- 決定率という言葉は聞くけれど、出し方がわからない
- 自分の決定率が高いのか低いのか、判断する基準がない
- 数字は出せても、次の練習や試合につなげられない
こんな悩みを解決します。
スパイクの決定率は、決まった本数を打った本数で割るだけで出せます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
現役時代、監督から言われて意識していたのは、決定率の高さそのものではなく、その数字が下がった時に何を変えるかでした。
決定率は選手を評価するための成績表ではなく、次の1本の打ち方を決めるための道具です。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 決定率と効果率の計算式が、具体例つきでわかる
- 自分の数字を目安と比べる時の正しい見方が身につく
- 決定率を上げるために次の試合で試すことが決まる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:決定率は「決まった本数÷打った本数」で出す

先に結論からお伝えします。スパイクの決定率は、次の式で出します。
決定率 = 決まった本数 ÷ 打った本数
たとえば1試合で10本打って5本決まったなら、5÷10で50%になります。難しい計算はいりません。
打った本数には、決まった本も、拾われた本も、ミスになった本も、すべて数えます。ブロックに止められた本も打数に入ります。
サルくん決まった数だけ数えていました…。打った数も数えるんですね!



そう。何本打ってその点だったのか、が大事なんだよ。
なぜ割り算にするかというと、打数が違う選手同士を同じものさしで比べられるからです。
10本打って5本決めた選手と、30本打って10本決めた選手では、決めた本数は後者が多くなります。それでも1本あたりの確実さは前者が上です。



決定率ハ「本数」デハナク「割合」ヲ見ル指標
ここからは、よく一緒に出てくる効果率とのちがい、目安の見方、そして決定率を上げる5つのコツの順に進みます。
決定率と効果率のちがい|ミスを引くかどうかで変わる
決定率と並んでよく使われるのが効果率です。どちらも同じ打数を使いますが、ミスの扱いだけが変わります。
決定率は決めた割合だけを見る
決定率は、打った本数のうち何本が得点になったかだけを見ます。ミスをした本数は分母に入るものの、引き算はしません。
そのため、攻めてミスをしても、慎重に打って拾われても、決定率の上では同じあつかいになります。
効果率はミスを引いて計算する
効果率は、決まった本数から失点になった本数を引いてから割ります。失点になった本数とは、アウトやネットにかけた本と、ブロックで止められた本の合計です。
効果率 =(決まった本数 – 失点になった本数)÷ 打った本数
10本打って5本決まり、失点が2本なら、(5-2)÷10で30%です。決定率は50%でも、効果率では30%まで下がります。
| 指標 | 計算式 | 何がわかるか |
|---|---|---|
| 決定率 | 決まった本数 ÷ 打った本数 | どれくらいの割合で点にできたか |
| 効果率 | (決まった本数 – 失点になった本数)÷ 打った本数 | 失点の分まで含めた、チームへの貢献度 |
2つを並べると、その選手の性格まで見えてきます。決定率が高いのに効果率が低い選手は、決める力はあるものの、外す本数も多いということです。
サーブにも同じ考え方の指標があり、計算の手順はこちらの記事にくわしくまとめています。
目安の数字は「相場」として見る
自分の決定率が出たら、次に気になるのは高いのか低いのかでしょう。
国内トップリーグの公式記録を見ると、アタック決定率のランキング上位に並ぶのは50%台前半の数字です(参考:SVリーグ公式記録 選手記録ランキング)。
つまり、世界を相手にしている選手でも、2本に1本は決まっていません。この事実を先に知っておくだけで、数字との付き合い方が変わります。



トップの選手でも半分は決まらないんですか!?



だから、決まらなかった本をどう減らすかの話になるんだよ。
一方で、中学生や高校生の決定率について、だれでも参照できる公的な基準はありません。チームのレベルやトスの質で数字が大きく変わるからです。
そこで、次の3つの見方をおすすめしています。
- 他人ではなく、前回の自分の数字と比べる
- 1試合だけで判断せず、3試合ほど並べて平均を見る
- 決定率と効果率をセットで見て、ミスの本数も確認する
1試合の数字は、相手のブロックの高さやトスの状態で簡単に上下します。数試合を並べて初めて、自分の本当の位置がわかります。



比ベル相手ハ他人デハナク前回ノ自分
試合中に決定率を数えない|序盤で試して後半に上げる
数字を知ると、試合中も気にしたくなります。ですが、打つ瞬間に決定率を思い出しても、良いことはひとつもありません。
私が選手に伝えているのは、セットの序盤で試し、後半に向かって決定率を上げていくという考え方です。
序盤は、相手のブロックとレシーブがどう動くかを見るための時間になります。ここで打ったコースは、決まらなくても情報として残ります。
スパイクを打つ時、相手コートにはブロッカーとレシーバーの2種類がいます。どちらと勝負した方が点になりやすいかは、相手によって変わります。



勝負スル相手ハ「ブロック」カ「後ロノ守備」ノ2択
ブロックの手が甘い相手なら、ブロックを使って外に出す形が生きるでしょう。後ろの守備が薄い相手なら、空いた場所へ落とす方が確実です。



序盤で決まらないと、あせってしまいます…。



25点のうちの1本だからね。試した分は後半に返ってくるよ。
大事なのは、自分の得意なコースを打ち続けることではなく、相手にとっていちばん嫌なことを選ぶ姿勢です。
得意なコース1本で押し切れるのは、序盤だけと考えてください。同じ形が3本続けば、相手のレシーバーは必ずそこに寄ってきます。
決定率を上げる5つのコツ


ここからは、次の練習からすぐ試せる5つのコツです。どれも打つ力を強くする話ではありません。
コツ①:打つ前に誰と勝負するかを決める
跳ぶ前に、ブロックと勝負するのか、後ろのレシーバーと勝負するのかを決めておきます。決めずに跳ぶと、空中で迷ってスイングが緩みます。
相手の1枚目のブロッカーが遅い時は、その手が出る前に打ち抜く選択が有効です。逆にブロックが高い時は、後ろの空いた場所を探します。



決めるのは跳ぶ前。空中で迷うと力が抜けてしまうよ。
コツ②:打てるコースを2本以上もつ
コースが1本しかない選手は、その1本を厚く守られた時点で決まらなくなります。ストレートとクロス、どちらも打てる形を作っておきます。
コースを変えるのは、腕の振り方ではなく体の向きです。打つ直前の体の向きだけで、同じスイングのまま角度を変えられます。
コツ③:フェイントは強打と同じフォームで入る
軟攻を混ぜると、相手は強打だけに備えられなくなります。ここで大切なのは、強打とまったく同じフォームで入ることです。
同じ形で入ると、ブロッカーは強打を止める構えで跳び、レシーバーも強く構えます。その結果、落とした球への反応が遅れて点になります。



強打を打つ演技力が、そのままフェイントの武器になるよ。
コツ④:止められそうな時はブロックを使う
ブロックの正面に入ってしまった時、無理に抜こうとすると打数だけが増えます。そこで使えるのが、相手の手に当てて外へ出す打ち方です。
手の高さの外側をねらって当てれば、ボールはコートの外へ飛んでいきます。決まらない1本を、決まる1本に変えられる技術になります。
コツ⑤:乱れたトスで打つ形を用意しておく
試合では、良いトスばかり上がるわけではありません。乱れたトスを1本でも点に変えられる選手は、決定率が安定します。
ネットから遠い、体の後ろに来た、低いといった場面ごとに、打ち方をあらかじめ決めておきましょう。準備がある選手ほど、崩れた時の失点が減ります。
数字の読み方でやりがちな3つの失敗
決定率は便利な反面、読み方をまちがえると練習の方向まで狂います。指導現場でよく見かける失敗を3つあげておきます。
失敗①:打数が少ない選手の数字と比べる
3本打って2本決まれば決定率は約67%ですが、この数字はほとんど意味をもちません。打数が少ないほど、たまたまの1本で数字が大きく動くからです。
比べるなら、同じくらいの打数の試合同士にします。目安として、1試合10本以上打った試合を並べると読みやすくなります。



3本だけの試合の数字は、比べなくていいんですね!
失敗②:決定率を下げたくなくて安全に打つ
2つ目は、数字を守りにいく失敗です。ミスを減らそうとして力を抑えると、相手に拾われて結局は決まりません。
決定率だけを見ていると、この打ち方でも数字は下がりません。だからこそ、効果率とセットで見て、攻めた結果のミスかどうかを分ける必要があります。



入れにいく打ち方、やってしまいます…。



拾われた1本も決まらなかった1本、というところから考えてみよう。
失敗③:決定率だけでスパイカーを評価する
3つ目は、数字だけで選手の価値を決めてしまう失敗です。相手のブロックを2枚引きつけている選手は、自分の決定率が低くても味方を楽にしています。
トスを上げる側も、決定率をおおまかにつかんだうえで配球を決めています。数字は、チームの中でどう役割を分けるかを話し合う材料になります。
練習試合で記録をとる3ステップ
記録は、専用のソフトがなくても紙とペンで足ります。次の3つの手順で始めてみてください。
拾われた本は数えなくてかまいません。打数と決定数とミス数の3つがそろえば、両方の数字が出せます。
慣れてきたら、コース別に分けて数えると練習の材料が増えます。ストレートだけ決まっていないなら、そこが次の課題です。



コース別に数えたら、苦手がはっきりしそうです!



交代で記録係を回すと、見る力もいっしょに育つよ。
数字が出たら、その試合で決まらなかった原因まで一度ふり返っておきましょう。
よくある質問
まとめ:決定率は次の1本を決めるための道具
最後に要点をふり返ります。決定率は成績表ではなく、どこを変えれば点が増えるかを教えてくれる道具です。
| 場面 | 見る数字 | 次にやること |
|---|---|---|
| 試合後のふり返り | 決定率と効果率の両方 | 攻めた結果のミスか、拾われた1本かを分ける |
| セットの序盤 | 数字は見ない | コースを試して相手の反応を集める |
| セットの後半 | 序盤に集めた情報 | 相手が嫌がるコースで決めきる |
私は元日本代表として多くの試合を経験してきましたが、決定率が上がる選手ほど、打つ前に相手のどこと勝負するかを決めていました。数字は、その判断を助けるために使ってください。



次の練習試合から、打数を数えてもらいます!



いいですね。数字が出ると、直す場所がはっきりしますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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