- 遠征のバスや車で毎回酔ってしまい、会場に着いた時点で顔色が悪い
- 酔いが残って、午前の試合でいつもの動きができない
- 酔い止めに頼っていいのか、家庭で何を用意すればいいのか分からない
こんな悩みを解決します。
遠征で酔うかどうかは、乗っている間のがまん比べではなく、乗り込む前の体調と、座ってからの視線の置き方でほとんど決まります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生を指導していますが、遠征のあとに調子を落とす選手の話を聞くと、原因が移動の疲れではなく前の晩の過ごし方にあった、という場合が少なくありません。
反対に、移動に強い選手は決まって同じことをしています。前の日に早く寝て、朝に少しだけ食べて、乗ったら遠くを見る。この3つです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 遠征の移動で子どもが酔いやすくなる理由がわかる
- 前日・当日・車内の3つの場面でやることがわかる
- 酔ってしまったあと、試合までに立て直す手順がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:車酔いは乗り込む前の準備でほとんど防げる
先に結論をお伝えします。遠征の車酔いで大事なのは、酔ってから何をするかではなく、乗り込む前に体を整えておくことです。
乗り物に酔う仕組みは、目から入る情報と、耳の奥にある体のバランスをとる器官が受けとる情報がずれることだと言われています。カーブや揺れが続く道では、このずれが大きくなります。
ただ、同じバスに乗っていても、酔う子と酔わない子がいます。ここで効いているのが、乗る前の体調です。
睡眠が足りていない朝や、おなかが空っぽの状態は、そのずれに耐えられる余裕が少なくなります。逆に言えば、家庭で手を打てる部分がしっかりあるということでもあります。
うさママ毎回だから、体質だとあきらめていました…。



体質の差はありますが、準備で変わる部分もかなり大きいんですよ。
もうひとつ知っておいてほしいのは、車酔いは試合の結果に直接ひびくということです。
酔ったあとは、水分も食事もとりにくくなります。会場に着いてから試合までの時間で、エネルギーを入れ直せないまま試合に入ることになります。
車酔い対策は、体調管理の一部であって、気持ちの問題ではありません。この位置づけで見てあげると、子どもへの声のかけ方も変わってきます。



ヨイ対策ハ 試合ノ準備ノ一部
遠征の移動で酔いやすくなる3つの理由
対策の前に、なぜ酔うのかを整理しておきましょう。どこが原因かで、打つ手が変わってきます。
理由①:睡眠不足と空腹で体が整っていない
1つ目が、前の晩から当日の朝にかけての体調です。遠征の日は集合が早く、いつもより1時間から2時間早く起きることになります。
前の晩に興奮してなかなか寝つけないまま、短い睡眠で起きる。この状態は、揺れに耐える余裕がいちばん少ない状態です。
さらに、早い時間なので朝食を抜いてしまう子もいます。空腹のまま乗ると、気持ち悪さを感じやすくなります。
食べすぎも同じように良くありません。集合の直前に、しっかり1食を詰め込むのは避けてください。



早起きの日は、食欲がわかなくて食べられないんだよね。



だからこそ、量より「少しでも入れておく」ことのほうが大事になりますよ。
理由②:座る位置と視線が合っていない
2つ目は、車内での位置と目の使い方です。バスの後方の席は、前方の席にくらべて揺れの幅が大きくなります。
そのうえで、下を向いてスマートフォンや本を見ていると、目に入る景色は止まっているのに体は揺れている、という状態が続きます。この差が、酔いの引き金になります。
反対に、進行方向の遠くを見ていると、目の情報と体の感覚が近づきます。座る位置と視線は、その場ですぐ変えられる数少ない手段です。
理由③:車内のにおいと空気がこもっている
3つ目が、空気です。冷暖房で窓を閉め切ったバスの中は、においがこもりやすくなります。
汗のにおい、シップのにおい、朝食の残り香。ふだんは気にならないものでも、揺れている車内では気分を悪くする材料になります。
前の子が酔って気分を悪くすると、その空気につられて周りの子も酔いやすくなる。これも、遠征の車内でよく起こることです。



においがきっかけになるとは、思っていませんでした。



換気ができる席かどうかも、意外と大きい条件なんです。
前日と当日の朝にやる5つの準備
ここからが本題です。次の5つを順番にやっておくと、当日の負担がぐっと軽くなります。
いちばん大事なのは1つ目です。睡眠が足りている日は、それだけで揺れに耐える余裕が変わってきます。
前の晩の準備は、荷物づめまで含めて夕食前に終わらせておくのがおすすめです。寝る直前まで動いていると、興奮したまま布団に入ることになります。
起きる時刻も、同じくらい効いてきます。
2つ目の「2時間前」は、体が起きるまでの時間を確保するという考え方です。起きてすぐ車に乗ると、まだ眠っている体に揺れが加わることになります。
3つ目の朝食は、量より中身で考えてください。脂っこいもの、においの強いもの、乳製品を多めにとった朝は、気持ち悪さが出やすくなることがあります。



おにぎり1個くらいなら、食べられそう。



それで十分です。空っぽで乗らない、これが目安ですよ。
4つ目は、見落とされやすいところです。家から車まで数歩、という乗り方をすると、体が起きないまま揺れに入ります。
5つ目の座る位置は、チーム内の決まりがある場合もあります。酔いやすい子は前方に、という配慮をお願いできるか、事前に顧問の先生へ相談しておくと安心です。
体調が整わないまま無理をさせない、という判断もときには必要になります。
車内での過ごし方3つのコツ
乗ってしまったあとにも、できることがあります。子どもが自分でできる形にしておくのがポイントです。
コツ①:前方に座って遠くを見る
1つ目は、視線の置き方です。窓の外の、できるだけ遠いところを見るようにしてください。近くの景色を目で追うと、流れが速すぎて負担になります。
見る場所を決めておくだけでも変わります。
進行方向が見える席なら、フロントガラスの先を見るのがいちばん楽です。座席が決まっていて外が見えない場合は、目を閉じて頭を背もたれにつけておくほうが持ちます。
頭が左右に振られる状態が続くと、それだけで気分が悪くなります。背もたれに後頭部を預けて、頭を固定するイメージをもってください。
コツ②:締めつけない服装で深く呼吸する
2つ目は、体をゆるめておくことです。ベルトやウエストのゴムがきつい状態だと、おなかが圧迫されて気持ち悪さが出やすくなります。
服装は、家を出る前に決められる部分です。
移動中は、ゆったりしたジャージやスウェットで過ごすのがおすすめです。会場で着替える前提にしておけば、締めつけずにすみます。
そのうえで、鼻から吸っておなかをふくらませ、口からゆっくり吐く呼吸をくり返してみてください。息を止めて耐えるより、吐く時間を長くとるほうが落ち着きます。



服装まで気にしたことはありませんでした。



おなかをゆるめておくだけでも、ずいぶん違ってきますよ。
移動のときに着るジャージとスウェットの違いや、選ぶときの基準は別の記事でまとめています。
コツ③:画面と細かい文字は見ない
3つ目が、移動中の過ごし方です。スマートフォンの画面、ゲーム、マンガ、ノートの見直し。どれも下を向いて細かいものを見る動作になります。
移動時間を使って作戦を確認したくなる気持ちは分かります。ただ、酔いやすい子にとっては、そこが最大の引き金になります。
私はスクールの選手にも、移動の時間は下を向かないように伝えています。作戦の確認は、会場に着いてからでも間に合います。
見るのではなく、聞く形に変えてください。音楽を聴く、目を閉じて試合の流れを思い浮かべる。この2つなら、下を向かずにすみます。



下ヲ向カナイ ダケデ 大キク変ワル
酔ってしまったときの対応
準備をしても、酔ってしまう日はあります。そのあとの動き方で、試合に入るときの状態が変わります。
車内でできること
まず、我慢させないでください。気分が悪いと言えた時点で早めに手を打つほうが、結果的に軽くすみます。
できることは3つです。窓を少し開けて外の空気を入れる、上着を脱いで首元をゆるめる、そして目を閉じて頭を固定する。
水分は、少量ずつ口に入れる程度にとどめてください。一気に飲むと、かえって気持ち悪さが強くなることがあります。
- 窓を開けるか送風口を顔に向けて、新しい空気を入れる
- 上着やベルトをゆるめて、おなかと首元の締めつけをとる
- 目を閉じて背もたれに頭を預け、ゆっくり息を吐く
降りてから試合までの戻し方
会場に着いたら、まず外の空気の中で座って休ませてください。バスを降りてすぐ荷物を持って動き回ると、戻るまでに時間がかかります。
落ち着いてきたら、少量の水分から入れ直します。そのあと、食べられそうならバナナやゼリー飲料など、のどを通りやすいものを試してみてください。
ここであせらせないことが、いちばんの近道になります。
アップは、いつもより時間をかけて軽い動きから入るのが安全です。歩く、軽く走る、体を大きく動かす。この順番で、体の内側の状態を確かめながら上げていきます。
顔色が戻らない、頭痛や吐き気が続く、水分もとれない。こうした状態が続くときは、試合に入る前に顧問の先生と相談し、必要なら医師の診察を受けてください。



気持ち悪いって言うと、迷惑をかける気がしちゃう…。



早く言えたほうがチームは助かります。それも大事な報告なんですよ。
遠征前に保護者がそろえておくもの
最後に、家庭で事前に用意しておくものを2つに分けてお伝えします。
酔い止めの薬は自己判断で選ばない
酔い止めを使うかどうかは、多くの家庭が迷うところだと思います。
ここで大事なのは、子どもの年齢や体質に合うかどうかを、薬剤師や医師に確認してから決めるという順番です。市販の薬でも、年齢によって使えるものと使えないものがあります。
もう1つ、気をつけたい点があります。
眠気が出るタイプもあるため、試合当日にいきなり初めて飲ませるのは避けてください。使うと決めたなら、練習試合など負担の小さい日に一度ためしておくと、体の反応が分かります。
飲むタイミングも自己判断にせず、必ず薬剤師や医師の説明にしたがってください。ほかに飲んでいる薬がある場合は、その点も含めて相談が必要です。
薬を使う・使わないの前に、まず専門家に相談する。この順番だけは変えないでください。
なお、大会によっては使える薬に決まりがある場合もあります。上の年代を目指している選手なら、早いうちから顧問の先生に確認する習慣をつけておくと安心です。
遠征バッグに入れておきたい5つの物
持ち物のほうは、特別なものを買いそろえる必要はありません。
- ふた付きの水筒:少しずつ飲めて、こぼれない形のもの
- ビニール袋と紙袋:念のため多めに。口を結べるサイズが安心
- ぬれタオルかシート:首元と顔を冷やすと落ち着きやすい
- 食べやすい補食:バナナ・ゼリー飲料・小さめのおにぎり
- 上着1枚:車内が寒いときと、脱いで調整したいときの両方に使える
ビニール袋は、本人だけでなくチームの誰かが使うこともあります。かさばらないので、多めに入れておいて損はありません。
ぬれタオルは、夏場なら保冷剤といっしょに入れておくと便利です。首の後ろを冷やすと、気分が落ち着くという子は少なくありません。
補食は、酔ったあとでも通りやすいものを選んでおくのがコツです。おにぎりが入らない日でも、ゼリー飲料なら口にできることがあります。



これなら、いつものバッグに足すだけでできそうです。



準備が整っていること自体が、本人の安心につながりますよ。
遠征そのものの準備や、前泊が入るときの持ち物は、こちらの記事も参考にしてみてください。
よくある質問
まとめ
遠征の車酔いは、乗っている間のがまんで決まるものではありません。前の晩から当日の朝までにやっておくことで、大きく変わります。
よく寝る。少しだけ食べる。前に座って遠くを見る。まずはこの3つから始めてみてください。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 前の晩 | 荷物づめを夕食前にすませ、早めに布団に入る |
| 当日の朝 | 集合の2時間前に起きて、消化のよい朝食を少なめに |
| 乗る直前 | 5分ほど外を歩き、締めつけない服装に着替える |
| 車内 | 前方に座って遠くを見る・画面は見ない |
| 気分が悪いとき | 換気・締めつけをゆるめる・目を閉じて頭を固定 |
| 会場に着いたら | 外で休む→少量の水分→通りやすい補食 |
| 薬を使うとき | 薬剤師や医師に相談し、当日が初めてにならないように |
私は指導者として多くの選手を見てきましたが、移動に強い選手が特別なことをしているわけではありませんでした。前の日に早く寝て、朝に少し食べているだけです。
遠征は、会場に着いた時点ですでに始まっています。移動の時間を、消耗する時間ではなく整える時間に変えていきましょう。



次の遠征は、前の日にちゃんと寝てから行く!



それがいちばん効きます。当日の自分がきっと楽になりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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