- まわりの選手が飲んでいるサプリメントを、自分も飲んだほうがいいのか迷っている
- 「筋肉がつく」「疲れがとれる」という広告を見て、気になっている
- サプリメントでドーピングになることがあると聞いて、不安になっている
こんな悩みを解決します。
10代の選手は、まず毎日の食事を整えることが先です。サプリメントは「必要かどうか」を確かめてから、相談して使うものです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
この記事では、国際オリンピック委員会(IOC)の声明や、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の資料をもとに、選手がサプリメントを使う前に知っておきたいことを解説します。
使う前に確かめるポイントがわかると、広告やまわりの声に流されず、自分で判断できるようになります。ぜひ参考にしてみてください。
- サプリメントより食事が先と言われる理由がわかる
- 「うっかりドーピング」が起きるしくみがわかる
- サプリメントを使う前に確かめる4つのことがわかる
結論:サプリメントの前に、まず食事を整える
結論からお伝えします。ほとんどの10代の選手にとって、サプリメントは「なくても困らないもの」です。
体をつくる材料も、練習で使うエネルギーも、もとは毎日の食事からとるものです。ご飯・おかず・汁もの・牛乳・果物がそろっていれば、サプリメントで足す必要はあまりないんですよね。
一方で、サプリメントには禁止物質が入っているかもしれないという、食べものにはない心配があります。
- サプリメントは薬ではなく「食品」のなかま
- 自分の体に入ったものは、わざとでなくても自分の責任になる
- 使いたいときは、医師・管理栄養士・指導者に相談してから
サルくんみんな飲んでるから、飲まないと置いていかれると思ってました!



まずは毎日の食事が足りているかを見てみよう。そこが先だよ。
そもそもサプリメントとは?薬とのちがい
まずは、サプリメントがどんなものかを知っておきましょう。
サプリメントは「食品」のなかま
JADAが監修したアンチ・ドーピングの教材によると、サプリメントは「健康食品」「栄養補助食品」とも呼ばれ、医薬品ではなく食品に分類されます。
本来の役割は、食事だけでは足りなかった栄養素をおぎなうことです。病気を治したり、予防したりするためのものではありません。
入っている成分がすべて書かれているとはかぎらない
同じ教材では、サプリメントは食品なので、医薬品とちがい、含まれている成分をすべて表示することが法律で求められているわけではない、と説明されています。
パッケージに書かれていない成分が入っている可能性がある、ということです。ここが、次に紹介する「うっかりドーピング」とつながっていきます。



書いてあるものしか入ってないと思ってました…。



サプリハ クスリジャナイ ショクヒン
選手がサプリメントで気をつけたい3つのこと
ここからは、選手がサプリメントを使うときに気をつけたいことを3つ紹介します。
①わざとでなくても「ドーピング違反」になる
JADAの教材では、ドーピング防止規則違反で最も多い例は、禁止されている物質が体内から見つかるケースだとされています。
そして、ドーピングをするつもりがなくても、禁止物質が体内から見つかれば違反を問われることになります。これが、いわゆる「うっかりドーピング」です。
違反になると、大会の成績が取り消されたり、試合に出られない期間が決められたりするおそれがあります。



知らなかった、では通らないんですね…。



自分の体に入れるものは、自分で確かめる。これが選手の基本なんだ。
②表示されていない禁止物質が入っていることがある
IOCが2018年に出したサプリメントについての声明では、選手がうっかり違反してしまう原因として、サプリメントに表示されていない禁止物質がまざっていることが最も心配だとしています。
声明で紹介されている研究では、世界各地で集めた600以上の製品のうち、約15%に表示されていない禁止物質(筋肉を大きくするホルモンのなかま)が入っていました。



そんなに入っていたものがあるんですか!?
ただし、これは無作為に集めた製品の結果ではないため、世の中のすべての製品の割合を表す数字ではない、とも書かれています。
ビタミンCやマルチビタミンのような身近な製品から見つかった例も、まれにあるそうです。
JADAの有識者会議がまとめたガイドラインでも、禁止物質が入ったサプリメントを知らずにとって違反になる例は、国内外で毎年起きているとされています。



特に、海外の通販で買う製品には気をつけよう。
JADAの教材では、国内の違反例として、インターネットで買った海外製のサプリメントに禁止物質が入っていたケースが多いとして、注意をよびかけています。
③とりすぎや、食事がおろそかになる心配がある
禁止物質が入っていないサプリメントでも、安心とはかぎりません。
JADAの教材では、栄養補給のつもりでとりすぎを続けると、体に大きな負担をかける場合があると説明されています。
また、サプリメントがあるからと食事を抜いて、サプリメントだけで済ませないように、ともよびかけています。
サプリメントに頼りすぎると、ご飯を食べる量が減って、練習に必要なエネルギーが足りなくなるかもしれません。



ホンライハ タリナイブンヲ オギナウ ダケ
「効く」という広告をそのまま信じないで
「筋肉がつく」「疲れがとれる」といった言葉を見ると、試したくなりますよね。ここでは、効果の話をどう受け止めればいいかを紹介します。
効果が確かめられているものは少ない
IOCの声明では、競技の成績を上げる効果について、しっかりした研究があるものとして、カフェイン・クレアチン・硝酸塩(ビーツなどに多い成分)・重曹(炭酸水素ナトリウム)などがあげられています。
ただ、この声明はトップレベルの大人の選手に向けたものです。
効果があったという研究も、多くは大人を対象にしたものなので、10代の選手にそのままあてはめないようにしましょう。
カフェインについては、10代の選手が気をつけたい量を別の記事で紹介しています。
使う前に「得するか・損するか」を比べる
IOCの声明では、サプリメントは、かかるお金や危険と、得られる良い点をしっかり比べてから使うべきだとしています。
さらに、使う前には専門家の意見と助けを強くすすめる、としています。
体の材料になる栄養素は、まず食事から。成績を上げるための特別なサプリメントは、10代の選手が自分だけで選ぶものではない、と覚えておいてください。



広告の言葉より、自分に本当に必要かが大事なんですね!



そう。迷ったら、ひとりで決めずに相談することだよ。
サプリメントを使う前に確かめる4つのこと
ここでは、もしサプリメントを使いたいと思ったときに、使う前に確かめてほしいことを4つ紹介します。
①3食と補食で足りているか
まずは、毎日の食事をふり返ってみましょう。
朝・昼・夕の3食で、ご飯などの主食、肉・魚・卵・大豆製品のおかず、野菜、牛乳・乳製品、果物がそろっているかを確認します。
練習の前後には、おにぎりやバナナのような補食も使えます。食事を整えれば足りる栄養素は、サプリメントでとる必要はありません。
1日に何をどれだけ食べればいいかは、こちらの記事で紹介しています。
②何のために使うのかがはっきりしているか
「みんな飲んでいるから」「なんとなく強くなれそうだから」という理由なら、いったん立ち止まりましょう。
何が足りないのか、なぜ食事ではとれないのかを、自分のことばで説明できるかを考えてみてください。
③医師・管理栄養士・指導者に相談したか
体のことで気になることがあるなら、まず医師に相談しましょう。食事の内容を見てもらうなら管理栄養士が頼りになります。
チームの指導者にも、使いたい理由を伝えておくと安心です。家族に話すときは、「どの製品を、何のために使いたいか」をはっきり伝えると相談しやすくなります。



体調が悪いのをサプリでなんとかしようとせず、まず医師に診てもらおう。
④禁止物質のリスクを下げる情報があるか
使う製品を選ぶときは、海外の通販サイトで成分のよくわからない製品を買うのはさけましょう。
JADAの有識者会議は、サプリメントの製品情報を公開するしくみのガイドラインをつくっています。
ただし、このガイドラインは完全な安全を保証するものではなく、リスクを下げるための目安だと明記されています。
IOCの声明でも、第三者機関の検査はリスクを減らす助けにはなるが、絶対に安全な製品はない、とされています。「検査済み」と書かれていても、ゼロにはならないと覚えておきましょう。
プロテインと薬はどう考える?
最後に、選手からよく聞かれる「プロテイン」と「薬」について紹介します。
プロテインやスポーツドリンクもサプリメント?
「プロテインやスポーツドリンクもサプリメントなの?」と思った人もいるかもしれません。
JADAのガイドラインの中では、国内の専門家の意見として、次のような考え方が紹介されています。
| 種類 | 考え方 |
|---|---|
| 粉・錠剤・カプセルなどでとる栄養素(プロテイン・ビタミン剤など) | スポーツにおけるサプリメント |
| 汗で失った水分をおぎなうスポーツドリンク | 一般の食品 |
| 食事や食事の一部としてエネルギーをとる食品 | 一般の食品 |
この考え方では、プロテインのような粉の製品はサプリメントのなかまに入ります。使うときは、ここまで紹介した4つのことを同じように確かめましょう。
プロテインの選び方と、タンパク質の量の考え方は、こちらの記事で紹介しています。



プロテインも、まずは食事が先ってことですね!
薬を飲むときも「選手です」と伝える
うっかりドーピングは、サプリメントだけでなく、かぜ薬などの医薬品でも起こります。
JADAの教材では、病院で診てもらうときや、薬局で薬を買うときに、自分がスポーツ選手で、ドーピング検査を受ける可能性があることをはっきり伝えることが大切だとしています。
また、JADAは、アンチ・ドーピングの講習を受けた薬剤師を「スポーツファーマシスト」として認定しています。
近くの薬局にスポーツファーマシストがいるかは、JADAのホームページで調べられます。
ただし、ドーピングがこわいからといって、必要な薬をがまんする必要はありません。病気やケガのときは、医師や薬剤師に相談して、使える薬を選んでもらいましょう。



クスリノ マエニ センシュデスト ツタエル
サプリメントについてよくある質問
まとめ:サプリメントは「必要か」を確かめてから
この記事では、10代の選手がサプリメントを使う前に知っておきたいことを紹介しました。
まず食事を整える。使いたいときは、必要かどうかを確かめて、相談してから。
| 確かめること | チェックの中身 |
|---|---|
| 食事で足りているか | 主食・おかず・野菜・牛乳・果物がそろっているか |
| 目的ははっきりしているか | 何が足りないのかを自分で説明できるか |
| 相談したか | 医師・管理栄養士・指導者・家族 |
| 製品は安全か | 海外通販や中身のわからない製品はさける |
| 薬を飲むとき | 「スポーツ選手です」と伝える |
まずは今日の3食をふり返って、足りていないものがないかを書き出してみてください。
自分の体に入れるものを自分で選べる選手は、ケガや違反の心配を減らしながら、練習の成果をしっかり体に残せるようになります。



サプリの前に、まずはご飯をしっかり食べます!



自分の体に入るものを考えられるのは、選手として大事な力だよ。
参考にした資料
- Maughan RJ ほか「IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete」British Journal of Sports Medicine(2018年・英語)
- 日本アンチ・ドーピング機構 監修「アンチ・ドーピングを通して考える」第3章 競技スポーツをする人が注意すべきこと―医薬品とサプリメント―(PDF)
- サプリメント認証枠組み検証有識者会議「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン」(2019年・PDF)
- 日本アンチ・ドーピング機構「サプリメント認証枠組み検証有識者会議 委員長総括及びガイドラインの公開について」(2019年・PDF)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
食事・栄養については他にも記事を書いています。
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