで研究チームは、体をいくつかの部分に分けたコンピューターの模型で、どちらの変化が脚全体に効いているのかを調べています。
その結果、足首の硬さを1.9倍にすると脚全体のバネは約2倍に、膝を1.7倍にしてもほとんど変わらなかったそうです。
研究チームは、脚のバネの調整はおもに足首が担っていると結論づけています。
ただし、これはその場で小さく跳び続ける動きを調べた研究です。深くしゃがむスパイクの踏み切りでは、膝や股関節の役割も大きくなる点は覚えておきましょう。



膝じゃなくて、足首がバネの調整役だったんですね!
足首のバネの正体はふくらはぎとアキレス腱
では、足首のバネは体のどこで生まれているのでしょうか。主役は、ふくらはぎの筋肉と、かかとにつながるアキレス腱です。
筋肉は踏ん張り役で腱がのび縮みする
Kawakami らの研究(2002年・生理学の国際誌)では、足首を曲げ伸ばしする動きの最中に、ふくらはぎの筋肉の中の線維がどう動くかを、超音波の画像で調べました。
反動をつけて足首を伸ばす動きでは、筋肉の線維はほとんど長さを変えずに踏ん張り、そのあいだにアキレス腱などの腱がのびていたと報告されています。
のびた腱は、そのあと縮むときにエネルギーを返していました。
研究チームは、反動を使った動きでは、エネルギーをためて返す役目を腱にまかせ、筋肉はほぼ同じ長さで力を出していると結論づけています。



筋肉がしっかり踏ん張るから、腱がバネとして働けるんだよ。
バネの硬さは筋肉の踏ん張り方で変わる
ここで大事なのは、腱そのものの硬さだけでバネが決まるわけではない点です。
床についた瞬間に、ふくらはぎの筋肉が準備できていないと、足首がグシャッとつぶれて、腱をうまくのばせません。
床につく前から筋肉が準備できていれば、足首はつぶれすぎず、腱をしっかりのばせます。
つまり足首のバネは、「腱」と「筋肉の踏ん張り」の組み合わせで決まると考えるとよいでしょう。反動とバネの仕組みは、こちらの記事でもくわしく紹介しています。
足首のバネがバレーのジャンプに効く理由
ここからは、バレーのプレーとのつながりを見ていきます。
短い接地で速く跳べる
足首のバネがあると、床についている時間を短くしたまま、強く跳ね返れます。この「短い時間でどれだけ高く跳べるか」を表す数字が、反発力の指標(RSI)です。
RSIは、台から降りてすぐ跳ぶジャンプの高さを、床についていた時間で割って計算します。高く跳んで、接地が短いほど数字が大きくなります。
Pleša らの研究(2022年・科学の総合誌)では、男子バレー選手40人を調べています。
その結果、反発力の指標と、スパイクの助走をつけたジャンプの高さには、中くらいから強い関係があったと報告されています。



セッチガ ミジカク タカク トベル=バネガ アル
ブロックや連続ジャンプで差が出る
バレーでは、ブロックで横に動いてすぐ跳ぶ、着地してすぐ次のプレーに移るなど、ゆっくり沈み込む時間がない場面がたくさんあります。
そうした場面では、深くしゃがむ時間がとれません。足首のバネで、短い接地のまま跳べるかどうかが大切になります。
ただし、先ほどの研究で、助走ジャンプといちばん関係が強かったのは、反動をつけた両足ジャンプの指標でした。
足首のバネだけでスパイクの高さが決まるわけではなく、脚全体の力とバネの両方がそろってこそ高く跳べると考えてください。



力とバネ、どっちか片方だけじゃダメなんですね!
足首のバネはトレーニングで変えられる
足首のバネは、生まれつきだけで決まるものではありません。研究では、トレーニングで変わることが報告されています。
跳ぶ練習で足首の硬さが上がった
Kubo らの研究(2007年・スポーツ医学の国際誌)では、10人の参加者が12週間、ふくらはぎのトレーニングを行いました。片方の脚は跳ぶ練習、もう片方の脚は重りを使う筋トレです。
その結果、跳ぶ練習をした脚は足首のバネの硬さが上がり、筋トレをした脚は腱そのものが硬くなったと報告されています。
ジャンプの高さは、跳ぶ練習をした脚のほうが大きく伸びていました。
研究チームは、跳ぶ練習でジャンプが伸びたのは、筋肉と腱の性質が変わったためだと考えています。
ただ、この研究は足首だけを使う特別な機械で、大人を対象に行われたものです。そのまま中高生の練習量に当てはめないようにしましょう。



跳ぶ練習と筋トレは、それぞれちがう形でバネに効くんだ。
バネを生かす練習の考え方
足首のバネを生かすには、次の3つを意識して練習を組み立てるのがおすすめです。
- 床についている時間を短くして、弾むように跳ぶ
- かかとをべったりつけず、つま先側で床をとらえる
- 回数を少なくして、1回ごとに質の高いジャンプをする
たとえば、膝をあまり曲げずに足首だけでポンポンとその場で弾む「ポゴジャンプ」や、縄跳び、ケンケンなどは、短い接地で跳ね返る感覚をつかみやすい練習です。
こうした跳ぶ練習はプライオメトリクスの一つなので、週1〜2回、1回ごとに全力で、少ない回数がこのサイトの目安です。
接地が長くなってきたり、着地の音が大きくなってきたりしたら、その日は終わりにしてください。



回数より、1回の弾み方を大事にします!
ふくらはぎの筋肉そのものをきたえたい場合は、カーフレイズなどの筋トレも役に立ちます。種目のやり方は、こちらの記事を参考にしてください。
弾めているかを確かめる3つのサイン
足首のバネを使えているかどうかは、特別な機械がなくても、ある程度は自分で確かめられます。練習のときに、次の3つを見てみてください。
- 着地の音が「ドスン」ではなく「トン」と小さい
- かかとが床にべったりつかず、つま先側で弾んでいる
- 跳ぶリズムが一定で、だんだん遅くなっていかない
着地の音が大きいときは、床についた瞬間に足首がつぶれて、衝撃を受け止めきれていないことが多いです。かかとがべったりつく場合も、足首が深く曲がりすぎて、跳ね返るまでに時間がかかっています。
また、最初はよく弾めていても、回数が増えるにつれてリズムが遅くなることがあります。これは疲れて、ふくらはぎの踏ん張りが弱くなってきたサインと考えられます。



音とリズムで、バネが使えているか分かるんですね!



音が大きくなってきたら、その日の跳ぶ練習はおしまいにしよう。
仲間にスマホのスロー撮影で足元を撮ってもらうと、かかとがついているかどうかもチェックしやすくなります。
硬すぎても柔らかすぎてもけがにつながる
足首のバネは、硬ければ硬いほど良いわけではありません。最後に、注意しておきたい点を整理します。
ちょうどよい硬さがある
Butler らのまとめ(2003年・臨床バイオメカニクスの専門誌)によると、脚のバネが硬いことはパフォーマンスに有利だと考えられています。
一方で、硬すぎても柔らかすぎても、けがのリスクが高まるかもしれないとされています。
硬すぎると骨のけが、柔らかすぎると筋肉や腱などのけがと関係する可能性がある、という報告もあるそうです。
ただし、このまとめでも、けがとの関係はまだはっきりしておらず、さらに調べる必要があるとされています。



カタケレバ イイ ワケデハナイ
「足首が硬い」とは別の話
よく混同されるのが、「足首が硬い(よく曲がらない)」という悩みです。これは足首がどこまで曲がるかという動く範囲の話で、この記事のバネの硬さとは別のものです。
足首がよく曲がらないと、しゃがむ姿勢や着地で膝に負担がかかりやすくなります。バネの硬さは跳ぶ練習で、曲がる範囲はストレッチでと、分けて考えましょう。
アキレス腱やかかとが痛いときは休む
足首のバネを使う練習は、ふくらはぎやアキレス腱、かかとに負担がかかります。跳ぶ練習のあとにアキレス腱やかかと、すねが痛む場合は、無理に続けないでください。
痛みが続くときは練習を休んで、整形外科で診てもらいましょう。成長期の選手は特に、かかとの骨に負担がかかりやすい時期があります。



痛くてもがまんして跳ぶのは、逆効果なんですね…。



痛みは体からの合図だよ。休むのも練習のうちなんだ。
よくある質問
まとめ:足首のバネは短い接地で跳ね返る力
この記事では、足首のバネ(スティフネス)がジャンプを変える仕組みを、研究をもとに解説しました。
足首のバネは、ふくらはぎの筋肉が踏ん張り、アキレス腱がのび縮みして生まれる。
| テーマ | 研究で分かっていること |
|---|---|
| 脚のバネ | 高く跳ぶと約2倍硬くなり、調整はおもに足首 |
| バネの正体 | 筋肉はほぼ同じ長さで踏ん張り、腱がのび縮みする |
| きたえ方 | 跳ぶ練習で足首のバネの硬さが上がった |
| 注意点 | 硬すぎても柔らかすぎても、けがにつながるおそれ |
私は元日本代表として、足首のバネは「速く跳ぶための力」であり、スクワットで作る脚の力と組み合わせてこそ生きるものだと考えています。
まずは次の練習で、その場で軽く弾むジャンプをしてみて、床についている時間が短く、音が静かに跳べているかを確かめてみてください。



次の練習で、静かに弾めるか試してみます!



バネの仕組みが分かれば、跳ぶ練習の質が変わってくるよ。
参考にした研究・資料
- Farley CT, Morgenroth DC. Leg stiffness primarily depends on ankle stiffness during human hopping. Journal of Biomechanics, 1999
- Kawakami Y, Muraoka T, Ito S, Kanehisa H, Fukunaga T. In vivo muscle fibre behaviour during counter-movement exercise in humans reveals a significant role for tendon elasticity. Journal of Physiology, 2002
- Pleša J, Kozinc Ž, Smajla D, Šarabon N. The association between reactive strength index and reactive strength index modified with approach jump performance. PLoS ONE, 2022
- Kubo K, et al. Effects of plyometric and weight training on muscle-tendon complex and jump performance. Medicine & Science in Sports & Exercise, 2007
- Butler RJ, Crowell HP, Davis IM. Lower extremity stiffness: implications for performance and injury. Clinical Biomechanics, 2003
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










