- 同じ部員の遅刻が続いていて、どう注意すればいいか迷っている
- 強く叱っても直らず、ほかの部員の手前、甘い対応もしにくい
- 遅れてきた部員を練習にどう入れればいいのか、毎回その場で悩んでいる
こんな悩みを解決します。
バレー部の遅刻が多い部員への対応は、その場で罰を与えるのではなく、1対1で理由を聞き、本人と一緒に「遅れない仕組み」をつくることが基本です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
指導者の立場から見ても、遅刻をくり返す部員の多くは、やる気がないのではなく、朝の過ごし方や前の予定など、本人だけでは直しにくい理由をかかえていると感じます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 部員の遅刻が続くおもな理由と、その見分け方が分かる
- 遅刻が多い部員に指導者がやる5つの手順が分かる
- やりがちな失敗と、チーム全体で遅刻を減らす仕組みが分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:罰より「理由を聞く」と「仕組みで防ぐ」
先に結論をお伝えします。遅刻が多い部員に対して、指導者が大切にしたいのは次の3つです。
- その場で責めない:遅れてきた瞬間は、安全に練習へ入れることを優先する
- 理由を聞く:あとで1対1になり、遅れる理由を決めつけずにたずねる
- 仕組みで防ぐ:本人と小さな目標を決め、チームの決まりもあわせて見直す
遅刻が続くと、指導者としてはチームの規律が乱れることが気になります。けれど、遅れてきた瞬間にみんなの前で強く叱っても、多くの場合は次の遅刻を防ぐ力にはなりません。
れおコーチ何度言っても遅れてくる部員がいて、困っています…。



まずは、なぜ遅れるのかを知るところからですよ。
遅刻の理由には、睡眠の乱れや家庭の事情など、指導者が早めに気づくべきものも含まれています。遅刻を「気持ちのゆるみ」と決めつけず、理由に合わせて手を打つことが、いちばんの近道です。
私は、時間を守る力は叱られて身につくものではなく、自分で段取りを考える経験を重ねて身につくものだと考えています。
部員の遅刻が続く4つの理由
遅刻の理由によって、指導者がとるべき対応は変わります。よくある理由を4つに分けて見ていきましょう。
- 朝起きられない・睡眠が足りていない
- 授業や委員会など、前の予定がのびている
- 着がえや移動に、思ったより時間がかかっている
- 部活への気持ちが、少し離れてきている
朝起きられない・睡眠が足りていない
朝練への遅刻が多い部員は、夜ふかしや睡眠不足が続いていることがあります。スマホを見る時間がのびている場合もあれば、塾や家の手伝いで寝る時間がおそくなっている場合もあります。
気をつけたいのは、どれだけ気をつけても朝起きられない状態が続くケースです。体調の問題がかくれていることもあるので、本人を責めるのではなく、保護者と話したうえで医師への相談をすすめてください。



寝坊だと思っていたら、体調のこともあるんですね。
授業や委員会など前の予定がのびている
放課後の練習への遅刻は、本人の気持ちとは関係なく起きていることがあります。補習や委員会、係の仕事、日直の片付けなどがのびて、体育館に着くのがおくれるパターンです。
この場合、本人は「言い訳だと思われたくない」と感じて、理由を話さないことがあります。指導者から先に「前の予定が長引いていない?」とたずねると、話しやすくなるはずです。
着がえや移動に時間がかかっている
教室から体育館までの距離が遠い、更衣室が混んでいる、部室のカギを借りに行く係になっているなど、移動や準備に時間をとられていることもあります。
とくに1年生は、先輩より先に準備を始める決まりがあるチームだと、授業が終わってから集合までの時間がとても短くなります。遅刻が特定の学年に集中しているときは、チームの段取りそのものを見直すサインです。



個人の問題に見えて、じつはチームの段取りが原因のこともあります。
部活への気持ちが離れてきている
人間関係のなやみや、試合に出られない時期が続いたことなどで、部活に向かう足が重くなっている場合もあります。この場合の遅刻は、「部活に来たくない」という気持ちの小さなサインかもしれません。
遅刻にくわえて、表情が暗い、休みが増えてきた、練習中に1人でいることが多いといった変化があれば、早めに1対1で話す時間をつくりましょう。
遅刻が多い部員に指導者がやる5つの手順
ここからは、遅刻が多い部員に対して、指導者が実際にやる手順を5つ紹介します。上から順番に進めていくのがおすすめです。
①遅れてきた場面では責めずに練習へ入れる
遅れてきた部員には、まず「来たね。アップをしてから入ろう」と短く声をかけ、けがをしない形で練習に入れましょう。
遅刻のことをその場で長く問いつめると、練習がとまり、ほかの部員の時間までうばってしまいます。
とくに気をつけたいのが、体があたたまっていない状態で、いきなりスパイクやブロックの練習に入らせることです。遅れた分の準備運動は、本人に必ずやってもらいます。



まずは安全に入れることを、先に考えるんですね!
②あとで1対1になり遅れる理由を聞く
遅刻の話は、練習が終わったあとなど、ほかの部員がいない場面で1対1で聞きましょう。時間は5分ほどで十分です。
「最近、遅れる日が続いているけど、何かあった?」と、責める言葉ではなく、様子をたずねる言葉から始めます。本人が理由を話してくれたら、途中で口をはさまず、最後まで聞くことを大切にしてください。
「なんで遅れるんだ」ではなく「何かあった?」とたずねるだけで、部員は本当の理由を話しやすくなります。
③本人と一緒に小さな目標を1つ決める
理由が分かったら、「明日から絶対に遅れない」ではなく、本人が守れそうな小さな目標を1つだけ一緒に決めましょう。
たとえば、朝起きられない部員なら「夜はスマホを部屋の外に置く」、移動に時間がかかる部員なら「6時間目のあとは教室で着がえを先にすませる」といった形です。
目標は指導者が決めるのではなく、本人に「何ならできそう?」と考えてもらうのがポイントになります。
1週間ほどたったら、もう一度短く声をかけて、目標が守れているかを一緒にふり返りましょう。守れていたら「続いているね」と認め、守れていなければ、目標そのものを見直します。



自分で決めた目標のほうが、ずっと続きやすいですよ。
④チームの決まりと連絡の方法を確認する
遅刻が1人に続いているときは、チームの決まりがあいまいになっていないかも確認しましょう。「何時までに来れば遅刻なのか」「遅れるときは誰に、どう伝えるのか」が決まっていないと、部員は迷ってしまいます。
- 集合時間と、練習を始める時間
- 遅れるときに連絡する相手と方法
- 遅れて来たときの、練習への入り方
決まりは、指導者が一方的に決めるより、ミーティングで部員と話し合って決めたほうが守られやすくなります。決め方の手順は、次の記事でくわしく紹介しています。
⑤続くときは担任や保護者と連携する
本人と話しても遅刻が続く場合や、体調・家庭の事情がかかわっていそうな場合は、指導者1人でかかえこまず、担任の先生や保護者と連携しましょう。
保護者に連絡するときは、「遅刻が多くて困っています」ではなく、「朝の様子で気になることはありませんか」と、一緒に考える形で相談するのがおすすめです。
連絡の範囲や方法は、学校の決まりに沿って進めてください。



1人でかかえこまず、まわりの大人と一緒に考えます!
遅刻への対応でやりがちな3つの失敗
よかれと思ってした対応が、かえって遅刻を増やしたり、部員の気持ちを離れさせたりすることもあります。避けたい失敗を3つ見ていきましょう。
失敗1:罰として走らせる・みんなの前で叱る
「遅刻したら体育館を10周」「全員の前で理由を言わせる」といった対応は、昔からよく見られます。けれど、罰として体に負担をかけることは、けがや体調不良につながるおそれがあります。
また、みんなの前で叱られた部員は、「遅れるくらいなら休もう」と考えるようになることもあります。スポーツ庁が示している部活動のガイドラインでも、体罰やハラスメントをなくすことが求められています。



罰で走らせるのは、けがのもとにもなりますよ。
失敗2:連帯責任でチーム全員に罰を与える
1人の遅刻を理由に、チーム全員を走らせたり、練習を中止にしたりする方法です。一見、チームの規律を守るように見えますが、ほかの部員の不満が遅刻した部員に向かい、人間関係のトラブルを生みやすくなります。
遅刻は、あくまで本人とのあいだで向き合う問題です。チームの決まりは全員で守り、遅刻への対応は本人と1対1で行うと分けて考えましょう。



全員で走らせたことがあって、空気が悪くなりました…。
失敗3:理由を聞かずに試合のメンバーから外す
「遅刻が多いから、次の試合には出さない」と、理由を聞く前に決めてしまう失敗です。遅刻の理由が前の予定や体調だった場合、部員は「話を聞いてもらえなかった」と感じ、指導者への信頼を失ってしまいます。
メンバーの決め方は、チームで決めている基準に沿って考えるのが基本です。遅刻を理由にするのであれば、事前に決まりとして全員に伝えておき、そのうえで本人と話し合う順番を守りましょう。



決める前に、まず話を聞く順番を守りましょう。
チーム全体で遅刻を減らす3つの仕組み
1人ひとりへの声かけとあわせて、チーム全体の仕組みを整えておくと、遅刻そのものが起きにくくなります。すぐに取り入れやすい3つを紹介します。



個人への声かけと、チームの仕組みは分けて考えるんですね。
| 仕組み | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 時間を分ける | 集合時間と練習開始の時間を別に決める | 少しの遅れで練習がとまらない |
| 連絡を決める | 遅れるときの連絡先と方法をそろえる | 無断の遅刻をなくす |
| 入り方を決める | 遅れて来たときのアップの手順を決める | けがを防ぎ、指導者が毎回迷わない |
集合時間と練習を始める時間を分ける
「練習は16時から」とだけ決めていると、1分の遅れでも練習の流れがとまってしまいます。「16時までに集合、16時10分からアップ開始」のように、集合と開始のあいだに少し余裕をもたせましょう。
余裕の時間には、着がえや準備、その日の練習内容の確認などをあてられます。1年生の準備の負担が大きいチームは、準備を学年で分担するなど、段取りもあわせて見直してください。



10分の余裕があるだけで、練習の始まりが落ち着きそうです!
遅れるときの連絡の方法をそろえる
遅れるときに「誰に」「どうやって」伝えるのかを、全員が同じ形でできるようにしておきましょう。キャプテンに伝える、学校で決められた連絡の方法を使うなど、チームと学校の決まりに合わせて決めます。
連絡の方法が決まっていると、無断での遅刻が減るだけでなく、指導者も「今日は委員会で遅れる」と先に分かるので、練習の組み立てがしやすくなります。



先に分かっている遅刻は、ただの予定になりますよ。
遅れて来たときの入り方を決めておく
遅れて来た部員が、どこで準備運動をして、いつ練習に合流するのかを、あらかじめ決めておきましょう。「コートの外で10分アップしてから、キャプテンに声をかけて合流する」といった形です。
入り方が決まっていれば、指導者が毎回その場で判断する必要がなくなり、遅れて来た部員も気まずい思いをせずに練習へ入れます。練習の空気を保つ工夫は、次の記事も参考にしてみてください。
よくある質問
まとめ:遅刻には「聞く・決める・仕組みにする」
バレー部の遅刻が多い部員への対応は、その場で罰を与えるのではなく、1対1で理由を聞き、本人と一緒に小さな目標を決め、チームの仕組みで遅刻を防ぐことが中心になります。
遅刻を叱って終わりにせず、遅れない段取りを本人と一緒につくることが大切です。
| 手順 | 指導者がすること |
|---|---|
| 責めずに入れる | 遅れた場面では、アップをさせて安全に合流させる |
| 理由を聞く | 練習のあとに1対1で、様子をたずねる |
| 目標を決める | 本人が守れそうな小さな目標を1つ決める |
| 決まりを確認する | 集合時間・連絡の方法・入り方をそろえる |
| 連携する | 続くときは担任や保護者と一緒に考える |
遅刻が続くと、指導者はつい厳しい対応をとりたくなるかもしれません。けれど、時間を守る力は、自分で段取りを考えて、守れた経験を重ねるなかで少しずつ身についていきます。
まずは次の練習のあと、遅れがちな部員に「最近どう?」と一言かけるところから始めてみてください。



今日の練習のあと、5分だけ話してみます!



その5分が、遅れない毎日のきっかけになりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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