- 練習中の私語が多く、注意しても15分たてば元に戻ってしまう
- 動きがゆっくりで、ボールを追う選手と見ている選手に分かれている
- 気合いの問題なのか、練習の組み方の問題なのか判断できない
こんな悩みを解決します。
先に結論をお伝えすると、練習がだらけて見えるときの原因は気持ちではなく、選手が動かずに待っている時間の長さにあることがほとんどです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生以上の選手を指導してきましたが、空気が変わるのは注意した日ではなく、練習の形を変えた日でした。
人は手持ちぶさたになると、しゃべるしかなくなってしまうからです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 練習がだらけて見えるときに、何を先に見ればいいかが分かる
- 注意ではなく練習の形で空気を変える、5つの手順が分かる
- かえって逆効果になる対処と、その代わりにやることが分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:空気は気持ちではなく練習の作りで変わる

まず結論からお伝えします。練習がだらけて見えるときにやることは、選手を注意することではなく、動いていない時間を見つけて減らすことです。
気持ちが先にゆるんだのではなく、待つ時間が長いから気持ちがついてこない。順番はたいていこちらです。
れおコーチやる気の問題だと思って、そこばかり言っていました。



先に見てほしいのは、1人がボールに触っていない時間のほうなんです。
たとえば20人の部員が1列に並んでレシーブを1本ずつ受ける形だと、1人が動くあいだ、残りの19人は立っています。
このとき列の後ろで話が始まるのは、選手の性格ではなく並び方が生んだ結果です。
- 1人あたりが実際にボールへ触っている回数
- 1つのメニューで並んで待っている人数
- そのメニューが何のためにあるかを選手が言えるか
私が指導で一番避けたいと思っているのは、練習がきつくてバレーボールそのものが嫌いになってしまうことです。
同じくらい避けたいのが、練習が退屈で気持ちが離れていくことなんですよね。どちらも失うものは同じだからです。



待ツ時間ガ 私語ヲ 作ル
なぜ「気合いを入れろ」では変わらないのか
注意して空気が引き締まる場面は、たしかにあります。それでも数日で元に戻るなら、原因はほかにあると考えたほうが早く進みます。
注意で変わるのはその場だけ
大きな声で締め直すと、選手はいったん静かになります。ただ、そこで変わったのは音の量であって、練習の中身ではありません。
待ち時間が同じままなら、10分後には同じ状態にもどります。
同じ注意を3回くり返しているなら、それは選手ではなく練習の形に原因があるサインだと考えてください。
くり返される注意は、だんだん効かなくなっていきます。選手が慣れてしまうからです。
原因は1つ前の段階にある
バレーの技術でも、ミスが出た場面ではなく1つ前の段階に原因があることがよくあります。空気の話も同じ形をしています。
私語が出た場面ではなく、その手前でどれだけ立って待っていたかを見る。ここを変えないまま声を大きくしても、指導者の側が消耗するだけになってしまいます。



自分の番まで、あと10人くらい待つことがあります…。



その時間が長いほど、集中を保つほうが難しくなりますよ。
練習がだらけて見える4つの原因
ここからは、実際に多い原因を4つお伝えします。当てはまるものが2つ以上あれば、注意より先にメニューを組み替えたほうが効果が出ます。
大切なのは、原因を1つに決めつけないことです。悩みは細かく切り分けてから手を打つ、というのが私の指導の基本になっています。
待っている時間が長い
いちばん多い原因です。1つのメニューに列ができていて、1人が動くあいだに何人も立っている状態になっていないかを見てください。
ボールの数が足りていないと、この形になりやすくなります。部員1人につき1球が目標で、20人なら24球あると待たずに回せる形が作れます。
用具がそろわない場合でも、2人1組でボールを止めない形にすればカバーできます。
何のための練習か伝わっていない
同じドリルでも、目的を知っている選手と知らない選手では動きが変わります。目的が分からないまま並ぶと、練習は作業になってしまいます。
メニューの前に「この練習で見るのはここです」と1文だけ添える。それだけで、選手の目線が変わってきます。
疲れがたまっている
動きが遅い、声が出ない、集合が遅くなる。これらは気のゆるみに見えますが、疲労のサインとしても同じ形であらわれます。
とくに成長期は、量が増えたときに膝や腰へ負担が出やすい時期です。痛みを訴える選手がいるなら、練習の調整と合わせて医療機関へ相談することもすすめてあげてください。



ゆるんでいるのか、疲れているのか、見分けがつかないんです。



集合の速さと片づけの動きを見ると、そこが分かれますよ。
疲れのサインが続いているときに、練習量が多すぎないかを見分けて調整する順番は別の記事でまとめています。
自分の出番がないと感じている
レギュラー以外の選手が、練習の中で役割を持てていない場合も空気は落ちます。ボールに触る回数が少ない選手ほど、気持ちを保ちにくくなるからです。
球出し・記録・審判のような役割を回していくと、コートの外にいる時間も練習の一部になります。
空気を変える5つの手順


ここが記事のいちばん大事なところです。次の順番で進めると、注意を増やさずに練習の空気を変えられます。
最初にやるのは、数えることです。感覚で「ゆるい」と判断せず、1つのメニューで何人が立って待っているかを実際に数えてみてください。
数えてみると、思っていたより多いことがほとんどです。



数エルト 原因ガ 見エル
次に、待ちが多いメニューを小さく割ります。20人が1列で待つ形より、2人1組が10か所で動く形のほうが、同じ時間でも触る回数が何倍にもなります。
コート1面で人数が多いときは、コート外でパスやフットワークを同時に回す形も使えます。
3つ目は、目的をひとこと伝えることです。長い説明はいりません。「今日は落下点に入る足だけ見ます」で十分に伝わります。
4つ目の交代の合図は、練習が止まる時間をなくすためのものです。何分で交代するか、誰の合図で動くかを先に決めておくと、切り替えのたびに生まれていた空白が消えます。
そして最後に、2週間後の見直しを入れてください。組み替えた効果は、その日ではなく数回続けたあとにあらわれてくるからです。



数えて、割って、目的を言う。これならすぐできます!



その3つだけでも、体育館の音がかなり変わりますよ。
やってはいけない3つの対処
空気を変えたいときほど、逆効果になりやすい方法があります。ここでは3つに絞ってお伝えします。
全員を集めて長く話す
練習を止めて説明が長くなるほど、動く時間は減っていきます。話しているあいだも待ち時間は増え続けている、と考えてみてください。
伝えたいことがあるときは、練習を止めずに1文だけ渡すか、終わりの集合で短くまとめる形にします。
罰として走らせる
だらけたから走る、という形は、その場では締まって見えます。ただ、選手の中で走ることが罰と結びついてしまいます。
体力づくりのための走り込みまで嫌なものになってしまうと、後の練習に響いてきます。走り込みのしすぎには、もともと気をつけたいところです。
特定の選手だけを名指しで叱る
目立つ選手を1人注意して全体を締める方法は、短期的には効きます。それでも、その選手は「見せしめにされた」と受け取ることがあります。
まわりの選手も、次は自分かもしれないという気持ちで練習することになります。全体の形を直す話と、個人へ伝える話は分けてください。



誰かが怒られていると、練習に集中できなくなります…。



だから個人に伝えることは、あとで短く、その選手だけに渡すんです。
怒鳴らずに伝える方法は、こちらの記事でくわしく解説しています。
締まった空気を続ける2つのコツ
組み替えた直後は動きが良くなります。それを続けるために、指導者の側でやっておきたいことが2つあります。
できている場面を先に言葉にする
空気が変わった日ほど、できていないところが目につくようになります。それでも、変わった良い点を先に伝えてから、次の課題の話に入るようにしてください。
最初はできないところばかりなのが当然なので、できるところを褒める指導から入るのが一番良いと私は考えています。
「今日は切り替えが速かった」と1つ言うだけで、選手はその形を残そうとします。
締める役を選手に渡す
指導者が毎回声をかけて締める形だと、指導者がいない日にもどってしまいます。合図を出す役や時間を見る役を選手に渡すと、自分たちで動く形が育っていきます。
決まりを作るときは、選手も一緒に決めたもののほうが守られます。



選手が時計を見て動き出したら、成功ですね。



そうなったら、指導者の声はぐっと少なくて済みますよ。
よくある質問
まとめ:空気は注意ではなく設計で変わる
練習がだらけて見えるとき、先に見るのは選手の気持ちではなく、動いていない時間の長さです。
待ち人数を数える→メニューを小さく割る→目的を1文で伝える→交代の合図を決める→2週間後に見直す。
この順番で進めれば、声を大きくしなくても体育館の空気は変わっていきます。
| 見えている様子 | 疑う原因 | 最初にやること |
|---|---|---|
| 私語が多い・列の後ろが騒がしい | 待ち時間が長い | 待っている人数を数えて割る |
| 動きが作業になっている | 目的が伝わっていない | メニュー前に目的を1文で伝える |
| 集合が遅い・声が出ない | 疲れがたまっている | 1週間の総時間を書き出す |
| 一部の選手だけ動いていない | 役割がない | 球出し・記録などの役を回す |
私が見てきたなかでも、空気が変わったチームは、指導者が怒る回数を増やしたのではなく、選手が待つ時間を減らしていました。
締め直す言葉より、動ける形のほうが長く効いてくれます。



明日の練習は、まず数えるところから始めます!



それが一番早い一歩です。変わった場面を、選手にも伝えてあげてくださいね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
- ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
- ボールカゴ2つ…球出しと片づけが一気に楽になる
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