- 異動が決まったが、バレー部の何を次の顧問に伝えればいいか分からない
- 大会の申し込みや部費の管理を、自分ひとりで抱えてきた
- 残していく選手たちが、新しい顧問のもとで困らないか心配
こんな悩みを解決します。
バレー部顧問の引き継ぎは、書類・お金・連絡先・用具・練習の5つを1冊のファイルにまとめて、次の顧問と選手の両方に手渡すことがいちばん確実です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
指導者の立場から見ても、チームの力は指導者が替わる春にいちばん揺れやすいと感じます。引き継ぎがていねいに行われていれば、選手は新しい顧問のもとでも同じ気持ちで練習を続けられます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 異動の前に残しておく5つの項目と、その書き方が分かる
- 内示から離任までの短い期間で、引き継ぎを終える順番が分かる
- 引き継ぎでやりがちな失敗と、次の顧問に確実に渡す方法が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:引き継ぎは5つの項目を1冊にまとめて渡す
先に結論をお伝えします。異動が決まった顧問が残すものは、次の5つです。
- 大会・登録の書類と、1年間の予定
- 部費の会計ノートと、いまの残高
- 保護者や外部の連絡先と、連絡の順番
- 用具の数と、置いてある場所
- 練習の型と、選手一人ひとりへの配慮
この5つは、どれも顧問が1人でもっていることが多い情報です。頭の中や自分のパソコンの中にだけある状態で学校を離れると、次の顧問は4月から手探りで部を動かすことになります。
れおコーチ急に異動が決まって、何から書けばいいのか…。



まずは5つの見出しだけ、紙に書き出してみましょう。
大切なのは、完璧な資料をつくることではありません。次の顧問が「これを見れば4月を乗り切れる」と思える1冊を残すことが目的です。
細かい言い回しや見た目にこだわる必要はないので、箇条書きのメモでもかまいません。書いてある場所が1か所にまとまっていれば、受けとった側はそこから必要な情報を探せます。
顧問の引き継ぎが大切な3つの理由
引き継ぎは、学校を離れる忙しい時期に重なるため、どうしても後回しになりがちです。けれど、ここで手を抜くと困るのは残される選手たちになります。
ここでは、引き継ぎに時間を使うべき理由を3つに分けて見ていきます。
4月はすぐに大会や登録の手続きが始まる
新年度が始まると、チームの登録や春の大会の申し込みなど、期限のある手続きが続きます。地域や学校の種類によって時期は違いますが、新しい顧問が学校に慣れる前に締め切りが来ることも少なくありません。
どの書類を、いつまでに、どこへ出すのかが分かっていれば、新しい顧問は期限に間に合わせることができます。反対に、それが分からないまま締め切りを過ぎると、選手が大会に出られなくなるおそれもあります。
選手が同じ説明を何度もしなくて済む
引き継ぎがないと、新しい顧問は練習の流れや部の決まりを選手に一つずつ聞いて確かめるしかありません。キャプテンや上級生がその説明役を担うことになり、練習に集中できない時期が続いてしまいます。
顧問が替わるだけでも、選手は少なからず緊張しているものです。そのうえ説明の負担まで背負わせないよう、大人どうしで伝え合えることは先に伝えておきましょう。



新しい先生に、毎日同じことを聞かれていました…。
お金や個人情報のトラブルを防げる
部費の残高や集金の記録があいまいなまま引き継がれると、あとから「計算が合わない」という話になりかねません。お金の話は、保護者との信頼に直結します。
また、選手や保護者の連絡先、ケガや体調に関する情報は、学校として慎重に扱う必要がある個人情報です。引き継ぎの形を学校の決まりに合わせておくことで、うっかりした情報の持ち出しも防げます。
引き継ぎは、次の顧問のためだけでなく、選手と保護者を守るための仕事です。



選手を守る仕事だと思うと、後回しにできませんね!
異動が決まったら残す5つのこと
ここからは、5つの項目それぞれで、何をどこまで書いておけばいいのかを具体的に紹介します。すべてを1日で書こうとせず、1日1項目のペースで進めると負担が小さくなります。
①大会・登録の書類と1年間の予定
最初にまとめたいのは、期限のある手続きです。前の年度に出した大会の申込書やチーム登録の控えがあれば、それをそのままファイルにとじておくのがいちばん早い方法です。
あわせて、1年間の大会や練習試合の予定を月ごとに書き出しておきましょう。
「4月:地区の春季大会の申し込み」「6月:夏の大会」のように、月と行事名が並んでいるだけで、次の顧問は先の見通しを立てやすくなるでしょう。
- 大会の申込書・要項の控えと、提出先
- チーム登録の手続きの流れと、使っていたアカウントの管理方法
- 月ごとの大会・練習試合の予定表
- 審判や運営の当番など、チームに割り当てられている役割
チーム登録の手続きは年度ごとに必要になるため、日本バレーボール協会(JVA)の公式サイトでも最新の案内を確認しておくように書き添えておくと安心です。
登録に使っていたIDやパスワードは紙に書いて置いていくのではなく、学校の管理方法に沿って管理職に預ける形にしてください。
②部費の会計ノートと残高
お金の引き継ぎは、あいまいさを残さないことがすべてです。会計ノートや帳簿、領収書のとじ込みをそろえて、異動の前の時点での残高をはっきり書いておきましょう。
できれば、保護者会の会計担当の方や、学校の事務の方と一緒に残高を確かめておくと、あとで数字の食い違いが起きにくくなります。集金の時期や金額、何に使ってきたかの内訳もあわせて残してください。



残高を誰かと一緒に確認するのは、考えていませんでした!



2人で見ておけば、あとで誰も困りません。
③保護者や外部の連絡先と連絡の順番
バレー部の運営には、保護者会の役員、外部のコーチ、練習試合の相手校、地域の連盟など、多くの人が関わっています。誰に何を相談してきたのかを、役割ごとに書き出しておきましょう。
ここで大事なのは、連絡先そのものより「どの順番で、誰に伝えてきたか」という流れです。
たとえば、練習試合の日程が決まったら保護者会の役員に伝え、そこから全体へ回す、といった手順が分かれば、新しい顧問も同じ形で連絡できます。
個人の電話番号やメールアドレスを書くかどうかは、学校の個人情報の決まりに従ってください。



保護者の電話番号を、そのまま書いていいのか迷っていました…。
直接書けない場合は「保護者会の連絡網は役員の〇〇さんが管理」のように、情報がどこにあるかだけを残す方法もあります。
④用具の数と置いてある場所
ボールの数、ボールカゴ、ネット、支柱、得点板、救急セットなど、部の用具を一覧にしておきます。倉庫のどこに何があるかを書いておくだけで、新しい顧問が最初の練習で探し回る時間がなくなります。
体育館の設備は学校ごとに違い、ネットの張り方や支柱の出し方にもそれぞれのやり方があります。
クランク(巻き取りハンドル)の置き場所や、ネットを張るときに気をつけていることも一言添えておくと、ケガの防止にもつながります。



倉庫の奥の古いボールも、数に入れるべきでしょうか?



使えるものと処分待ちのものを、分けて書いておきましょう。
⑤練習の型と選手一人ひとりへの配慮
最後に、1週間の練習の流れと、部で大切にしてきた決まりを書き残します。曜日ごとの練習の中身や、ウォーミングアップの順番、休養日の決め方などが分かれば、選手はいつもの流れのまま新年度を迎えられます。
選手一人ひとりについては、ケガの経過や体調面で気をつけていることを中心に、学校の決まりの範囲で伝えましょう。
プレーの評価や性格の決めつけを書くと、新しい顧問が選手を先入観で見てしまうおそれがあるので、事実と配慮が必要な点にとどめるのがおすすめです。
選手の情報は「評価」ではなく「配慮してほしいこと」として残してください。
引き継ぎのスケジュール|内示から離任までの進め方
異動の内示から新年度までは、多くの場合それほど長い期間がありません。授業や学級の引き継ぎも重なる時期なので、部活の引き継ぎは順番を決めて少しずつ進めましょう。
新しい顧問と直接会えるとき
新しい顧問が分かり、直接会える場合は、ファイルを一緒に見ながら30分でも話す時間をつくってください。
書いてあることを読み上げるより、「4月にまず困りそうなこと」を優先して伝えると短い時間でも役立ちます。
新しい顧問がバレーボールの経験者とは限りません。専門用語を並べるのではなく、誰が読んでも分かる言葉で説明することを心がけましょう。



相手がバレー未経験でも分かる言葉で書いておきます。
直接会えないときは書面とデータで残す
離任の日までに次の顧問が決まらないことも珍しくありません。その場合は、ファイルとデータを管理職や部活動の担当の先生に預け、確実に手渡してもらえるようにしておきます。
データで残す場合も、保存場所は学校の共有の場所にし、個人のパソコンや記録メディアに持ち出さないように注意してください。紙のファイルの表紙に、データの保存場所を書いておくと見つけやすくなります。
引き継ぎでやりがちな3つの失敗
引き継ぎは、チームを大切に思っているからこそ力が入る作業です。その気持ちが、かえって次の顧問や選手を困らせてしまうこともあります。
失敗1:自分のやり方をそのまま続けてもらおうとする
長く部を見てきた顧問には、練習のやり方や部の決まりにそれぞれのこだわりがあるはずです。けれど、新しい顧問にはその人の考え方や、使える時間の事情があります。
引き継ぎの資料は「こうしてほしい」というお願いではなく、「これまではこうしていた」という記録として書きましょう。どこを残し、どこを変えるかを決めるのは、次にチームを預かる顧問の役割です。



「必ずこうして」と書くと、次の先生が動きにくくなります。
失敗2:選手への説明を後回しにする
異動は、選手にとっても大きな出来事です。離任式や新聞の発表で初めて知ることになると、選手は戸惑い、新しい顧問を受け入れる気持ちの準備ができません。
学校で発表してよい時期になったら、できるだけ早く選手に自分の口で伝えてください。これまでの感謝と、新しい顧問のもとでもがんばってほしいという気持ちを伝えるだけで、選手の不安はずいぶん小さくなります。



先生から直接聞けたら、気持ちの整理がつきやすいです!
失敗3:口頭だけで伝えて記録を残さない
忙しい時期なので、電話や立ち話で「だいたいこんな感じです」と伝えて終わりにしてしまうことがあります。口頭で聞いた話は、4月の忙しさの中ですぐに忘れられてしまいます。
短いメモでもかまわないので、必ず形に残してください。次の顧問が、さらにその次の顧問へ渡すときにも、同じファイルを使い続けることができます。



自分が着任したとき、口頭だけで苦労したのを思い出しました…。



だからこそ、次の先生には1冊を残してあげましょう。
よくある質問
まとめ:5つを1冊にまとめて、選手の春を守る
バレー部顧問の引き継ぎは、書類・お金・連絡先・用具・練習の5つを1冊にまとめて、次の顧問へ確実に手渡すことが中心になります。
完璧な資料より、4月を乗り切れる1冊を早めに残すことが大切です。
| 項目 | 残しておくもの |
|---|---|
| 大会・登録 | 申込書の控え・提出先・月ごとの予定表 |
| お金 | 会計ノート・異動前の残高・集金の記録 |
| 連絡先 | 役割ごとの相手と、連絡を回す順番 |
| 用具 | 用具の一覧と、倉庫の置き場所 |
| 練習 | 1週間の練習の流れと、選手への配慮 |
私は、指導者が替わっても選手が同じ気持ちで練習を続けられるチームは、大人どうしの引き継ぎがていねいに行われているチームだと考えています。
異動が決まった日は、気持ちの整理もつかず忙しい時期です。まずは5つの見出しを紙に書き出すところから始めて、残していく選手たちの春を守ってあげてください。



今日のうちに、5つの見出しだけ書き出してみます!



その1枚が、次の先生と選手の助けになりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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