- 大会で急に線審を任されて、何をすればいいかわからない
- 旗の出し方が合っているのか自信がない
- ボールが見えなかった時にどうすればいいのか知りたい
こんな悩みを解決します。
線審の仕事は、自分の担当するラインだけを見て、5つの旗の合図をすばやく出すことに絞られます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、大会で線審を任されて旗を持ったまま固まってしまう選手は毎年います。
覚えることは、じつはそれほど多くありません。立つ場所と旗の形を先に決めておけば、当日に迷う場面はほとんどなくなります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 線審の立ち位置と構え方がわかる
- 旗の合図5つを、出す場面ごとに覚えられる
- 見えなかった時・迷った時の対処がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:担当ラインだけを見て、5つの合図を出す
先に結論をお伝えします。線審に必要なのは、自分の担当ラインから目を離さないことと、5つの旗の合図を覚えることの2つだけです。
- イン(ボールがコートの内側に落ちた)
- アウト(ボールがコートの外側に落ちた)
- ワンタッチ(選手に触れてからコート外に出た)
- 旗を振る(アンテナの外側を通った・サーバーがラインを踏んだ)
- 床タッチ(自分のコートの床にボールが触れた)
サルくん大会でいきなり旗を渡されて、頭が真っ白になりました…。



覚えるのは5つの形だけだよ。あとは見たままを示せばいいんだ。
大事なのは、線審が最終判定を下す役ではないという点です。合図を確認して得点を決めるのは主審であり、線審は見たものを速く伝える役目になります。
だからこそ、自信のなさから合図が遅れるほうが困ります。速く示すことが、いちばんの仕事だと考えてください。



線審ハ最終決定者デハナイ・見タママヲ速ク示ス
ここからは、担当する範囲・試合前の準備・立ち位置・合図の順に見ていきます。
線審が見るのは自分の担当ラインだけ


まず整理しておきたいのが、自分がどのラインに責任をもつのかという範囲です。ここがあいまいだと、他の人と判定が食い違います。
4人の線審はコートの対角に立つ
正式な試合では、線審は4人でコートの対角に立ちます。エンドライン側とサイドライン側の2種類に分かれる形です。
エンドラインは、コートのライトサイドのコーナーに立つ2人が担当します。サイドラインは、レフトサイドのコーナーに立つ2人が担当する決まりです。
大会によっては2人で行うこともあります。その場合は打ち合わせで担当が決まるので、試合前に必ず確認しておいてください。



自分のラインだけを見ていればいいんですね。



そのとおり。全部を見ようとすると、かえって見落とすよ。
インの判定はラインから2m以内が目安
判定の範囲にも目安があります。ボールがインかどうかを示すのは、自分の担当ラインから2m以内に落ちた場合が原則です。
1人が1本のラインを受けもつので、遠くに落ちたボールまで手を出す必要はありません。担当外のボールに合図を出すと、かえって主審が判断に迷います。
ただしコーナー付近は例外です。2本のラインが交わる角に落ちた場合は、2人の線審がそろって合図を出します。
インかアウトかの見極めは、プレー中の選手にも役立つ感覚です。自分がコートに立った時の判断にもつながります。
試合前にやっておく3つの確認
当日に困らないかどうかは、試合が始まる前の数分で決まります。やっておくことは3つです。
打ち合わせでは、主審から見えにくい場所をどうカバーするかも決めておきます。アンテナの外側を通ったボールや、飛び込んだレシーブでボールが床に触れたかどうかは、判断が分かれやすい場面です。
目慣らしは意外と効きます。同じ角度から何本かボールを見ておくと、本番でラインとボールの重なりが見えやすくなるからです。



ネットとアンテナが正しく付いているかも、ついでに見ておこう。



始まる前にできることがあるんですね!
線審の立ち位置と構え方
ここからが実際の動きです。立つ場所と姿勢が決まれば、判定の精度は自然に上がります。
コーナーから2m離れ、ラインを体の中心に置く
立つのは、自分が担当するラインを延長した線の上です。コートのコーナーから2m離れ、フリーゾーンの中に立ちます。
このときラインが自分の体の中心にくるように立ち、視線はライン上に置くのが基本です。ラインが体の正面からずれると、ボールとの重なりが見えにくくなります。



コーナーカラ2m・ラインハ体ノ中心
旗はひじを伸ばしてまっすぐ出す
旗は、ポールに人差し指を添えて握ります。合図を出す時は、ひじが曲がらないようにまっすぐ出してください。
ひじが曲がっていると、遠くの主審からは形が読みとれません。判定そのものは正しくても、伝わらなければ意味がなくなります。
構えは、ボールが動いていない時は自然体で立って構いません。サーバーがボールを打ったあとは、動きやすい低い姿勢に切り替えます。



ずっと低い姿勢でいるのは、けっこうきついです…。



打たれてからでいいよ。プレーが止まっている時は楽にしていよう。
サーブの邪魔にならない位置へ動く
レフトサイドからサーブが打たれる時は、サーバーの妨害にならない場所へ移動します。サイドラインの延長線上で、サーバーの後方に立つ形です。
ここで気をつけたいのが、横に大きく開かないことです。横に逃げるとエンドラインが見えなくなり、サーバーの足の位置を確認できなくなります。
旗の合図5つ|出す場面と形を覚える


いよいよ本題の合図です。形は5つだけなので、順番に覚えていきましょう。
どの合図でも共通するのは、体と旗はラインに向けたまま、顔だけを主審のほうに向けるという点です。目を合わせて伝えることが、主審との信頼につながります。
合図①:イン
ボールがコートの内側に落ちた時は、旗の先をラインに向けて下ろします。床を指すような形です。
ラインに少しでも触れていればインになります。完全に外に出ているかどうかで見分けてください。
合図②:アウト
ボールがコートの外側に落ちた時は、旗を垂直に上げます。上げたら、主審が確認するまでその形を保ってください。
すぐに下ろしてしまうと、主審が見る前に消えてしまいます。合図はしばらく続けるものだと覚えておきましょう。
合図③:ワンタッチ
選手に触れてからコート外に出た時は、ワンタッチの合図です。あごの下でやや高めに旗を立て、旗の先にもう片方の手を触れます。
ブロックの指先をかすめる球は、主審の死角になりやすい場面です。レシーブ側の線審が見えていれば、遠慮せずに示してください。
なお、スパイクされたボールがコート内に落ちた場合は、ワンタッチではなくインの合図を出します。



ブロックに当たったかどうか、自信がない時もあります。



見えた人だけが出せばいいんです。無理に合わせなくて大丈夫。
合図④:旗を振る
アンテナの外側を通ったボールと、サーバーがラインを踏んだ反則は、旗を振って知らせます。頭の上で旗を左右に1往復振り、もう片方の手でラインやアンテナを指してください。
サーバーの足の反則は、打つ瞬間の足の位置で決まります。ジャンプして打つサーブなら、踏み切った足の位置が判定の対象です。
合図⑤:床タッチ
飛び込んだレシーブなどで、自分のコートの床にボールが触れたことが確認できた時の合図です。この場合はインの形ではなく、体の斜め前で2〜3回床をたたいて示します。
選手の陰になって主審から見えないことが多い場面なので、線審の合図が頼りになります。
公式のマニュアルは日本バレーボール協会が発行しています。所属している大会の要項とあわせて確認しておくと安心です。
目線はボールからラインへ切り替える
判定の正確さを決めているのは、じつは旗の形ではなく目線です。見る順番には決まった型があります。
打たれたら低い姿勢で目の位置を下げる
サーバーがボールを打ったら、低い姿勢をとって目の位置を下げます。目が高いままだとボールを上から見ることになり、ボールと床が接する点が死角に入ってしまうからです。
接点が見えなければ、ラインに触れたかどうかは判断できません。低く構えるのは、体力のためではなく見え方のためだと考えてください。



目ノ位置ガ高イト接点ガ死角ニナル
床に近づいたらボールから目を離す
視線の移し方には順番があります。最初はボールを目で追い、ボールが床の近くまで来たらボールから目を離してラインを見ます。
最後までボールを追いかけると、落ちた場所とラインの関係が見えません。先にラインへ目を置いておけば、ボールが入ってくる形で判定できます。
この見方は、コートで自分がサーブを見送る時にも使えます。アウトを見極める目は、判定でもプレーでも同じです。
見えなかった時・迷った時の対処
線審をやって最初に不安になるのが、見えなかった場面です。ここには、はっきりした決まりがあります。
確認できた人だけが合図を出す
原則は、確認できた線審だけが合図を出すというものです。見えていないのに、雰囲気で合わせて旗を上げる必要はありません。
アンテナ付近を通ったボールも同じで、いちばん見やすい位置にいた人が判定します。自分に見えなかったなら、示さないことが正しい対応になります。



出さないと、サボっているように見えませんか?



見えないのに出すほうが困るんです。正直でいいんですよ。
判定は迷っても速く示す
もう1つの原則は、速さです。見えていたのに合図が遅れると、選手のアピールを生む原因になります。
判定にかける時間を長くしても、見えなかったものが見えるようにはなりません。見えたものを速く示す、これが線審の基本姿勢です。
ボールのコースを確認しようとして大きく動くのも避けてください。動きすぎるとラインの判定がおろそかになり、逆に信頼を失います。
線審でやりがちな失敗3つ
最後に、はじめて線審をやる選手がつまずきやすい3つをまとめます。私が大会で見かける失敗は、だいたいこの3つに集まります。
失敗①:ボールばかり追ってラインを見失う
いちばん多いのが、ボールを最後まで目で追ってしまうパターンです。ラリーが白熱するほど、つい試合を見てしまいます。
線審の任務は、あくまでライン判定です。ブロックのワンタッチが気になっても、ボールより先にラインへ目をやると決めておいてください。
失敗②:合図が小さくてすぐ下ろす
2つ目は、自信のなさが形に出てしまう失敗です。ひじが曲がっていたり、上げてすぐ下ろしたりすると、主審には届きません。
合図は、主審が確認するまで続けます。形をはっきり作ることが、判定そのものより伝わり方を左右します。



大きく出して、しばらくそのまま。これだけで見違えるよ。
失敗③:サーバーを避けて横に開く
3つ目は、サーバーの邪魔にならないようにと横へ移動しすぎる失敗です。横に開くと、エンドラインを踏んでいるかどうかが見えません。
避けるのは後ろ方向です。サーバーの後方に下がれば、足の位置とラインを同時に見ることができます。



横じゃなくて後ろ、覚えました!
審判の役割は、指導者から段階を追って教わるのが理想です。チームで教える立場の人は、こちらも参考にしてみてください。
よくある質問
まとめ:立つ場所と5つの形を決めておけば迷わない
最後に要点をふり返ります。線審に必要なのは、担当ラインから目を離さないことと、5つの合図をはっきり示すことの2つでした。
| 場面 | 合図 | 形 |
|---|---|---|
| コートの内側に落ちた | イン | 旗の先をラインに向けて下ろす |
| コートの外側に落ちた | アウト | 旗を垂直に上げて保つ |
| 選手に触れて外へ出た | ワンタッチ | あごの下で旗を立て、先に手を触れる |
| アンテナ外・ラインを踏んだ | 旗を振る | 頭上で1往復振り、ラインを指す |
| 自コートの床に触れた | 床タッチ | 体の斜め前で2〜3回床をたたく |
私は元日本代表として多くの試合を見てきましたが、線審を経験した選手はコートに戻ってからの判断も速くなります。ラインとボールの関係を、体で覚えられるからです。



次の大会は、落ち着いて旗が出せそうです!



いい姿勢です。見えたものを速く示す、それだけで立派な線審ですよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールのルールについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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