- スパイクではそこそこ跳べるのに、ブロックになると高さが出ない
- スパイクジャンプとブロックジャンプで、跳び方の何がちがうのか知りたい
- 2つのジャンプを、それぞれどうやって伸ばせばいいのか分からない
こんな悩みを解決します。
スパイクジャンプは助走で高さを出すジャンプ、ブロックジャンプは短い時間で壁を作るジャンプです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
同じ「跳ぶ」動きでも、スパイクとブロックでは、跳ぶ目的も使える時間もちがいます。そのため、跳べる高さにも大きな差が出ます。
この記事では、海外の研究をもとに、2つのジャンプの違いと、それぞれの高さを伸ばす考え方を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- スパイクジャンプとブロックジャンプで、跳べる高さがどれくらい違うのかが分かる
- 助走・腕の使い方・タイミングの3つの違いが分かる
- それぞれのジャンプを高くするための練習の考え方が分かる
結論:スパイクは高さ勝負・ブロックは時間との勝負
結論からお伝えします。スパイクジャンプは「助走を使ってどれだけ高く跳ぶか」、ブロックジャンプは「限られた時間でどれだけ早く壁を作るか」が勝負です。
スパイクは、トスが上がってから助走をとり、いちばん高い位置でボールを打つジャンプです。ブロックは、相手のトスや攻撃に合わせて、その場や短い移動から跳ぶジャンプです。
サルくん同じジャンプなのに、そんなに中身がちがうんですか?
- 助走:スパイクは3〜4歩の助走、ブロックはその場か短い横移動
- 腕:スパイクは大きく振り上げる、ブロックは脇を締めてコンパクトに
- 目的:スパイクは最高点で打つ、ブロックは相手が打つ瞬間に壁を完成させる
この違いがあるので、ブロックジャンプはスパイクジャンプほど高くは跳べません。どれくらい差があるのかを、研究から見ていきましょう。
跳べる高さはスパイクジャンプが20cm以上高い
まずは、同じ選手がスパイクジャンプとブロックジャンプを跳んだときに、高さがどれくらい違うのかです。
プロリーグの選手で約20cmの差
Buśko らの研究(2014年・ポーランドの健康科学の専門誌)では、ポーランドのプロリーグでプレーする男子選手29人の跳ぶ高さを測りました。
その結果、ブロックジャンプは平均61.5cm、スパイクジャンプは平均81.1cmと報告されています。
差はおよそ20cmです。プロのレベルでも、ブロックジャンプはスパイクジャンプより、かなり低くなっていることが分かります。



ブロックハ スパイクヨリ ヤク20センチ ヒクイ
17歳前後の選手では約25cmの差
同じ研究チームの別の研究(2015年・ポーランドの教育と健康の専門誌)では、平均17歳の男子選手16人を調べています。
こちらでは、ブロックジャンプが平均47.6cm、スパイクジャンプが平均72.4cmでした。差はおよそ25cmです。
どちらの研究も、チームでよく使われる測り方での数字です。測り方が変わると数字も変わります。
そのため、「ブロックジャンプはスパイクジャンプより20cm以上低くなることが多い」という目安として受け取ってください。



ブロックで跳べないのは、自分だけじゃなかったんですね!



差があるのは当たり前なんだ。大事なのは、その理由を知って、それぞれを伸ばすことだよ。
スパイクジャンプとブロックジャンプの3つの違い
では、なぜここまで高さに差が出るのでしょうか。理由は大きく3つあります。
①助走の長さがちがう
1つ目は、助走の長さです。スパイクでは、3歩や4歩の助走をとって、その勢いを真上へのジャンプに変えます。
ブロックでは、ネットの前でほぼその場から跳ぶか、サイドステップやクロスオーバーステップで横に動いてから跳びます。前へ走る長い助走は使えません。
助走の勢いを使えるぶん、スパイクジャンプのほうが高く跳びやすくなります。助走のスピードと高さの関係は、こちらの記事でくわしく紹介しています。
②腕の振り方がちがう
2つ目は、腕の使い方です。スパイクでは、腕を大きく後ろに引いてから振り上げ、その勢いでジャンプを助けます。
一方、ブロックでは、脇を締めて、肘が体の前を通るようにコンパクトに振り上げるのが基本です。肘の移動を最短にすることで、ブロックの手の形をいちばん早く作れます。
腕を大きく振らないぶん、ブロックジャンプは高さの面では少し不利になります。そのかわり、手をネットの上に出すまでが速くなるのです。



腕を大きく振ったほうが、高く跳べそうなのに…。



高さだけならそうだね。でもブロックは、高さより「間に合うこと」が先なんだ。
③跳ぶ目的とタイミングがちがう
3つ目は、跳ぶ目的です。スパイクは、自分のジャンプのいちばん高いところでボールを打つことが目的です。
ブロックは、相手がボールを打つ瞬間に、ネットの上で壁が完成していることが目的です。相手の打点の高さをイメージして、打たれたボールがネットの上を通るタイミングに合わせて跳びます。
ルールにも関わってきます。
競技規則では、相手がアタックを打つより前に、相手側の空間でボールに触れると反則になります。早く跳べばよいわけではなく、相手の攻撃に合わせて跳ぶ必要があるのです。
さらに相手は、打つタイミングを早めたり遅らせたりできます。だからこそ、ブロックでは手を完成させたあと、できるだけ長くネットの上に残しておくことも大切です。



スパイク=ジブンノタイミング ブロック=アイテノタイミング
ブロックでも腕を振ると高く跳べる
ブロックでは腕をコンパクトに使うのが基本ですが、腕を大きく振り上げて跳ぶ「スイングブロック」という方法もあります。研究では、この2つのちがいも調べられています。
スイングブロックは約6cm高かった
Ficklin らの研究(2014年・スポーツ科学と医学の国際誌)では、アメリカの大学女子選手9人に、手を肩の前に置いたまま跳ぶブロックと、腕を振り上げて跳ぶスイングブロックをしてもらいました。
その結果、跳んだ高さはスイングブロックが平均38cm、手を前に置いたブロックが平均32cmと報告されています。
ネットの上に手を出していた時間も、スイングブロックのほうが長くなっていました。
Neves らの研究(2011年・同じ国際誌)でも、スイングブロックがいちばん高く跳べていたと報告されています。



腕を振るだけで、6cmも変わるんですね!
使える場面が限られる
ただし、Ficklin らは、スイングブロックはタイミングがずれやすく、手に当たったボールがあらぬ方向へ飛ぶおそれもあると注意しています。
跳ぶ高さだけで、どちらがよいかを決めないようにすすめています。
腕を振るぶん、手をネットの上に出すまでに時間がかかります。
そのため、相手の二段トスなど時間に余裕がある場面ではスイングブロック、速い攻撃にはコンパクトな腕の使い方と、場面で使い分けるのがおすすめです。



ハヤイコウゲキニ スイングハ マニアワナイ
スパイクジャンプを高くするポイント
ここからは、それぞれのジャンプを高くするポイントを見ていきます。まずはスパイクジャンプです。
最後の1歩を速くして勢いを作る
スパイクの助走は、最初の1歩はゆっくり、最後の1歩を速くするのが基本です。最初から全力で走ると、ボールを追い越してかぶる原因になります。
最後の1歩で生まれた勢いが、そのまま高さの元になります。等速で走らず、だんだん速くしていくリズムを身につけましょう。



最初から全力で走らないほうが、高く跳べるんですね!
踏み切りで勢いを止めずに真上へ変える
踏み切りでは、助走の勢いをブレーキで止めるのではなく、真上への勢いに変えることがポイントです。右利きなら右足→左足の順に、ほぼ同時に両足で踏み切ります。
左足のつま先をやや右に向けて軸を作り、太ももの外側とお尻の筋肉を使って跳び上がりましょう。左利きの人は左右を逆にしてください。



止めるんじゃなくて、上に「変える」。これがスパイクの踏み切りだよ。
ブロックジャンプを高くするポイント
次は、ブロックジャンプです。助走がない中で高さを出すには、いくつかのコツがあります。
棒立ちで跳ばず1歩踏み込んで沈む
その場で跳ぶときに、足をそろえたまま腕の力だけで跳ぼうとすると、反動が使えずに高さが出ません。
その場で1歩だけ踏み込み、ひざと股関節を曲げてスッと沈んでから跳ぶと、反動を使って高く跳べます。ただし、沈み込みに時間をかけすぎると、手を出すのが遅れてしまいます。



スッと沈んで、すぐ跳ぶ。このテンポが大事だよ。
つま先を相手コートに向けて真上に跳ぶ
横に動いてから跳ぶときは、つま先を相手コートの方向へまっすぐ向けて跳ぶことが大切です。つま先がまっすぐなら、太ももの外側とお尻の筋肉を使い、横の勢いを上向きに変えられます。
つま先が横を向いていると、体が横に流れて、壁が崩れたり、隣の選手とぶつかったりする原因になります。
着地は跳んだ場所の近くに両足で降りる
ブロックの着地は、跳んだ場所とほぼ同じ位置に、両足で同時に降りるのが理想です。前に流れて降りると、ネットに触れたり、相手の選手の足と重なったりする危険があります。



着地の位置で、まっすぐ跳べたかどうかが分かるんですね。
2つのジャンプに共通する鍛え方
スパイクジャンプとブロックジャンプは、跳び方はちがっても、脚で床を強く速く押すという点は同じです。どちらの高さも、土台となる跳ぶ力を伸ばすことで上がっていきます。
土台はスクワットとプライオメトリクス
跳ぶ力の土台は、スクワットで脚の力をつけ、プライオメトリクスで素早く跳ぶ力をきたえることです。ここに体幹のトレーニングを加えた3本柱が基本になります。
- スクワット:10回前後×2〜3セット・週2〜3回(間に1日休む)
- プライオメトリクス:週1〜2回・1回ごとに全力で少ない回数
- 中学生は自分の体重を使った種目が中心、重い器具は高校から
ブロックは「動いてから跳ぶ」練習を足す
ブロックジャンプは、移動してから跳ぶ場面がほとんどです。
土台のトレーニングに加えて、「横に動く→止まる→真上に跳ぶ」の流れを、ボールとアタッカーを見たまま行う練習を取り入れましょう。
最後の踏み込みから手が完成するまでの時間を、くり返し体に覚えさせることがブロックのタイミング合わせにつながります。



ボールを見たまま横に動く練習、やってみます!
ジャンプの練習は膝への負担も大きいので、回数を増やしすぎないことが大切です。膝やかかとに痛みがあるときは練習を休み、整形外科で診てもらってください。
よくある質問
まとめ:目的のちがいを知って跳び方を使い分ける
この記事では、スパイクジャンプとブロックジャンプの違いを、研究をもとに解説しました。
スパイクは助走と腕振りで高さを出し、ブロックは短い時間で壁を完成させる。
| ジャンプ | 高さを出す工夫 | 大事なこと |
|---|---|---|
| スパイク | 助走と大きな腕振り | 最高点で打つ |
| ブロック | 1歩の踏み込みとコンパクトな腕 | 打たれる瞬間に壁を完成 |
私は元日本代表として、ブロックジャンプは高さだけでなく「間に合うかどうか」で考えるべきジャンプだと考えています。
まずは次の練習で、自分のスパイクジャンプとブロックジャンプの到達点を測って、どれくらい差があるのかを確かめてみてください。



自分の差を知って、ブロックの踏み込みから練習してみます!



2つのジャンプのちがいが分かれば、練習のやり方も変わってくるよ。
参考にした研究・資料
- Buśko K, Szulc A, Kołodziejczyk M. Comparison of the height of jump and maximal power of the lower limbs using coaching and laboratory tests in volleyball players. Journal of Health Sciences, 2014
- Buśko K, Szulc AM, Kamiński M. Height of jump and maximal power output of the lower limbs in volleyball players. Journal of Education, Health and Sport, 2015
- Ficklin T, Lund R, Schipper M. A Comparison of Jump Height, Takeoff Velocities, and Blocking Coverage in the Swing and Traditional Volleyball Blocking Techniques. Journal of Sports Science and Medicine, 2014
- Neves TJ, Johnson WA, Myrer JW, Seeley MK. Comparison of the Traditional, Swing, and Chicken Wing Volleyball Blocking Techniques in NCAA Division I Female Athletes. Journal of Sports Science and Medicine, 2011
- 日本バレーボール協会『6人制競技規則』(ブロック・アタックヒットに関する規定)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










