- 自分もバレーをやっていたので、子どものプレーについ口を出してしまう
- 部活で教わっている打ち方が、自分の習ったやり方と違って気になる
- 教えてあげたい気持ちと、嫌がられたくない気持ちの間で迷っている
こんな悩みを解決します。
バレー経験者の親が気をつけたいのは、技術を教える役は指導者に任せ、自分は「聞かれたら答える人」に回ることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
指導の現場では、家で教わったやり方と部活で教わったやり方が違い、どちらに合わせればいいか迷っている選手を見かけることがあります。
経験者の親の知識は、出し方しだいで子どもの力にも、迷いの原因にもなります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 経験者の親が教えすぎると起きやすい3つのことが分かる
- 家で技術の話をするときの5つの線引きが分かる
- 経験があるからこそ役立つ場面と、やりがちな失敗が分かる
子どものバレーとの関わり方を全体から知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:経験者の親は「聞かれたら答える人」になる
先に結論をお伝えします。バレー経験者の親が意識したいのは、次の3つです。
① 技術の話は、子どもから聞かれたときだけにする。
② 答える前に、部活で何を教わっているかを先に聞く。
③ 体育館と試合会場では、親は応援する人に徹する。
経験者の親は、プレーのどこがうまくいっていないかが見えてしまいます。見えるからこそ、つい一言いいたくなるのは自然なことです。
ただ、子どもにとって技術を教わる相手は、毎日体育館で見てくれている指導者です。家でも別の先生がいる状態になると、どちらの言うことを聞けばいいのか分からなくなります。
うさママ見ていると、どうしても直してあげたくなるんです…。



その知識は、聞かれたときに出すといちばん生きますよ。
親が未経験の場合の関わり方は、別の記事でまとめています。経験の有無で気をつける点が少し違うので、比べて読んでもらうと役割の違いがつかみやすくなります。
経験者の親が教えすぎると起きる3つのこと
よかれと思って教えたことが、子どもの上達をかえって遠回りさせることがあります。よく起きるのは次の3つです。
家と部活で言うことが違い、子どもが迷う
1つ目は、家と部活で教わる内容がずれることです。たとえばレシーブの構え1つをとっても、指導者によって足の幅や腕の出し方の伝え方は違います。
子どもは、家で親に言われた形と、体育館で指導者に言われた形の両方を試そうとします。どちらも中途半端になり、プレーが安定しにくくなるのがこのパターンです。



家と部活で違うことを言われると、どっちでやればいいか分からなくなります…。



迷うのは、ちゃんと両方を聞こうとしている証拠ですね。
自分で考える前に答えをもらう癖がつく
2つ目は、子どもが自分で考える時間が減ることです。うまくいかなかったとき、すぐに親から答えが返ってくると、自分で原因を探す前に答えを待つようになります。
バレーは、試合中に誰かが答えを教えてくれるスポーツではありません。コートの中で自分で気づき、次のプレーで直す力が必要です。
失敗の原因を自分で探す時間は、子どもの上達に欠かせない時間です。
バレーが親に評価される場になる
3つ目は、バレーが「親に見られて評価される場」になってしまうことです。親が経験者だと、子どもは試合のたびに「今日のプレー、どう思われたかな」と気にするようになります。
親の目を気にしてプレーすると、思い切ったプレーがしにくくなります。ミスをこわがって、ボールに向かっていく気持ちが小さくなってしまうこともあります。



帰りの車でプレーの話ばかりしていたかもしれません…。



気づいた今から変えれば大丈夫ですよ。
親がプレーしていた頃と変わっていること
経験者の親が知っておきたいのは、自分がプレーしていた頃と今とで、変わっている部分があることです。
その点を知っておくと、指導者のやり方に違和感をもったときに落ち着いて受け止められます。
ルールの細かい部分
バレーのルールは、これまでに何度も見直されてきました。点の入り方や、守備専門の選手の扱い、サーブがネットに触れたときの判定など、世代によって覚えているルールが違うことがあります。
子どもと試合の話をするときに、昔のルールのまま話してしまうと、会話がかみ合いません。気になるルールがあったら、子どもに「今はどうなっているの?」と聞いてみるのも1つの方法です。



ルールを聞かれると、ちょっと教える側になれてうれしいです。
練習や体づくりの考え方
練習や体づくりの考え方も、少しずつ変わっています。長い時間の走り込みや、練習中に水を飲まないといったやり方は、体を守る考え方から見直されてきました。
技術の教え方も同じで、1つの型だけが正解というわけではありません。
私は、中学で習った1つのやり方を何年も使い続けるより、いくつかのやり方を試して場面で使い分けられる選手のほうが伸びると考えています。
自分が教わったやり方は、たくさんある正解のうちの1つです。
親が習ったやり方が間違っているわけではありません。今の指導者のやり方にも理由がある、と受け止めておくと、家での言葉がやわらかくなります。
経験者の親が決めておきたい5つの線引き
ここからは、家で技術の話をするときの具体的な線引きです。全部を一度に守る必要はありません。できそうなものから取り入れてみてください。
1:技術の話は聞かれたときだけにする
いちばん大事な線引きが、子どもから聞かれたときだけ技術の話をすることです。親から「さっきのレシーブは〜」と始めると、子どもは注意されていると受けとりやすくなります。
同じ内容でも、子どもが自分から「どうすればいい?」と聞いてきたときは、素直に耳を傾けてくれます。聞かれるまで待つのは、親にとってはがまんの時間かもしれません。



自分から聞いたときは、ちゃんと覚えておこうって思えます!
2:答える前に部活での教わり方を聞く
子どもから質問されたら、すぐに答えを出す前に「部活では何て言われてる?」と聞いてみてください。部活での教わり方が分かれば、それとぶつからない言い方を選べます。
たとえば、指導者の言うやり方の中で、どこがうまくいっていないのかを一緒に考える形にします。親のやり方に置きかえるのではなく、部活で教わったことを深める手伝いに回るイメージです。
親の役目は、部活で教わったことを家で深める手伝いです。
分からないことがあれば、「それは先生に聞いてみたら?」と指導者につなぐのも立派な答え方になります。
3:体育館と試合会場では口を出さない
練習の見学や試合の応援では、プレーについての指示を出さないようにします。観客席からの指示は、コートの中の子どもに届くと、指導者の指示とぶつかってしまうからです。
経験者の親は、試合の流れや作戦が見えるぶん、声に出したくなる場面が多くなります。応援は「ナイス!」「次!」のような前向きな声だけにしておくと安心です。
4:家での練習は子どもが言い出したときだけ付き合う
家でパスの相手をしてあげたい、と思う経験者の親は多いはずです。ただ、親から誘って練習を始めると、子どもにとっては部活の延長になり、休む時間がなくなります。
家での練習は、子どもが「ちょっとパスしたい」と言い出したときに付き合うくらいがちょうどよい距離です。そのときも、フォームを直すより、楽しくボールにさわる時間にしてあげてください。
5:指導者のやり方への意見を子どもの前で言わない
経験者の親は、指導者の練習メニューや起用に対して、意見をもちやすい立場にあります。ですが、子どもの前で「あの教え方はおかしい」と言うと、子どもは指導者を信じにくくなります。
指導者を信じられなくなると、体育館での練習に集中しにくくなります。意見がある場合は、子どものいないところで、伝え方を考えてから相談するようにしてください。



経験者として、先生に一言いったほうがいい気もしますけど…。



技術の意見を伝えるのは、ほとんどの場合おすすめしません。
経験があるから役立つ3つの場面
ここまで気をつける点を書いてきましたが、経験者の親の知識が役立つ場面もたくさんあります。教える以外の形で、その経験を生かしてください。
試合や練習の話を一緒に楽しめる
経験者の親は、子どもが話す練習や試合の話を、くわしく分かったうえで聞くことができます。
「今日はブロックに2回さわれた」と言われたとき、その難しさを実感をこめて受け止められるのは経験者ならではです。
プロや大学生の試合を一緒に見ながら、「今のつなぎ方すごいね」と話すのもおすすめです。教えるのではなく、同じバレー好きとして話すことで、子どもは自分から質問しやすくなります。



一緒に試合を見ながら話すのは、すごく楽しいです!
ケガや体の使いすぎに早く気づける
経験者の親は、バレーで痛めやすい場所や、疲れがたまったときのプレーの変化を知っています。膝や腰、肩をかばうような動きに、早めに気づけることがあります。
気になる様子があったら、プレーの指摘ではなく「どこか痛いところはない?」と体の心配として声をかけてください。痛みが続くときは、自己判断せずに医師に相談することが大切です。
用具選びで失敗を減らせる
シューズや膝サポーターなどの用具選びでも、経験者の知識は役立ちます。サイズの合わない靴や、ポジションに合わない用具を選ぶと、動きにくさやケガにつながることがあるからです。
ただし、何を使うかを最終的に決めるのは子ども本人です。親は選ぶときの基準を伝える役に回り、はき心地や好みは本人の感覚を優先してあげてください。
経験者の親がやりがちな3つの失敗
最後に、経験者の親がやってしまいがちな失敗を3つ挙げます。どれも子どもを思う気持ちから起きるものなので、気づいたときに1つずつ直していけば十分です。
失敗1:自分のポジションや打ち方を押しつける
親が現役時代にやっていたポジションや、得意だった打ち方を子どもにもやらせようとする失敗です。体格も性格も違う子どもに、同じやり方が合うとは限りません。
ポジションは、チームの人数や指導者の考えで決まる部分も大きくなります。子どもが今のポジションでがんばっているなら、その役割を認める言葉をかけてあげてください。



親と同じポジションじゃなくても、今のポジションが好きなんです…。
失敗2:試合のあとに反省会を開く
試合が終わってすぐ、帰りの車の中でプレーの反省を始めてしまう失敗です。経験者の親ほど、細かいミスの理由まで見えているので、話が長くなりがちです。
試合のあとの子どもは、体も気持ちも疲れています。まずは「おつかれさま」とねぎらい、プレーの話は子どもが話し始めるまで待つのが基本です。
失敗3:指導者に技術の意見を言いに行く
自分の経験をもとに、指導者へ練習の方法や技術の教え方について意見を言いに行ってしまう失敗です。
親は善意でも、指導者から見るとチームの方針に口を出されたと受けとられやすくなります。
子どもの体調やケガ、チーム内の人間関係の悩みなど、相談したほうがいい内容は別です。そうした相談をするときも、伝え方をよく考えてから話すと関係がこじれにくくなります。



相談する内容と、言わないほうがいい内容を分けて考えるんですね。
よくある質問
まとめ:経験は教えるより支えるために使う
バレー経験者の親の知識は、子どもにとって心強い味方になります。ただし、その知識は教えるためではなく、子どもの話を深く聞き、体や用具を支えるために使うのが一番です。
技術は指導者に任せ、親は聞かれたときに答える人でいることが大切です。
| 教えたくなる場面 | 経験者の親ができること |
|---|---|
| プレーのミスが見えたとき | 聞かれるまで待つ |
| 子どもから質問されたとき | 部活での教わり方を先に聞く |
| 試合や練習を見ているとき | 前向きな応援の声だけにする |
| 指導者のやり方が気になったとき | 子どもの前では意見を言わない |
| 体の使い方が気になったとき | 体の心配として声をかける |
親が一歩引いて見守っていると、子どもは体育館で教わったことに集中でき、困ったときには自分から相談してくれるようになります。
同じバレーを知る家族として、いちばん近くの応援団でいてあげてください。



聞いたらちゃんと答えてくれるから、安心してバレーに集中できます!



いいですね。経験者の親は、最高の相談相手になれますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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