- 練習メニューを決める根拠が、いつも感覚だけになっている
- 記録を取ってみたいが、何をどう数えればいいのか分からない
- 難しい項目まで数えようとして、途中でやめてしまった
こんな悩みを解決します。
バレーのスタッツは、最初から5項目だけに絞り、紙1枚で回すところから始めるとうまくいきます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生以上の選手を指導してきましたが、伸びるチームほど「今どこで点を失っているか」を数字で言えるんですよね。
逆に、感覚だけでメニューを決めていると、得意な練習ばかりが増えていきます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 部活で無理なく続けられる記録項目が分かる
- 誰が・いつ・どうやって記録を取るかの回し方が分かる
- 集めた数字を翌週の練習に落とし込む手順が分かる
それでは、詳しく見ていきましょう。
結論:スタッツは「5項目・紙1枚」で始める
最初にお伝えしたいのは、いきなり本格的な集計を目指さないということです。
項目を増やすほど記録係の負担が増え、試合を見る余裕がなくなります。1セット終わったころには手が止まってしまい、次の試合からは誰も書かなくなるわけです。
続くスタッツの条件は、正確さよりも「毎回同じ形で取れること」です。
れおコーチ前に取ってみたんですが、3試合で挫折しました。



項目が多すぎたんだと思うよ。5つに絞れば続くんだ。
もうひとつ大切なのが、数字は選手を評価するためではなく、練習を決めるために使うという前提です。
数字が「誰が悪いか」を探す道具になった瞬間、選手は挑戦しなくなります。ミスを恐れて安全なプレーばかり選ぶようになり、かえって伸びが止まってしまうんですね。
この記事では、記録する5項目、記録を回す仕組み、練習への落とし込み、よくある失敗の順に説明していきます。



5項目ヲ紙1枚デ回セ
部活でスタッツを取ると変わる3つのこと
そもそも、なぜ記録が必要なのでしょうか。指導の現場で実際に変わるのは、次の3つです。
練習メニューを決める根拠ができる
いちばん大きいのがこれです。数字があると、次の練習で何に時間を使うかを迷わずに決められます。
たとえばサーブレシーブが返らずに崩れている試合が続いているなら、スパイク練習を減らしてでもそこに時間を配分する判断ができます。
感覚だけで決めていると、直前の試合の印象に引っ張られてしまうんですよね。派手に決まったスパイクは記憶に残りますが、静かに崩れた3点は覚えていないものです。
記録の役割は、印象と実際のズレを埋めることにあります。



覚えているのは、たしかに目立った場面だけです。
試合に勝てない状態が続くときに、記録を使って原因を絞り込む順番は別の記事でまとめています。
選手が自分の課題を自分で言えるようになる
数字は、選手にとっても鏡になります。
「調子が悪い」と感じている選手も、記録を見ると原因がはっきりすることがあります。決まっていないのではなく、そもそも打つ本数が少なかった、という場合もあるわけです。



本数が原因だと分かれば、直しどころが変わりますね。



そう。数字は選手を責める道具じゃなくて、探す道具なんだ。
起用の説明を数字でできる
メンバーを決めるとき、根拠を示せるかどうかで選手の納得感がまったく違います。
もちろん数字だけで決めるものではありませんが、話し合いの土台があると、感情のぶつかり合いになりにくくなります。
部活で最初に記録する5項目
ここからが本題です。まずはこの5つだけで十分に判断材料になります。
- サーブ(得点・ミス)
- サーブレシーブの返り方(A・B・C)
- スパイクの決定・ミス・被ブロック
- ブロックの得点・ワンタッチ
- 失点が始まったきっかけ
サーブ(得点・ミス)
正の字で数えるだけで構いません。サービスエースの本数と、ネット・アウトのミスの本数を選手ごとに記録します。
相手を崩した1本も入れたくなりますが、最初は数えなくて大丈夫です。崩れたかどうかの判断は人によってぶれやすく、記録係が迷う原因になります。
この2つが分かると、攻めすぎているのか、安全に入れすぎているのかが見えてきます。数え方や目安の考え方は、こちらでくわしく整理しています。
サーブレシーブの返り方(A・B・C)
返球の質を3段階に分けて記録します。Aはセッターの定位置に返った、Bは動けば上げられた、Cは攻撃につながらなかった、という分け方です。
3段階なら記録係が迷いません。5段階にすると判断に時間がかかり、次のプレーを見逃してしまいます。
判断に迷ったときは、必ず低いほうへ寄せると決めておきましょう。基準がぶれると、前の試合との比較ができなくなります。
Aの割合が下がっている相手や場面が見えてくると、サーブを受ける並びを変えるきっかけにもなります。
スパイクの決定・ミス・被ブロック
打った結果を3つに分けます。決まった、ミスをした、ブロックされた、の3つです。
被ブロックを分けて数えるところがポイントになります。ミスとブロックでは直し方がまったく違うからです。
打つ本数そのものも一緒に残しておくと、あとで割合を出せます。同じ5本でも、10本打っての5本と20本打っての5本ではまったく意味が変わります。計算式や目安は次の記事にまとめてあります。
ブロックの得点・ワンタッチ
止めた本数だけを数えると、ブロックの評価は低くなりがちです。ワンタッチを取って味方が拾えた場面も、必ず1つとして数えてください。
この項目があると、ブロックの役割が「止めること」だけではないと選手に伝わります。
止まらなくても、コースを限定して味方が拾える形にできれば十分に仕事をしています。その価値が数字に残ると、跳び続ける選手が減りません。



数えるものを決めると、大事にすることが伝わるんだ。
失点が始まったきっかけ
最後は、連続失点の入り口を記録する欄です。相手のサーブが良かったのか、こちらのミスが続いたのかを、ひとことでメモします。
数字ではなく短い言葉で構いません。あとから読み返すと、崩れ方のパターンが見えてきます。
多くのチームは、失点そのものより「連続で失うこと」で試合を落とします。入り口が分かれば、そこで止める手を練習に入れられるわけです。
タイムアウトを取る判断も、この欄が積み上がってくると早くなります。



メモ欄なら、記録係も書けそうです。
記録を回す仕組みを作る
項目が決まったら、次は「誰が・いつ・どうやって」を固定します。ここを決めないと、忙しい日から抜け落ちていきます。
記録係は当番制で回す
固定の1人に任せると、その選手が休んだ日に記録が止まります。2人1組の当番制にして、順番に回してください。
数え役と書き役に分けると、初めての選手でも取り組めます。慣れてくると1人でも回せるようになります。
けがで練習に参加できない選手にお願いするのも一つの方法です。コートの外から試合を見る時間は、復帰したあとの判断力につながります。



見学の時間を、そういう形で使えるんですね。
紙とアプリは役割を分ける
現場で数えるのは紙が確実です。電池も通信も要らず、体育館の照明の下でも見やすいからです。
集計や保存は、表計算アプリに写す形が扱いやすくなります。学校の端末で共有すれば、翌年の代にもデータが残ります。
写す作業は、試合の翌日でも構いません。当日にすべてを終わらせようとすると、片づけや移動と重なって続かなくなります。
なお、選手の名前を含む記録を外部のサービスに保存する場合は、学校の方針を確認してから運用してください。



個人名ノ持チ出シハ要確認
集めた数字を練習に落とし込む手順
記録は、見返して初めて意味を持ちます。ここを飛ばすと、ただの作業になってしまいます。
1試合ではなく1か月分をならして見る
1試合の数字は、相手の力や体育館の環境で大きく振れます。判断材料にするなら、まとめて見てください。
3〜4試合分をならすと、たまたま崩れた日と、いつも同じところで崩れている日の区別がつきます。ここが分かれば、練習で扱うべき課題が見えてきます。
見るときは、合計よりも割合に目を向けてください。出場時間が違う選手同士を本数だけで比べると、判断を誤ります。
まとめて見る、割合で見る。この2つで数字の読み違いはほとんど防げます。
直す課題は1つだけに決める
数字を見ると、直したいところがいくつも出てきます。それを全部メニューに入れると、どれも中途半端になります。
その週に扱う課題は1つに絞ってください。次の練習で何分使うかまで決めておくと、実行できます。
選手に伝えるときも同じです。「今週はサーブレシーブのAを増やす」というように、短く1つだけ言い切ってください。



課題を1つに絞る。これは選手の頭の中も同じなんだ。



確かに、あれもこれも言われると動けなくなりますね。
セッターやアタッカーが自分で数字を持っておくと、試合中の判断も変わります。
私は、セッターにはアタッカーの決まり方を大まかに把握しておいてほしいと伝えています。序盤で試して、後半に向けて決まる形を増やしていくという組み立てができるからです。
数字を渡すときは、良かった項目を先に伝えてください。課題から入ると、その先の話が耳に入らなくなります。
スタッツで失敗しやすい3つのこと
最後に、始めたチームがつまずきやすい点をまとめます。
項目を増やしすぎる
慣れてくると、もっと細かく取りたくなります。ですが項目が増えるほど、記録係は試合を見られなくなります。
増やすなら1項目ずつ、1か月続いてから足してください。
途中でやめてしまうと、比べられる期間が途切れます。少ない項目でも続いているほうが、判断材料としては役に立ちます。
個人の数字を公開して比べる
選手ごとの数字を貼り出して比べる使い方は避けてください。ミスを恐れる空気ができ、思い切ったプレーが消えていきます。
数字は本人と共有し、次に何をするかを一緒に決める形で使うのが基本です。
数字だけで判断してしまう
記録に残らない働きは、必ずあります。声で守備位置を整えた、相手の得意コースを消していた、そうした場面は数字になりません。
映像で見返すと、数字に出ない部分を補えます。記録と映像は、どちらかではなく両方を軽く使うのがちょうどいい形です。



数字ト映像ハ両輪デ使エ
公式記録の書き方そのものを覚えたい場合は、こちらもあわせて確認しておきましょう。
部活動の運営や活動時間の考え方は、スポーツ庁が示すガイドラインが基準になっています。
よくある質問
まとめ
スタッツは、細かく取ることより同じ形で取り続けられることが大切です。
| 手順 | やること |
|---|---|
| ① | 記録は5項目に絞り、紙1枚の用紙を作る |
| ② | 記録係を2人1組の当番制で回す |
| ③ | 3〜4試合分をならして傾向を見る |
| ④ | その週に直す課題を1つだけ決める |
| ⑤ | 数字に出ない働きは映像と目で補う |
私は元日本代表として、また指導者として選手を見てきましたが、数字を持っているチームは話し合いが早く進みます。何を練習するかで、もめなくなるからです。
まずは記録用紙を1枚作って、次の練習試合で1セットだけ数えてみてください。



1セットだけなら、今週末に試せます。



それでいいんだ。続く形にすることが、いちばんの近道だよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
コーチング・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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